ミツバチの会議: なぜ常に最良の意思決定ができるのか

  • 築地書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806714620

作品紹介・あらすじ

新しい巣をどこにするか。
群れにとって生死にかかわる選択を、
ミツバチたちは民主的な意思決定プロセスを通して行ない、
常に最良の巣を選び出す。

その謎に迫るため、森や草原、海風吹きすさぶ岩だらけの島へと、
ミツバチを追って、著者はどこまでも行く。

こうしてミツバチから学んだ集団意思決定は、人間にも応用でき、
既に著者が大学の教授会で実践し、その効果を実感している。

感想・レビュー・書評

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  • 2021新入生に贈る100冊 - 関西大学図書館
    https://opac.lib.kansai-u.ac.jp/?page_id=51378

    「ミツバチの会議」トーマス・シーリー著、片岡夏実訳|日刊ゲンダイDIGITAL
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/148749

    「ミツバチの会議」書評 多様な解答を探り、優れた結論へ|好書好日
    https://book.asahi.com/article/11624106

    ミツバチの会議 | 築地書館
    http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1462-0.html

  • 著者の蜜蜂の分蜂がどのようになされるかの研究。蜜蜂愛と、仲間への感謝、新たな発見をしたときの興奮と喜びが伝わってきて、読んでいてわくわくできます。蜜蜂の何パーセントとか、15分とか、分蜂のメカニズム以外のかなり細かい数字など、著者にとっては興奮に値する発見の詳細。あとは、場所や条件を変えても行動の再現性がみられたとか、他の研究者の協力で別の視点で確認できたとか、シグナルと仮定したものを阻害したら予想通り行動が変わって仮説が裏付けられたとかの因果関係の証明をどうしたのかが、すごく丁寧に書かれている(用いた統計手法で有意だった(or にできた)ので[相関]関係があったなどとして、新たな発見っ!とか公言してしまう研究者に見習って欲しい)。なので、同じ現象に関する記述が、著書の興奮と共に繰り返して記載されているようにみえる。(著者達のこうした努力は賞賛しつつ)分蜂のメカニズムの要点だけ示して貰えれば良いという視点に立てば、まとめて欲しいとか、長いっ!というレビューになるのはわからんでもない。知性を持たない?昆虫の集団が、情報を共有して、集団として正しい意志決定ができるメカニズムが、脳の情報伝達機序と類似性があって応用できるとか、人類として学ぶべきこと、などに展開されるところもなるほどなと思えます。

  • ミツバチの意思決定がどのように人間で適応できるかについてだけ知りたい人は、本当に最後だけ読めば良い気がする。
    後は、ミツバチの生態について科学者じゃなくても分かりやすく書いてあるけど長い。笑
    でも驚いた生態能力は沢山あったから楽しかったけど、情報を取捨選択して軽く読んで飛ばしてしまった部分もあるかな。。。

  • ミツバチの生態がこれほど調べられていたことに驚いた。

  • ミツバチの分蜂のメカニズムを解明する実験の結果が詳しく書かれている。ミツバチの高度なコミュニケーションスキルがすごい。

  • 足長バチは肉食なのにたいし、ミツバチは草食である。
    このことを今回はじめて知ったわたしでも読める本。あっぷあっぷしながらだけれど。
    “ヒトの意思決定作業にかかわる神経の動きと、ミツバチの群れが新居移住時におこなう一連の動きが酷似している、”という指摘に震えた。無駄のない組織とは、こんなにもうつくしいものなんだなぁ。
    ただ、気になるのは、ミツバチの会議とヒトの会議は比較対象としてOKなのかという点である。
    著者も述べているように、ミツバチの無駄のない会議運営は、本能に起因したものだ。本能や遺伝子というくくりでいえば、ミツバチの会議(=多数のミツバチ)と釣り合いがとれるのはヒトの会議(=多数のヒト)ではなく、ヒトの細胞の会議(=単体のヒト)では……。
    この疑問は、著者のいう「超個体としてのコロニーと社会としてのコロニー」解釈で解決可能なのだろうか?

