AKB商法とは何だったのか

著者 :
  • 大洋図書
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レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784813022190

作品紹介・あらすじ

現代日本は「アイドルの時代」だ!総選挙後の未来を読み解く!

感想・レビュー・書評

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  • まずひとこと。この内容で1,000円は安い! アイドルファン的な視点で言えば、握手会1回参加分のお値段の中身とは思えません。それくらい充実している内容です。

    アイドル界でトップを走るAKB48が批判される論点の周囲に絡まる糸をほぐしてくれるような感覚を覚えました。オリコンチャートを用いていかに現在の音楽チャートが音楽シーンを表すことの無意味さを教えてくれる前半部分に関しては、特に非AKBファンの人にとってそう感じさせてくれるのではないでしょうか。

    アイドルファンの自分にとっては、後半部分が目からウロコというか、自分が持っている感覚が腑に落ちる論述でした。アイドルが演じる、あるいはアイドルをとりまくものは、重要ではあるけれども本質ではない…的な記述は、アイドルファンが「このアイドルの○○が好きなんだよ」という感覚を的確に表現しているように思います。

    「なぜ今こんなにアイドルばっかりなのだろう?」とアイドル文化の外側から疑問に思う人、文化の内側にいてもうまく説明がつかない人、両者にとって非常に有意義な1冊です。

    もっと世間の目に触れてほしいなぁ、この本!

  • 大変な名著、激ヤバ鬼マスト。
    ブログサイドバー「私の人生を変えた一冊」へ追加です。

    最大限客観的にひいて書かれており、それでいて熱意120%に書かれている。リスナーとしてはAKB48の見方が180°変わり、クリエイターとしては販売戦略への考え方が180°変わる影響力の強い本。

    音楽家DJ TECHNORCHはこれを読んでついに「販売戦略の争いごとはもう争いのプロに任そう、自分は純粋に音楽的進歩だけを目指そう」と心に決めることになった人生を変える一冊。

    AKB48がこれだけ大量の歴史的事実を踏まえた上での戦略的そして政治的に周到な販売戦略でこうしてミリオンセラーという事実を残しているのなら、こういう争いはもう音楽ジャンル「ポップチャート」というジャンルの話であり、もはや私達一般のミュージシャンには関係ない世界なのではないかと思えました。

    徹底して書かれているのがAKB48は、現代の実態なき、それでいて「権威だけはある」オリコンチャートを徹底的に利用し、「チャートがこういう仕組みになっているのなら違反にならない範囲でここまで徹底的にやってしまおう」という「ガチ」で運営されているということ。

    それは100%「既に実態のなくなっているポップチャートの権威をそれでも信望する愚かなる群衆」に対する120%の企業努力とさえ言えるでしょう。AKB商法に対する批判のほとんどはこの「実態のないチャートの権威だけを信頼する我々愚衆」側に起因していると言える。もはやポップチャートに「純粋に優れた音楽」を期待すること自体が愚かなのだ。

    実態がなくなったポップチャートと共に指摘されている重要な事実として、島の分化が発達し過ぎた音楽という畑は、個々の畑で細分化が進みすぎ「チャートに登らない音楽業界」が増えすぎているということ。

    細分化しているから大した枚数ではないのかというと、事実、私の畑に限って言っても、ある程度以上活動を継続している同人音楽家は、同人音楽業界という畑には1・2万枚売りあげているサークルがザラにいるという事実を知っている。

    これはポップチャートを「信望」するものには大した数字ではないが、「実態」を知るものには驚異的な数字である。そしてこのチャートに上がらない音楽というのは統計がなく、むしろ個人が運営しているため、妬み・僻みをさける上で販売枚数を隠す傾向が強い。この販売枚数を隠す傾向が強い同人傾向のサークルが、一度初音ミク等でヒットしてメジャー体質になると「インディーズ時代に5000枚を手売りした**P」という逆転のアピールに切り替わってしまうが、その手売り枚数を実証する統計は全くなく、全ては「信頼」であり、逆に言えば「詐称」し放題であるということ。(ニコニコ動画は動画ランキングというオリコンチャート(それは一時期のケータイ小説ランキングのような意味合いの)を持っているのでどうしてもメジャー体質になりがち)。時は20**年、世界は暴力が支配する世界となっていた。

