レディオワン (飛ぶ教室の本)

著者 :
  • 光村図書出版
3.83
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本棚登録 : 246
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784813802587

作品紹介・あらすじ

◎翻訳家・金原瑞人さん推薦
とても大切なもの、とても素敵なもの、ほかにはないもののことを、英語で、オンリーワン、といいます。
「みなさん、こんばんわん。月曜夜九時、『レディオ ワン』の時間です。」
思いがけず言葉を話せるようになった、いぬのジョン。
そんなジョンが、リスナーからのお便りを読んだり、曲をかけたり。
フリートークも「いぬの気もちがわかる」と大人気。
物語は、ジョンと「にんげんたち」とのエピソードを追いかけながら、大きく広がっていきます。

感想・レビュー・書評

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  •  みなさん、こんばんわん。月曜夜9時。〈レディオ ワン〉の時間です。今夜も、ぼく、DJジョンがお送りします。
    動物翻訳機を使って、本当の犬がラジオで喋る。びっくりだけど、微笑ましい。

    「きみはきっと今、せかいには敵しかいないって思ってる。でもせかいの外には、必ずちがうせかいがある。だから、辛かったら外に出ればいい。でも、もし外に出ても、、辛くて、この世の人間のだれひとり、自分の味方なんかいないってそう思ったら、それでもだいじょうぶ。
    ぼくたち(犬)が、いる。」

    処分されそうになったことのある犬のジョン。
    犬ならではの目線で、リスナーからのお手紙に答えながら、面白い小話をする。

    散歩していた時、犬はそんなこと思ってたんだとはっとしたり、クスッと笑えたり、とにもかくにも、犬がさらに好きになる。

    斉藤倫さんの本は、以前、『ポエトリー・ドッグス』を読んだ。犬がバーテンダーになり、お客に、その人に合った詩をプレゼントするお話。詩の理解がなかなか難しかった。その点、このお話は、一応児童書で読みやすい。やさしい文で書かれてはあるけれど、内容は深く、子供によりより大人に響きそうだ。

    疲れた心にパッと花を咲かせてくれるような、とっても素敵な一冊でした。

  • みなさんこんばんわん。
    月曜夜九時、「レディオワン」の時間になりました。
    お届けするのは、世界唯一の犬のDJ、DJジョンです。
    すっかり春になりましたね。ぼくも飼い主と一緒に散歩に行ったときに…


    リスナーも知らない、飼い主も知らない、ほんの一握りの人しか知らない極秘、犬を自称するDJジョンは、本当の本当に犬が動物翻訳機を使って喋っているのだ!

    人間の視聴者から寄せられるお悩みや世間話に、犬のジョンは犬の気持ち、犬からの目線で語る。その声は、人々にしっかり届いているますよ。
    「自分の周りが敵だらけだって思ったら、外に出ればいい。それでもこの世に誰も味方なんていなくても、それでも大丈夫、ぼくたちがいる。」
    人間がどんなに苦しくなっても、人間だけではどうしようもなくなっても、この世には人間だけじゃない。誰かが寄り添ってくれる。
    いぬには、愛しかないからね!

  • 言葉を話せるようになった犬のジョンが、月9のラジオのDJを務めるという楽しいお話、として幕を開けるのですが、回を重ね季節が巡るうちに、犬の本音、ジョンの身の上と名前の由来、ジョンを取り巻く人間たちのいろいろ…が見えてきます。

  • 月曜夜9時〈レディオワン〉のDJジョン、それは犬だった。ファンタジーの奇想天外な設定だが、現実にある辛い問題も提示している。
    学校でいじめにあっている中学生の女の子の言葉「ひとは、だれかが、だいじなことをかくしていることをしったら、それをだめにしようとするんだよ。ひっぱりだして、いためつけて、なんの、かちのないものになるまで」は胸がしめつけられる。
    動物の中で人と気持ちが通じるのは犬がいちばんなんだって。そのくらい同じ世界を生きてきたから。「あいしかない」愛そのものの犬は「それでもだいじょうぶ。ぼくたちが、いる」と伝えてくれている。そう信じられる気持ちになれた。

