- Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
- / ISBN・EAN: 9784819111973
作品紹介・あらすじ
国土計画、マクロ経済政策、新幹線整備…日本のど真ん中で経済成長を牽引した各界の権威の証言を引きながら「改革」の真実と「日本弱体化」の構図を明らかにする。
感想・レビュー・書評
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■「失われた二十年」の真実
ケインズ主義的公共投資、国土計画、整備新幹線などは、かつては高度経済成長を支えたかもしれないが、それも、もはや過去のものである。これからは、政府が経済を主導する時代ではなく、小さな政府、自由化、グローバル化の時代であり、インフラのようなハードではなく、情報や金融のようなソフトの時代である。このようなイメージが共有されている。多くの人が、時代の流れは単線的で、逆行しないものと思いこんでいる。
しかし、実は、リーマン・ショック以降、世界の有力な経済学者たちは、ケインズの復活を唱え、公共投資を主張するようになっているのだ。また、良心的な知識人たちは、1980年代以降の新自由主義が破綻したことを認め、60年代頃が資本主義の「黄金時代」であったと再評価し、それを取り戻そうと訴えている。時代は、単線的に進むわけではない。間違った道へと進んだのならば、方向を変え、場合によっては後戻りすることも必要なのだ。「後戻りはできない」とかたくなに思うのは、左翼的な進歩史観の悪弊である。
本書は、日本経済の「黄金時代」を築いた戦前生まれの3人、宍戸駿太郎、下河辺淳、小里貞利の証言の記録である。日本経済の成長を支えた彼らの歩んだ道は、決して平坦ではなかった。特に80年代以降、彼らが築いた成果を享受した後の世代は、先輩たちに感謝する代わりに、彼らを排除した。反成長主義の左派からも、新自由主義の右派からも攻撃された彼らは、理論やデータをもって戦い続けたが、劣勢はいかんともしがたかった。その結果が、「失われた二十年」であり、リーマン・ショックである。
3人の証言から、日本を没落させた犯人たちが実名で暴かれていく過程は、スリリングである。3人とも、高齢にもかかわらず、明晰(めいせき)な論理を語る。時勢に流されずに信念を貫き通すその姿は、感動的である。これが、真のエリートというものであろう。彼らの意志を継ごうという著者の気概が伝わってくる。日本の命運を決める総選挙の前に、必読の書である。(産経新聞出版・1365円)
評・中野剛志(評論家)
(1)大蔵省・財務省による緊縮財政主義
(2)経済学者による新自由主義経済学イデオロギー
(3)ウォール街・アメリカ政府等による日本財布論
(4)アメリカ政府によるジャパン・バッシング
(5)社会主義陣営による対日工作
(6)以上1〜5の諸活動を吸収したマスメディア詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なかなか読み応えはあった。
ただ立証した方がいいのでは?と思う部分や
本のつくりが下手で読みづらかった部分が多く気になったので、
☆3つ。 -
本の冒頭に、各国のGDPを比較したグラフ。この図を以て「公共投資が少ないがため、日本は世界の経済成長から取り残された」とのご主張。ところが、グラフの縦軸は「米ドル建て」の「名目」GDPだ。CPIの上昇や超円高を考えると、日本の名目値の伸びが他国に比べて著しく低くなるのは、公共投資云々に全く関係なく当然に成立する話であって、彼の主張に根拠はない。読み始め3ページ目にして読む気が完全に失せた。
トンデモ本認定。 -
日本がデフレ経済であることにより利益を得るグループがある。
橋元内閣以来継続されている構造改革がデフレ経済から脱却できないレジームである。
戦後、日本を成長基調に持っていった重鎮の意見に耳を傾けながら、本書が書かれた。
デフレ構造のメカニズム、また、デフレ脱却の処方箋が明確に示されている。
それにも拘らず、デフレを放置するグループの行動を甘んじて受けるかどうかは国民の選択である。
そのことを問いかけた著作でありました。 -
日本をダメにした六つの勢力
①「大蔵省/財務省」による「緊縮財政主義」
②「経済学者」による「新自由主義経済学イデオロギー」
③ウォール街・アメリカ政府等による「日本財布論」
④アメリカ政府による「ジャパン・バッシング」
⑤社会主義陣営(ソ連・中国政府)による「対日工作」
⑥以上①~⑤の勢力の諸活動を吸収した「マスメディア」
しかし、結局本当の犯人は、マスメディアに踊らされ、なんの反省もしようとしない国民自身。
道州制のデメリット
①国家レベルの財政政策や金融政策を行うことが難しくなる
②巨大災害に対して日本の国土が脆弱化する
③未来の成長を導く国土レベルの様々なプロジェクトが不能となる
④地域間格差を回復不能な水準に拡大する
⑤国民意識の希薄化をもたらす