NEVER LOST AGAIN グーグルマップ誕生 (世界を変えた地図)
- TAC出版 (2018年11月10日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784813271604
作品紹介・あらすじ
いまや、世界中の人たちの必須アプリ「グーグルマップ」の知られざる誕生物語が緊急翻訳出版!
著者は、グーグルマップの生みの親ジョン・ハンケの学生時代からの友人で同僚のビル・キルデイ。
ジョン・ハンケをして、「君が書くのはぴったりだと思う。そこにいて全部見ていたのだから」とまで言わしめるビル・キルデイが、ジョン・ハンケとの出会いからKeyhole社の立ち上げ、Googleによる企業買収、そしてグーグルマップが世界的な成功を得るまでの軌跡を描く。
本書は、前半(Googleに買収されるまで)と後半(Googleに買収されたあと)に分かれ、グーグルマップを支える技術の話はもちろんのこと、内部の人からしか見えないジョン・ハンケやGoogleの雰囲気が、筆者とジョン・ハンケ、Keyholeの個性豊かなチームメンバーとのやりとりなどを通じて、伝わってくる。また、Google創業者であるラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンとのやりとりや、マリッサ・メイヤーとの確執など、多くのエピソードが挟み込まれていて臨場感も満載。
ジョン・ハンケが描いたビジョンからプロダクトが生まれ、成長し、Googleの元で世界中の人々に使われるようになった道のりは山あり谷ありで飽きさせない物語になっている。一方で、著者のビル・キルディが安定を求めるタイプで、起業やスタートアップに対して及び腰な姿勢なのも、ある意味、読者目線を代表する常識的な感覚で、親近感が感じられる1冊になっている。
感想・レビュー・書評
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普段、当たり前のように使っているGoogle mapも
社会に馴染むまでに紆余曲折があり、どのような困難があったのか詳細に物語が描かれている。
島根のど田舎でストリートビュー撮影車が10年近く前に走っていたことを思い出し、やっぱりGoogleって凄いんだなと本を読み、より思えた。でも、凄かったのはGoogleだけじゃ無かった。
何でもそうだけれど、物事の背景を知ると、大切にしたい思いや自分の中で興味が広がり楽しい。
Google earthももっと活用してみようと思えた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
度肝を抜かれるような壮大なスケールで展開する、グーグルマップ・グーグルアースの開発物語。
グーグルアースの原型は、"キーホール" というスタートアップが始めた "アースビュアー" という画期的なデジタル地図サービス。魅了的なサービスながら、なかなかマネタイズできず資金難に喘ぎ、少しずつ顧客を獲得してギリギリ食い繋いでいた。それが、CNNの報道番組でキャスターがアースビュアーを使って宇宙空間からバグダッドにライブでズームインし、アメリカ軍のイラク爆撃の跡を写すと、利用者数が爆発的に増加。政府や軍、諜報員、災害救助の必須ツールとなっていく。
と、ここまではよくあるスタートアップの成功物語なのだが、本書が凄いのはここから。グーグルに買収されると、たちまち莫大な予算と人、マシンパワーがそれこそ湯水のようにつぎ込まれ、地球全体をカバーする無償の写真・地図サービスへと一気に生まれ変わっていく。しかも利益を全く考えない、途方もない規模とクオリティの無償サービスとして! 地図作り・更新作業はとにかく気の遠くなるような地道な作業だが、躊躇することなく、手に入るあらゆる地図・写真データが集められ、蓄積・更新されていく。データを自前で揃えるために人工衛星まで打ち上げているという。ここではもはやビジネスの常識は通用しない。 ラリー・ペイジが掲げたグーグルのミッションは「世界の情報を整理すること」。「地図や地理データを中心に、あらゆる種類のデータを整理する」グーグルマップ・グーグルアース事業は、まさにグーグルの中核事業について位置づけらたのだ。
「売上とか利益とかそういうものは、グーグルが地図プロジェクトを作るための動機ではなかった」、「グーグルが関心を持っているのは一つだった。世界の地理情報を整理するため、プロダクト開発に大胆に投資すること。そしてそれらをグーグルマップとグーグルアースという素晴らしいプロダクトを介して無料で世界に開放すること」、「グーグルマップとグーグルアースは世界への贈り物なのだ」。本書のこれらの記載がとても印象的だった。