  • みなさん、こんばんわん。(かわいい…)
    犬のジョンはコピンジャーマシンで言葉を話せるようになり、こっそりラジオのDJを務めている。ジョンの番組は月9なんだなぁ。
    言葉は、伝えたい気持ちを載せて、時間が経っても、離れたところにいる人にも届けることができる。改めて、すごい発明だと思う。
    一方で、ジョンがカレンダーでなく、季節を感覚で感じたり、その日が自分の誕生日だとわかったりするのも面白い。たしかに、その日の空気感で「なつかしい」と感じたりすることがあるなぁ。たとえ名前を呼び間違えられても、自分に話しかけてるということにはかわりがないから、なんと呼ばれても返事をしちゃう、というのもなるほどと思った。人間と犬の感覚の違いが面白い。
    陰影を活かした白黒の絵がとてもすてき。また、せっかくの表紙のキラキラは図書館のビニールカバーがかかっていると、消えてしまって残念。
    最後に、西園寺さんがジョン飼い主のことを呟いたセリフがとてもよかった。
    「大学時代から、あのひとはいつも、いるだけで、まわりをあかるくするようなかんじでね。ぼくなんかは、まっすぐに見られないくらいだったんだよ」

  • 言葉を話せる犬のジョンによるラジオ番組レディオワン。
    リスナーからのお便りに答えつつ語るは犬の日常。ほんわかとしているけど、それだけじゃない。
    心のどこかちくりとするような。それでも明日はいい日になるといいなと思える。そんなジョンのラジオ番組。


  • 犬が主人公。
    犬がDJをしているラジオ番組の話し。
    何故、犬が喋れるのか⁈
    一応理由があります。ちゃんと犬が喋ってる。
    犬が喋っていることをリスナーは知らない。
    リスナーもラジオ局の人間も飼い主も知らない。
    知っているのは番組プロデューサーと、ディレクター、AD、限られた数人だけ。
    DJジョンが話しているラジオ番組聴いてみたいー。
    子供から大人まで楽しめる本です。
    fmcocolo DJ野村雅夫さんオススメ本です。

  • 面白くて、切なくて、愛に溢れて、ドキドキして、イッキに読んでしまいました。(飛ぶ教室の連載中も読んでたけど、また違う印象で…)
    これは、ぜひとも中学生くらいの子たちに読んで欲しい。
    きっと届くと思う。絶対に薦めたい!薦めます。

    私が中学生だったら、これを読んでジョン・レノンってどんな人かな?とか、ライカ犬ってなんのこと?とか思ってさ、そうだな今どきの子はググるんだろうね、それもいいよね。そして保護犬について考えて、彼らにたどり着いたりするのかも。

    「ひとは、だれかが、だいじなことをかくしてるってしったら、それをだめにしようとするんだよ。ひっぱりだして、いためつけて、なんの、かちもないものになるまで_。」
    今の自分にぐっと沁みました。
    ミツビ女子中のあの子、どうかあの女の子も、世界中のどうぶつたちも、神さまでも天使でもジョンでもいいから、誰かが見守っていてくれますように。。

    きらきらホログラムの表紙は、ジョン・レノンの「LOVE」の前奏のピアノを思い出しました。

    「いぬには、あいしかないよ」

    倫さんは、どうしてそんなに、いぬの気もちが、わかるのですか。

    素敵なお話しです✨

  • 家族が借りてきたのをサクッと。
    「いぬはね、いろいろ事情があるの」
    「ほんとの誕生日なんて、わからない子のほうが、おおいんだよ」
    犬は好きです。でも一緒に暮らすことは難しい。一緒に暮らせる人はワンコを幸せにして欲しい。
    ほのぼの幸せそうに見えたとしても、悩みとか秘密は持ってる。主観はイメージに過ぎないということ、深追いすることなく伝えてくれてる。大人にもおすすめ。

  • 本物の犬がDJのラジオ!
    聞きたいなぁ、どんな声なんだろう。
    ほのぼのと読み始めたのだけど、さすが斉藤倫さん、痛ましいこと、辛いことも逸らさず描かれている。
    それを受け止める、犬のジョンや周囲の人々の温かさ。
    ふかふかの毛布にくるまれて、だいじょうぶだよ、いっしょにいるよ、と言ってもらっているような気持ちになったし、私も誰か(人でも犬でもその他でも)をくるんでそう言いたくなるような作品だった。
    装丁・挿絵もとても素敵。

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著者プロフィール

斉藤倫 詩人。『どろぼうのどろぼん』(福音館書店)で、第48回児童文学者協会新人賞、第64回小学館児童出版文化賞を受賞。おもな作品に『せなか町から、ずっと』『クリスマスがちかづくと』『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』『さいごのゆうれい』(以上福音館書店)、『レディオワン』(光村図書)、『あしたもオカピ』(偕成社)、『新月の子どもたち』(ブロンズ新社)』絵本『とうだい』(絵 小池アミイゴ/福音館書店)、うきまるとの共作で『はるとあき』(絵 吉田尚令/小学館)、『のせのせ せーの!』(絵 くのまり/ブロンズ新社)などがある。

「2022年 『私立探検家学園2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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