ホンダ イノベーションの神髄

著者 :
  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822231439

感想・レビュー・書評

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  • イノベーションを成功させるためには、時間がかかる。
    長い時間ぶれずにやるためには、強い気持ちが必要になる。
    製品が出せても、世に浸透させる品質のためには、全てを深くやりきる必要がある。

    ただこれはデジタル領域では、一つプラスがある気がする。

    まず最初に出す。
    早く出して世に問う。

    その上で、本当の成功までじりじりと詰めていくのだと思う。

    (以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
    ○他社の話なんて聞きたくない。それは相対的な話にすぎない。あんたは今、ホンダの安全の方向性を決めているんだ。そのときになぜ他社の顔色を見るのか。なぜ自分たちがこうなりたいと、絶対的な価値を言えないのか(P.23)
    ●実はもう一つ、ホンダ流イノベーションの必須条件がある。技術者が高い志と強い想いを持つことだ。ホンダでは、技術者個人の自由と裁量に任されている領域が広い。技術者のやる気がなくなったら、いくら本質に根差した哲学があり、イノベーションの加速装置を備えていても全く役に立たない。(中略)だから、経営者や役員は、人づくりのために時間の三~四割を使う必要がある。(P.59)
    ○一週間や二週間で集めた資料が本質を議論する際に役立つわけがない。それよりも実際の体験を通じて身に付けた知識や、その人の価値観/人生観の方がはるかに重要になる。(P.69)
    ○「何でこんなに当たり前のことを延々と話すのだろうか」と思った瞬間、ハッと気付いた。「当たり前のことを徹底してやる」ことが本質だ、と。(P.161)
    ○40%の力があれば任す(P.202)
    ○思い付ける故障は必ず起こる(P.249)

  • 筆者の熱量が伝わってくると著書だった
    イノベーションとオベレーションを明確に分ける
    イノベーションは全体の5%で良い
    最後は情熱思い

    著者の思い込みが激しいと感じる部分もあった

  • イノベーションの型がホンダから見える。
    エアバッグ開発の歴史から哲学を本質を読み解く。
    熟慮の先となる役員議論の攻防がすさまじく、
    いかに止揚を超えた次元の世界で考えているかが見える。
    イノベーションの言語化に成功しており、
    何をすればいいのかホンダの企業文化からヒントならぬ答えが見える。
    たしかにこれは凡人でもスキルとしてイノベーティブに考えることができるなと納得。
    ただ、バカヤロー精神なので覚悟次第。

  • 面白かった。
    最初はおっちゃんが悪態ついてるだけのように思えたけど笑
    まぁ若者の気持ちを代弁してくれてると思えば良い気持ちいいかも。

    オペレーションとイノベーションは全く異なるもの。今の会社のトップの方々はオペレーションでのし上がってきた人たち。故に失敗することがほぼ当たり前のイノベーションには消極的。
    口ではイノベーションって謳うけど、、、

    やりたいことができる会社っていうのはそもそもそういう社風なんだろう。
    自分がやりたいことをやるには自分で企業するのが今の時代近道なのかもしれない。ハードルも低いのではないだろうか。

    以下、印象的なシーン
    1. 何度も感謝の言葉を受けた。〜技術者冥利に尽きるとはこのことだ。
    →やっぱ誰かに感謝される仕事って幸福度高いよなぁ。

    2. 食塩水の濃度を5秒で解くテクニックについて。
     天秤を使った考え方。
    →これ初めて知ったかも。小学生の算数の問題が1番難しいかもしれない。ここで言いたいのはコンセプトとアプローチがイノベーションには重要ということ(みたい)

    3. 完璧な技術、製品はなく問題は必ずある
    →「あなたたちのシステムの問題点は何ですか」
    これを発注先のエンジニアさんに聞いてみよう。
    きっと嫌われる笑
    ただここでちゃんと答えてくれる人は信頼に値するのかもしれない。
    もっと言えば今後どうやって改善していくかを計画しているなら最高。

    4. 心の中で「あなただからできなかったんだ。私なら絶対にやってみせるぞ」
    →自分に言い聞かせます。

  • 技術開発プロジェクトの立ち上げでとても参考になる。30年前と今でホンダもすっかり変わってしまったと言う人がいるのもよく分かった。

  • ホンダでエアバッグを開発し経営企画部長になった著者がイノベーションを起こすためのキモをまとめた本。
    ホンダの文化、本田宗一郎をオヤジと呼んで親しんでいる様子が良く分かる。
    エンジニアを勇気づける言葉が多いが、マネジメント系の人とはぶつかるだろうな、という価値観。
    野中郁次郎先生も絡んでいると後書きにあり納得した。

    [more]

    ホンダの企業文化
    ・天才ではない普通の人がイノベーションを達成することに主眼。
    ・高い自由度、熱い議論(ワイガヤ)、本質的な高い志(絶対価値、A00)
    ・本田宗一郎=おやじ
    ・おやじ「無駄なヤツは一人もいない。皆に得手をやれせれば本人は幸せ」
     B,C級はでてけというマネジメントとは異なる。
    ・ホンダは利益を結果と考える。目的は新しい価値を顧客に提供すること。
    ・「二階に上げられてはしごを外された」がホンダでは良くある。でも決して切り捨てられない。任せた以上口を出さない。支援しない。
    ・技術的な課題を相談すると、「ラッキーな技術者だ」と。超えればライバルを超え、お客様も喜びホンダも儲かる。三方一両得だ、と。おそらくおやじの言葉。
    ・誠実さという武器。根回しより技術者が直接話しをする説得もある。
    ・社員が5万人になったときの社長は「上から改革は無理だからやらない。変革に成功する部や課をつくる。周りはそれを見て変わっていく。」