グーグルアースが公開されると、「今日、仕事が進まなかったのは仕方がない。それくらいグーグルアースの魔法に魅了されてしまったのだ。無料ソフトウェア史上、最高のソフトウェアだ」と絶賛されるのも当然だ。
そして、アップルのアイフォンが発売されると、これまた爆発的に利用が伸び…。ストリートビュー画像から地図の掲載情報を更新する野心的な地図プロジェクト「グラウンドトゥルース」もスタートして、事業規模拡大はとどまるところを知らない。
なお、政治的な配慮から「いくつかのケースでは、ユーザーがグーグルマップにアクセスしている場所によってグーグルマップのバージョンを切り替える方法を取っている」とのこと(日本海、韓国ユーザーには「東海」として見せているなど)。知らなかった。地名や国境などについて、未解決の政治的問題が結構あるんだなあ。
キーホールの創業者で、グーグルマップ・グーグルアース事業の責任者だったジョン・ハンケが、ポケモンGOの産みの親だったことも驚きだった。
グーグルという巨大企業の力(莫大な資金力、そして恐ろしいまでにピュアな企業理念)をまざまざと見せつけられた一冊だった。 -
Google Map創造の物語。彼らのGoogle Earthを最初に見たときは、まるで魔法を使っているようでとても驚いた。Google Mapは、AJAXという技術を使っているということだったが、それまでのWeb体験を一変するものであった。技術がブレークスルーを起こしている瞬間を見た体験だった。それ以上に、Google Mapの存在が世の中をいかに便利に変えたかはここでは(どこであっても)書ききれない。Google Mapは、いまやあって当たり前、ないと困るプラットフォームになっている。
その技術はキーホールというベンチャー企業が作ったものだというのは、もしかしたらすでに聞いていたことかもしれない。本書はそのキーホールという会社の創業と発展に、創業者であるジョン・ハンケとともに最も近い人の一人としてかかわった著者が、会社誕生からGoogleによる買収、そしてGoogle Map/Google Earthを世に出す苦難と成功の物語となっている。
幾多のベンチャー企業の例に漏れず、一時期はキーホールも資金調達に非常に苦労することとなった。従業員の給与カットにまで手を付けたので、よほどのことだったろう。著者は次のように書く -
「それでもキーホールが生き延びられたことが信じられない。失敗への道は無数にあった。私たちはとてつもなくラッキーで、あらゆることが奇跡的にうまく運んだ」
一方で続いて、「キーホールで働いた人たちのことも私はよく知っている、今思えば、失敗する可能性なんてなかったのかもしれない。どんな障害があろうと、どれだけ道を間違えようと、私たちはきっと最後には正しい道に出られたのだ」
キーホールがそれほど期待せずにCNNに使ってもらうときに、キーホールのクレジットをテレビに出すことにした契約は同社の飛躍に役に立った。CNNがイラク侵攻のニュースレポートでキーホールの地図を使い続けたからだ。それはある意味では偶然のきっかけだったかもしれないが、その幸運がほほ笑むためには日々の限界までの努力が必要だったのだ。
Googleに買収された後は、ラリー・ペイジの「君たちは、それよりもっと大きく考えた方がいい」という言葉と、マリッサ・メイヤーらとの社内政治に翻弄された。いずれにせよ、キーホールがGoogleに買収されたのは、今では必然であったように思えるが、少なくとも世界にとっても大きなできごとになった。
Google Mapは、米国以外では初めて日本で2005年にサービスリリースされたという。そのときにケイ・カワイ(河合圭一)が「日本の東北地域にいた根性あるプロダクトマネージャー」として主導したと書かれている。今は本社でプロダクトマネージャーとして活躍されているそうだが、著者にとってもその活躍は相当印象的だったようだ。「データ契約を取り付けるため、たゆみなく働いた」と書かれているが、ゼンリン社との交渉だったのだろうか。「東北地域にいた」とわざわざ書かれているが、東日本大震災の際にもたゆみなく働くことになる。
なお、Google Map APIは当初無料だったが、数年後に有料化された。これはロケーションベースサービスを提供する側の企業が求めたことだったという。無料でも、Googleの都合でサービス内容を変更できるようなAPIを重要なビジネスで使うことはできないからだ。そのようにして、Map APIは企業家とデベロッパーを惹きつけ、Google Mapは社会のインフラとなっていった。Map APIを活用するデベロッパーのためのイベントとして開催されたGoogle Geo Developer Dayが今のGoogle I/Oになったという。こういうところに歴史が潜んでいるのだ。