    また、AKB48に話を戻すとドキュメンタリーDVDを見た時に感じた異常なまでの「ガチ」への執着の理由が、アイドル史の総括と共に非常に説得力のある論で回答されており実に大満足。本書はどのアイドルムックよりも客観的なアイドル史として優秀である。

    ■『ネットを中心に、AKBはCDの売り上げをファンの複数買いによって維持しているから、ヒットはまやかしなのだという説、つまりすべては「AKB商法」なのだという説はあった。だが、正確に言えばAKBは初動の勢いを一般リスナーへ飛び火させる仕組みを作ったのだ。この仕組みを使って、AKBは売上を爆発的に伸ばすことを成功させていく。』

    AKB商法は何よりも「一般層を掴むためのカタパルト」だという発想。

    ■『繰り返すが、右に挙げた二つのイベントによって通常盤CDの売り上げは伸びる。だが実はそれ以外のメリットもある。どんな楽曲やメンバーがファンから支持されているかを、毎年定期的にリサーチできるのだ。特にシングル選抜総選挙のほうは計り知れない効果がある。一つにはメンバー同士でランキング上位を目指すよう切羽琢磨されて、より質の高いグループを目指すことが出来るだろう。また大所帯のAKBにあって、運営側が気づかないうちに人気を拡大しているメンバーがいても、シングル選抜総選挙によって見つけ出すことが出来るのだ。』

    ■『実際にヒットしてわかったのは、AKBのロケットスタートを支えているのが「AKB商法」だろうと、それが熱心なファンの負担になっていようと、一般のリスナーにとってはそこまで大きな問題ではないということだった。』

    ■『こうしたAKBのやり方について見られる批判は、曰く「彼女達はもはやCDを売っていないのではないか」というものになる。要するに曲の良さではなく、握手会や投票などのイベントこそがAKBを楽しむ要素としてメインになっていしまっているのではないか、というのである。(略)そもそもAKBがCDを売っているかのは便宜的なことだった。(略)にもかかわらず、彼女たちは音楽業界の中で十分なポジションを獲得できなかった。それはひとえにCDを売っていなかったからだ。日本の音楽業界では音楽チャートでの順位が重要な価値を持ち、そこでの順位が高い者を人はメジャーなミュージシャンとして認め、またメディアも取り上げる価値を感じるようになっている。つまりAKBがどれだけ劇場で人気があっても、チャートに上がってこないようでは黙殺されてしまう。(略)当然だがそうした動き(※ニコニコ動画・初音ミク・同人音楽・ライブアイドル)は、あくまでもCDの売り上げを調査した音楽チャートでは表面化していない。チャートだけを見ていると「今の10代はあまり音楽を聴かなくなった」とすら感じられるが、実際にはむしろ今の若者は音楽を自分たちのコミュニケーションの手段として手軽に楽しむようになっている。(略)音楽チャートに登場しないからといって、フェスで喜ばれないミュージシャンというわけではない。ということは逆に言えば、音楽チャートを見ていてもフェスのような音楽業界の動向はさほど正しく捉えられないのではないか。(略)いま、日本の音楽シーンのあらゆるところで、そういうことが起きているのだ。』

