龍のすむ家

  • 竹書房
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感想 : 103
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784812412541

感想・レビュー・書評

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  • リズとルーシー親子が、デービッドという大学生の下宿人を置くところから物語は始まる。
    リズは龍の置物ばかりを作る陶芸家なので、家には龍の置物がいたるところに置かれている。

    ただ、龍の話と思って読み始めたのだが、実はほとんどがハイイロリスにまつわる話で、龍はあまりストーリーに関わってこない。
    しかし、デービッドがどんなに否定しても、龍はそこにいる。
    デービッドの創作するリスの物語と太古の龍の物語が入れ子になって、ラストにつながっていく。

  • ペニーケトル工房に住む奇妙な大家とその娘と猫と、下宿人のお話。

    タイトルからして置物の龍が非常に興味を惹かれるものの、いきなり話は灰色リスとやらの創作が始まってしまう。
    大抵題名を見て、どんな内容かを想像することが多いが、この話は予想外すぎて驚いた。龍の住む家なのに、リスを探す話になるなんて誰が想像できただろうか。
    下宿人デービッドと大家の娘ルーシーは怪我をした灰色リスを探すために庭を這いずり回ることになる。お隣さんが仕掛けるねずみ取りの罠にも屈せず、何故か頭の中で助言をしてくる奇妙な龍の置物の助言に従いつつ、いつの間にか童話を書き上げてしまうデービッド。
    灰色リスのコンカーを救えなかったところに現実の厳しさを感じた。

  • テンポががない

  • ファンタジー。児童書。
     内容。
     学生のデービットは「下宿人募集」の広告を見てそこを訪れる。
     下宿人の条件は「ネコと子供と龍の好きな方」。その家にはリズという母親と十一歳になるおしゃべりなルーシー。そして、陶器で出来たたくさんの龍。リズは陶芸家で、デービットに龍を作ってくれる。鉛筆をかじり、ノートを持っているガズークス。通称ズーキー。
     ズーキーはデービットにたくさんのヒントを授ける。片目の見えなくなったリス、コンカーを保護しようと躍起になるデービットとルーシーにヒントをくれているのも、ガズークス。そしてルーシーのためにデービットは本を書き始める。コンカーとその仲間の物語。創作だったはずなのに、現実とリンクしていく。さらには、保護したコンカーは腎臓を患っていて余命がないことを知らされる。
     公園にコンカーに会いに行く日、デービットは不機嫌になる。彼の龍は告げるのだ。コンカーが死ぬことを。そしてその暗示通り、冷たくなったコンカーを見つけることになる。そんなことがあってデービットはズーキーを嫌い、ズーキーはデービットからの愛情を失った悲しみで消えかける。デービットはズーキーが死にそうになっていることを知ってあわてて助けようとする。
     ルーシーの煩わしさは逸品。イライラします。
     ちなみに、龍は陶器の置物で、作中ではリズの物語やデービットの夢の中では動くけれど、ほかでは動かない。ただし、気配だけは勘違いしようがないほど、濃厚に漂う。
     龍がかわいい。

  • 大家とその娘と猫と龍とのちょっと変わった下宿生活のお話

  • ≪内容覚書≫
    下宿人募集―ただし、子どもとネコと龍が好きな方。
    そんな貼り紙を見てやってきたデービット。
    実際、その家は、いたるところに龍の置物があり、
    龍の洞穴と呼ばれる置物が作られる部屋があった。
    家の住人のリズとルーシーも何やら秘密めいていて…。

    あなたの龍だといって渡された鉛筆とノートを持った龍ガズークズ。

    デービットはこの家で、どんな秘密と出会うのか。

    ≪感想≫
    児童文学の中では、久々に続きを読みたいと思えた。
    デービットが大学生なので、あまり児童文学と言う感じもしない。

    それにしても、さすがイギリス。
    すてきなファンタジーの世界が広がっている。
    普通に龍がいるのではなく、置物として存在している点。
    しかも、自分だけの龍がいて語りかけてくる点。
    魅力的なファンタジー設定に酔いしれた。

    途中途中に挟まれるデービット&ガズークズ作のお話もよかった。

    この1冊だけでも、十分楽しめるが、
    まだまだ謎の部分もあり、続きが楽しみな作品。

  • ストーリーライン、展開だけをなぞればゆるゆるファンタジーで面白い。しかし翻訳家のせいだろうか、おそらく読む人を選ぶだろう。

    最後まで読んでみると、ルーシーがただの小さな夢見がちな女の子、そしてリズが芸術家であるだけのルーシーに調子を合わせてやっている優しい母親に見える。リズの語りかけは基本的には自分の内側を見つめなおさせることが目的で、本当に龍と語らせたいわけではなく、そしてこの物語の主軸は作家としての才能を開花させてゆくデービットの成長…のようにも見える。
    しかし、多分リズやルーシーの語る龍は真実なんだろう。



    せめて、1巻の範疇でファンタジーなのか文学小説なのかはっきりさせてほしかった。1巻まるごと序章とか酷い。

    この物語が真の意味で龍が生きる物語なのか、ただの空想、インスピレーションの物語なのか解らないがためにほんとうにいらいらさせられる。
    デービットが作家の才能を秘めた少年であることを理解しなければ、大学生らしからぬ行動が腹立たしい。秘密を隠して、しかし完全には隠し切らずにひらひらひけらかすような人々にも見えるリズとルーシー。もしそうであるとしたら私が最も嫌うキャラクターだ。突然出てきたソフィーは次に繋げるため?
    正直言って、いろいろはっきりしないしあんまり好きな話じゃなさそうだ。
    2,3巻と進めばいいのかもしれないけれど。あまりにも全てがあいまいなままに終わるので、すっきりしなくて気持ち悪い。…のに続きを早く読みたい!とは思えない。
    最後まで読むのが苦痛だった。

    たぶん、主人公たちの性格が性にに合わないんだろうなと思った。はっきりしないのは嫌いだ。

  • 主人公の言動が唐突なところがいくつかあり、性格がつかみにくいという面はあったが、『特別な龍』の存在はおもしろいと思った。

  • 道尾さんおすすめ。

    印象画のような小説。
    人間の成長・老いを、象徴的なエピソードと会話によって僅か156ページの紙面に描き出していた。
    この本を読んだ数時間で、自分ではない人生を確かに生きた。

  • 小さな小さな陶器の龍が家のあちこちにおかれていて、そんな家に下宿することになった青年が主人公
    この本の色味のようにとても暖かでほっくりするようなおはなしです

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著者プロフィール

1954年地中海のマルタ島に生まれ、後にイギリスへ移り、中部の都市レスター、北西部の都市ボルトンで育つ。ヨーク大学で生物学を学んだ後、レスター大学前臨床科学部で働く。十代からシンガーソングライターを目指すが、39歳のときに児童文学の公募のために書いた子どもの物語が出版社に認められ、1994年“AHoleatthePole“(未訳)でデビュー。現在までに約30冊の子どもの本を出版している。邦訳作品に「龍のすむ家」シリーズ(竹書房)がある。

「2021年 『飛べないハトを見つけた日から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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