22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる (SB新書)
- SBクリエイティブ (2022年7月7日発売)
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感想 : 485件
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784815615604
作品紹介・あらすじ
世の中の根本を疑え
断言する。若者が選挙に行って「政治参加」したくらいでは日本は何も変わらない。
これは冷笑ではない。もっと大事なことに目を向けようという呼びかけだ。何がもっと大事なのか? 選挙や政治、そして民主主義というゲームのルール自体をどう作り変えるか考えることだ。ゲームのルールを変えること、つまり革命であるーー。
22世紀に向けて、読むと社会の見え方が変わる唯一無二の一冊。
感想・レビュー・書評
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選挙の日に成田悠輔さんと民主主義について考えてみた
成田さんは「選挙に行って政治を変えよう!」というスローガンを真っ向否定
選挙に行っても何も変わらん!と断言します
いや極論すぎひん?と思ったんだが、読んでるうちにちょっと納得させられちゃいましたw
でも確かに「民主主義」というシステムが老朽化して腐り始めてるって意見は全くその通り
だからって「専制主義」は勘弁願いたいので「民主主義」に革命的変革が必要!
そして成田さんの構想とは…詳しくは読んでもらいたいのだが、感想としては「バカなこと言ってるなぁ〜」だ
だが、そのバカなことが非常に面白く、まるっきり夢の話でもなさそうで、しかもなんだかそんな「民主主義」もありなんちゃう?と思わせる
すげーな成田さん
そしてそしてこの本を読みつつ選挙の日に思ったのは、改めて自分の思っていること望んでいることとまるっと一致する候補者や政党を見つけだすのは、やっぱり無理なので、どこで妥協するかってのが、今の選挙なんよな〜ってこと
なのでなんかもっとこうグラデーションをつけた、政策ごとに投票できるようなシステムは無理なんかな〜?って
成田さんの言うアルゴリズムを使えば出来そうなんだけど
「黙ってる」みたいな意思表示とかできんもんかね?
例えばLGBTに関する制度とかさ
わいはそういった本を読んだあとのレビューでもよく書くんだが、LGBTの人の気持ちは理解できんのよ、全く
でもそういう人がいてもぜんぜんいいと思うし、そういう人もちゃんと幸せに暮らしてほしいな〜とぼんやり思うわけ
で、そのためには今の制度では足りないところがいっぱいあるってことはそうなんだろうと思う
じゃあどういう制度がいいの?ってなったときに、わいはそういう人たちが何を望んでるか分からんので、分かる人にお任せして「黙ってます」いいようにして下さいちょっとくらいのマイナスだったら引き受けますという考えなんだが、そういう細かいところまで反映させることできないかなぁ
成田さんの言ってることが実現したらできそうなんだよなぁ〜
アルゴリズムにちょっと期待してみてもいいかもな〜 -
「AIが政治を動かす? そんなのSFでしょ」――そう思ってページをめくった瞬間、常識が静かに崩れていく。
成田悠輔『22世紀の民主主義』は、政治の未来を再設計する試みだ。
本書の核心はタイトル通り――選挙はアルゴリズムに、政治家はネコになる。
冗談のようでいて、冷徹に現実的だ。人間が担ってきた政治の意思決定を、アルゴリズムが補助し、偶然性を制度的に取り込む。政治家はいい感じのキャラ(ネコ)の役割を担う。そこには「民主主義を終わらせる」意図ではなく、「民主主義を再起動させる」構想がある。
反対意見は多い。
──アルゴリズムはバイアスを固定化する。
──誰がその仕組みを監視するのか。
──価値の多様性を一つの数式にできるのか。
それらを理解したうえで、成田さんは“人間中心の政治”そのものを問い直す。
設計の民主化、透明性、確率的ゆらぎ――語られているのは、AI支配ではなく「開かれた再配分の新しい形」だ。
印象的なのは、語り口の軽さ。
ニヒリズムのようで、どこか温かい。上から教えるのではなく、「世界のルールを一緒に書き換えよう」と誘うような筆致だ。
読後には、政治や社会を“信じる”よりも、“設計し直す”視点が芽生える。
この本は未来を語るというより、すでに始まっている変化を見える化した一冊でした。 -
著者、成田悠輔さんは、ウィキペディアによると、次のような方です。
---引用開始
成田 悠輔(なりた ゆうすけ、1985年10月18日 - )は、日本の経済学者、起業家。 イェール大学アシスタント・プロフェッサー、半熟仮想株式会社・代表取締役。専門はデータ・アルゴリズム・数学・ポエムを使ったビジネスと、公共政策の創造とデザイン。
---引用終了
で、本書の内容は、BOOKデータベースによると、次のとおり。
---引用開始
民主主義が意識を失っている間に手綱を失った資本主義は加速しているー私たちはどこを目指せばいいのか?人類は世の初めから気づいていた。人の能力や運や資源はおぞましく不平等なこと。
---引用終了 -
^〇-□^ メガネの成田悠輔氏。
このメガネは、「主張したいことがある」という意志を示しているらしい。
ウケ狙いではなく、名前が売れる前から好きでかけていたそうだ。
好き嫌いはありそうだが、特定の組織や人物に肩入れすることなく、冷静に本質を捉えているように感じる。
論理的に整理されていて学術的と言うのかな?
