はじめてのひと (SHYノベルス)

著者 :
  • 大洋図書
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784813012221

感想・レビュー・書評

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  • ラブよりも家族愛にやられた・・・。
    定時制高校に通いながら、仕事と祖父の看病に明け暮れる、健気を絵にかいたような真巳。
    子供の頃受けていた実父とママ母からの精神的虐待。
    その後両親が交通事故死したことで、経済的基盤まで失ってしまった。
    父親の会社の倒産のあおりを受け、土地家屋など財産のほとんどを手放すことになった真巳に残されたのは、唯一の肉親の祖父だけ。
    こんな生い立ちのせいで、なんでも我慢してしまう真巳が心をさらけ出せるのが、隠れ家みたいな喫茶店マスターの江島。
    祖父への深い愛情。江島への初めての恋。
    作品を通して、真巳の心情がきちんと描かれている。
    特に、余命いくばくもない祖父との心温まるやりとりが秀逸。
    誰よりも大切な人間をたったひとりでこの世に残していかなければならない祖父の気持ち。
    大好きな祖父との時間が指先からこぼれ落ちていくのをなすすべもなく見守る真巳の気持ち。
    残していく側と残される側の心理が切々と描かれていて、本当に涙がでる。恋愛面よりこっちの方が心に残った。

    江島を心の拠り所にしていた真巳だけれど、江島の家族が実は両親を失った事故の加害者だとわかる。
    江島に何の罪もないことはわかっているけれど、わりきれない過去への想い。
    加えて、自分自身の存在が、江島につらい過去を思い出させるのではないかと思い悩む。
    そして、ふたりの関係を知った祖父に反対され、お互いの過去へのこだわりもあって一旦は別れよう、もう二度と会わないという選択をする。
    けれど、やっぱり諦めることはできない。この腕を離したくない。
    はじめて好きになった人だから。
    それが例え、祖父の最後の頼みだったとしても・・・っていう気持ちの流れはすごく納得できて、共感できた。

    一方、大人でやさしくていつでも自分を見守ってくれる。でも時に強引でかまいたがりでスキンシップ過多な年上攻の理想みたいな江島だけど、彼の気持ちの変化が結構見えづらかった。
    祖父と旧知の中で真巳を陰日向で支えてくれる弁護士駒沢もいい味出してたな。
    この人は肝心なところで押しが足りなくて、やさしい過ぎて割を食うタイプです。
    二段組で長いけど、結構すんなり読めました。

  • ストーリーは面白かった。
    でも、追い込まれると抱かれて決着を付けようとする主人公が今ひとつ理解できず。
    読み終わったときに、健気なのかビッチなのかキャラが中途半端な感じがした。

  • 駒沢の真巳への告白にびっくりしたのは私だけ?そんな素振りあった?私が気付かなかっただけかもしれないけど、唐突に感じて思わず笑ってしまった(^^;)

  • BL部分以外の主人公の生い立ちとか心理描写がしっかり描かれていて、かなりがっつり読めるお話です。
    真巳のとても大事に思っているおじいさんの想いや言葉と、自分の気持ちに揺れ動く様がとても丁寧に描かれていて、読んでいて苦しくなります。
    おじいさんの想いもとてもよく分かるのですが、それでも真巳に遺した言葉は残酷だなあと思います。

    自分のことをそっちのけだった真巳が、おじいさんの想いに背いてでも手放したくないと思った恋。一途な想いに思わずうるっとしてしまいます。

  • う~~ん、椎崎先生のネガ受け大好物なのに、イマイチ感情移入できなかったなぁ…主人公がビッチだったからかな…(笑)それとも江島さんより駒沢弁護士を愛してしまった時から歯車が狂いだしたのかしら…(私が)

  • 定番の健気受けを不幸が襲う。
    今回本人は自分の境遇を不幸だと思っていないけどかなりの不運です。
    父の再婚による疎外、家族全員の死、残った多額の負債、病の祖父と、てんこもり。

  • 好きな方の椎崎さんだった。
    BLとしてはありきたりな設定ではあるけれど、
    人に頼れないで無理しちゃう子が大好きなんで大当たりw
    椎崎作品に、よく出てくる気持ち悪いストーカーキャラも出てこないし
    爺ちゃんも良かった。最後は何もかもハッピーエンドより説得力のある終わり方だったかなーと思います。

  • あらすじ・・・・家族を交通事故で失った川村真巳は、入院中の祖父と一緒に毎日をつましやかに暮らしていた。コーヒー好きの祖父のため、持ち帰りができる店を探していた真巳は、隠れ家のような喫茶店『翠雨』を知る。誰にも頼ることを知らず、甘えようとしない真巳を、店の主人である江島は優しく見守っていた。そんな江島にどうしようもなく惹かれていく真巳だが、江島の存在を知った祖父から、彼とはもう会わないでほしいと言われてしまう、彼は赦せない相手だから、と。混乱し、納得できずにいた真巳だが、そんなとき、男にキスしている江島を見てしまい!?
    感想・・・文章がしつこい。つまらなくて途中挫折・・・。飛ばし読みで十分。

  • 開いてみて二段組でビックリしました。
    オンタイムでもそうじゃなくても沢山の人の死が出てきました。
    大切の家族の死、そして故人の想い。
    そしてそれに対する遺された人々の想い。そして未来。
    難しいなと思わせる内容でした。
    これを表現する為にはやっぱり二段組は必要だったんじゃないかと思います。

    評判通り、泣ける良い作品でした。

  • 「ひとでなし」とあわせて、全サ目当ての購入でしたが、読み始めたらイッキ読みしてしまった。

    主人公の真巳がほんと不幸続きの人生で、不憫。絵に描いたように不幸です。しかし、まわりのサポートがものすごい。暖かい。
    どうしてそうなのかって言うのが話の根幹にかかわっている重要なところ。だから、そこのところ知りたくて、読み進んでしまう感じでした。

    おじいちゃんの気持ちは痛いほどわかるし、登場人物中、一番同情しました。事故により何もかも失って、無念だったはず。優しい孫、真巳の幸せを誰よりも願っていた人物ですね。生い立ちのせいで自分の気持ちを押し殺してしまう真巳に、とても心を痛めただろうな、と思うし。

    ストーリーは、真巳の心情を細かく描写するあまり、ちょっとぐるぐるしすぎだったような。それに、元カレの規一や、駒沢のカラミが中途半端では…?もっと、もっと絡んでもらってもよかったかな。もっと、イヤな奴でもよかったと思うくらい、いい人たちでした。

    ベッドシーンは淡白ですが、それはこのストーリーの流れで妥当です。ま、「ひとでなし」と比べたら、当たり前なんですが。

    コーヒーが、とてもいい感じの小道具でした。

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