疫病2020

著者 :
  • 産経新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784819113878

作品紹介・あらすじ

この"怪物"がすべてを暴いた――。

本書は「この星を支配し続ける人類を脅かす最大の敵はウイルスである」というノーベル生理学・医学賞受賞者ジョシュア・レダーバーグの言葉から始まる。

読み進むにつれ、読者の胸にその意味が迫ってくるだろう。武漢でいち早く“謎の肺炎"をキャッチした二人の医師の運命、翻弄される武漢市民、動き出す共産党の規律検査委員会、そして警察の公安部門。彼らはなぜ肺炎の発生を隠そうとしたのか。

筆者は現地の状況をつぶさに分析しながら、その秘密を暴いていく。武漢に派遣された現役の中国人医師が明かす医療最前線は驚愕の連続だった。暗中模索の中、信じられない方法で医師たちは謎の病と戦った。中国人を救った「5種類の薬品」とは何か。なぜ中国はこの病を克服できたのか。すべてが筆者のペンによって明らかにされていく。

一方、後手、後手にまわる日本と、いち早く的確な対策で国民の命を救った台湾――両者の根本姿勢の違いは、時間が経過するにつれ、信じがたい「差」となって現われてくる。官邸・厚労省はなぜ国民の期待を裏切ったのか。筆者は、政府の足枷となった2つの"障害物"の正体に淡々と迫る。

迷走する安倍政権は緊急経済対策でも国民の期待に応えられなかった。苛立った日本最大の圧力団体の“絶対権力者"が動き、あり得ない逆転劇が起こったことを日本のジャーナリズムは全く報じなかった。その裏舞台が初めて白日の下に晒される。

その時々の筆者自身のツイッターを散りばめ、読者を同じ時間にいざないながら謎を解いていく新しい形のノンフィクション。日本人はなぜこれほどの政策失敗の中でも生き抜くことができたのか。コロナ襲来の「現実」と未来への「教訓」にまで踏み込んだコロナ本の決定版。

●中国人現役医師が明かす驚愕の医療最前線
●中国人の命を救った「5つの薬品」
●武漢病毒研究所、恐るべき杜撰体質
●中国共産党員が解説する弾圧と隠蔽、全情報
●国民が知らなかった官邸・厚労省の裏切り
●総理も愕然、創価学会“絶対権力者"の逆襲
●危険すぎるトヨタの中国への技術供与

感想・レビュー・書評

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  • レビューを拝見して知った本です。ありがとうございます。

    週刊誌は最近全く読んでいませんが、今までに読んだ、コロナ関連の新書数冊より、週刊誌寄りの本の気がしました。
    ただ、2020年6月27日の刊なので、古い情報が多かったです。

    まず、中国に対する批判が多くを占めていました。
    中国政府の感染者の隠ぺいによって対応が遅れ感染が拡大していきました。
    日本の安倍政権の政策が「原発事故時の民主党政権と同じだ」と筆者は感じたそうです。
    中国からの入国禁止措置をもっと早い時点で採ることができていたら安倍首相は歴史に残る宰相となっていたであろうと述べています。
    中国から入国を禁止できなかったのは習近平国賓来日の問題があったが故だそうです。

    日本に比べて台湾の初動のの速さ、マスク在庫マップなどの対応は、台湾は民進党(緑)と国民党(青)が常に戦っている、支持者を納得させる政策がいつも求められている国だからだそうです。
    日本は”平和ボケ”している国。
    中国からの”入国制限”さえしていなかった。
    そしてまた「東京オリンピック・パラリンピック」によって、欧米からの入国禁止に踏み切れなかった日本。
    そのために、国内の感染者拡大を招いてしまった。

    それよりも、きちんと防疫をやっているからこそ、オリンピック・パラリンピックをやるという方が説得力があります。
    安部政権は「中止」でなく「延期」に持ち込みたかった。
    そして緊急事態宣言がやっと出ましたが、これをありがたく聞いていた私はバカだったのだと思い至りました。もはや遅かったのですね。

    このパンデミックで世界の均衡が初めてわかった気がしました。
    アベノマスクは多大な費用をかけた割にはほとんど役に立たなかったと思います。ネットの使えない老夫婦などを除いては。家庭に2枚の布マスクでは、何の役にも立ちません。枚数が少ないし、私の家では中国製の高い使い捨てマスクをネットで買ってしのぎました。

