実践の倫理

  • 昭和堂
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784812299296

感想・レビュー・書評

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  • 理解出来た部分と、何を言っているのかさっぱりって部分が混在していた。
    もう一度読む。

  • 哲学

  • 初めて講義で使ってみたが、翻訳の問題を抜きにしても難しいんじゃないかと思う。動物の利益や中絶、安楽死の問題など、トピックごとの章立ては一見とっつきやすいが、作為や不作為、二重結果、動機と帰結の問題など重要な議論が通りすがりに紹介されるため、どの議論が倫理学的に重要なのかがわかりにくい。

    とはいえ、利益の平等な配慮についてのシンガーの見解が理解できれば、動物の問題、中絶の問題、安楽死の問題などを一貫した立場で議論していることがわかり、すごい本であることは間違いない。第三版の翻訳では誤訳(かなり正確だが、やはり少し残っている)や誤字が直ることを期待している。

  • 【目次】
    日本語版新版への序文 [i-iii]
    まえがき [iv-x]
    目  次 [xi-xv]
    凡  例 [xvi]

    第01章 倫理学について 001
    倫理ではないもの 
    倫理であるもの―― 一つの見解 

    第02章 平等とその意味するもの 018
    平等の基礎 
    平等と遺伝的多様性 
    機会の平等から配慮の平等へ 
    積極的是正措置 
    終わりにあたって――平等と障害 

    第03章 動物に平等を 067
    人種差別と種差別 
    種差別の実態 
    いくつかの反対意見 

    第04章 殺すことのどこが不正なのか 100
    人間の生命 
    意識ある生命 

    第05章 生命を奪う――動物 133
    人間以外の動物は人格でありうるか 
    人間以外の人格を殺すことについて 
    他の動物を殺すことについて 
    結論 

    第06章 生命を奪う――胚と胎児 164
    問題 
    保守的立場 
    自由主義者の議論 
    胎児の生命の価値 
    潜在的生命としての胎児 
    実験室における胚の道徳的地位
    胎児の利用 
    中絶と乳児殺し

    第07章 生命を奪う――人 210
    安楽死の種類 
    乳児殺しと非自発的安楽死の正当化 
    自発的安楽死の正当化 
    反自発的安楽死は正当化されない 
    積極的安楽死と消極的安楽死 
    滑りやすい坂――安楽死からジェノサイドへ 

    第08章 富める者と貧しい者 262
    貧困をめぐるいくつかの事実 
    豊かさをめぐるいくつかの事実 
    道徳的に殺人に等しい行為か 
    援助する義務 

    第09章 内部の者と外部の者 297
    シェルター 
    現実の世界 
    「義務ではなく善意から」の対応 
    現在の対応の誤り 
    シェルターと難民 

    第10章 環境 315
    西洋の伝統 
    未来の世代 
    感覚をもつ存在をこえた価値はあるか 
    生命に対する畏怖 
    深いエコロジー 
    環境倫理の展開に向けて 

    第11章 目的と手段 344
    個人の良心と法 
    法と秩序 
    民主主義 
    市民的不服従と他の形の不服従 
    暴力 

    第12章 なぜ道徳的に行為するのか 373
    この問いの意味 
    理性と倫理 
    倫理と私益 
    人生に意味はあるのか 


    付録 ドイツで沈黙させられたこと 401

    注および文献 426
    訳者あとがき 448
    索  引 [ii-iii]
    訳者紹介 [i]

  • [ 内容 ]
    倫理や道徳を人種上の少数派の処遇、女性に対する平等、食糧や研究のための動物の使用、自然環境の保全などの実践問題に応用し、「公平主義」に基づいた理論を展開。
    原著第2版を翻訳した91年刊の新版。

    [ 目次 ]
    倫理学について
    平等とその意味するもの
    動物に平等を
    殺すことのどこが不正なのか
    生命を奪う(動物;胚と胎児;人)
    富める者と貧しい者
    内部の者と外部の者
    環境
    目的と手段
    なぜ道徳的に行為するのか

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4812299292
    ── ピーター・シンガー/山内 友三郎&塚崎 智・訳《実践の倫理 199910‥ 昭和堂》
     
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4589021544
    ── ピーター・シンガー/山内 友三郎・監訳《私たちはどう生きるべきか ~ 私益の時代の倫理 ~ 199905‥ 法律文化社》改訳
     
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4409030787
    ── ピーター・シンガー/戸田 清・訳《動物の解放 20110520 人文書院》改訂版
     

  • シンガーはオーストリア系ユダヤ人亡命者の子供で、祖父母のうち3人がナチの強制収容所で死んでいる。
    ドイツ人は今もなお、自分たちの過去へ対処すべく苦闘しているし、ドイツの過去は理性的理解をほとんど拒むものである。しかし安楽死をめぐるドイツでの議論のいくつかの局面では、ナチズムに対する常識的反対の域を超えて、それ自体がナチズムを可能にしたメンタリティそのものではないかと思えるようなある種の狂信的な響きがあった
    ナチスが優生学を実施したためにドイツでは遺伝工学になんらかの仕方で関係するものはすべて、ナチスの連想によって汚染されている。

  •  現代功利主義者の雄ピーター・シンガーが、動物実験や中絶、難民など様々な命について自説を語るシンガーの代表的な著作。
     
     功利主義は最大多数の幸福をよしとする考え方である。例えば、動物実験はそれをしない限り人間が救えない限りしてはいけないとなる。功利主義では種による差別は行わないからだ。こんな風な物差しで色々な問題を考えていく。
     
     震災から一ヶ月のこの時期、最も気になったのは難民や貧困の章だ。
     世界ではものすごい数の難民が国を捨て劣悪な環境の難民キャンプで過ごしていて、安全で自立した生活を送れる国へ移れるのはごく少数だ。多くの人が亡くなっている。貧困な国の死者もすごい数だ。なぜ私達はもっと彼らを助けるのに力を注がないのか。同じ日本人が何万人と亡くなって心を痛めるのに、なぜ遠い他の国でもっと当たり前にもっと多くの命が失われ、決してそれは変えられないことではないのに、なぜ私達は心を痛め彼らを助ける為に動けないのだろうか。
     
     この本は「何が道徳的か」について問われている本だが、最後の章にある様に「何が道徳的か」という問いよりも「なぜ私達は道徳的に動くべきか」という問いの方が実は重い。

     色々と考えさせる現代哲学の名著。

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著者プロフィール

ピーター・シンガー(Peter Singer)
1946年生まれ. 1971年オックスフォード大学哲学士号(B. Phil.)取得. プリンストン大学生命倫理学教授, メルボルン大学応用哲学・公共倫理学研究所教授. 主著:Animal Liberation(1975:邦訳『動物の解放』(改訂版), 人文書院, 2011年), Practical Ethics(1979:邦訳『実践の倫理』(第二版), 昭和堂, 1999年), One World(2002:邦訳『グローバリゼーションの倫理学』昭和堂, 2005年), The Life You Can Save(2009:邦訳『あなたが救える命』勁草書房, 2014年)他.

「2018年 『飢えと豊かさと道徳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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