先生、ワラジムシが取っ組みあいのケンカをしています!: 鳥取環境大学の森の人間動物行動学

著者 :
  • 築地書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806714750

作品紹介・あらすじ

黒ヤギ・ゴマはビール箱をかぶって草を食べ、
コバヤシ教授はツバメに襲われ全力疾走、
そして、さらに、モリアオガエルに騙された!

自然豊かな大学を舞台に起こる
動物と植物と人間をめぐる、
笑いあり、涙ありの事件の数々を
人間動物行動学の視点で描く

感想・レビュー・書評

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  • 今回は、ワラジムシ、トビムシ、ダニ、モモンガ、イワツバメ、ナガレホトケドジョウ、イモリ、モリアオガエル、ヤギ、ツタ。
    モモンガは3年連続の登場です。

    今回は小さな虫の話に興味深いものがあった。

    1mm程の小さなトビムシがエサを見つけて食べている。
    そこに別のトビムシが寄って来た。
    一緒にエサを食べるのかと思いきや、先にエサを見つけたトビムシが後から来たトビムシを追い払っている。
    これは、
    ・エサの量を認識している。
    ・別のトビムシがエサを狙っていることを認識している。
    ということだ。
    ちっちゃいのに、たいしたもんだ。

    もう一つは、ダンゴムシのような姿のコツブムシ。
    交尾をするとオスは死ぬ。メスは子供を産むと体を大きくしてオスになる。そして交尾をして死ぬ。
    ニモでおなじみのクマノミは体の大きいものがメスになり、オス→メスが性転換の方向なのでコツブムシは逆だ。
    命をつなぐために、いろんな進化の仕方があるのですね。

  • 面白かった!このシリーズはほんとにハズレがないです。ちょっとエモーショナルというかパセティックな話もあり。
    ・森のダニは水の中でも1ヶ月以上生きる。トビムシ、ミズムシ
    ・モモンガ
    ・大学に営巣するツバメ
    ・ナガレホトケドジョウ
    ・モモンガの森での学生実習
    ・ヤギ村長
    ・鳥取環境大学のツタ
    ・ゴマという黒いヤギ

  • 小林先生の〜何冊目かよくわからなくなりましたが、2014年の新刊です。
    1年に一冊のペースで出版されているようです。

    今回印象的だったのは、問題解決能力を高める取り組みとヒトの周りで生きる生き物の戦略や環境の変化の影響について。

    問題を設定することは意外に難しい。
    どのレベルで、どの方向を向いているかなどの要素を踏まえた上で正しく設定されなければいけないから。
    そして、新しく出てきた問題をいかにして解決するか、その糸口をどのようにして見つけ出すか。
    大学の研究室は少人数で、設備もほとんどなくて、でも和気藹々としていました。
    大学院の方は先端の技術を研究に用いることができて、問題解決のための手段という意味では、揃っていた気がします。
    ただ、大学院の方では、(こういう言い方はアレですが)ある程度レールが敷かれていたので、坦々とこなせばよかった。
    大学では、もっと自由度が高くて(その分先生とやり合うことも多かった)、方向性を自分で決めることができたと思っています。
    悩んで、悩んで、考えて、考えて、思いついた方法で一定の方向性を最後に示すことができたことは、私にとってとても大きい成果でした。

    今の仕事も、答えはあるだろうけれど、誰もそれを知らない。
    その答えにどうやって近づくか、みたいな要素があると勝手に思っています。
    ちょうど昨日悩んでいたことに自分なりに整理ができたので、リンクしてるなぁ、と感慨深いです。

    そして、人が入らなくなった里山や里川の環境変化はそこに棲む生き物の生死まで決めてしまうんだな、と改めて…。
    森林伐採や切土、盛り土、ソーラー発電など意外に身近な所に問題はあるんだと感じています。
    自然と離れて生きていくことはできないので、取り組むべき課題は多いなぁ、と学びの多い一冊でした。

  • 先生シリーズ。
    もっと若いときに読んでいたら、きっとこの大学に行きたいと思っていただろうなあ、と思う。
    モモンガがとても可愛らしくて、写真をカラーにしてくれないかな、と感じる。学生たちと子供たちの交流プログラムもよく考えられていて、学生さんたち、すごいなあと思った。
    モリアオガエルに騙された先生も可笑しいし、それを写真に撮っていた学生さんたちも面白い。
    ヤギのゴマの話、悲しいけれど、生きていくこと、死んでいくことはセットなんだな、と感じる。

  • カエルが苦手なので、帯のモリアオガエルにびくびく。
    それでも読みたい先生!シリーズ8冊目。

    大学のキャンパスに小中学生を招いて行われた「ヤギ村長の環境教育村」は、学生たちがそれぞれプログラムを用意して、子どもたちに地球環境のことを知ってもらおう、という取り組み。
    ここで発揮される学生さんたちの企画力・実行力がすばらしいのです!
    それぞれのプログラムは子どもたちに自然や生き物をいろいろな視点で見る力を養ったことでしょう。
    それになんといっても、大学生のお兄さん・お姉さんと過ごした3日間は、子どもたちにとって特別なものになったことでしょう。
    また、学生さんたちにとっても、この取り組みに参加したことは社会人になってからも大きな原動力になるはず。
    彼らを指導し、力を引き出したコバヤシ先生の教育者としての姿に胸が熱くなりました。

    • くんたろうさん
      すごい!まだ続いていたんですね小林先生!私もカエルもワラジムシもイヤだけど(笑)、読んでみまーす!
      すごい!まだ続いていたんですね小林先生!私もカエルもワラジムシもイヤだけど(笑)、読んでみまーす!
      2016/09/21
  • 最後のヤギのゴマの章はグッとくるな…

  • このシリーズは私にとって心の癒しです。黒山羊のゴマが死んじゃって悲しかった。

  • 生物とか研究とかってなんだろう。
    という疑問を解決してくれる本。
    語りかけるような文章が読みやすいのもあるけれど、身近な生き物についてわかりやすく解説してくれている。
    でも、生き物の研究って喜ばしいことだけじゃなくて、上手くいかないことも、悲しい思いをすることもたくさんある。
    それでも、学生とともに、未来のために研究を続ける姿が印象的でした。
    2019年6月 勤務先の図書館にて同僚に薦められて閲覧

  • シリーズ8作目。
    相変わらず安定した面白さ。

    今回は動物エピソードよりも、
    ホモサピエンス(生徒やOB)の方が印象に残った。
    いい生徒に囲まれる。
    いい先生なんだろうなぁ。

  • 毎回面白いけど、教育的な内容も良い

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著者プロフィール

1958年岡山県生まれ。
岡山大学理学部生物学科卒業。京都大学で理学博士取得。
岡山県で高等学校に勤務後、2001年鳥取環境大学講師、2005 年教授。
2015年より公立鳥取環境大学に名称変更。
専門は動物行動学、進化心理学。
これまで、ヒトも含めた哺乳類、鳥類、両生類などの行動を、動物の生存や繁殖にどのように役立つかという視点から調べてきた。
現在は、ヒトと自然の精神的なつながりについての研究や、水辺や森の絶滅危惧動物の保全活動に取り組んでいる。
中国山地の山あいで、幼いころから野生生物たちとふれあいながら育ち、気がつくとそのまま大人になっていた。
1日のうち少しでも野生生物との"交流"をもたないと体調が悪くなる。
自分では虚弱体質の理論派だと思っているが、学生たちからは体力だのみの現場派だと言われている。

「2023年 『先生、ヒキガエルが目移りしてダンゴムシを食べられません!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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