    そして最後に、日本は生半可なコロナウイルス対策が何であれ功を奏しているという奇妙な成功が述べられていますが、今、冬に向かってGOTOキャンペーンなどやりながら第3波がおしよせているので、この先はどうなるのかはまだわからないと思います。
    国民全員のワクチン接種が終わる前の「オリンピック・パラリンピック開催」は狂気の沙汰だと思います。

  • コロナ禍を時系列に整理ができました。初動につまづいたのは、習近平訪日とオリンピックを優先する思考にありますが、敵(=コロナ)の実力がわからないのにみくびり、威勢の良いことを言ってしまう(=コロナは風邪と同じ)日本人の習い性が大きいと感じました。リーダーに国民の命を守るという使命感が薄まっているのでしょう。思考停止のように棒立ちになっています。厚労省は元より省益しか無さそうです。第二波に際しても国会を閉じてしまう政治家。デジタル化の致命的な遅れ。この国の劣化を見させられるのは辛いことです。本書は取材が乏しく、既知の情報をまとめた体で、新しい知見はありませんでした。

  • 今回の新型コロナ騒動について、ノンフィクション作家の門田隆将氏が早期から中国発信のネット情報を拾い上げてTwitterで情報発信していたが、本書はその内容と経緯を一冊の本にまとめたものになる。

    ジャーナリストらしい嗅覚の良さで深刻になる前からTwitterという形でうまく噛んでいた。専門家ではないので、躊躇するところもあるかとは思うが、今回に関しては専門家が正しいのかどうかもよくわからない。情報や統計に関するセンスが非常に問われた事態だったと思う。

    中国陰謀説に関する言及にはもう少し公平さを感じさせる書き方もあるように思うが、中国政府の居丈高な対応と日本政府の無策さは十分わかる。アベノマスクやGoToキャンペーンは素人目にも底の浅い施策で、どうして止められないのか不思議でもある(止める方が簡単なようにさえ思う)。十万円給付の経緯(公明党の暗躍)も少し裏のところまで書かれている(十万円給付は、個人的には不必要な人にも手間をかけて配ることになり、反対ではある)。もちろん、欧州やアメリカがうまく対処できているわけでもないが、各国の特色があらためてよくわかる。
    著者が持ち上げる台湾の対処はやはり素晴らしいと思う。

    Twitterで上げた自身のつぶやきを軸に構成するというのは新しいスタイルで、いつでも有効かと言われるとそうではないと思うが、それはそれで新しいやり方だと思う。

  • 内容紹介 (Amazonより)

    この"怪物"がすべてを暴いた――。

    本書は「この星を支配し続ける人類を脅かす最大の敵はウイルスである」というノーベル生理学・医学賞受賞者ジョシュア・レダーバーグの言葉から始まる。

    読み進むにつれ、読者の胸にその意味が迫ってくるだろう。武漢でいち早く“謎の肺炎"をキャッチした二人の医師の運命、翻弄される武漢市民、動き出す共産党の規律検査委員会、そして警察の公安部門。彼らはなぜ肺炎の発生を隠そうとしたのか。

    筆者は現地の状況をつぶさに分析しながら、その秘密を暴いていく。武漢に派遣された現役の中国人医師が明かす医療最前線は驚愕の連続だった。暗中模索の中、信じられない方法で医師たちは謎の病と戦った。中国人を救った「5種類の薬品」とは何か。なぜ中国はこの病を克服できたのか。すべてが筆者のペンによって明らかにされていく。

    一方、後手、後手にまわる日本と、いち早く的確な対策で国民の命を救った台湾――両者の根本姿勢の違いは、時間が経過するにつれ、信じがたい「差」となって現われてくる。官邸・厚労省はなぜ国民の期待を裏切ったのか。筆者は、政府の足枷となった2つの"障害物"の正体に淡々と迫る。

    迷走する安倍政権は緊急経済対策でも国民の期待に応えられなかった。苛立った日本最大の圧力団体の“絶対権力者"が動き、あり得ない逆転劇が起こったことを日本のジャーナリズムは全く報じなかった。その裏舞台が初めて白日の下に晒される。