現実的でないと思われる発言が記憶に残ることが多い人。
まあ、こんな印象を持っていたので、もう少し頭の中を覗いてみようと読んでみた。
実は本書のサブタイトル「選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる」に違和感があり、読む気にならなかった。
机上の空論が展開されている本なのだろう、と思っていたから。
今の世の中、自分と違う思想を持った人は徹底的に叩き排除する。
自分と同じ思想を持った人の意見は繰り返し聞いて悦に入る。
こんな人が多いでしょ。
成田氏は、自分と考え方が同じとも違うとも思えない。
〇か×かじゃなくて、中間の△でもない。
ちょっと別の感じ。
でも、反発なく読めたので、考える方向性は似ているのかも知れない。
「今の選挙や政治の仕組み、民主主義は異常」に見えるのが本書を書いた理由だと言っている。
政治や選挙や民主主義をちょっと違った視点から眺め、無理やり考え直すことを楽しんでできた本らしい。
現在の複雑すぎる社会では、政治家が経済や医療や軍事など、あらゆる課題を理解して適切な判断を下すという建前には無理がある。
みんな薄々気づいているが、テレビの政治討論や政治家の言動を倦怠感と共に眺めている。
マクロ経済の適切な運用のために、税金がどのくらい必要か、金利の上げ下げをどの程度にすべきか、などは情報・データの分析から導き出せる。
つまり、政治家は別段必要ではない。
どんな処置を行うべきかが分かればよい。
これが「選挙はアルゴリズムになり」ということ。
政治家本人も、無数の課題に対する合理的判断をすることより「いい感じのキャラ」を演じることに務めている。
実際にマリオになったりして、笑いを取ったり、人間としてのゆとりを感じさせようとしている。
こんなキャラ作りの政治家を見て、「政治家はネコになる」と皮肉っている。
今の株取引なども電子化されてアルゴリズムの勝負になっている。
生成AIが仮想の政治家を作り、政治を任せてもあまり実害はないような気もする。
マルクスの「資本論」も実践が伴っていない思想だったが、結果として現在の社会に絶大なる影響力を与えている。
本書も実践するのはまず不可能な思想だが、民主主義を見直し修復するのに有用なアイデアが詰まっている。
今の社会の仕組みの選挙で当選した政治家が、社会の仕組みを変えようとは思わない。
そういう意味で、本書の提案を実践するのは不可能なので、「無力で口先だけの妄言を語る奴」と嘲笑してくださいと成田氏は言っている。 -
最近、発言内容に興味を持ち何か書籍でもあるかと探したのがこの本です。
前半に民主主義の劣化、限界の説明で後半はその解決方法とあるがアルゴリズムなどのソフト開発の専門家ならではの発想です。
具体的には選挙は要らない→投票せず日々の行動データから課題に対応する人を選出。
政治家は要らない→政治はアルゴリズムが行ない、政治家はネコなどの動物が行なう。
ある意味、ぶっ飛んだ内容という印象です。
本作は2年以上前の本ですが、偶然にも今週、韓国フランスそしてドイツと民主主義国が次々と没落?する報道が続き、アルゴリズムに管理される世界が近いのかと思いました。
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【感想】
「自分ひとりが投票しても何も変わらないと思う」
選挙終了後に若者がよく口にするフレーズだ。選挙に行かない理由にはならないが、クレームの意味は理解できる。結局、自分ひとりが投票行動を変えたところで、日本の政治自体が高齢者の既得権益と化している。そもそも誰に票を入れたところで、自分の暮らしが劇的に改善されるような政策なんて生まれるわけがない。政治は亀のように歩みが遅く、自分の望む国ができるよりも前に、自身が高齢者となって既得権益層に吸収されていく。
本書もそうした「選挙なんて意味ない」という諦めからスタートしている。筆者の成田氏は政治家でも政治学者でもなければ、法学者や歴史学者でもない。政治の分野では完全に素人である。政治にも、政治家にも、選挙にもまるで興味が持てない筆者の、「そんなド素人でも政治を考え直す楽しさや面白さを作り出し、未来への戦略を練れないだろうか?」という考えのもと書かれた一冊である。
そうした「政治のドン詰まり」に対して、成田氏が提案する改善策は常軌を逸している。それは「民主主義との闘争」「民主主義からの逃走」「新しい民主主義の構想」の3つに分かれる。各セクションでそれぞれ既存政治の問題点を解決するような提案を打ち出しているが、どの解決策も「結局政治は変わらない」という問題を孕んでおり、根本治療を目指してよりラディカルな方策へとシフトしていく。
