- 本 ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784816371059
作品紹介・あらすじ
世界には91種のクジラが存在し、内41種を日本で見ることができます。本書では函館を拠点にストランディング調査(打ち上げられたクジラの調査)を行い、専門の調査機関を設立した著者の歩みを、数々の事件や研究の苦労、発見の喜び、恩師や協力者、後輩とのかかわりを通して紹介します。
感想・レビュー・書評
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「クジラのおなかに入ったら」
タイトルが面白くて良い。
ちょっとピノキオとゼペットのような。(いやあれはサメだった…。)
それはともかく、本書でクジラのおなかに入る松田さんは、バリバリの現場の研究者です。メルヘンな物語ではないです。
打ち上げられたクジラを解体して、胃の中を調査して、食性を解明する為に、北海道全域を通報が入ればどこへでも向かいます。
悪天候でも向かうし、飲み会が入っていてもキャンセルして向かいます。
クジラの通報はいつ入ってくるかわからないからです。
本書は、松田さんの学生時代のクジラウォッチングの始まりから、現在地点までの研究人生を紹介したものです。
イルカやクジラの図も豊富で楽しいです。研究者としての心構えも知る事ができます。研究手法も情熱も。
とにかくフィールドワークがすごく多くて、海外にも行かれるし、体力も必要な仕事だと思います。
当然、知力やコミュニケーション能力も必要です。精力的で情熱がなければ研究なんてできないんだよなあと、つくづく思いました。
また、こういった研究の成果を、私のような一般人にアウトリーチしていただけているから、色々なことを知って学ぶことが出来るんだと思って、改めて感謝の気持ちで一杯です。
文章から本当にクジラ研究が好きなんだなあと伝わってきます。
クジラやイルカに会いに行きたくなりました! -
小説ではなく、
哺乳類に関する研究をまとめた書籍。
解説がわかりやすい。面白い。
クジラ用の包丁の大きさがハンパない。
鯨愛が溢れている。微笑ましい。
胃の中身を一つ一つ確認していく作業は、本当に大変そう。
女性の研究者は少ないそうで、大変なのが伝わってくる。
自分の好きなことを仕事にしたいと思っている中学生に希望がみえるような楽しさ。
輝いている人は、魅力的。たくさんの人に読んでほしい本。
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パワフルだった!
自分の夢を叶えるための才能(頭脳と努力)と運に恵まれていて、読んでいて心地よかった。
書かれている研究内容も、易しい言葉で書かれている。
思わず、◯◯を調べたら☓☓についてわかったんだって、と話したくなるような感じだった。
生き物ってすごいなあ、と思えた。 -
丹後で生まれ育った女性が、クジラに興味を持ち、北大へ。北海道でのストランディング調査を本に表している。
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鯨類への好きが溢れている。大学生活が楽しくて、ストランディング調査が楽しくて、胃の内容物を分けるのが楽しくて、勉強が楽しくて。やりたいことが定まっている人はなんて人生が充実しているんだろう。羨ましいなあ〜鯨の解剖話は別の方の本の方が面白かったが。
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先に海獣学者の田島さんの著書を読んでいたので、ストランディングの話は記憶に残っており、するすると話が入ってきた。
そのストランディングしたクジラから胃を取り出し、内容物を調査しているという著書は、研究者の道のりを必死に進んでいる姿が記されていて、また違う面がわかり面白かった。 -
著者は小さな頃から好きだったイルカを大学での研究のテーマに据え、海岸に座礁(ストランディング)するイルカやクジラを解剖して、食べているものや生態を調査する。
北海道の厳しい自然と、打ち上がるイルカ、クジラ。
イルカやクジラというと、水族館のショーで見るバンドウイルカやカマイルカ、シャチ、ザトウクジラやマッコウクジラ、シロナガスクジラ……知っているのはそれくらいだったが、思っていたよりも種類が多かった。コマッコウは本書で初めて知った。すこし間抜けた顔がかわいい。
本書でも登場する田島木綿子さんの「海獣学者、クジラを解剖する」も本書も、危険が伴う研究の現場を書いているからか、とても臨場感がありおもしろかった。 -
CHAPTER1 イルカやクジラを研究するということ
CHAPTER2 鯨類研究者への道
CHAPTER3「イカ」の研究者に弟子入り
CHAPTER4 イルカの種類によって餌が違う?
CHAPTER5 まだまだ続くよ研究は
CHAPTER6 ストランディングの研究機関をつくる -
面白かったです。とても大変だとは思いますが、興味があることに真っ直ぐ向かっていて、とてもスッキリした気持ちになりました。環境問題が主な話題になるかと思って読んだけれど、少し触れられていただけで、かえって印象強く残りました。