死 内田百閒・林芙美子ほか (文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 第二期)

制作 : 東 雅夫 
  • 汐文社
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本棚登録 : 65
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784811324852

感想・レビュー・書評

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  • これまたいかにも、なテーマの一冊。怪談はすべからく死に繋がるものであるような気もするのですが。その中でもあからさまに「死」をテーマにしたものばかり。恐ろしくはあるけれど、誰しもが避けて通ることのできないものが「死」。ということで、シリーズ中一番身に迫ったテーマなのかもしれません。
    いきなり西城八十「トミノの地獄」って……もうこれだけで既にやられてしまいました。最初の見開き一ページに詩は冒頭の一行のみ、そしてあと全部脚注、というこの構図もまた凄まじい!
    あとの作品はどれもがひっそりとした死の印象です。じわじわと迫りくる印象がまさしく「死」。そしてラストの宮沢賢治「二十六夜」のあまりの穏やかさにしんみりとさせられたところで「黄泉の国」。この構成っぷりが絶妙でした。流石。

  • 玉川麻衣女史の美しく端正な挿し絵が、また哀愁と愛惜を誘う・・・。
    西條八十の「トミノの地獄」地獄の様相・・・怖いんだけど、独特の雰囲気が好きな詩だな・・・。
    原民喜の「秋旻」あの世へ続くかなしき末路をひた進む若人たちの記録。
    内田百閒の「冥途」なんか・・・悲しかったな・・・。でも好きです。
    三島由紀夫の「朝顔」こんなに優しい空気なのにかなしい三島作品初めて(驚)
    芥川龍之介の「凶」文字通り、芥川の遺稿作品。晩年の空気感がかなしい。
    小川未明の「金の輪」未明作品にいつもどこか漂う死の空気・・・懐かしい。
    火野葦平の「魚眼記」いや~面白かった!怖いけど!怖いけども!
    平山廬江の「大島怪談」そんな気はしたけど、貞子の地元か。
    川端康成の「不死」出た!川端の十八番・ロマンティック幻想ホラー!うん、好きです。
    日影丈吉の「墓碣市民」そうか、それならそういった霊もそりゃいるよな、と。
    林芙美子の「上田秋成」老いと死と。
    宮沢賢治の「二十六夜」賢治先生といえば、健気な動物の死を通して生き物の業と命を思う読書体験。これもまさにそれ。それにしてもフクロウに読経させる発想がすげえ。
    『古事記』からはあまりに有名な「黄泉の国」収録。原文がド迫力過ぎる。

  • 「いわゆる文豪の多くが、怪談・怪奇小説で傑作を多く残しています。怪奇文学、幻想文学分野のアンソロジストとして日本の大家・東雅夫さんの編纂により、それらを分かりやすく紹介する本になりました。一巻目は『夢』をテーマに、夏目漱石、芥川龍之介、夢野久作、小泉八雲などの怪談を収録。」(汐文社HP)

    【収録作品】

    夏目漱石「夢十夜」

    内田百閒「豹」

    中勘助「ゆめ」

    芥川龍之介「沼」

    谷崎潤一郎「病蓐の幻想」

    佐藤春夫「山の日記から」

    志賀直哉「病中夢」

    夢野久作「怪夢」

    北杜夫「夢一夜」

    小泉八雲「夢を啖うもの」

    【幻妖チャレンジ!】

    『出雲国風土記』より「黄泉の穴」

  • 新聞の書評欄より興味を持って。図書館で借りたけど、手元に来るまでジュニア向けってことに気づいてなかった。地獄から始まり極楽で終了。前半はなかなか好きでも、後半は肌に合わず。とにかく注釈がすごい。優しい単語にもついてる割に、注釈そのものが難しかったり。本編より多くてどっちがメインやら。

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著者プロフィール

内田百閒(うちだ・ひゃっけん)1889―1970
岡山県生まれ。本名・栄造。15歳のときに親友・堀野寛と出会い、堀野を通じて読書の趣味に目覚める。翌年、夏目漱石の『吾輩は猫である』上篇を読み、漱石に傾倒。19歳のころには俳句熱が高まって、俳諧一夜会や苦渋会という句会を結成。岡山近郊の百間川から俳号を「百間」とした。1910年、東京帝国大学文科大学へ入学。翌年2月に、静養中だった漱石を訪ねる。漱石の面会日「漱石山房」に出席するようになり、小宮豊隆、津田青楓、森田草平、芥川龍之介、久米正雄などと知り合う。以後、陸軍士官学校や法政大学で教鞭をとる。1920年には、作曲家・筝曲家の宮城道雄に知遇を得て親交が続く。同年、幼少期より寵愛を受けてきた祖母の竹が死去。1922年、はじめての著作集『冥途』を稲門堂書店より刊行。翌年、関東大震災に遭い、『冥途』の印刷紙型を焼失してしまう。1933年に三笠書房から『百鬼園随筆』を刊行してから、『冥途』の再劂版や第二創作集『旅順入城式』(岩波書店)、『百鬼園俳句帖』(三笠書房)などを刊行。その他、『贋作吾輩は猫である』(新潮社)、『ノラや』(文藝春秋社)など多数の書籍、作品を発表する。1965年には、これまでの功績を評価され芸術会員に推薦されながらも「いやだから、いやだ」とそれを辞退。それからも『麗らかや』『残夢三昧』(いずれも三笠書房)などを著す。多くの名筆を世に刻み、1971年4月20日に逝去。

「2023年 『シュークリーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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