例えば、第一段階の「民主主義との闘争」。これは民主主義の原状と愚直に向き合い、現代の仕組みや考え方をそこそこ前提としながら調整や改良を施していくものだ。「有権者の脳内同期や極論化を作る(ソーシャル)メディアに介入して除染する」や「有権者が政治家を選ぶ選挙のルールを未来と外部・他者に向かうよう修正する」というような、現状と折り合いをつけつつ民主主義の劣化を食い止めようとする方法である。バランスの取れた方策だが、結局のところ「民主主義の既得権者は、既得権の源を自ら壊すわけがない」として諦めている。
次の方法は「民主主義からの逃走」だ。これは今の国家を諦め、政治制度を一からデザインし直す独立国家・都市群が、より良い政治・行政サービスを提供すべく、企業や国民を誘致したり選抜したりする世界を目指すものである。既得権益にまみれた国家から逃走し、自らの手で政治を作り出す世界だ。
だがこれも筆者にとっては上手く行かない。当たり前だが、逃げ込んだ先が新たな既得権益の温床になるからだ。
そして最後は、「新しい民主主義の構想」である。これはインターネットや監視カメラ、生体モニターによって人々の意識と無意識の欲望・意思を掴み、様々な政策論点やイシューを「意思決定アルゴリズム」によって自動決定してしまおうという試みだ。政治家はただのマスコット、つまり「ネコ」のようなものと化し、民衆に対してガス抜きをするだけの存在になる。ここまで来るともはやディストピアの世界だ。
だが、無意識民主主義はある意味「今までの民主主義を融合させた最終形態」とも言えるのではないだろうか?そこには大衆の民意による意思決定(選挙民主主義)、少数のエリート選民(アルゴリズムの製作者)による意思決定(知的専制主義)、そして情報・データによる意思決定(客観的最適化)が含まれているからだ。
―――――――――――――――――――――――――
以上が本書のまとめである。
感想だが、やはり「無茶苦茶なこと言うなぁ……」という意見が一番初めに来てしまう。その大部分は「無意識民主主義」に対してだが、それ以前に筆者の分析が合っているのか疑問に感じる部分が少なくない。
例えば、「故障」の章では民主主義の劣化に連動して経済停滞が起こったとしているが、データの面からは、2つが相互に影響を及ぼしあっているのか、独立した変数なのかがイマイチ見えてこない。(政治が大企業の利益になるよう動いているため、政治の劣化によって経済が非効率に歪んでいる、ということならまだ理解できるが)
また、「政治家に定年を設ける」ことで若者のイシューを政治に反映させると述べているが、現在の政治分野で深刻なのは「若者のなり手不足」だ。平成31年の統一地方選挙においては、41の都道府県議選において無投票当選が39%にもおよんでいる。町・村の選挙では更に深刻で、なり手がいないため、引退を表明しているおじいさん政治家を「続けてくれ」と説得する始末だ。つまり、「若者に立候補してほしいけど、誰も手を挙げてくれない」状態である。高齢政治家を締め上げるよりも、「若者をいかに立候補させるか」に焦点を合わせなければ効果が生まれないだろう。
その他、「構想」の章における無意識データ民主主義についても、「人々の意識しない欲求や目的をどうやってデータから吸い上げるのか?」という懸念を払しょくできない。価値判断基準はアルゴリズムを使う人間に委ねられており、そのアルゴリズムも選好が不透明なため、実現には相当な反発があるだろう。
ただ、本書の中で筆者も「こうした選挙制度の調整・改良が民主主義の呪いの根治になるかどうか、そもそも怪しい」と述べているとおり、実現可能性とその効果を検証するのは本当に難しい。政治学であればなおさらだ。そのため、読む際には、「こんなもの現実的ではないよね」という否定的な視点ではなく、「こういう選択もありか」「既存の政治を変えるには、このぐらいの無茶をしないとダメか」という視点のもと、あくまでも可能性の一つとして捉えるのがよいと感じた。
――――――――――――――――――――――――
【まとめ】
0 まえがき
若者が選挙に行って「政治参加」したくらいでは何も変わらない。今の日本人の平均年齢は48歳くらいで、30歳未満の人口は全体の26%。全有権者に占める30歳未満の有権者の割合は13.1%。若者の投票率が上がっても、選挙で負けるマイノリティであることは変わらない。今の日本の政治や社会は、若者の政治参加や選挙に行くといった生ぬるい行動で変わるような状況にないのだ。
