住宅政策の再生: 豊かな居住をめざして

制作 : 塩崎 賢明 
  • 日本経済評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784818818408

作品紹介・あらすじ

「市場原理主義」は万能か。戦後住宅政策の到達点と残された課題はなにか。格差社会の中で複雑多様化する住宅問題を読み解き、「市場制御」で豊かな居住を展望する。

感想・レビュー・書評

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  • 住宅は生存の基盤をつくるという意味で、他とは異なる特殊な商品であり、だからそこ様々な優遇政策が施されている。 購入金額が高いため、ローン利率の優遇措置や、借地借家法にみられるような賃借人保護という考え方である。そして公的住宅を供給することで、政府自体も住居を保障している。
    しかし、住宅の質を問題にするとき、住宅供給量で見ると公共によって供給された量より、民間によって供給された量の方が圧倒的に多い。つまり、質の低い住宅を供給してきたのは今も昔も民間事業者なのである。
    そして、徐々に住宅の質が向上しているとするならば、それは政府による建築基準法や都市計画法等による規制の成果である。市場に任せれば競争原理によって適切な住環境に調整されるという考えは、他の産業と同様に成り立たない。
    バブル崩壊後の不況の中で、景気回復のために「住宅政策」が「都市開発政策」にすりかえられ、本来であれば良質な住まいを確保するべき政策が経済を刺激する方法として利用された。
    市場化を進める理由は、適切な経済を形作るという理念ではなく、民間の手をかりて経済を回復させよう、不良債権を解消させようという経済政策としてであり、それを正当化するために公的サービスである住宅政策が縮小されてきた
    著者の考えは、題名のとおり住宅政策の再生である。
    これまでに縮小されてきた公的サービスの回復、さらに規制緩和をやめ民間事業者にたいしてではなく、社会的弱者に向けて政策を行っていき、生存基盤を保障する必要がある。
    公的住宅については、これから建替えがさけられない。デベロッパーの参加による建替えが行われているが、事業利益を確保するために市場ベースの価格設定と事業計画が組まれているため、公的サービスが必要な住民が移り住めるような場所とはなっていない。
    住まいのセーフティーネットを整備するという意味でも、規模縮小では無く再び政府機関の対応が必要である。

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