長距離電話 (赤川次郎ホラーの迷宮)

  • 汐文社 (2019年2月27日発売)
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本 ・本 (236ページ) / ISBN・EAN: 9784811325736

感想・レビュー・書評

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  • こちらもYAコーナーで。

    不思議さもありながら現実的にあってはならないと思える怖さだった。
    3つの短編集。

    「長距離電話」
    山の中で車が故障し、目に留まった電話ボックスから高校時代の同級生の家が近くだったことを思い出して電話すると20年以上も経っているのに昔の友人が、過去の出来事を話し出し…
    電話のなかでのタイムスリップなのか…!
    あの頃に戻ってやり直しを考えたが…。
    今を生きろと。

    「怪物」
    ここでの怪物とは、作文好きの中3女子が、ワープロで綴った手紙を利用して誰かを陥れるという…
    ちょっとした悪意が、人の人生を狂わせていく、これは無邪気な悪戯どころではない恐怖。

    「幻のタイトロープ」
    売れない芸人の悲哀が描かれていて、実際にTVのバラエティ番組にあるかのようで、読んでいても苦しいのはリアルな恐怖感が伝わってくるからかもしれない。


    電話ボックスやワープロなどかなり年代を感じるものが出てくる。
    携帯やパソコンなどのなかった時代である。
    これは今の世代にはわからないだろうなぁと思った。
    ゾッとするような感覚になるのは、この時代を経験しているからかもしれない。


  • 懐かしさでいっぱいになる一冊。

    読み始めてすぐに、懐かしさで、安心感でいっぱいになった。
    あぁ、赤川さんだ。

    このちょっと生活に疲れた中年男性の描き方や、年頃の少女が見せる大人びた顔。いたずら心。人の悪意。

    それらが貪るように赤川作品を読んでいた時の遠い記憶を刺激した。

    そしてただただ物語の流れに身を委ねられるこの安心感がやっぱり良い。

    表題作の「長距離電話」が一番好きかな。
    大切なものは何か…物語の運び方、せつなさ、優しさが良かった。

    このラストシーン、そう、これも赤川さんらしいんだよね〜と、自然と頰が緩んだ。

  • 長距離電話:過去へ繋がる電話ボックス。
    過去を変えたら,今はない。
    怪物:ワープロの手紙で人生崩壊。
    幻のタイトロープ:体を張る男。

  • 初めて小説の面白さに触れた思い出の作品。

    本来は角川から出ている【告別】で読んだが、1番のお気に入り【長距離電話】があったのでこちらで感想を書きます。

    へんぴな所にあった公衆電話で電話すると学生時代の彼女に電話が繋がり・・・。

    人生のやり直しを描いた作品だが、無駄がなく良かったし何十年経っても思い入れのある話!

    赤川次郎の作品は改めて読みやすいと感じましたね〜!!

  • 怖かったけど興味深かった。

  • ザ・赤川次郎!の一冊。
    児童書なんだぁ。
    なかなかのものだ。

    連絡手段が家電だったり、ワープロによる文章だったりと、この懐かしいアナログ感がより一層の恐怖を呼ぶ。
    3編とも8月のこの時期に読むにはピッタリのゾクゾク感だった。
    怖いけどこのシリーズ、読んでみようかな(汗)

  • 短編小説三編収録。
    三編とも意外な展開があって面白かった。
    「長距離電話」
    タイトルがいいな~と思った。実際の距離ではなく時間というか人生の距離。主人公のサラリーマンが過去につながる公衆電話をみつけて物語が始まる。主人公と同じ職場の女性がいい人だった。この人がいたから主人公は過ちを犯さずにすんだ。神様みたいな人。
    「怪物」
    一番怖かった。思春期の女の子は恐ろしい。罪の重さに気づいたかな?とほっとしたけど、大人になってもこの子は怪物のままだった( -д-)
    「幻のタイトロープ」
    これはちょっと切ない気持ちになった。売れない芸人の主人公がロープ下のネットを外した状態で綱渡りに挑む。落ちそうになったとき恋人が目の前に現れて応援する。
    もうここで主人公も読者も恋人がどんな状態なのかわかってる。なんとなしに『ふたり』を思い出した。
    表紙はサラリーマンではなく女の子が描かれている。小説の内容とは違うけど不思議と違和感はない。

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著者プロフィール

1948年、福岡県生まれ。1976年「幽霊列車」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。『東京零年』で第50回吉川英治文学賞受賞。「夫は泥棒、妻は刑事」シリーズ、「三毛猫ホームズ」シリーズなどミステリーの他、サスペンス、ホラー、恋愛小説まで幅広く活躍。

「2023年 『黒鍵は恋してる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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