飛ぶ教室 第52号(2018年 冬) (【特集】「飛ぶ教室」的 世界一周旅行!)

  • 光村図書出版
4.50
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 17
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・雑誌 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784813800071

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 『若いころは十分以上の潜水ができたという彼だが、ぼくはとても信じられず、お愛想で褒めたものの、彼の大きな目がまっすぐこちらを見たとき、自分のおべっかを見抜かれていると思った』

    天野健太郎翻訳の呉明益を読みたくて「飛ぶ教室No.52」を手に入れる。これは「自転車泥棒」に連なる話であることを理解する。蝶を巡る過去と現在の混交。もっと続きが読みたいのに、あっという間に読み終えてしまうのが寂しい。もう、この翻訳で呉明益を読むことはできないのだな。

    聞き慣れぬ蝶の名前がわざわざカタカナで書き下してある。言葉の切れ目を探して慎重に音に変換する。それらの蝶の名前については文末にややマニアックな原注があり蝶の特徴なとが解説されているのだが、そこには漢字の名前も記されていて、もちろんそれを「見れば」カタカナの音は必然的にそう読めることはまさに「一目瞭然」なのだが、それを意図的にカタカナで通している翻訳の向こう側で原文ではどう記されているのだろうと思いが漂う。漢字を回避した表現がそこにはあった筈だと勝手に想像してしまうのは、もうお馴染みとなったこの翻訳者ならではのこだわりがある筈だと推察するから。

    蝶だけではない。台湾の離島の地名も、漢字で補足してはあるもののカタカナで記されている。それは、著者の言葉へのこだわりを丁寧に受け止めて、台湾の読者が感じるであろう小さな違和を、日本の読者にも解ってもらえる形に変えて、翻訳されている、というからくりなのだ。そんなこだわりをゆっくりと楽しむ。タオ族の言葉の響きは南方特有のリズム感があり、それが何だかアイヌ語のリズムのようでもあり、見知らぬ人々の文化的背景を勝手に身近なものに引き寄せて、妙な親近感を喚起する。

    もちろん作家の独特の世界が堪能できることは言うまでもないない。台湾史をベースに置きながら、静かな口調で語る視線は為政者に向けられた鋭い眼差し。しかしそれは批判ではない。あくまで現在が過去の延長上にあるという事実を忘れるなという訴えだ。「歩道橋の魔術師」ではそれを郷愁と感じたけれど、「自転車泥棒」ではその描写に込められた意図は鮮明だった。きっとその理解の仕方で自分の足元や当たり前のように見慣れたものをもう一度見つめ直す必要があるのということなのだな、と妙な感想にたどり着く。

  • 世界には面白い子供の本がたくさんある。児童文学の翻訳に関する対談を読んで、そこに紹介されているBookmarkという小冊子のことを知る。世界がひろがった。

  • あのね、遠い国だけじゃなく、近い国のコトも、先ずは知るコトから始めるべきだと思うの、、、お互いが少し近寄れば、きっと素敵な変化が現れる筈です。。。

    光村図書出版のPR
    地球の周りをふわふわと漂うUFOが一機。中からは,こんな会話が聞こえてきます――「どんな友達に会えるかな」「彼らはどんな本を読んでいるんだろう」。機上の二人は,どうやら地球の子どもたちの様子を見に行くようです。おやっ,着陸態勢に入りました。それでは,二人と一緒にのぞいてみましょう!
    http://www.mitsumura-tosho.co.jp/shohin/tobu/book_t052.html

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

1971年、台湾・桃園生まれ。小説家、エッセイスト。国立東華大学中国文学部准教授。2003年、2007年、2011年、2012年に『中国時報』年間「十大好書」選出、2004年雑誌『文訊』新世紀セレクション選出、2007年香港『亜洲週刊』年間十大小説選出、2008年、2012年台北国際ブックフェア賞(小説部門)など、受賞多数。最新長編小説『複眼人』(2011年)は英語版が刊行され、高い評価を得た。

「2015年 『歩道橋の魔術師』 で使われていた紹介文から引用しています。」

呉明益の作品

飛ぶ教室 第52号(2018年 冬) (【特集】「飛ぶ教室」的 世界一周旅行!)を本棚に登録しているひと

ツイートする