    その時々の筆者自身のツイッターを散りばめ、読者を同じ時間にいざないながら謎を解いていく新しい形のノンフィクション。日本人はなぜこれほどの政策失敗の中でも生き抜くことができたのか。コロナ襲来の「現実」と未来への「教訓」にまで踏み込んだコロナ本の決定版。

    ●中国人現役医師が明かす驚愕の医療最前線
    ●中国人の命を救った「5つの薬品」
    ●武漢病毒研究所、恐るべき杜撰体質
    ●中国共産党員が解説する弾圧と隠蔽、全情報
    ●国民が知らなかった官邸・厚労省の裏切り
    ●総理も愕然、創価学会“絶対権力者"の逆襲
    ●危険すぎるトヨタの中国への技術供




    著者の本は以前、『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』を読んで とてもよく調べてあり良かったので読んでみることに...
    当初、ネットでいろいろ検索して読んだことがある内容もあり 思い出しながら読みました。
    知らなかったことの方が多く とても勉強になりました。
    私はとても心配性の方なので 最悪なことを想定しがちです。それ以上は悪くならない、後は平行線か良くなるしかないところから出発しようと考えてしまう方です。
    だから、あの春節直前の頃は著者と同じように なぜ中国全土からの入国禁止措置を取らないのかと思っていました。
    読み終えて いろんなことが絡んでいるのだな...と思いましたが だから今こうなってしまっている、違う措置を取っていれば また違う今になっていたのだろうけど もう今となってはこれからどうなるのかと これからのことを考えるほかないのかと...
    たくさんの便利なモノが溢れていますが イヤな世の中になりつつあるようで不安ですね...
    読み終えて 中国に対する見方が少し変わりました。

  • ジャンル「医学」というより「ノンフィクション」かなと思いましたが、タイトルからそして読了後内容もやはり医学メインかなと感じました。

    著者的には都度発信していったツイートによる啓発が本書のキモの一つだったと思いますが、私にはちょっとそれは鬱陶しかったです。
    「その時僕はこう言った」と、言うのはそれが啓発であってもツイートである以上一個人の意見であって世論や、ましてや政府を動かす何かになるとは私には思えないからです。

    しかし本書には知りたいことがかなり書かれていました。
    コロナ禍が始まってからの一年数ヵ月の間いろいろもやもやしていてものの一部が本書によって理解することが出来た気がします。特に6章、7章、11章は目を皿にして読みました。恐ろしい。
    知らないことがたくさんあり過ぎ。もちろんここに書かれていることが全て事実で全てその通りと言うことはないだろうとは多分に思ってはいますがそれでも十分に恐ろしい内容でした。
    日本に生きるということ、世界を見る時どういう点を注視したら良いのか、など考えさせられました。

    本書の内容である当時からちょうど一年たった今、まさか当時よりも深刻な状況に日本がなっているとまではこの時はさすがに誰も思わなかったのではないでしょうか。
    菅政権に移ってからの「疫病」第二段はあるのかないのか。是非だしていただきたいです。
    これからの何時になるか全くわからないコロナ禍の収束を迎えた時に、この本に書かれたことは改めて振り返られるべき記録だと思います。

  • 疫病2020
    まぁよくもコレだけ情報を集めたもんだと思います。コロナウイルスが取り沙汰され始めた頃、世界中の誰もこんな事になるなんて想像していなかったでしょう。それでも危機管理意識が有ったか無かったかで、こうも違うもんかと思い知らされた。何で台湾みたいに出来なかった?色々と事情があるのは分かる。けれど日本の政府がここまでダメだなんて思いもよらんかった…正直そんな気持ちでした。だから大東亜戦争当時の政府や軍部がどれ程ダメだったか…もよく分かった気がする。これではアカンよね!誰もがそう思ったろ、誰もがそう感じたよね。だからこそ、知る必要があると思う。何がどんな風に起こってどう進んだのか。しっかり知って置いて知識として蓄積しておく事。その為にはとても良い書籍でした。中国で何が起こっていたのか/台湾の動き/国内の動静…どれも興味深かった。「武官病毒研究所」からの各章は衝撃的でした。中国という国に憤りも覚えるが、中国的思考にも驚きを感じた。確かに理解できなくもない…スゲェ面白かったです。でもこれから何を準備して、どう行動していく必要があるのか…考える指標にもなった。良い本読んだ。そう思う。