もはや、選挙や政治、そして民主主義というゲームのルール自体を作り変えるしかない。
1 資本主義と民主主義の故障
資本主義と民主主義は相反するものだ。前者は成長と格差、後者は分配(成長の鈍化)と平等。
しかし、近年この2つのバランスが崩れ、資本主義が加速する一方、民主主義が重症に陥っている。ネットを通じた民衆動員で夢を実現するはずだった中東民主化運動「アラブの春」は、一瞬だけ火花を散らして挫折し逆流した。むしろネットが拡散するフェイクニュースや陰謀論やヘイトスピーチが選挙を侵食し、北南米や欧州でポピュリスト政治家が増殖したと広く信じられている。
実際、民主主義は後退している。今世紀に入ってから非民主化・専制化する方向に政治制度を変える国が増え、専制国・非民主国に住む人の方が多数派になっている。この傾向はこの5〜10年さらに加速している。
データを見ても、今世紀に入ってから民主主義的な国ほど経済成長が低迷し続けている。もともと同じぐらい豊かな国々の間でも、専制国家の経済成長率のほうが高いことから、「民主主義国家が先に成熟しただけだ」とも言えない。これが「民主主義の失われた20年」である。
この停滞を「民主主義はバカな有権者の意思も反映しなければならないからだ」とする意見もあるが、衆愚論だけでは説明にならない。
20世紀の後半までは、民主国家の方が早く豊かになり、豊かになったあとも高い経済成長率を誇っていた。実際、中世から20世紀までの数百年間の経済成長には民主主義的な政治制度がいい影響を与えたことを示す様々な研究がある。乳幼児死亡率などの公衆衛生指標に対しても、民主主義的な政治制度(特に公正な選挙の導入)が歴史的にいい影響を与えてきたことが示されている。いったい今世紀に何が起きたのか?
それは、インターネットやSNSの浸透に伴って民主主義の劣化が起きたからだ。民主主義の中で起きる情報流通や議論・コミュニケーションが大きく変わり、人々を扇動、分断する傾向が強まったからだ。
これは印象論ではない。データ上でも、政治家のポピュリスト的言動やヘイトスピーチ、イデオロギーの分断などの「民主主義への脅威」の高まりが、もともと民主主義的だった国で特に高まっていることが分かっている。
民主主義の劣化は、民主国家に閉鎖的で近視眼的な空気を植え付けている。そのような状態では、政治家は遠くの成果よりも近くの世論に目を向けざるを得ない。また、民主主義の劣化と同時並行で、経済に関しても、輸出、輸入、投資が減少し生産性が落ちてきている。
21世紀は、常人の直感を超えた速度と大きさで、解決すべき話題が降ってきては爆発している。情報通信環境が激変したにもかかわらず、選挙の設計と運用の仕方は数百年前から変わっていないのが現実だ。
では、重症の民主主義が今世紀を生き延びるためには何が必要なのか?それは「民主主義との闘争」「民主主義からの逃走」「新しい民主主義の構想」だ。
2 民主主義との闘争
第一の「闘争」は、民主主義の原状と愚直に向き合い、現代の仕組みや考え方をそこそこ前提としながら調整や改良を施していく方向だ。
その方法は、大まかに3つに分けられる。
①有権者の脳内同期や極論化を作る(ソーシャル)メディアに介入して除染する
②有権者が政治家を選ぶ選挙のルールを未来と外部・他者に向かうよう修正する
③選ばれた政治家が未来と外部・他者に向かって政策を行うインセンティブを作る
①について:
・SNSなどでの同期コミュニケーションの速度、規模を規制する。また、内容に応じた規制、課税を検討する。
②について;
・政治家に定年や年齢上限といった制限を組み込む。また、ある世代だけが投票できる「世代別選挙区」を作り出すなどして、若年層へのインセンティブを作る。
・医療費控除、子育て支援、性的マイノリティ保護といった全く異なる政策を一人の政治家にパッケージしない。有権者に複数票を持たせ、政治家や政党ごとに投票するのではなく、個別の政策ごとに投票する仕組みをつくる。
③について:
・政治家の目を世論より成果へと振り向けるため、政策成果指標に紐づけた政治家への再選保証や成果報酬を導入する。政策の効果が出るまでには長くかかるため、政治家が退任した後の未来の成果指標に応じて引退後の年金を出す。もちろん成果報酬となじまない政策も多いため、現実的な時間軸で計測可能な政策領域に対してのみ実施する。また、特定の短期成果戦略に引っ張られないよう複数の成果指標を組み合わせる。
3 民主主義からの逃走
