パイの物語

制作 : Yann Martel  唐沢 則幸 
  • 竹書房
3.80
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本棚登録 : 240
レビュー : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (479ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784812415337

作品紹介・あらすじ

1977年7月2日。インドのマドラスからカナダのモントリオールへと出航した日本の貨物船ツシマ丸は太平洋上で嵐に巻き込まれ、あえなく沈没した。たった一艘しかない救命ボートに乗り助かったのは、動物たちを連れカナダへ移住する途中だったインドの動物園経営者の息子パイ・パテル16歳。ほかには後脚を骨折したシマウマ、オランウータン、ハイエナ、そしてこの世で最も美しく危険な獣-ベンガルトラのリチャード・パーカーが一緒だった。広大な海洋にぽつりと浮かぶ命の舟。残されたのはわずかな非常食と水。こうして1人と4頭の凄絶なサバイバル漂流が始まった…。2002年度ブッカー賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • レビューを拝見するに、少なくない方が本書が映画化されるにあたり読んでみた、というのがきっかけのようである。
    かくいう私も、予告編をみて興味を覚えて手にしたというクチだ。

    すでに多くの方がご存じであるように、遭難して太平洋をトラと200日以上にわたって漂流した少年の物語である、のだが。

    漂流の冒険譚一辺倒かと思いきや、必ずしもそうでもないような…。確かにそういう場面は半分以上、命がけの長い漂流の描写は見事で引き込まれたのだけれど、トータルで言ったらそれはあくまで一場面でしかなかったという感じさえする。
    なんというか、ほのぼのと見える本の表紙とタイトル、映画の予告から思い描いていたものとは違うものを読んだ、というのが率直な思いだ。
    そこから連想されるのとは別の、一歩深い物語が隠されているというべきか。非常に寓話的というべきか。

    想像以上にショッキングな描写も多く、少なくとも子供向けではない。
    物語に隠された裏を読もうともしてみたが、どうにもうまくいかない。
    ポーの小説や実在のミニョネット号事件との関連付けも試みたが、しっくりいくようないかないような。

    原作を読んでから映画を観るということはめったにしないのだが、ひょっとして映画を観たほうが何かが掴めるのかもしれないと思ったり。
    冗長で退屈だった第一章を、結末を知ったうえで読んだらまた違うのかなと思ったり。

    読み終えても、読了のカタルシスが得られないというか、モヤモヤが残るというか、何とも言えない後味の悪さが残る。
    何回か読み直したら、何か見えてくるのかなあ…。
    ただ単に、少年の漂流の冒険譚としてだけ楽しめばいいのかもしれないけれど。

    ところで、著者は日本に何か特別な思い(よくない意味で)でもあるのだろうか…?

  • 映画「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」の原作。
    作家が、漂流した本人から話を聞くという展開で進むこの話、ノンフィクションかと勘違いしそうになる。非常に説明的文章が多く、読み進めるのに時間がかかる。作者が外国人で、内容になじみがないところがあったり、訳してあるせいもあるか。後半の漂流部分は読み進めにくいところはあるものの、面白い。映像ならわかりやすいと思うので、映画はきっと面白いだろうな。

    前半は、漂流する主人公パイの事故に逢うまでの生活がつづられる。動物園経営をする家で育ち、様々な動物を観察・理解する少年。小さいながらのこの観察力はきっと他の少年より勝っているに違いない。そしてここに記述される動物の様子はきっと本当なんだろう。動物好きには面白いと思う。
    そして、宗教にも興味をもつ。ヒンズー教だけではなく、キリスト教、イスラム教。3つもの宗教を。ただ神を愛したいという彼。ひとつひとつの宗教に興味を持っていく過程、ここのくだりは、宗教になじみが薄い私にはきつい。だいぶ流して読んだ。

