もっと知りたい田中一村 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
- 東京美術 (2010年5月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
- / ISBN・EAN: 9784808708764
感想・レビュー・書評
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表紙を見てこれは買わなきゃと思った。田中一村、名前すら知らなかった。惚れ惚れする絵ばかり。
1908年栃木生まれで、東京美術学校で東山魁夷、橋本明治、加藤栄三、山田申吾らと同級(東山魁夷しか知らないけど)。
が、3ヶ月足らずで退学して以後は、独学の人生をあゆむ。中国の「南画」に学び、それをいったん捨てたあとは千葉に転居。琳派へ傾倒する。
その後なんと、一村は奄美大島へ。そこにある小さな家を終の住処とする。「日本のゴーギャン」なんてひどい呼ばれ方をしている。
彼の画風の変遷は3つに分けられる。まず、とても主観的な南画の時期があり、その後、観察と写生に徹した客観・科学的な時期があり、奄美で島の自然を描いた後期にいたると、客観的な絵にふたたび主観がじわりと滲み出す。初期中期が統合されたかのような絵。
個人的に、中期後期がほんとうにすばらしいと思う。
中期は、竹や南天、紅葉を描いたものも良いが、「白い花」のめくるめく迫力、そして「秋晴」の息をするのも忘れるほどの荘厳さ!
後期はゴーギャンよりむしろアンリ・ルソーを彷彿とさせる。パパイヤ、ソテツ、アカショウビン、ビロウ、ハマユウ、ダチュラ、ガジュマル、ブーゲンビリアなど、むせかえるような生命が描かれる。著者はこの時期を「南の琳派」と呼ぶ。なるほど。
そもそも南の植物は葉も広く厚くて存在感があるのだけれど、田中一村は晩年、そこに何かを託している気がしてならない。
奄美の田中一村記念美術館に行かなきゃまとまった作品は見られないのか……うん、いつか行こう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
S図書館 再読
1908~1977年、父は彫刻家
幼少から南画(中国画の一つ)
東京美術学校入学、生活を支えるため3ヶ月で退学し独学の道へ
掛け軸
23歳 南画と決別新しい作画
観音像
39歳 「白い花」初入選
屏風、天井画
47歳 九州、四国、紀伊の旅
50歳 奄美へ移住
58歳頃 奄美の自然
ビロウ樹、アカショウビン、アサギマダラ(チョウ)、魚、エビ等
《感想》
以前、この本で初めて知った一村(いっそん)
色彩があでやかで大胆な構図が持ち味だ
幼少期時代も構図が素晴らしかった
日本人離れしているが、西洋とはまた違う稀有な存在だと思う
私も鳥好きということもあり、一瞬で心を捕まれた芸術家だ
何と2024年9月から、満を持して東京都美術館で一村の展覧会がある
2年前箱根で展覧会があると知っていたが、行かずに後悔していたので嬉しい
展示作品は未定だが、個人蔵も多めに展示して欲しい
できたら
幼少期の「菊図」
「白い花」
「ニンドウにオナガ」
「エビと魚」が見たい! -
田中一村の作品を見るために奄美まで行こうと思っていたら、今年は佐川美術館と岡田美術館で特別展が催されます。この機会に一村の画風の変遷をおさらいしました。南画を基礎に、後期の琳派風を経て、奄美でオリジナルなモチーフに出会います。「アダンの海辺」「ビロウとアカショウビン」など奄美での作品はもちろん、若い頃の花鳥画からして、色使い、デザインがみずみずしくて現代的です。
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myjstyleさん
行けないけど、本年(2021年)は、
美術館「えき」KYOTOで
https://kyoto.wjr-isetan.c...myjstyleさん
行けないけど、本年(2021年)は、
美術館「えき」KYOTOで
https://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/exhibition_2105.html2021/05/03 -
猫丸さん
このご時世で、さすがに京都までは行けませんね。
ただ、私は去る1月に千葉美術館の「一村展」に行きました。
「アダンの海辺...猫丸さん
このご時世で、さすがに京都までは行けませんね。
ただ、私は去る1月に千葉美術館の「一村展」に行きました。
「アダンの海辺」が見れてよかったです♪2021/05/03
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美術は詳しくないけれど、その緻密な絵は素人目でも言葉にできないほど凄い。ただ、本の中で紹介されている様々なエピソードなどから察するに、人としてよほど気が強かったのな、他者とのコミュニケーションが苦手な人物だったのかな?という印象があり、それが奄美時代の作風(奄美なのに暗い絵)に繋がっているのかなぁ、という印象。最晩年の作品はそういった暗さが無くて、また色々とその生き方に思いが巡る。
本としては、そういった様々なエピソードはもちろんのこと、その生涯がとてもわかりやすく、かつ詳細に追われており、作品も年代を追ってわかりやすい解説付き紹介されていて、田中一村を知る上で素晴らしくわかりやすい本。 -
奄美大島で帰りの飛行機まで時間があり、特に予備知識なく立ち寄った美術館で田中一村に出会った。絵が素晴らしいのはもちろんのこと、その人生も非常に興味深く、奄美から帰ってこの本を手にとった。
死後に評価され、美術館に展示されることは画家として本望なのだろうか…評価を気にせず描き続けたからこそ死後評価されるに至ったのか、芸術は難しい。 -
表紙の絵のような静謐な南国画をイメージしていたので、初期の力強い筆致に驚く。
南画(水墨画)と琳派の技法を合わせた全盛期の作風は、抑えた色味が良い。
特に、奄美での作品は南国の風景なのに静けさと寂寥感が漂う。
最晩年は身体の衰えからか、筆致がプリミティブになり、逆に力強さが増している。
すごく好きになった。 -
p.2021/6/6
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去年、地元の千葉市美術館で田中一村展があり、なんとなく行ってみて、いいなと思ってショップで購入した本。
この時の展示では、「千葉にいた頃は下積み時代で奄美に行ってから大成したんだな」って思っていたのだけれど、この本を見て、若い時の花鳥画もかなり鮮やかでインパクトが強く、奄美に行く前から一村らしさはしっかり発揮されていたことがよくわかった。
生きている間にあまり評価がされなかったのが残念。
奄美の田中一村美術館にぜひ行きたい。