    ■『しかし見方を変えると2000年以降の日本のポピュラー音楽は、CDやその売り上げを測る音楽チャートとは違う場所、つまりフェスやライブ会場、そしてネットコミュニティ上へその舞台を移しつつあるわけだ。そして結果として今の音楽チャートは、音楽の流行を測るための手段としては必ずしも適切なものではなくなっている。ところが多くの人々はCDの売り上げだけが音楽の流行を反映するという考え方を、従事と全く変わらないスタンスで信頼し続けている。物事のある側面しか語れなくなっているにもかかわらず、それが唯一絶対であるかのような権威として残されてしまっているのだ。(略)CDが売れたということは多くの人が支持した結果だから、すなわち音楽的に評価できるものだと言い換えても良いはずだ、と。しかし一方で「最近の流行曲は昔に比べて歌詞に深みがなくなった」とか「アレンジが派手なだけで音楽性が貧しい」みたいなことを言う人もいる。どちらが正しいのだろうか。そもそも「良い音楽」と「売れる音楽」の間には密接な関係があるといっていいのだろうか?』

    ■『菊地(※菊地成孔)の言い方になぞらえて言えば、かつてとは「逆になる」時代なのだ。今や音楽は政治に撃たれた。まずはその因果応報を課題として受け止めなければ、むしろ「音楽がAKBを軽視している」と言われてもおかしくはない。そこで「本来は『音楽それ自体』に価値があるのだ」と主張しても、なかなか同意は得られないだろう。今の音楽業界は曲と歌、つまり芸術の素朴な価値を語りながらも実際には単にCDの売り上げを史上としている。そして、その尺度では捉えきれないものが既に音楽シーンには台頭しつつ、黙殺されている。AKBはその実情に即した戦略を採らなければ自分たちの活動が広く認められることはないのだと自覚した。だから彼女達はCDを売らんがために「AKB商法」へ乗り出したのだ。それは今の音楽業界に対する、アイドルから提示された率直な回答として見ることができるし、現状に正確に対応したやり方だからこそ、うまくいったに違いない。』

    ■『AKBがメンバーの努力をCD販売に直結させる運営システムを築いたのは、今日の音楽産業の構造に対応させた結果だった。たとえば徹底的に音楽の実力だけで勝負が決まる世界であれば、AKBの運営方針は今と全く異なるものであったに違いない。だからAKBがアコギだというのであれば、それは日本の音楽産業が潜在的に持っているアコギさを、彼女達がその活動自体で雄弁に暴いてしまったことに鼻白むという意味に他ならないはずだ。』

    ■『しかしおニャン子クラブ全体としてはお気楽なクラブ活動のような雰囲気になっており、向上心をもってお互いに切羽琢磨していこうというような意識が全体に共有されているわけではない。そこでAKBと全く違っていると言える。AKBのパフォーマンスが高度かどうかは、やはり本書では考えない。しかし、少なくとも言えるのは、AKBのメンバーは競い合いながらよりよいパフォーマンスを目指しているということだ。おニャン子クラブに、こういう汗臭い努力を尊ぶ態度はない。』

    ■『この頃(80年代後半90年代前半)、簡単に言えば人々は音楽に「本格」を求めるようになっていた。それには二つの意味がある。一つは、大衆向けにこなれた歌謡曲ではなく、もっと洋楽に近い音楽という意味。もう1つはレコード会社が作りこんだいかにも芸能界的な存在ではなく、もっと「リアル」なサクセスストーリーを持つミュージシャン。(略)90年代に入ってからこのリアル志向の傾向は加速し、キャラクターを演じる存在であったり「能力がない」とされていたアイドルは、批判の対象になった。あるいは演歌が衰退したのも同じ理由なのかもしれない。とにかく作詞作曲を自ら行わず、楽器を弾くわけでもない歌手は、総じて音楽チャートの中でどんどん居場所を失っていたのだ。』

    ■『1992年のチャートに注目したい。実はこのチャートは一見しただけだと、アイドルが消えたこと以外、従来とメンバーが様変わりしたようには見えない。』

    ■『後者(※SPEED)は小中学生からなる4人組で、幼いにもかかわらず質の高いパフォーマンスを見せることからテレビなどで注目された。安室奈美恵もそうだが、ダンスミュージックやブラックミュージックの要素が楽曲だけでなく衣装、アートワークなどにまで完売され、それでいて洋楽のように敷居が高いわけではない。こうしたプロデュースの手法が90年代の後半に向かって栄えていた。』

