世界でたったひとりの子

  • 竹書房
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感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784812425022

感想・レビュー・書評

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  • なんとも気持ちが悪い話しでした。

    ハッピーエンドになるにしても、どうにも堪え難い。

    子どもを喰いものにする話しは物語でもいやです。

  • 初シアラー
    世評の高い作品ですが、ひょっとしたらシアラーさんとは相性が悪いのかもしれません。悪くは無いのだけど、ダラダラと無駄に長い感じがします。
    近未来。不老処置ができるようになり、代わりに子供がほとんど生れなくなった世界を背景にした作品です。
    本物の男の子であるタリンと、タリンを賭けの賞品として入手した保護者のディート。二人はモーテルを渡り歩きながら、金持ちにタリンを時間貸しして暮らしています。おそらく著者はそんな世界の中で葛藤する少年を描こうとしたのでしょうが、どうしても「世界」そのものの方に目が向いてしまうのです。もう少し、この世界を多面的に~例えば長寿の末に死に向かう人の回想、若くして不老処置に向かう人の思い、処置しなかった人の思いなど~描けば、もっと面白くなった様に思うのです。

  • アレックス・シアラーこういうのも書くのね。子供たちが不憫でならない。物語は淡々と進んでいくが、所々哀しみを帯びていた気がする。後味はあまりいいものではないが、胸に迫る何かがあった。

  • 歳をとらない薬、永遠に子供でいられる技術がある、子どもがほとんどいない世界のお話。主人公タリンは“保護者”によって、子どものいない家庭に子どもとしてレンタルされる商売で、あちこちのモーテルを転々とする生活を送りながら、自分の本当の家族を探し求める。永遠に子どもの50歳を過ぎた踊り子などを見て自分は大人になりたいと思うタリン。不老不死って幸せじゃないよね。自然の摂理には逆らっちゃダメだよね。シアラー作品はどれもメッセージ性に富んでいてとても面白い。2012/412

  • アレックス・シアラーだ、金原さんだ、と思って買ってしまったけど・・・うーんこれはダメだ。

  • チョコレート・アンダーグラウンドを読んでから、これを読んだ。
    チョコレート・アンダーグラウンドとはテイストが全く違う話。同じ作家でここまで雰囲気やテーマが違う話を書けるのか、と驚いた。

    以外ネタバレ含みます。↓

    ・ディートが印象に残っている。利己的な人間。言葉では自分の行動を正当化するのがうまいけど、主人公を思って行動していたことなどない。
    彼は結局自分のために、主人公の意志を無視してPPを受けさせようとする。
    言葉尻だけあなたのためと言いながら、実際は自分の利益になることしか考えずに行動している人って結構多そうだな。と思った。
    主人公は聡明かつ幸運だったのでディートによるPP治療を間一髪くぐり抜けたけど、もし主人公が聡明でなかったとしたら? あるいは、聡明だったが不運にもPPを受けさせられたら?
    絶望したのだろうか??諦めて受け入れたのだろうか??
    ・主人公がディートに親しみを感じるけど、絆は感じないと言っていて「いつも一緒にいるけど仲良しではないorどうでもいい関係の人」っていうものを改めて認識した。
    ◎子供のまま成長せずに生きることは幸せなのだろうか? と、考えさせられた。成長せずに子供のままで居た方が楽だし、大人になるなんて嫌だ!という考えが、成長することが確約されているからこそ出る考えであることを自覚した。

  • アレックス・シアラーの作品を読むのは3回目。
    最初に読んだのは中学校2年生の国語の教科書に載っている短編で、あまりよい感想は持たなかった。

    現代の医学や科学がこのままずっと発達していったら・・・・という、ちょっとだけ未来の物語。
    状況設定を理解するにつれ、星新一のブラックユーモアと同じ不安に襲われた。

    「チョコレート・アンダーグラウンド」にしても本作品にしても、著者の場面設定はいつも、非日常的でありながら、「いつかはそうなるかもしれない。」「いつ、現実として起こるかわからない」という、現代を生きる人間たちの意識の甘さを思い起こさせる。

    対象年齢は小学校高学年から大人まで。
    むしろ、大人こそ考えなければならないテーマだ。

  • 近未来。
    医療が進み、老化を防ぐ薬のおかげで人は200歳まで生きられるようになった。でも、その代わりに、極端に下がった出生率。
    タリンは貴重な本物の男の子だった。
    本当の両親を知らず、相棒のディートに連れられてレンタルチャイルドの仕事をする日々。
    唯一の希望は、夢か現実か分からなくなってしまった、赤ん坊の頃のかすかな記憶のみ…
    そんなある日、タリンはディートから、永遠に子供のままでいるための違法治療を勧められる。

    ぞっとする。医療が進み高齢化が進み出生率が下がっている現実。
    このお話の世界が、フィクションだなんて安心できない。
    タリンに迫る恐怖にも同情するが、物語の世界設定に一番ぞっとした。

  • 少し未来の世界。医療だけが進歩して、年も取らず病気にもならない薬が開発されたが、その代わりのように子供の出生率が極端に減少していった。タリンは数少ない『ほんものの子ども』。自称相棒のディートとともに、子どものいない家庭で『うちの子』を演じる仕事をしながら、町を渡りあるいていた。未来への希望を失った大人たちと、希望を捨てない子どもの切なくも勇気あふれるストーリー。
    iPS細胞によってにわかに活気付いてきた医療の世界ですが、永遠のテーマである不老不死がだんだん身近になって、フィクションがノンフィクションになる日も近いのでしょうか。

  • タリンは、この世界では珍しい男の子。
    家庭を訪問し、ひとときの息子を演じる仕事を与えられていた。
    「ママ」と呼び、遊びまわり、いっぱい食べる、理想の子を。
    けれども、ほんとのママは、パパは、どこにいるんだろう?

    科学によって、人間は美貌と長寿を手に入れた。
    その代価として、新しい命が生まれにくくなったという設定。
    いつか実現しそうで恐ろしい。

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著者プロフィール

英国スコットランド北部のウィックに生まれ、現在はサマセット州に住んでいる。テレビやラジオ、映画、舞台のシナリオライターとして活躍したあと、数多くのヤングアダルト小説を執筆、ガーディアン賞にノミネートされた『スノードーム』(求龍堂)などを生みだした。映画やテレビシリーズになった作品もあり、日本では『チョコレート・アンダーグラウンド』(求龍堂)を原作としたコミックやアニメ映画が制作された。他に、『青空のむこう』、『13ヵ月と13週と13日と満月の夜』『This is the Life』(いずれも求龍堂)、『スキ・スキ・スキ!』(あかね書房)、『世界でたったひとりの子』『あの雲を追いかけて』『骨董通りの幽霊省』(いずれも竹書房)などがある。

「2017年 『ガラスの封筒と海と』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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