そうは言っても、民主主義との闘争ははじめから詰んでいるのかもしれない。選挙や政治や民主主義を内側から変えようと闘争したところで、変えるためには選挙に勝ち、政治を動かす必要がある。しかし、選挙の勝者は今の民主主義の既得権者である。既得権者がなぜ自らの既得権の源を壊そうという気になれるだろう?
では、別の道は?民主主義を内側から変えようとするのではなく、民主主義を見捨てて外部へと逃げ出してしまうのはどうだろう?タックス・ヘイブンがあるように政治的「デモクラシー・ヘイブン」もありえるのではないか?
非効率や不合理を押しつけてくる既存の民主国家を諦める。政治制度を一からデザインし直す独立国家・都市群が、より良い政治・行政サービスを提供すべく、企業や国民を誘致したり選抜したりする世界。新国家群が企業のように競争し、政治制度を資本主義化した世界を目指す。資本主義と民主主義の壊れた二人三脚を超え、すべてを資本主義にする企てと言ってもいい。
実際、どの国も支配していない公海に新国家群を作る「海上自治都市」という構想が企画されている。また、既存自治体を乗っ取って私立都市として独立させるといった荒々しい手法も例がある。
とはいえ、逃走にも落とし穴がある。既存の民主主義から逃亡を果たしても、それは臭いものに蓋をしただけで、新国家の中でも同様に民主主義の問題が発生するということだ。
4 新しい民主主義の構想
民主主義からの逃走と闘争し、民主主義の再生をはかりたい。どうすればできるだろうか。
必要なのは、民主主義を瀕死に追いやった今日の世界環境を踏まえた民主主義の再発明である。民主主義の理念をより正確に余すところなく具現化する制度の発明と言ってもいい。特に、世界と民主主義を食い尽くすようになったアルゴリズム技術環境を逆手に取った選挙の更新だ。それは選挙なしの民主主義、「無意識民主主義」だ。
インターネットや監視カメラが捉える日常の中での言葉や表情や体反応、安眠度合いや心拍数や脇汗量、ドーパミンやセロトニン、オキシトシンなどの神経伝達物質やホルモンの分泌量……人々の意識と無意識の欲望・意思を掴むあらゆるデータ源から、様々な政策論点やイシューに対する人々の意見を汲み取る。これまで民意データを汲み取るための唯一無二のチャンネルだった選挙は、数あるチャンネルの一つに格下げされ、一つのデータ源として相対化される。
従来の選挙の問題点は、立候補した政治家の誰に投票しようとも、投票者の意志のほんの一部しか反映してないことにあった。ならばまずやるべきは、私たちの意志や価値観、声(政策への賞賛や嘲笑など)を幅広い民意データとして大量に集め、「民意」の解像度を上げることだ。その際はインターフェースによる歪みを打ち消すため、一つのチャンネルではなく複数のチャンネルを融合させ平均を取ることが大切になってくる。
集めたデータから意思決定を導き出すのは、自動化・機械化された意思決定アルゴリズムであり、様々な政策成果指標を組み合わせて最適な政策選択を行う。その選択がおかしい場合に異議を唱えるのが、もっぱら人間の役割になる。
意思決定アルゴリズムのデザインは次の二段階で行われる。
①各論点・イシューごとに、まず価値判断の基準や目的関数を民意データから読み取る。たとえば経済政策に欠かせない「どれくらいの平均的成長のためにどれくらいの格差であれば許せるのか」といった価値判断への答えを民意データから読み取る。エビデンスに基づく目的発見だ。
②次に、その価値判断・目的関数にしたがって最適な政策的意思決定を選ぶ。この段階は、過去の様々な政策がどのような成果指標に繋がったのか、過去データを使って効果検証することで実行される。エビデンスに基づく政策立案だ。
現状と対比した無意識データ民主主義は、民意を読みながら政策パッケージをまとめ上げる前の段階をもっとはっきり可視化し、明示化し、ルール化する試みだとも言える。そして、ソフトウェアやアルゴリズムに体を委ねることで、パッケージ化しすぎずに無数の争点にそのまま対峙する試みとも言える。
無意識民主主義は大衆の民意による意思決定(選挙民主主義)、少数のエリート選民による意思決定(知的専制主義)、そして情報・データによる意思決定(客観的最適化)の融合であるのだ。 -
高齢化社会の中で、若者の意見は埋没しているどころか、若者が意見を言うのを諦めている社会なのだ。未来を決定する政治を未来のない老人が行なっているのだ。
日本はデータを生かすことをしない社会なので、いくら現実が変わっても政治や教育が変わらない社会なのだと言うことがよくわかった。 -