    ■『「よい子の歌謡曲」は才能や努力があるからそのアイドルを評価しているとは言わない。あくまでも表層だけを評価すると言ってはばからないのだ。この違いは大きい。安室奈美恵やSPEEDは、そんなふうに評価されたわけではなかった。彼女達はちゃんと「与えられたものを演じる能力」を「パフォーマンス力」として評価されている。そうした風潮は東京パフォーマンスドールぐらいから始まっていたはずだ。』

    ■『モーニング娘。。のプロデューサーは、ロックバンドシャ乱Qのメンバーとして知られたつんく♂だ。彼は「ASAYAN」のリアリティ・ショーの仕組みを上手く使い、「②未熟ながらも、目標に向かって次第に成長していく」という全く新しいアイドル像を打ち出した。(略)もちろん、アイドルがデビュー当時から少しずつ実力を付けて、成長していった例は昔からある。(略)だが明瞭な課題が与えられ、時には他のメンバーと競いながら人気を拡大していくという、いわば「舞台裏」「裏側」こそをエンタテインメントの中心にしたのは、過去に例がない。才能を重んじる「本格」志向のアーティストとも、「中身でなんか勝負しない」という『よい子の歌謡曲』のたたえたアイドル像とも違うのだ。これこそが、AKB48はもちろん、2000年代のアイドルたちがこぞって模倣し続けいている手法だ。(略)この時代になると音楽ファンにも、洋楽の要素がミックスされた歌謡曲っぽい邦楽をマニアックに楽しむ人がかなり増えていた。「楽曲よりもアイドル自身が重要」だとすると、逆に言えば楽曲はどんな先鋭的なものでも構わないということになる。』

    ■『今ではすっかり国民的に有名なグループになった彼女たち(※Perfume)だが、2000年代の前半にはライブアイドルの1つでしかなかった。しかし2000年に結成されてから長年にわたって下積みを経験を重ねているというドラマを背負っていたし、中田ヤスタカによるハイセンスな楽曲も音楽ファンを満足させるものだった。さらには広島アクターズスクール出身で、90年代の安室奈美恵やSPEEDのように基本的な歌唱やダンスの能力を身につけていた。つまりPerfumeは、人々から支持される条件をまるで偶然のように身に着けていたのだ。』

    ■『たとえば彼女たち(AKB48)は、南沙織のように「未完成な若者である」。そして「自作自演しない」。しかし「与えられたものを演じる」というパフォーマンス力を磨いている。また山口百恵の頃に確立され、後のおニャン子クラブはもちろん、東京パフォーマンスドールやモーニング娘。などのグループアイドルが多数のメンバーを抱えることによって発展させた「キャラクター性がある」。それに付随して言えるのは、松田聖子が暴き、おニャン子クラブが押し進めたような「楽曲よりもアイドル自身が重要である」という特徴をしっかりと押さえている。あるいは、モーニング娘。のファンが楽曲やメンバーの人気順位に興味を持っていたからこそ、AKBはオフィシャルでランキング企画を用意した。また世の趨勢はライブアイドルに変化しているとも気づいていた。だからAKBは最初に秋葉原にAKB劇場を作ったのだ。そこでライブを続けていれば毎日リアルなドラマが生み出される。彼女たちに必要なのは、最初どんなに人気がでなくても、続けることだった。そうすればやがて誰かがそのドラマの魅力にきづいて、熱心に支持してくれるに違いないと考えた。』

