電子マネー戦争Suica一人勝ちの秘密: 魔法のカードの開発秘話と成功の軌跡

著者 :
  • KADOKAWA(中経出版)
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806121770

感想・レビュー・書評

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  • 若干、内容が古くなってしまったが、ICカードに関する知識がついた。
    また、スイカ等の電子マネーの経緯/歴史を知ることができた。

  •  JR東日本のICカード「Suica」のドキュメンタリー。切符・定期券としてのSuica誕生までの物語と、そのSuicaが電子マネーとして進化していく物語、そしてその後の構想が描かれている本。
     自動改札機にタッチするだけで乗車できるICカード切符・定期券の「Suica」が誕生するまでには、まず最初に技術的な問題を乗り越える必要があった。それは自動改札機にタッチする時間を、0.2秒以内にしなければならないという処理速度の問題だった。しかし、その問題を解決しても、ICカードがビジネスとして成り立つのか、と言う問題が待ちかまえている。そこで考えられたのが自動改札機のメンテナンスコストが節約できるという理由である。磁気切符の場合ではベルトの摩耗に対するメンテナンスコストなどが多額に上るが、ICカードに変更することでそのメンテナンスコストが節約できるという訳だ。そして、その次に考えられたのが、駅ナカ、街ナカでの電子マネーとしての活用という理由がある。これでSuicaは定期券や切符から、電子マネーになる。電子マネービジネスを開始する上では、JR東日本のビューカードのノウハウが非常に有効であったことなどが描かれている。この本を読んだことで、SuicaがJR東日本にとって、いかに大きな意味を持つプロジェクト・ビジネスであるのかと言うことが分かる。
     この本では、JR西日本の「ICOCA」や、スルッとKANSAIの「PiTaPa」についても取り上げられている。これらのICカードは技術的に相互利用が可能である。それは、最初から鉄道会社同士が規格を統一して進めているからであると言うこともこの本を読むことではじめて知った。競争だけでなく、このような協力関係があることは鉄道利用者にとっては素直に有り難いことだと思う。
     電子マネー分野については、ビットワレットのEdyがANAやNTTドコモとの協力によって普及しており、その普及に刺激される形で、Suicaの電子マネーとしての幅が広がってきている。一つのカードだけで世の中が随分と変化していく。この本は、そんなドキュメンタリーが描かれている。何気なく持っているSuicaだが、この本を読んで可能性を秘めた面白いカードなのだと、改めて感じた。

  • ひとんち:2011/2/20

  • 首都圏では誰でも持ってるSuicaにまつわるJRの産みの話や成功秘話が書かれている。身近な商品でとても面白かった。

  • Suicaは、改札の光景を一変させました。
    そのSuica誕生の開発秘話、可能性や電子マネーそのものの今後の動向について述べられています。
    著者は、Suica成功の秘密として4つ挙げています。
    一つは「非接触型ICカードと交通システムの相性のよさ」、二つ目は「JR東日本の石橋を叩いても渡らない慎重さ」、三つ目は「自前主義で立ち上がりが早かった」、そして最後の四つ目は「勇気ある経営陣がいた」です。
    でも、正直感じたのは、運がよかったのでしょう。
    特に、成功の秘訣の2番目と3番目は、成功と失敗の紙一重です。
    決して、成功した秘訣とは思えませんし、たまたま成功した要因に挙げられているだけのように思えます。
    また、4つ目ににしても、結果的きっとそうだったのでしょう。
    うまくいったから、そう言われているだけでしょう。
    そういう意味では、掘り下げが浅い感じがします。
    でも、Suicaそのものの今後の可能性について知るにはいい本かもしれません。

  • 色んな意味できっかけの本。

  • 中身はドキュメンタリーというか紆余曲折のプロセスを示しているだけに近い
    内容でしたが、普段(といっても、自転車通学なので遠征したときのみ)恩恵に
    預かっているSUICAの仕組みなどが分かって普通に面白かった。

    改札のところでSUICAの中の情報を読み取るときに、
    当然SUICAから情報を発信しないといけないわけですが、SUICAには
    電池は内蔵されていないのです。
    じゃあ、どうしてるかというと、電磁誘導を利用しているそうです。
    フレミングの法則って言えばもっとわかりやすいかと思いますが
    改札のタッチするところでは磁場があって人がSUICAをその中で動かすことにより
    電流が発生して、その電力を用いてSUICAは作動しているそうです。

    工学部の人には普通のことかもしれないけれど、自分にはびっくり。

    あと、クレジットカードに多少関連したバイトをしているので気づいていたんですが
    「ビュー・スイカ」にはエンボスがありません。
    (※エンボスというのはクレジットカードの凸凹していて名前やカード番号など
    が書いてある部分です。)
    クレジットカードなのに変だなぁと思ってはいたんですが、
    技術的にエンボスを入れてしまうとSUICAの中のアンテナの形状が
    変わってしまい、タッチアンドゴーが出来なくなってしまうようでした。

    ただ、エンボスというのはオンラインのクレジットの端末がないところでは
    今でも必ず必要なのです。
    というのは昔のクレジットカードの決済というのはインプリンターという機械で
    手押しでガチャンとカードを押し付けカード番号などをコピーしていて
    オンライン端末のないところではそれが用いられているからです。

    それをVISAが許可したことも驚きですが、それくらいJR東日本のSUICAという
    市場が魅力的で、断れない状況になっていたのでしょう。

    そのうちパスネットとも相互利用というかむしろ
    SUICAが使えるようになってくれると良いですね。

    そうすると、最短距離を計算するというのが複雑になってしまうようで
    難しいみたいですけどね。

    追記

    これを書いたのは結構昔だったんですが
    やっぱりPASMOができましたね。

  • ゼミのレジュメ作成のために電子マネーの本を探していたとき、ふと書店でジャケ買いをした一冊。読みやすい文章♪一見とっつきにくいイメージの電子マネーだけど、スイスイ読めました☆
    Suicaすごいやん。

  • ゼミの課題本になってしまったから読んだ本。Suicaを使ったことのない俺にはイマイチピンとこない本だった。てか、この手の本は自慢話ばかりだ。この本は著しくそちらに傾いている。ただ、Suica発行までの過程を知るという意味では、まぁ面白かったかな。歴史本みたいなもの。

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著者プロフィール

消費生活ジャーナリスト。NPO法人「消費生活とカード教育を考える会」理事長。
1952年。早稲田大学第一文学部卒業、同大学院修士課程修了。月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。クレジットカードについては30年にわたり取材を続けている第一人者で、「岩田昭男の上級カード道場」で情報発信を続けるほか、All About(オールアバウト)の「クレジットカード」のガイドを務めるなど、幅広く活躍中。

「2018年 『キャッシュレスで得する!お金の新常識』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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