    目標設定
    ・考え抜くことは大切。最初にボタンをかけ間違えると以降の開発が水泡に帰す。
    ・5秒で答えて下さい。1.あなたの会社・組織の存在意義は?2.愛とは何か?3.あなたの人生の目的は何か?
    ・A00:本質的な目標。在りたい姿、夢。これ以上細分化すると手段になるギリギリ直前。
     チェック項目=一般論でないか、手段に陥ってないか、絶対価値を実現できるか、一言で説明できるか、自分らしさ・自社らしさがあるか、挑戦的か
    ・コンセプト:お客様の価値観に基づきユニークな視点で捉えた物事の本質
    ・コンセプトを心から信じる想いがイノベーションを推し進める原動力。執行業務(オペレーション)との最大の違い。
    ・議論は無駄ではない。しっかりと言葉に落とし込まないと後に行き当たりばったりになる。
    ・価値技術マップ:価値観と技術を1枚にまとめる。全体像把握、未来の進化を考えるのに役立つ。
     技術的な裏付けがなくてもマップ上に置く。


    イノベーション
    ・社内で常に反対される。
    ・40歳以上の人は向いていない。頭が固くなる。
     可能性を見抜くイノベーションマネジメントに徹する。
     それには若い人との対話で答えと目を見る。
    ・論理は通用しない。効率化はできない。成功確率を上げられるだけ。
    ・絶対価値が必要。他社との比較ではない。
    ・相手が誰であれ自分がやっていることのためにはケンカをいとわず。
    ・技術者のやる気が大事。叱咤激励するのは経営陣の役目。
    ・なぜエアバッグ開発が成功したか。諦めなかったから。くじけない心を持つ。何度もやめろと言われた。
    ・企業業務は、オペレーション(執行)とイノベーション(創造)に分かれる。比率としては95%と5%。成功率も100%目標と1割程度と大きく異なる。
     オペレーションの価値観ではイノベーションは効率が悪いから止めろという判断になる。

    技術者
    ・報告で最悪なのは「それで?」と言われること。熟慮されていないと判断された意味。
    ・評論家は別にして、技術開発者は理想に固執してはならない。現実を踏まえて一歩ずつ前進。
    ・上司に言われたことをそのままやるだけならだめ。自分の判断もはいらないと。
     「あなたの助言のここに可能性があると思ってやってみたがうまくいきませんでした」なら良い。

    バカヤローな人たち
    ・役員はdirector。方向を決めること。でも情報集めばかりで判断先延ばし、後から逃げる。バカヤロー。
    ・何の疑問も持たず現実的な技術を志向する人たちを説得することは不可能。下手に正論を言うな。かえって馬鹿にされるだけ。しかし、バカヤロー。

  • 武沢氏の本を読んでホンダに興味でたので購入。アツい!!イノベーションしたくなる(?)こと請け負いのすばらしい一冊でした。イノベーションを生み出す組織となるための仕掛けは多々あれど、最後は「考え抜く」「熱意」「根性」みたいな、人間力勝負的な結論になっているところがとても好きでした。二度読みしたい本。

  • ホンダは創業者が熱い天才だったので、いかにそのDNAを引き継ぐかを工夫されている。イノベーションを大切にしておるそんな会社でも筆者の取り組んだエアーバックは苦労の連続だったようです。そんな事例の取り組みが満載されている。
    著者の切り口は、オペレーションとイノベーションに分けた際のイノベーションを貫きオペレーションに新しい価値を届ける困難の大きさ、しかしやりようによっては実現できる勇気を与えてくれる。ものづくりを経験した人なら大抵想像できる。

    ホンダは、
    開発がブレないように基本構想をA00と呼ばれる文章に集約された本質的な目標を定義する。いつ何時もA00に立ち帰れる様になっている。別の会社では、目標に指標がいつしか利益に変わることで色々な社会問題となっている。まさに他社はCSRで補強しないと横にそれるがホンダはA00がしっかり議論されていれが同じ様なことが起きない。

    本田宗一郎の「理念、哲学なき行動は凶器である。行動なき理念は無価値である。」に基づき哲学を大切にされている。

    三現主義(現場、現物、現実)で本質を見失わないような社風は保たれている。

    近江商人の三方良しの技術者版ともいう3つの喜びなるものがある。「作って喜び、売って喜び、買って喜ぶ」また、人間尊重に基づき議論がしやすい環境をある。「自律、平等、信頼」である。

  • 2016 12 24
    オペレーションとイノベーション。イノベーションに何が大切か?

  • ホンダの企業文化を知った。イノベーションはコンセプトで決まる。コンセプトとは、本質である。本質をワイガヤなどの議論やあらゆる思考で突き詰めることこそが重要なのである。そして最後は、情熱だ。情熱さえあれば、誰でもできる。

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著者プロフィール

1937年東京に生まれる、元明治大学文学部教授、文学博士。2006年11月5日逝去。明治大学考古学博物館館長、日本考古学協会副会長などを歴任。

「2013年 『古墳から寺院へ 関東の7世紀を考える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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