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- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784812101636
感想・レビュー・書評
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ハンガリーに生まれ、ハンガリーを始め東欧~アジアの土着音楽を深く研究し、それを土台に現代音楽の鍵のひとつを開けることに成功した世界的作曲家の生涯。
伝記らしい、幼少の頃からの編年的な話運びではあるんだけど、豊富な譜例も交えた綿密な楽曲解説を中心に生涯を追うという構成になっている。譜例は何しろ独特の旋法や半音進行、不協和音が多いので(オレが楽曲をそんなに知らないせいもあって)少々難しいながら、その思想の変遷や音楽の深まりがよくわかる、内容の濃い本であった。
バルトークといえば今では真っ先に作曲家ですねと思うけど、当時はピアニストでもあり(YouTubeとかで彼の演奏を聴く(見る)ことができる)、指揮も行い、何よりも東欧各地の農民や兵士が歌う民謡を採集する民俗学者であった。
2つの世界大戦に流されて自身の音楽活動も大きく阻害されることになったわけだけれど、もし世界が平和だったら、むしろ音楽研究の方に没頭してしまって、今われわれが心揺さぶられる名曲の数々は生まれなかったかも知れない・・・ということは逆に、特定分野を除いて時代を越えることもなかったかも知れない。
実に人生とは数奇なものであるなぁ・・・と、そんな辺りも大変面白かったのである。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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