飛びたがりのバタフライ (スターツ出版文庫)

著者 :
  • スターツ出版
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本棚登録 : 85
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784813702023

感想・レビュー・書評

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  • 生徒から「布教」されて読んだ本です。
    親に虐待(父親からの暴力と母よ屋からの過干渉)を受けている「蓮」と、殺人者の子という過去を持つ「観月」の2人が、自身の置かれた境遇から飛び立つ物語です。

    前半部分の蓮にたいする両親からの虐待は読んでいて心が苦しくなる描写が続きます。もちろん、感情のままに子に手をあげて顔に痣をいくつもつくるような父親は異常ですが、子どもが「どうして、対等に話をしようとしてくれないんだよ」と零す場面では少し自省させられる気がします。
    ついつい、息子の相手を適当にしてしまう場面も多くありますし、彼がどう感じているのか、きちんと思いやってあげなければならないな、と感じます。

    逃避行(本人たちは「逃「飛」行」と言っていましたが)の場面では、高校生という不安定な立場で生計を立ててゆくことの難しさ、彼らを取り巻く現実の厳しさと、他人のやさしさ、そして先行きの不透明さからくる不安など、いくつもの要素が精密に描かれているように感じました。

    このような家庭環境で育つことは想像もできない熾烈な経験だと思いますが、多かれ少なかれ、高校生の時分には親子関係や自分自身のあり方について迷うことがあります。
    この主人公たちの経験を読むことを通して、また日々の生活を重ねてゆくための勇気を出してもらいたい、と思います。

  • 父の虐待から逃れようとする蓮と生きることを手放そうとしている観月の物語。ずっと男だと思っていた蓮が実は女で、女だと思っていた観月は実は女だったのが驚きだった。もう一度読みたいと思う作品だった。

  • 想定外のラストに思わず鳥肌!
    まさかの展開で、
    黒いものがぐるぐるするような
    気持ちだったのに晴々しい気持ちになった。
    櫻さんいいな

  • あらすじ紹介にあるように、虐待で家にいるのが辛い高校生と訳ありの転校生との出会いから逃走、そして.....という流れ。なんかとにかく前半は苦しい。ただ、透明感のある、心情を丁寧に綴った文章が、凄く繊細な印象を受け、中高校生だと響くだろうなぁと思った。大人としては結論どうしたらいいのか見えているし、賢い解決方法もあるような気がしながら読んだ。想定外のラストって何だろう?と思いながら読んだが、完全に想定外でした。なるほど。少し読み返したわ。
    ダメな描写はないけど、小学生には向いてないと思う。

  • 主人公の蓮と観月。
    お互いの傷を舐め合っているみたいで、読んでいて、気持ちが苦しくなった。
    2人に明るい未来はあるの?

    最後は蓮も母親を受け流す術を身に付けつつあるみたいだし、観月も夢に踏み出せそう。

    変に再会させずに、希望を持たせる終わり方が良かった。

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著者プロフィール

2015年、スターツ出版文庫創刊を飾った『君が落とした青空』が22年に実写映画化。また17年からロングヒットの「交換ウソ日記」シリーズは累計40万部を突破し、10代女子を中心に人気を博している。他著に『わたしは告白ができない。』『世界は「」で沈んでいく』『世界は「」で満ちている』など人気作多数。

「2023年 『小戸森さんちはこの坂道の上』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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