    後半は、漂流編。なんと、漂流の原因は日本の船「ツシマ丸」の沈没(あくまでも、フィクション)。日本がこのように、ところどころ、そんなに良い書き方をされず出て来る。少し話を身近に感じると同時に、少し不快。
    それはさておき、16歳にしての一人とトラの漂流の内容、その行動はすごいし面白い。動物・魚類の知識があり、哲学的な、宗教的な考えもめぐらせながら漂流する主人公。救命ボートにあった、非常食や釣り道具などを駆使して、トラより「優位」に立つという考えに至り行動し、227日の間生き続け、助かるのだ。

    もっと小説は楽に読みたい・・・という気はする。説明的文章をいちいち理解するために読み直すのも少し面倒。その内容を知っていればいい話ではあるが・・・。話が前後するのも気になる。作家が本人から聞いているシーンがところどころ出てくるだけならまだしも、1日1日話が進み、世界観に入り込んでいるところに、少し未来の話や結果が急に出てきて混乱し、読書している自分に引き戻される。まあでも★3で!

  • この小説の映画が公開されるということで、新聞で紹介されたことたきっかけで手に取りました。

    第一部は、多少冗長に感じながらも、何とか読み切り、第二部へ。

    ここに入ると一転、頁をめくるのがもどかしいほど、先が気になり、一気に読みました。

    夜が更けるのを気にしつつ、そのまま第三部へ。
    パイの語るもう一つの後味の悪い物語に唖然としつつ、早足になってしまったこともあり、正直たいした感動も覚えず、読み終えました。

    ラストに何となく釈然としないものを感じ、多くの方が書かれている感想などを読みふけって、ようやくこれは奥の深い物語だと認識しました。
    色々解釈することができ、読後に余韻を与えてくれる意味では、この物語はすごい傑作だと思います。

    生きるということの根源を教えてくれるということで、人生で一度は読んでおきたい物語の一つであるといっても過言ではないでしょう。

    しかしながら、それでも手元に置いて、何度も読みたいとまでは思わないのは、血なまぐさい描写が多くて、心地よさとか幸せな気分を味わうことはできなかったから。

    映画も、なかなかの映像美のようですが、小説で出てくるような描写もあるのだろうと思うと、血が苦手は私としては観に行くのは躊躇してしまいます…。

  • 「情報考学」書評から
    これは面白そうだ。

    ということで、やっぱり面白かった。
    <a href="http://mediamarker.net/u/iketani2412/?asin=4043892020" target="_blank">『雷の季節の終わりに』</a>を知ったのも橋本大也さんのブログだった。
    こんな面白い本が紹介されているかと思うと、「情報考学」のアーカイブを掘り返してしまう。

    <blockquote>・ 「父なるガンジーは、『すべての宗教は正しい』っていってるよ。ぼくはただ、神様を愛したいだけなんだ」
    ・ 彼の言った言葉で、わたしが驚いたのはなんだっただろう? そう、「乾ききって酵母の欠如した事実、そして「よりよい物語」だ。</blockquote>

  • 3つの宗教を熱心に勉強したのはその後どうなったんだろう?

    2つの物語はどちらもなかなか苦しい
    動物が住めない島はどこだろう?

  • ブッククラブ

  • ラストめっちゃ衝撃的なんですけど、、
    前半の、パイの信仰に関する部分は後々とても大事になってくるので
    ぜひ読み飛ばさないでいただきたいと思います。

  • 映画を観たので今更原作を。
    レンタルも始まったので観直したい。
    シャマラン版も観たいな~。

  • 映画は映像の素晴らしさに感激して肝心の作者が言いたいこと、大事なことを見逃していたようだ。

    生きるていくこととは。信じることとは。

    アナザーストーリーはかなり残酷なシーンだった。

    最後に作者が事実を明らかにせず、読者にゆだねたところがブッカー賞を取得するに値する見事な終わり方なのかな。

  • うわ〜、結構読みづらかったなあ。特に前半。
    珍しく原作より映画の方がいいと思った一作。

    パイのキャラ、構成、描写かな。

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