失われた20年がもうすぐ30年になり、このままでは1世紀ごと失わんとする見事な停滞ぶり(笑)である。槍玉に挙げられるのは、少子高齢化問題であり、経済政策であり、労働環境である。著者の目の付け所は異なる。私たちの教科書的常識についにメスを入れ出した。そもそも、並列されがちな資本主義と民主主義は実は相対するものだという認識を突きつけられた。民主主義は凡人の傷の舐め合いであると。やたら教科書で礼賛された民主主義も、300年ほど変わってないものであるが、これからの技術進歩と共鳴して、マシになってほしい。
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先に「22世紀の資本主義」を読んでから本書を読んだ。例によってBOOKOFFオンラインにて購入。副題の「選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる」の意味が読み終わってよくわかった。
そもそも著者の成田悠輔という人をあまり知らなくて、そういえばフレームが右は丸くて左は四角い(あるいはその逆)変な眼鏡をかけている人がテレビに出ていたな…という程度の認識だった。
本の著者略歴を見て、学者であり実業家であり社会課題に取り組む人だとわかった。新進気鋭の、というところか。
そもそも選挙という旧態然とした制度が必要か?ということについて、テクノロジーが進んでいる現代においては「民意」というものをデータ化しアルゴリズムによって政策決定した方が的確では、ということが書いてある。
実際、他の分野ではデータとアルゴリズムによる分析が進んでいるという例に軍事分野や政策金利設定などが挙げられている。そういうテクノロジーの進化は着々と進んでいるようだ。
不完全な人間になんか任せないで、アルゴリズムによる民意を汲んだ方がよほどいいのかもしれないけれど、全てがデータ化された社会というのはなんとなく息苦しい気もするし、SFチックだ。
面白かったけれど、そんな未来には私はどこかデータ化の手が届かない国へ移住したい。 -
とても斬新なアイデア満載でしたが、この本に書かれてあるものは机上の空論ばかりではなく、既に実施されているものもあるということに驚きました。
ヘイトスピーチやポピュリズム的政治言動だといった民主主義の「劣化」に対し、人間の無意識に基づく「無意識民主主義」によって政策立案していくグランドデザインが描かれていました。
私達の無数の民意データからアルゴリズムによって意思決定するというものですが、そこまで日常生活を常時見張られているとなると、ちょっと怖い気もします。ただ、アップルウォッチなどはその一端を既に担っていると考えると、そう遠い未来の話ではないのかもと思いました。
民主主義も時代に合わせて変化していくのでしょうし、その変化を先読みした本なのかなと感じました。
良い頭の運動になりました。 -
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民主主義は選挙と言う方法で収集したデータを反映する政治体制というのに成程と思った。
選挙はあくまで手法であって収集したデータに基づく政治が主眼という事。
確かに数百年前とかの戦国時代とかだと、今の選挙も出来ない。そして今は選挙という手法よりも、もっと民意を反映させるデータ収集が有るだろ、と言うのが著者の主張。
ま確かにそうなんだけど、マスコミやSNS規制的な話も出ているのだけど国民皆が戦争や差別なんかを望んだらどうすんのかね?という懸念は出てくるかな~。
いずれにしても現行制度に限界を感じているのは確かなので、こういった主張や著作が世に出て話題になるのは結構な事だと思う。
作品紹介・あらすじ
世の中の根本を疑え
断言する。若者が選挙に行って「政治参加」したくらいでは日本は何も変わらない。
これは冷笑ではない。もっと大事なことに目を向けようという呼びかけだ。何がもっと大事なのか? 選挙や政治、そして民主主義というゲームのルール自体をどう作り変えるか考えることだ。ゲームのルールを変えること、つまり革命であるーー。
22世紀に向けて、読むと社会の見え方が変わる唯一無二の一冊。 -
民主主義があるべき姿を失い機能停止に陥っている。わたし自身もそう思いつつ、無駄とは思いつつも行かねばと選挙に足を向ける今日この頃。
発想は突飛だし、本当に実現したらちょっと怖い…という思いもあるけど、新しいものの考え方というのは最初に出てきた時はきっとこんなふうに捉えられるものなのかもしれない。 -
選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる……。
おもしろくてびっくりΣ(°д°ノ)ノ!!