  • 2020年1月から5月にかけての記録。武漢でのパンデミック拡大→都市封鎖から始まり、欧米各国が様々な措置をとるなかで迷走を続けた日本政府の無策っぷり。にもかかわらず、その後の国民総自粛によって日本のコロナ管理が欧米諸国とは比較ならない大成功を収めている状況までを時系列で整理している。

    後半に出てくる中国の状況の紹介が興味深い。コロナが契機となり、完全な監視社会が完成し、市民たちは諦めを含めて許容しているという。また、米国に対する反発心や、中国に対する愛国心はむしろ強まっているという。

    この本が書かれたのは5月末、出版されたのは6月末。そこからわずか数ヶ月でコロナの状況はさらに変化している。ドイツを筆頭に欧州の押さえ込みがある程度すすむ中で米国では抑制が効かず、BLM運動の余波としての暴動略奪も発生。冬を迎えたオーストラリアで再び厳格なロックダウンが実施されている。そして、コロナに対する考え方の違いは、人々の宗教政治信条にも影響を与え、社会の分断が顕在化している地域や国もある。

    経済活動や社会活動あり方が根本的に変わっていく中で、コロナという疾病管理だけではなく、もしかすると国と国の関係性も大きく動くことになりそうだ。だからこそ「日本の国家としての舵取りは大丈夫かよ!」というのが著者のメッセージ。ページは割かれていないが「日本はアメリカと中国の間で、どのあたりの立ち位置を確保するべきか」という大きな命題を突きつける。

    本としてはまとまりがなく終わるけれど、2020年夏を象徴する読書だった。(10連休初日に葉山で読了。)



  • 本書の出版は6/27。脱稿から出版までどのくらいの日数を要するのかは素人には不明だが、巻末の年表は5/31まで。
    それを思うと、著者の圧倒的なスピード感と取材力に改めて驚愕する。さすがは週刊誌の元記者。
    出版から既に半年近く経過しているが、知らなかったが実はこうであったのか、見える人にはこのように現実が見えていたのかと、当時を振り返りつつ読んだ。
    2020年も年末近くになっても新型コロナは一向に収束する気配はない。疫病2021になるのは極めて残念だが、それはそれとして第2弾を読んでみたい。

  • 「死の淵を見た男」同様、豊富な取材に基づく読み応えある内容。新型コロナに対する日本政府の対応が余りにも薄く「何故何もしないのか」と日々苛つかされていた2020年1Q当時に推察していた要因(対応の中心たる厚労省の役人達は有事の経験が無く動けない・安倍総理の取巻き補佐官も現場感なくズレている等々)は、「やっぱりね」であった(木村もりよ氏談他)。その他、武漢病毒研究所やP4ラボの話を読むと、トランプさんが"China Virus"と呼んでた事を笑えなくなって来たり、国の対応成功例としてよく挙げられる台湾との違いや、最初にSNSで警鐘を鳴らしあらゆる意味で犠牲になった武漢の医師と中国共産党の動きなど、色々教えられる事が多く読んで良かった。

  • 非常に内容の濃い本です。世界中を震撼させているコロナ禍について、中国・武漢から発生した1年近く前から約半年間の2020年5月末までの、世界そして日本の対応についてがかなり詳細に記されています。ツイッターの抜粋も、当時の危機感や緊張感が伝わりました。特に日本と中国・アメリカ・台湾などの国と国家間の状況が詳細に描かれていたのがよかったです。日本の政治的判断不足/施策混乱、中国では習近平体制強化となることと言及されています。本当だと恐ろしい。注目していきたいです。

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著者プロフィール

作家、ジャーナリスト。1958年、高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、新潮社入社。『週刊新潮』編集部記者、デスク、次長、副部長を経て2008年独立。『この命、義に捧ぐ─台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社、後に角川文庫)で第19回山本七平賞受賞。主な著書に『死の淵を見た男─吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫)、『日本、遥かなり─エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」』(PHP研究所)、『なぜ君は絶望と闘えたのか─本村洋の3300日』(新潮文庫)、『甲子園への遺言』(講談社文庫)、『汝、ふたつの故国に殉ず』(KADOKAWA)、『疫病2020』『新聞という病』(ともに産経新聞出版)、『新・階級闘争論』(ワック)など。

「2022年 『“安倍後”を襲う日本という病 マスコミと警察の劣化、極まれり!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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