最後に「この冒険で私が最も面白いと思うこと」として、Google MapとGoogle EarthがGoogleに利益をもたらしたかどうかわからない、ということを挙げている。「君たちは、それよりもっと大きく考えた方がいい」という経営者のいる会社では、お金を稼ぐこと自体、優先事項のトップ10にすら入っていなかったという。Google Mapのプロジェクトに対して、誰も投資対効果や投資回収期間について聞かなかったという。「Google MapとGoogle Earthは世界への贈り物」であるらしい。これについては、著者ならずも、ひどく方向音痴な自分も含めて多くの人がその贈り物に感謝するべきだろう。
キーホールの創業者兼元CEOのジョン・ハンケは、Google Mapの大成功を導いた後、Googleを出てNIANTICという会社を興し、ポケモンGOを大ヒットさせている。ハリーポッターのゲームをリリースするそうだ。ポケモンGoでは、日本人の名前もたくさん出てくる。Google Street Viewの進化、ARゲームの進化、Google Mapの物語はまだ終わらない。 -
1999年。キーホールのジョン・ハンケは、新しいソフトのデモ版をテキサスのビル・キルディの家に持ってきて、デモンストレーションをした。画面には青い地球が映っていた。そして、家の住所を入れるとなんと地球からズームダウンして地表が見え、ついにこの家が画面に映っている!これが後にグーグルマップとなる製品の元であった。ジョン・ハンケは開発全般をリードし、ビル・キルディは主にマーケティングを担当した。この小さなキーホールは、ついにはグーグルマップ、グーグルアースを開発することになる。スタートアップ企業がどのような軌跡を通ってグーグルの中核の製品を開発することになるか。これはそのわくわくする物語だ。
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エキサイティングな起業家のサクセスストーリー。マーク・ザッカーバーグを扱った映画の原作『フェイスブック』に似た読後感。
主人公はジョン・ハンケ(Googleマップ&Googleアースの前身となる製品を産み出したキーホールのファウンダーであり、Googleに買収された後もGoogleマップチームを率いていた人物。更にその後はポケモンGOを生み出すナイアンティックのファウンダーとなる)。著書は、そのジョンとすべてを共にしたマーケティング担当のビル・キルディ。
すべての始まりであるキーホールの起業から、Googleに買収され、世界中の人たちの生活を激変させるところまで、が本著では描かれてる。(更にポケモンGOが世界を席巻するところも少しだけ書かれてる)
初めては小さな規模で始まった、キーホールのアースビューワーも後にCNNがニュースで使うようになって爆発的にトラフィックが増える、みたいな話も、Google買収後と比べるととてつもなく小さなスケールに感じてしまうくらい、ぐんぐん話がデカくなる。
みんなが使ってるGoogleのキラーサービスのひとつGoogleマップも、Googleの中から生まれたのではなく、キーホールというベンチャーの革新的なアイデアとテクノロジーを買収したところから始まっているが、だからと言って、Googleは金にモノを言わせて、自分では何もしないのかというとそうではなく、明らかにGoogleのおかげでキーホールのアースビューワーはGoogleマップ・Googleアースとして、世界的なモンスターサービスに生まれ変わったことがよくわかる。
Googler(特にラリー、セルゲイ)が物事をどう考えて、どのようにアクションを取って事業を拡大しているのか、そのスケールの大きさが本著の中で一番面白い。
今やGoogleは自前で撮影用衛星を持ってて、災害が起きたらすぐそこを撮影し直して、レスキュー隊がGoogleアースを見ながら、人命救助ができるようにする…、もはや誰にも越えられないほど先を行ってる。
同時にGoogleの中でも政治的な権力争いがあって、その辺りも面白い。
当事者が書いているだけあって、リアリティがあり、とにかく面白いが、この手のサクセスストーリーは、同じことをやったところで同じことが実現できる訳ではないという意味で、学びというより、娯楽として、あるいは仕事に対するモチベーションの材料として読むようにしてる。