『日経テレ東大学』の成田悠輔著作。
この人好きだわ〜(*´艸`)♡
成田の専門は「データやソフトウェア、アルゴリズムなどのデジタル技術と社会制度・政策の共進化」だそうで、民主主義や政治や選挙とは関係ないらしい。
冒頭で彼は「この本は素人の妄想」と言っている。
「夢見がちな素人感覚と、研究者としてちょっとは培ってきた推論力や分析力、そして様々な場所で触れた政治家の言葉や表情から得たインスピレーションを混ぜ合わせてみる。政治家や政治学者の本にはない謎の跳躍やアイデアをもたらせるか、実験してみたい。」(本文より)
選挙のたびに投票を促す意味がない。
若者少ないからね。
若者の投票率が上がった所で、超超マイノリティが超マイノリティになるだけ。
「民主主義の劣化」に関する世界的な統計や資料を元にした解説。
民主主義+資本主義という強者と弱者の組み合わせ。これ如何に?
ひとつの案として、政治家を成果報酬にしてみる。実際、シンガポールの政治家の年金は成果報酬らしい。
メディア面では、
SNSでのコミュニケーションはだいたい公開で無料という慣習は崩れに閉じてそこそこ課金課税されるのが当たり前という風土に変わっていくかもしれない。(本文より)
この本は2022.7に出版されたが、Xの有料化の事よね。
金持ちは、海や宇宙やメタバースに独自の国家を作り、貧民はいつまでも古い民主主義を続けている…。そんな世の中に変わっていく。
そして成田が考える世界は『無意識民主主義』
エビデンスに基づく目的発見+エビデンスに基づく政策立案
データ変換としての民主主義を加重平均をとってより適切な政策選択を予測する。
選挙はアルゴリズムになる。
民主主義を自動化する。
私たちはスマートウォッチやらスマホやらで勝手にデータ化された情報を収集されているので、選挙へ行く必要がない。むしろ、政治家いらない。
読みやすく、行き着いた結論が実現可能に感じる。
アルゴリズムの専門家が『無意識民主主義』を可能だと言う言葉に説得力があり、これはとても理想的な世界だと本気で思った。
様々な日常が急速に変化をしている。
生活にも以前の常識が覆る点も多い。
近い将来、本当に政治家はネコになるかも( ΦωΦ )♡ -
一見SFチックに感じられる内容に思えて、現在のテクノロジーの発展を的確に捉えているように感じられます。
そのテクノロジーと民主主義の延長にある解決策への言及も納得できるものでした。
それと同時に、既得権益による障壁などで、基本的に先進国の後追いとなる日本がどこまでついていけるか、あるいは、国力が落ちぶれてしまうのが先か、、、という悲観的な感覚も生まれました。 -
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「心中する覚悟で起用しろよボケ」→「キリンさんの気持ちもわかります」 箕輪厚介氏、成田悠輔氏の広告取り下げめぐる発言を謝罪: J-CAST ...「心中する覚悟で起用しろよボケ」→「キリンさんの気持ちもわかります」 箕輪厚介氏、成田悠輔氏の広告取り下げめぐる発言を謝罪: J-CAST ニュース【全文表示】(2024.03.13)
https://www.j-cast.com/2024/03/13479566.html?p=all
キリン氷結「広告取り下げ」に見る"空気感の変化" 成田悠輔氏CM中止は「英断」か「過剰対応」か? | 災害・事件・裁判 | 東洋経済オンライン(2024/03/14)
https://toyokeizai.net/articles/-/740874
キリン、成田悠輔氏の「氷結」広告を取り下げ 「高齢者は集団自決」発言に強まる批判 「過度な表現あった」と説明|まいどなニュース(2024.03.12)
https://maidonanews.jp/article/15196131
「氷結®無糖」をこよなく愛する著名人が、その魅力を本音で語るグラフィック広告「#ブームというより時代です」最新作が3月4日(月)に公開 小峠英二さん、若槻千夏さんに加え、新たに成田悠輔さんが登場! | キリンビール株式会社のプレスリリース(2024年3月4日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000058509.html