    ■『繰り返すが、AKBは新しいことをやったわけではないのだ。それはつまり、AKBが日本の音楽シーンに似つかわしくない悪しき連中だという考え方が間違っていることを意味する。しかしまた、AKBが新しくないのというのは、彼女たちが取るに足らないグループだという意味でもない。彼女たちは日本のこれまでの音楽シーンやアイドル史を総合し、とんでもないクオリティで作りなおしたのだ。過去の例を旨く取り入れて洗練させる手法自体が日本的だといってもいい。しかし、ライブアイドルがどれだけ流行ったとしても、普通の人なら「劇場を作ろう」とは思わない。だがAKBはそれをやった。またメンバーの人気に差があったとしても、普通ならそこに序列を作ろうとするのはファンの側だろう。だがAKBは運営側が率先して順位付けを行なってしまう。ネットの活動も含めて、ファンが喜ぶことはなんでも活動の中に取り入れてしまう。タブーはない。AKBはそういうグループとして作られた。』

    ■『Perfrumeの特徴は「テクノ」とは限らない。(略)そういう楽曲を採用できたのは、まずはPerfumeがアイドルとして楽曲にとらわれていなかったからこそなのだ。(略)つまりPerfumeは、運営側からお仕着せのコンセプトや曲を与えられただけではなく、「自律性のあるアイドル」という新しさを持っていた。』

    ■『ももクロにとってのサブカルチャーの要素は、Perfumeにとっての「テクノ」と同じものに鳴っているからだ。』

    ■『ちなみに2012年10月の最新のデータでは、24歳以下の人口は2887万人であり、総人口の23%だ。もはや人口比率では1970年代の半分近くになっている。山口百恵の頃から既に、アイドルが大ヒットを飛ばすなら幅広い支持を得ることが重要だった。まして現在、ただでさえ趣味や嗜好が多様化する中で、若者からの支持だけを当てにするのはかなり厳しいだろう。多様な層から支持される方針を採らなければ、必然的に社会の中で目立たない存在になっていく。』

    ■『いま日本の音楽チャートは形骸化してしまっているわりに、権威だけが残っている。ならば効果的な販売方法を試してチャートの上位に入れば、世間一般の注目を集められる。』

  • 僕にとってはAKBなんて、気づいたら売れていて、その歴史はよく知りませんでした。それが、この本では一応のところ、詳しめに2005年の結成時まで振り返って、その発展を教えてくれます。けっこうな苦労をして、成功を約束されていたわけじゃないけれどこんなに大成功したグループにあったんだなあと感慨もあるくらいです。そして、その大成功までの戦略に、AKB商法と呼ばれる販売戦略、人気拡大戦略があったということです。それは、本書をかいつまむと、AKB48だけに限ったものじゃないことがわかるのですが、本書で触れられていないのには、今はどうかわかりませんが、盛りだくさんの特典がついたCDなりDVDなりの単価が高めだったことも挙げられますね。そのあたりの記述、説明は無かったのですが、まあ、惹きつけられる中核のファンなんかの心の弱みに付け込んでいるんじゃないかとする批判はあるでしょうね。本書でも、倫理的な問題に帰結するというような書き方がされています。

  • アイドルと距離をとって平熱で書かれている文章でありながらも、そこに込められた思いは熱い。
    アイドル自身が傷つかず、シーンが盛り上がるためのアイディア、面白かったです。

  • NHKのあまちゃんなども含めて、世はアイドルブームになっているが、AKBを材料にして、AKBがヒットするまで現状分析、アイドルが生まれた歴史、今後のアイドルとして注目されるアイドルの戦略などを各章で分析し、最終章では、今後のキーワードや流れを予測している。

    アイドルの歴史は多少なりとも変化しているのだろうが、特にAKB以前とAKB以後では、(CD売上)システム、社会における役割、等々が変化していると思われる。筆者が多く引用している、年ごとの売上チャートなどや、音楽とアイドルの関係などはなかなか面白いなと思った。