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スマホのキラーアプリであり、多くのアプリのテクノロジーを支えるグーグルマップ誕生の物語。ムーンショットから火星を目指すストーリーは痛快。彼らのイノベーションに最大の賛辞を贈りたい。
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Googleがもっとベンチャーだった時の開発過程って映画みたいな面白さ
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Google マップが行き渡る以前、出かける前に地図を調べたり時刻表を調べたりしていた記憶がよみがえってきた。その工程の事を思い出すことは久しく無かった。
また、どんなに地図を読み込んで出かけたとしても、道に迷った時自分がいったい何処に立っているのかを知ることが手間だった事も思い出した。辺りに見つけたランドマークが地図の何処に載っているか探すことについても。
今当たり前にスマホでGoogle マップを使っているが、これを使えるようになった時の大きな変化と感動を思い出した。
今のGoogleはマップを作った頃とは変わってしまったのだろうか? -
地図は今では「ある」ことが当たり前になっている。
しかしそんな世界、当時想像できただろうか。
GoogleMapが出る前は、カーナビでさえも感動した。
もちろん、カーナビが出る前では、紙の地図を片手に移動をしていたのだ。
待ち合わせは明確に「何時何分にどこ」までを約束しないと会えなかった。
旅行に行く際も、その土地の地図は必須だった。
今ではスマホ一つで事足りる。
掌に地図があることが前提になっている。
本書に記載されているが、キーホールという会社で小さなベンチャー企業だった当時、大きな野望を持つジョン・ハンケが紆余曲折しながら地図のイノベーションを目指していた。
しかしそこで買収した側のGoogleのセルゲイが言う「もっとスケールを大きく考えた方がいい」
この時で2005年よりも以前。彼らが見ていた未来が、自分と完全に違う点に驚かされる。
2005年当時の私はどんな未来を想像していただろうか。
そもそもの自分自身の現在位置さえも見えてなかったのではないだろうか。
彼らが見据えていた未来と、私が考える未来はなぜこんなに異なっていたのだろうか。
2005年くらいは、当然にスマホもない。
動画配信もないし、まだまだテレビ局はインターネットに負けないと思っていた。
(ホリエモンがフジテレビ買収を仕掛けていた時だ)
まったく違う世界を彼らは見ていたのだ。
当時会社でもGoogleEarthがリリースされて、驚いて見ていたのを思い出す。
その凄さに圧倒されていたが、そこから先に地図を使ったビジネスがこれだけ開けると思いもしなかった。
GoogleMapが地図をイノベーションさせた。
それ以降、本書のタイトル通り、人類は二度と道に迷わなくなった。
待ち合わせで会えなくなることがなくなった。
その日の気分で食べたいお店を検索し、辿り着くことができるようになった。
観光だって楽しみ方が変わったし、会社同士の取引も掌の地図のお陰で大きく変わった。
やっぱり大きな未来を見据えないといけない。
それは未来を予想するんじゃない。あくまでも「こうなったらいいな」という構想をすること夢想することが大事なのだ。
今ではGoogle地図チームもNIANTICとして社内ベンチャーとして独立し、新しいイノベーションを起こしている。
本書ではポケモンGOの物語までは語られていないが、十分に考えさせられる内容だ。
特に創業当時のエピソードは本当に参考になるし、励みになる。
これだけ大成功した事業であるが、本当に首の皮一枚でつながったと言ってもいい。
資金繰りに苦しみ、その中でも身を切りながら事業継続をしていく。しかし先の保証はない。
信じられるのは、自分と仲間たちだけの状況で、それすらも非常に薄氷に乗っているような状態だ。
そんな状況を乗り越えたからこそ強いのではないだろうか。
これが順風満帆にいっていたら、逆に大きくなった時に舵取りに失敗して上手く行かなかったのではないだろうか。
優れたビジネスモデルや、優れた技術があったから勝てた訳ではない。
それだけではない何か。情熱、夢を見る力。そういうものが本当に大切なのだということを思い知らされるのだ。
(2021/12/6)
ビル・キルデイの作品
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