    おもしろいことに、本書の装丁はすごく可愛いらしい。
    蜂蜜色のカバーとデフォルメされたミツバチ。さらに、章題が載るページにもデフォルメされたミツバチの絵が添えられている。一章では一匹だったその数は、二章では二匹に、三章では三匹に……と、各章と連動して変化する。
    本書への細やかな気遣いが感じられる装飾だと思う。
    たいして本書の主役であるミツバチは、装飾よりも機能重視・デザイン先鋭化によって、うつくしい会議を運営している。
    でも、装飾だっていいものだと思う。
    ミツバチの意思決定会議を解明し、ヒトの会議にもそれを活かせないかと思索を広げる本書が、装飾に彩られて手元にある。両者のいいとこどりが出来る、こういうのがヒトの強みなのかもしれない。

  • 巣の候補地や蜜のありかを示す尻振りダンスがどのように表現されるかなど、実験のプロセスまで含めてかなり詳しく書いてある。
    人間の脳が、細胞それぞれがミツバチの個体とみなして、ミツバチの群全体としての意思決定プロセスに似ているというところが面白い。ミツバチの個体はある外界の刺激に対して機械的に反応するだけなのだが、群全体としては複雑な意思決定を行っているということである。

  •  以前、新聞の書評で採り上げられていたので興味を抱いて読んでみたものです。
     「ミツバチの会議」というタイトルは、何とも気になるいいネーミングですね。結構人気も出ているようです。
     本書のテーマは、ミツバチが新しい巣を作る際の「集団としての意思決定プロセス」の解明なのですが、著者が発見したその仕組みはなんと「直接民主主義」ともいえるものでした。
     そして、さらに興味深いのが、このミツバチの分蜂群の意思決定メカニズムと霊長類の脳の働きとの類似性の指摘です。そこでは、ミツバチは“ニューロン”に相当する働きを果たしているのです。
     いつもながら「自然の創造の驚異」ですね。

  • 生物学者が蜜蜂の分蜂(6月頃女王蜂を中心に新しい巣作りのために分離する行動)の研究結果をベースに意思決定論へ展開。蜂の社会は脳の構成に類似しているとする。
    8割は蜂の詳細な研究。数万匹のによる一発勝負の分蜂を成功させるために蜜を集める経験を積んだ数百匹の働き蜂が入り口の広さと体積をベースに周辺の穴をいくつも探して仲間の前でダンスをしてその回数でアピールする。そのダンスを受けて別の蜂も調べてダンスに加わり最終的に満場一致で移動を開始する。
    目的を共有した構成員、豊富な選択肢、自由な議論、公平な判断、必要十分な定数での可決がポイントとなる。またリーダーは必ずしも必要ではなく、問題が明瞭である場合は議論と可決のファシリテーターとして動くべきである。

  • 【新着図書ピックアップ!】ミツバチすごい。この本を読んでいるとひたすら「ほぉおお~~」というため息が出てしまう。

     働き蜂は良い餌場を見つけると巣に帰り、「尻振りダンス」でそれを仲間に伝えるのだが、そのダンスにはなんと暗号のように必要な情報が全て詰め込まれているという。例えば尻振りダンスを1秒したら、餌場はその場所から約1000メートル先にあるということ。また、もしダンスの角度が垂直方向から右へ40度傾いていたらそれは「餌場は太陽の方向から40度右方向にある」ということを意味する。
     また、ミツバチは時折「巣分かれ」と言って、現女王蜂と一万匹の働き蜂が巣を離れ、新しいコロニーを作り始める。このとき新しい巣の候補地を見つけてきた探索バチはダンスでそれを仲間に知らせるのだが、ちょっと自信のない餌場の場合はダンスにキレがない(笑)そして違う餌場を推薦するハチたちの力強いダンスに圧倒され始め、最終的には自分の候補地を諦めて一緒に踊り出すという。

     この世論の波に流される感じ、まさに人間社会と同じ。ミツバチってなんてすごいんだ!原題が「Honeybee democracy」なのも納得!


    [New Book!] The original title is "Honeybee democracy". The dance of honeybees has many meanings. They tell the location of good feeding site or potential place of new colony with their dance. I'm getting the feeling that they may be democratic more than humans!

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