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※「言っちゃ/いけないことは/たいてい正しい」帯のコピー
猫は成田悠輔氏・箕輪厚介氏の著作を読むのは遠慮するコトにしました。2024/03/15
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革命のお話でした。
この本では、天才からの世の中の見方を垣間見ることができます。
難解ですが、面白いです。
天才は、マイノリティなのでマイノリティを受け入れる社会になって欲しいです。
併せて、橘玲さんの『バカと無知―人間、この不都合な生きもの―』を読むことをお薦めします。 -
YouTube「出版区」に出演していた成田悠輔さんの天才っぷりに刺激を受けて、読んだ。アルゴリズムかあ。未来の民主主義がアルゴリズムで変わると、今よりも良くなるのかなあと思った。未来のアルゴリズムに期待したい。
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「著名人だから」と有り難がってしまう分を割り引いても、大変刺激に富んだ内容で面白かった。自分にはこんな発想は逆立しても出て来ない。
副題の「選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる」がキャッチーで、やられた感が強い。内容はまさに副題通り。
昔の制約条件に引き摺られた制度(端的には選挙制度)が、今や有効でなくなっても100年単位で生きながらえようとしているものを、思考実験と比較的少なめのエビデンスで何とか切り拓こうとする姿勢に感銘を受けた。(伊達に変なメガネ掛けてないな。。)
なお、著者はテレビにあれだけ出ているのに自分ではテレビは観ないらしい。 -
読みながら考える事が多かった。
成田悠輔の事をロジカルポルノと呼んだのは箕輪厚介だったと思う。言葉選びも巧みで、まるで村上春樹が論文でも書いているような至高な文章である。加えて、我々の権威主義的な敗北を擽るような見事な経歴。民主主義を説きながら、見惚れて読むのはエリート主義の信者たちだ。
民主主義が故障している?
なるほど、共産主義との比較における経済成長やコロナ対策を見ればそう言えるかも知れない。既得権化された選挙ルールを、その勝者が現状変更しないだろう膠着状態も、投票指向の似通った若者が投票した所で何も変わらないという事実も、絶望感を煽る。化石のようなアナログの選挙制度を再デザインできれば、今よりマシな生活が送れるのだろうか。
最適解を導くために無意識データをアルゴリズムで解析し、政策を定める。民意を拾えば拾う程、ストレス無く、国家間や個人間の調整が進むだろうか。最適解は愚行権との対立軸にあるから、歪みや誤りを安物のドラマの如く楽しむ人生観は、集団民意という同調圧力の巨象に押し潰されてしまう。そうして、アイコンとしての猫やゴキブリにひれ伏した様を嘲笑う。生徒会の選挙の裏には大人たちがいて、選挙制度を変えても制度をメンテする支配者は変わらない。それならば、骨や甲羅の割れ方で政策を占っていた為政者と何が違うのだろう。結局、どんな意思決定プロセスであれ、マシなやり方かどうかは、その決定事項における調整機能に対する納得感の多寡で決まる。合うか、合わないか。大多数は納得済みで、政権交代を望まない。
YouTubeで成田悠輔を漁って見ていたので、その考え方も改めてよく分かった気がしたし、益々、時代を象徴する才能だなと感じた。ただ本著がサイエンスフィクション的かと問われると、絶妙なラインかも知れない。 -
民主主義が劣化していることを根拠をもとに解説しつつ、そこに対するアプローチを闘争・逃走・構想の3点の切り口で語られた本。特に構想の部分は、成田先生が思い描いた一種のアイディアで民主主義のやり方を抜本的に作り直す斬新なものだった。小難しい言葉も多いが、賢い人から見た民主主義が学べて総じて面白かった。
著者プロフィール
成田悠輔の作品

そうだよね〜
これはちょっと黙っとくって立派な意思表示だと思うんよな〜
そうだよね〜
これはちょっと黙っとくって立派な意思表示だと思うんよな〜