虐待・親にもケアを

著者 :
制作 : 森田 ゆり 
  • 築地書館
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本棚登録 : 80
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806715627

作品紹介・あらすじ

子ども虐待問題の解決に不可欠な、虐待に至ってしまった親の回復のための「MY TREEプログラム」。
各地の児童相談所などですでに1000名以上の修了者を出し、大きな成果を挙げてきた。
日本で開発された、マインドフルネスを使う、効果の高いプログラムとして注目されるその内容を、開発者自らが思想と技法からファシリテーター人財育成まで詳細に語る。
一人悩み苦しんできた親たちが、生きる力を取り戻すことのできた自分を語る言葉が感動を呼ぶ。

――子ども虐待とはこれまで人として尊重されなかった痛みや悲しみを怒りの形で子どもに爆発させている行動です。MY TREEはその感情、身体、理性、魂のすべてに働きかけるプログラムです。木や太陽や風や雲からも生命力の源をもらうという人間本来のごく自然な感覚を取り戻します。さらに自分の苦しみに涙してくれる仲間がいるという、人とつながれることの喜びは、本来誰でもが内に持つ健康に生きる力を輝かせるのです――(本書より抜粋)

感想・レビュー・書評

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  • 感動した。

  • 著者が長年実践してきた児童虐待をした親への回復プログラムの記録。またそれだけではなくしつけに体罰が必要と考えている人多さ、虐待された人が必ず虐待をするわけではないといった重要な指摘もあった。

  • 母親支援、父親支援、子育て支援でなく、その人の全体性回復の支援。これまで他社から尊重されなかった深い悲しみを怒りとして子供に爆発させる虐待を終止させるには、ホリスティックなアプローチが必要。2018年までに大阪、京都、奈良、東京、埼玉の児童相談所などで1000人以上にMY TREEプログラムを実施し、回復させてきた。
    ・子ども像より子ども観。
    ・発達障害でなく脳神経多様性。
    ・一番悲しい時は、心が分かってもらえなかったとき、一番うれしいのは、心が通じ合えた時。
    ・親に必要なのは呑気、元気、根気、勇気。
    ・プログラムは根(理論)→エンパワメント、ホリスティック、コミュニティ、ジェンダーの視点、多様性。幹(カリキュラム)、葉(光合成=参加者と実践者の相互作用)、花と実(変化)から成る。
    ・瞑想ワーク。木の絵を描く。木の本を読み聞かせる。
    ・暴力衝動抑制ツール(怒りの仮面、死の危険、8つのストレス要因、私の木)とファシリテーションツール(小動物のぬいぐるみとタイマー、五つの約束、二冊のテキスト)
    ・体罰は大人の感情をぶつけていることがほとんど。体罰は恐怖感で子どもの言動をコントロール。体罰は即効性があるので他のしつけの方法がわからなくなる。体罰はしばしばエスカレートする。体罰は見ている他の子どもにもダメージを与える。体罰はときに取り返しのつかない事故を引き起こす。

  • 虐待・親にもケアも。森田ゆり先生の著書。子どもの虐待問題について親を非難して罵倒することは簡単。でも親を非難して罵倒したところで根本的な問題解決にはつながらない。親自身がかつて毒親から精神的虐待や肉体的虐待を受けていたかもしれないし、何か精神的問題を抱えている可能性もある。子どもの虐待問題を解決するためには、虐待問題の根幹から解決する必要がある。親子をそれぞれケアすることが子どもの虐待問題解決への近道であることがわかる良書です。著者の森田ゆり先生はアメリカのカリフォルニア大学主任研究員として人権問題の専門家としてのご経験をお持ちの方。アメリカでは人権問題や虐待問題の研究が日本よりもずっと進んでいるでしょうから、その研究成果が日本の人権問題や虐待問題の改善や解決に生かされることを願います。

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著者プロフィール

元カリフォルニア大学主任アナリスト(ダイバーシティ・トレーナー)。元立命館大学客員教授。米国と日本で、多様性・性暴力・虐待・DV防止専門職研修とプログラム開発に40年たずさわる。虐待にいたってしまった親の回復プログラム「MY TREE」を開発、22年間日本各地で実践し1501人の回復者を出している。トラウマを負った子どもと大人のためのヒーリングヨーガALOHA KIDS YOGAを開発。そのリーダーを全国に養成。アメリカン・ヨガ・アライアンス賞を受賞。第57回保健文化賞、産経児童出版文化賞、朝日ノンフィクション大賞など受賞歴多数。『トラウマと共に生きる』(築地書館)、『子どもへの性的虐待』(岩波書店)、『体罰と戦争』(かもがわ出版)など多数の著書がある。

「2024年 『多様性とエンパワメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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