ファンから観た プロ野球の歴史

  • 日本経済評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784818819337

作品紹介・あらすじ

曲がり角に立つ日本プロ野球。70年余の歴史を緻密に観察し、現在直面する問題の根源に迫る。何よりもファンの立場に立って2人の経営学者が問題解決の道を展望する。

感想・レビュー・書評

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  •  近年、「プロ野球危機説」がまことしやかにささやかれている。いわく、1.野球はサッカーに負けている、2.大リーグへの人材流出が甚だしい、3.プロ野球中継が減少している、4.赤字球団が大半である。本書は、これら「プロ野球危機説」に対して、プロ野球70年の歴史分析・経営分析から説得力と示唆に富む反論を加えている。
     さらに時代の流れと経営モデルの変遷という視点のみならず、プロ野球の歴史を大きく変えてきたと思われる名試合・名勝負についてのファン目線からの語り口がエキサイティングである。
     たとえば、1993年の日本シリーズ、ヤクルト対西武の第四戦。ヤクルトが川崎—高津のリレーで逃げ切り、1−0で勝利した試合に、著者たちは西武の黄金時代を築いたデータ重視の「管理野球」からデータを応用する野村「ID野球」への転換の象徴を認める。
     実は、こうしたディテールの描写について読者の共感を得られるところに、日本のプロ野球ファン層の広さと深さ、すなわち日本プロ野球の強さもあると評者は思うのだが、それにしても、個別ゲームの分析やペナントレースの動向を振り返りつつ、それを「マクロ」的なプロ野球全体の経営分析と結び付け、ズレをまったく感じさせずに叙述する筆致は見事である。
     第V章「日本プロ野球再生への道」では、上記の歴史的分析を踏まえつつ、具体的に今後日本のプロ野球が進むべき道が提示されているのであるが、その内容については、是非、本書を一読していただきたい。
     これまでプロ野球の歴史については数多くの本が書かれてきたが、ファンの目線で、しかもプロの経営史、経営学者による分析は初めてであろう。本書がプロ野球発展のための議論の土台となることを期待したい。

    週刊東洋経済 2009.1010掲載

  • 経営戦略論とプロ野球の歴史をクロスオーバーさせている点が特徴。野球好きサラリーマン必読の一冊。

  • 70年を超える日本のプロ野球の歴史を三つの時代に分け、主にファンからの立場から考察し、さらに今後のプロ野球のあるべき姿について言及している一冊。著者のお二人のうちの一人は経営学、スポーツビジネス論がご専門、もうお一人も経営史がご専門なので、切り口が面白い。ただし、これは校正ミスなのではという点もいくつかあったのが残念。

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著者プロフィール

国際大学教授

「2023年 『日本経営史〔第3版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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