うつ白 ~そんな自分も好きになる~

  • TAC出版
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784813287780

作品紹介・あらすじ

一般社会においても増加傾向にある“うつ病”。近年、うつ病に苦しみ、社会生活を送れない人も増えている。
うつ病はスポーツ界においても例外ではなく、2018年にはヴィッセル神戸の世界的スーパースターであるアンドレス・イニエスタもうつ病に陥った経験があることを激白した。
ただ、日本においては認知や環境が整っていないのが現状で、スポーツ界においてはなおさらであるため、オーバートレーニング症候群や慢性疲労症候群と診断して明言を避ける傾向にあり、うつ病であることを告白するアスリートは少ない(ほぼいない)。
そうした中、双子のJリーガーとしてサンフレッチェ広島一筋でプレーした森﨑和幸・浩司のふたりが、現役引退を機に、たびたび苦しめられてきたうつ病について、日本人アスリートして初めて、(元)Jリーガーとして初めて、自らの言葉でうつ病を告白する1冊です。
2020年に東京オリンピックを控えて、オリンピック候補選手たちは、国民の大きな期待とプレッシャーにさらされている。また、プロスポーツ選手も、ファンからの期待、成績と報酬(生活)の関係、短い選手生活ゆえの引退後のことなど、日常的にプレッシャー(ストレス)を抱えていると思われる。
また、学生スポーツ・会社に所属しているスポーツ選手なども、それぞれの試合や記録に対して、オリンピック候補選手やプロスポーツ選手と変わらないプレッシャーを感じている人もいる。
もちろん、さまざまなプレッシャーをモチベーションに変えていく(いける)選手(アスリート)が多いとは思うが、認知や環境が整っていない日本では、うつ病であることを公表できす、1人(身内のみ)で苦しんでいるアスリートも一定数いるはずである。
アスリートに限らず一般人も、そもそもプレッシャー(ストレス)の感じ方は、周りの人間から判断するものではなく、個々人の内面の感じ方であるが、今回、元Jリーガー(プロスポーツ選手)であったふたりが、現役時代の心の病との付き合いを正直に告白することで、日々苦しんでいるすべての人に、勇気やヒントを与えられる可能性を期待している。

第1章 森﨑和幸 ≪うつ病≫を発症する契機となった小さな不安
第2章 森﨑浩司 オーバートレーニング症候群も心の病
第3章 森﨑和幸 J2に降格させてしまった使命感
第4章 森﨑浩司 何度も死にたいと訴えた地獄の日々
第5章 森﨑和幸 比較され続けたことで強くなった自意識
第6章 森﨑浩司 少しだけ自分自身をほめてみる
第7章 森﨑和幸 やめようから、やめるに変わったとき
第8章 森﨑浩司 もう二度と落ちないために踏みとどまる
第9章 森﨑和幸 もう二度とならないではなく、また必ずなる
第10章 森﨑浩司 しんどい自分も好きになる

感想・レビュー・書評

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  •  元Jリーガーサンフレッチェ広島の森崎和幸・浩司兄弟による回顧録。オーバートレーニング症候群とは聞いていたが、うつ病とも闘っていたのは驚きだった。何度も離脱しながらも、その度に立ち上がってきた。
     双子、子供の頃から同じチーム、同じポジション、しかもそろってスター選手というのだから、注目され、期待される上に、真面目で完璧主義という性格なので、常に大きなプレッシャーを受けていただろう。
    トップアスリートと言えども、一人の人間。心を病むことはあるはす。彼らが立派なのは、自分たちの辛かった経験を本に著すことで、同じように苦しむ人たちの役に立てると考え、行動したこと。その勇気に敬服する。
     もちろん、自分だけの力ではなく、良き妻、理解のある歴代監督(小野、ペトロビッチ、森保、城福)、主治医、サポーター等々、多くの人に支えられてきた。何より彼ら同士が、良き兄弟、ライバル、チームメートであることに加え、闘病についても最大の理解者・支援者、戦友であったことが大きい。
     病と闘いながらも、2度のJ2降格・すぐの復帰、そして3度のJ1制覇に全て貢献しているのは、正にミスター・サンフレッチェ。これからも、カズはグラブ・リレーション・マネージャー、コウジはアンバサダーとして、サンフレに貢献してくれるのは嬉しい。
     ここまでたくましく復活した彼らではあるが、また病むかもしれないと思っているという。心の病は、「克服」するものではなく、上手に付き合う「共生」していくものなのかもしれない。
     彼らの経験から学んだ教訓は以下のとおり。
    〇自分を信じる。自分を好きになる。
    〇自分ができないことより、できることに目を向ける。
    〇一つのことに一喜一憂しない。
    〇あえて自分の弱さを見せる。

  • うつ病に悩まされながらプロサッカー選手人生を走り切った偉大な2人の選手のお話。

  • サンフレッチェ広島の試合を初めて見に行ったのが 2000年ぐらいだと思う。そのころからサンフレッチェ広島を全試合ではないが気になって度々試合を見ていた。そう考えると20年ぐらいのライトサポーターである。

    ちょうどサンフレッチェ広島を見始めた頃にプロ選手になったのがこの本の著者である森崎和幸と森崎浩司である。森崎兄弟はサンフレッチェ広島でプロの選手になり、サンフレッチェ広島で選手生活を終えた。一度も別のチームのユニフォームを着ることなく10年以上のキャリアがある選手というのはとても稀である。

    そんなサンフレッチェ広島の中心にいた選手であるので応援する側もとてもとても期待をする。森崎浩司には得点に絡む活躍を、森崎和幸には読みの鋭さと正確なパスを。とても高い技術力に定評がある二人なので自分はプレイを見ていて、良いプレイをすれば拍手を贈り、ちょっとミスをするだけでため息をしたりしていた。

    森崎兄弟が病気になったのはクラブのプレスリリースや、インタビューで知ってはいた。引退してからもインタビューを読んだので病気については知ったつもりでいた。しかしこの本を読んで思ったのは、選手としてフィールドでプレイできるのが奇跡であり、ボールを蹴ることができるのがいかに大変だったのかを思い知った。自分が選手に対してミスをしたことに対して怒りや呆れのような感情を抱いていたのがとても恥ずかしくなった。

    もちろんプロの選手であり、ピッチに立っている以上そのように見られるのは仕方ないのであるが、一人の人間として見たときに幾度の病気を乗り越えて本調子でもないなかプレイをして、サポーターの期待に応えようとしていることを考えると難しいものがある。

    この本はアスリートの選手が決してメンタルが強いわけではなく、メンタルの問題とどのように付き合っていくべきなのかという本である。なので日頃自分の気持ちとどのように付き合うと生きやすくなるか参考になる本でもある。特に、この本でできなかったを責めるのではなく、できたことを褒めてあげようという考え方はとても共感できた。毎日毎日うまくいくことばかりではないので落ち込むこともあるが、そのときは今日できたことを数えて自分を褒めてあげたい。

  • 偉大な二人の選手はもちろんだが、周囲で支える人たちの強さを感じる一冊。特に二人の奥様。奥様目線でのつらさや思いも聞いてみたい。

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