グッバイ、レーニン! (竹書房文庫 DR 101)

  • 竹書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784812414637

作品紹介・あらすじ

ベルリンの壁崩壊前の東ドイツ。テレビ修理店に勤めるアレックスは、なにげなく反社会主義デモに参加。それを見た母はショックで心臓発作を起こし、そのまま昏睡状態に!実は彼の父は、10年前に家族を捨てて西側に亡命し、母のクリスティアーネはその反動で必要以上に社会主義に執着するようになっていたのだ。彼女は八ヶ月もの長い眠りから奇跡的に目覚めたが、その間にベルリンの壁は崩壊し、東ドイツの社会主義体制は消え去っていた。「今度ショックを与えたら、命取りになる。」医者の言葉に、アレックスは真実を告げずに母を自宅に連れて帰ると、東ドイツの体制がずっと続いているフリを装う事を決意。無謀とも思える奮闘を開始するのだが…。母と息子、そして家族の絆を描いた感動作。

感想・レビュー・書評

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  • 前に映画を観ました。話の展開もいいし、面白くてほろりとして深く考えさせられて感動する、娯楽ものとしても教養ものとしてもいい作品だと気に入っていたので、脚本小説を読んでみました。

    映画の脚本を起こしたものなので、細部にわたって映画に沿った描写がされており、その場その場の情景が思い出されて懐かしくなります。
    ドイツ統合により、資本主義化されゆく東ドイツの様子が、映画だと視覚化されていましたが、文章で読むと、映像でピンとこなかったところまで細かく説明されており、改めて、国民達の生活ががらりと変わったことを知りました。

    映画では、撤去されゆくレーニン像と向き合うシーンが印象的でしたが、小説でもやはりそこが一番迫力がありました。
    ひとたび便利さを知ってしまうと、それまでのシンプルな暮らしを忘れてしまうのが人の常ですが、東ドイツ時代の生活習慣を逐一書き連ねているのも、もと東ドイツ人にとってはたまらなくノスタルジーがかき立てられるものでしょう。
    東ドイツ人にとってこの映画は、素敵な、そして貴重な記念作品となっていることと思います。

    軽快な語りで、明るく進んでいく話ですが、根底を流れる親子の情愛の深さに切なくなりました。
    登場人物は、それなりにみんな変わってはいますが、誰もが優しく理解があるため、読んでいて爽やかな気持ちになります。

    今ではもうすっかりまとまって、世界の大国として息を吹き返しているドイツですが、この作品を読むと、いま一度、統合した新生ドイツに幸あれ、と願わずにはいられません。

    ちなみに、引用文に書いたのは、ベルリンの壁に関する記述ですが、私もまさにこの時期、ベルリンに行って、壁を記念に買いました。
    子供に大人気の「ザントマン」、チェックしてみたいです。

    映画感想→http://lily-art.seesaa.net/article/7477334.html

  • 子供の頃宇宙飛行士を夢見ていた主人公アレックスは、父親の亡命や母親の入院と社会主義への傾倒を見て育ち、何となく無気力な青年に成長する。彼の住む東ドイツは過渡期にあり、無気力ながらも参加した東ドイツ解放を求めるデモで女の子と出会う。だがそのデモで警官隊と衝突した現場を母親に見られてしまい、母は心臓発作を起こして倒れる。アレックスが警察から帰された時、母は予断を許さない状況に陥っていた。アレックスの献身的な看病と、デモの時見かけたのを切っ掛けに仲良くなった看護学生のララのおかげで、母は八ヵ月後に意識を回復する。だが主治医は、次に発作を起こしたら保証できないといい、なるべくショックを与えないようにと念を押す。しかし母が眠っている間、東ドイツは消滅し、ベルリンの壁は崩れ、街では資本主義が台頭し始めていた。真実を知ったら今度こそ危ないと、アレックスは母の為に東ドイツが存続している芝居を始めた。

    母を想う息子と、東ドイツ=過去に対してそれぞれの気持ちを抱く人たちの、何だかおかしい、でもちょっとホロリとする物語。ベルリンの壁崩壊直前という時期だから成り立つし感動も出来る話であって、日本でこれに似たようなことやったら即マザコンのレッテルを貼られることだろう。アレックスがマザコン気味でないとは言わないが、自立心もあるし他人を思い遣ることも出来るし、何よりラストに向かってちゃんと成長しているので、悲しい出来事の後にもちょっと気持ちが和む。友達のデニスがいい奴過ぎてその辺も感動する。タイトルも物凄くいい。映画も観てみたい。

  • 家族愛。母のためにあそこまで必死になれる主人公ステキ。

  • 政治とママの生き方。

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