  • アイドルにはあんまり詳しくないけど、それでも大変楽しく読めた。ので、ゲームにあんまり詳しくない人も『僕たちのゲーム史』読むといいと思う。

  • 非常に優れたアイドルの歴史本だった。実際多く取り上げられているのはAKBの話ではあるが、「AKB商法」と呼ばれるものがどういうものであるのか、あるいはそもそも「アイドル」とはなんであるのか、といったところを南沙織から山口百恵、松田聖子、安室奈美恵、モーニング娘。からAKB、ももクロ、エビ中、BiS、に至るまで、それらの時代時代の特徴と、女性アイドル以外の音楽シーンとの関連性もあわせて評論していた。メディアアイドルからリアリティショーを通過してのライブアイドルという流れについてもとても納得度が高かったし、1971年以降の日本の「ポピュラー音楽の歴史」を解説した本としても面白い。

    「今の音楽業界は曲と歌、つまり芸術の素朴な価値を語りながらも実際には単にCDの売上を至上としている。そして、その尺度では捉えきれないものが既に音楽シーンには台頭しつつ、黙殺されている。 AKBはその実情に即した戦略を採らなければ自分たちの活動が広く認められることはないのだと自覚した。だから彼女たちは CDを売らんがために「AKB商法」へ乗り出したのだ。それは今の音楽業界に対する、アイドルから提示された率直な回答として見ることができるし、現状に正確に対応したやり方だからこそ、うまくいったに違いない。 - 70ページ」

    出版業界でオマケ付きのムック本が流行ってきて、宝島社が一部から叩かれていたのと似たような構造を感じる。下降気味の業界にあって、ものすごく適応した商売の仕方が嫌悪されるというような話。

    一点だけ残念だなと思ったのは、タイトルはミスってるんじゃないのかなーというところ。なんとなくアンチAKBっぽく受けとる人もいるんじゃないかと思うけど、実際はそんな要素はないわけで、AKBの歴史自体も丁寧に書いてあったし、ちょっとそこで損してしまってるような気はする。

    僕はアイドルそのものよりもアイドル論を楽しむようなタイプなので、そんな自分にとってはど真ん中の本だった。AKB以外のアイドルが好きな人にもおすすめします。

  • さやわかさんの新著、やっと買えた!総選挙あけたら読みます、楽しみー!

  • AKB商法とは? アイドル戦国時代とは?
    AKBのデビューから現在地までを、そして今のアイドルたちを冷静に距離を持ちながら個人的想いよりもチャートを参照しながら過去からの流れもきちんと書かれている。
    南沙織から始まるアイドルからAKBが出てくる前のモー娘。までの流れや「アイドル」とはどういう意味を持っていたかをわかりやすく書かれていて「アイドル論」として読める。『あまちゃん』というアイドルを扱った朝ドラが放送されている今とても照らし合わせて読まれていい本なのかも。
    なぜAKBがAKBとしてあるのか、そして同時代の今のアイドルたちがどう展開しているのか。彼女たちのやりかたや運営についての批判などにたいしてどう捉えるのか見ていくのかでまるでそれは違うものになっているのがよくわかる。

    前作『僕たちのゲーム史』同様にさやわかさんの対象に対しての距離や視線は個人的な想いが省かれてるのでクリアに現象を書き出しているのが印象的だ。個人的な想いが溢れ出して怖いそんな本もいつか読んでみたいとは思う。

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プロフィール

ライター・評論家・マンガ原作者。1974年北海道生まれ。大学卒業後は、個人ニュースサイト「ムーノーローカル」を運営(1999年~2001年)しつつ、音楽業界・出版業界での会社勤務を経て、ライターとして執筆活動を開始。小説、マンガ、アニメ、音楽、映画、演劇、ネットなどについて幅広く評論する。著書に『僕たちのゲーム史』『一〇年代文化論』(共に星海社新書)、『キャラの思考法』(青土社)他多数。マンガ原作に『qtμt キューティーミューティー』(作画・ふみふみこ/スクウェア・エニックス)がある。

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