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- Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
- / ISBN・EAN: 9784815802516
感想・レビュー・書評
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高等教育研究の第一世代で、一貫して韓国の大学を研究対象としてきた馬越氏による著書。著者による韓国関係論文を初めて通読した。高等教育論の中でも基礎研究的研究に位置するので、現代の事情では本書のようなテーマの研究はなかなか出版しにくいのではないか。書籍に至るまでには、研究費を得て、また査読付き論文として複数公開している。その上で書き下ろしの章が追補されている。こうした重厚さも、すぐに成果が求められる今の時代にはあまりない要素だと感じる。
韓国の近代大学は、アメリカモデル、日本モデル、土着モデルの3つに類型化され、儒教モデルの成均館は19世紀末に閉鎖されたと整理している。また余談だが、大韓帝国時代末期のキリスト教系の学校の多さに少し驚いた。
旧京城帝国大学とソウル大学校の連続性は、あまりないことも確認できた。韓国の大学の再建に「旧京城帝国大学卒業生が一定の役割を果たしたことを冷静に評価しながらも、『一般社会から城大の卒業生は親日派(旧総督府役人)か、でなければ共産主義者』と見られた」(p.136)という一節から、制度面以前の日本に対する厳しい反感があったことを垣間見ることができる。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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