- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784816366796
感想・レビュー・書評
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キリンの解剖記だけでも十分興味がそそられるのに、さらに物事の本質も学べて非常に面白い。一番初めの解剖では教科書に記載された筋肉を探すものの、何一つ見つけられず焦っていた著者。二度目の解剖を一緒に行った人物から、名称は分からなくてもいいから目の前にある筋肉を詳細にスケッチすればいい、とアドバイスをもらい開眼するシーンは、読み手のこちらも思わず膝を打った。本書を読んでキリンに少し詳しくなり、キリンと剥製を好きになった。
以下、本書よりお気に入りの箇所を抜粋。
「筋肉や骨の名前は、理解するためにあるのではない。目の前にあるものを理解した後、誰かに説明する際に使う「道具」である。そして解剖の目的は、名前を特定することではない。生き物の体の構造を理解するためにある。」
「(50歳にして新しいことにハマり本や資料を読み込む母親の姿を見て)知識は生活を豊かにし、目にとまるものに価値を与え、新たな気づきを生み、日常生活を輝かせてくれる。私は、母の姿を通じて知識を身に付けることの楽しさと素晴らしさを学んできたような気がする。そして、誰かに強いられて知識を詰め込む「勉強」と、自らの喜びとして主体的に知識を得る「学問」の違いに気がついたのだも思う。」
「たとえ今は必要がなくても、100年後、誰かが必要とするかもしれない。その人のために標本を作り、残していく。それが博物館の仕事だ。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
専門用語はわからない部分もありましたが、大好きなことをトコトン追求する姿勢、一頭ずつのキリンとの貴重な出会いに最後までドキドキワクワクしながら読めました。こども版も出たとのことなので、小中学生の娘たちにも読んでほしいなと思いました。
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科博研究員さんの本2冊目。こんな本に出合っていれば進路が確実に変わっていた本。高校生の時に読みたかったよ…研究の大変さと面白さが知れる本。
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キリンの新たな骨を発見した研究者の本です。
まだ年若い女性だからといって差をつける訳ではありませんが、女の子なのに凄いなあと感心しながら読んでいました。
学者の世界はよく分かりませんが、「無目的、無制限、無計画」という一見ネガティブに見える言葉が、今は役に立たないかもしれないけれど、後世に残すためにあらゆるものを保護、保管するという姿勢が博物館のスタンスというのを見て目からうろこでした。
確かに今の知識では役に立たなくても後世で花開く研究沢山あるでしょうから。
前に「フェルマーの最終定理」を読んだときにも感じましたが、何の役に立つのか?という所からスタートすると物事が大きく進む事はないんですね。一見無意味んい感じる事でも突き詰めて、それを見守る姿勢が世の中を押し進めてきたんですね。
キリンの首の仕組みを解明したからといって、我々の生活に何か影響あるのかという人はいるのでしょうが、大局から見ればどれもこれも意味が最終的に付加されただけで、研究当初は素朴な疑問からスタートしているんだと感じます。
とても感じ入る本でした。 -
上野の科学博物館の別館が新宿にあったとき
一年に一回お祭り?先生方や学生さん達が小学生や一般のオバサンらに、優しく丁寧に専門分野の説明をしてくれるイベントがありました。
骨の標本がぎっしりつまった部屋の中で一際目を引いたのがキリンでした。
キリンの首の骨の数と人間の骨の数は、同じだよ。
と先生に言われ、子供達全員が、ウソー!
哺乳類の首の骨の数は、同じなんだよ。
猫も?犬も?ゾウも?ライオンも?全員?
大興奮でした。
だから、この本は懐かしさを持って読みました。
日本って、冬にキリンが死ぬんだ。
キリンを切断しないで運搬する業者さんの心意気が、凄い‼️
マナテイとナマケモノの不思議?
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雷が鳴り響く日
飼い犬が全身を震えさせ心拍数が急上昇している姿からふと
キリンは血圧の高い動物 という話になり
突然に、キリンを知りたくなったことが本書との出会いのきっかけ。
ひょんなきっかけで手に取った本が
本書でよかったです。
思い立ち興味を持つことを受け入れてくれるような
優しい本でした。
無目的 無制限 無計画
世の中の何の役に立つのかという問いを受けがちな今
あえて好きなものを好きと言う姿勢を大切にしたい。
限られた持ち札でどう対処するかを考えたい。
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著者の師匠の遠藤教授の本も面白かったけど、こちらはキリンの首の骨問題だけを掘り下げて書いてあり、集中して読めた。
苦労しながら頸椎の謎に迫っていくところがとてもいいので、もう少しフリガナを増やしたら小学生も読めたんじゃないかと思う。
コラムも面白いし、イラストもいい。生き物に興味がある人、研究者になりたい若い人に薦めたい。 -
好きなことを仕事に出来ている人って羨ましい。
キリンって結構死んでるんだなって初めて知った。 -
キリンのことも知れるけど、好きなことを研究する楽しさというのが読んでいてこちらまでわくわくするくらい伝わりました。子どもにおすすめしたい。
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クジラの話に続いて選んだ、キリンの話。
はっきり言って、キリンに興味は無く、その生態も身体の仕組みも何も知識を持っておらず、おまけに哺乳類の頸椎の数もこの本で初めて知った。
だからからか、今回も知らなかったことを教えてもらいながら、研究者として生きていく作者の話はとても面白かった。
「キリン研究者の育て方」の中で紹介されている、お母様の話に、好きな気持ちを持ち続けている強さを感じた。