- Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822244576
感想・レビュー・書評
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米国株式を中心とした株式市場の歴史、その渦中にいた投資家達の行動と、投資からのリターンについて、重要な要素や誤り、税制度などを解説される。そして今後は、グローバル市場へ見方を変えていくことが重要であるという流れになっている。
長期投資について、新たな選択肢を見つけたい方にピッタリなものではないだろうか。
株式投資の歴史から、事実を基にして、これまでどういった銘柄が投資家にとって大きなリターンを与えてきたのか。それは多くの投資家が見落としてきた事実によって答え合わせがされる。時代の流れの中で、もてはやされたテクノロジーや夢のような技術は過大評価される銘柄を生む。決してその技術をバカにするわけでもなければ、否定するわけでもない。しかし投資という観点から見ると、常に人々の期待は過大であり行き過ぎる傾向がある。いずれ技術の進歩が株価に追いつくことはあるが、それではリターンは期待できない。
強調して語られることの一つに『成長の罠』がある。目の前にある現象に惑わされてはいけない。『成長の罠』という言葉で説明されている。魔法にかかっていた多くの投資家は、驚くべきは事実に気づくのは後になってからだ。企業の増益率そのものではなく、我々投資家が見るべきは、期待に対して増益率はどうであったか、という部分である。
また、現在の企業は配当を軽視している。そこにはストックオプションの制度や、インサイダーが儲ける為の仕組みが見え隠れする。配当が行われない以上は、インカムゲインよりキャピタルゲインが重要視され、そこにストックオプションを利用する動機が生まれる。そこに株主の利益は無く、オプション行使による希薄化による損失が存在する。また、現在のストックオプションが生む複雑な会計上の決まりごとは、あまり詳しくないが、何かと計上について問題が山積している状態だということがわかる。追加で今の日本の法律も調べなくてはならない。
私がこの本から感じたことは”時代が変わりつつあることに動揺してはならない”ということだ。投資の世界は株式だけでも無限大であり、日本、アメリカ、中国だけではないことを再認識させられる。高齢化社会に突入していく、これまで先進国として世界をリードしてきた国々は、これからどのようにして問題を解決するのだろうか。その答えは、これから大きな経済成長を迎えるであろう、若き成長国との関わりの中で模索されていくに違いない。
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・投資家はハイテク銘柄をはじめ新興銘柄を過大評価し、話題性のない業界の銘柄を無視する傾向がある
・実際は新興企業より老舗銘柄の方がリターンが高い
・配当を再投資する。配当利回りが高いポートフォリオのリターンは高い
・リターンと時価総額の混同している投資家が多い。短期的に見れば密接に連動しているが、長期的には相関性はずっと弱くなる。長期投資からの立場では、リターンの源泉は配当である
・良い業界は二つの業界が大半を占める。誰もが知っている消費者ブランドを持つ生活必需品メーカーと、誰でも知っている大手の製薬会社
・運用成績上位グループには、強力なブランドを持つ企業が多い
・強力なブランドを持つ生活必需品メーカーについで、医薬品会社も多い。ヘルスケア会社。
・成長期待が高い銘柄は株価も高くなる
・株式の長期的なリターンは増益率そのものではなく、実際の増益率と投資家の期待との格差で決まる
・つまり投資家の期待以上に成長する銘柄を見つけることが大事。期待度を図る最良の指標は株価収益率(PER)である
・ハイテク銘柄と電気通信銘柄で、際立ったリターンをもたらしたものは一つもない
・ハイテク銘柄は手を出したくなるほどいい数値があるが、手を出してはいけない
・PERは20倍から30倍までが妥当。ただし新顔に心を奪われてはいけない
・運用成績が際立って高い企業はたいてい
① PERが市場平均をわずかに上回る程度で
② 配当利回りが市場平均並みで、ただし、
③ 長期的な増益率が市場平均を大幅に上回っている。
運用成績上位20銘柄のPERは最高でも27倍。
・長期投資家にとって、なるべく成長率の高いセクターを求める戦略は間違い。
金融銘柄のリターンは平均を下回り、エネルギー銘柄のリターンは、同じ期間、平均を上回っている
・新興企業は、実質的にどのセクターでも、投資家に過大評価されている
・生活必需品は景気に左右されにくい。食品、飲料、タバコ、石鹸、バス・トイレ用品、日用雑貨
・一般消費財、可処分所得に左右される。自動車、外食、百貨店、娯楽などがこちらに含まれる
・生活必需品のリターンは、安定性が際立って高い。一般消費財セクターは、変動の激しさが特徴
・低迷する鉄道業界は、航空業界やトラック業界だけではなく、平均をも上回っている。それは期待が低いから
・長期的に低迷する業界は時に、株主に際立ったリターンをもたらす
・長期的な勝ち組セクター3つ
ヘルスケア、生活必需品、エネルギー
・バブルをバブルと見極めたら、まず脇に退いて、それにかかわる企業や業界から手を引く。おそらく、暴落するまでにはまだ値上がりするかもしれないが、最終的にはうまく売り抜いたといわれる
・「買った株に惚れるな」投資家は常に客観的でなければならない。一度買った株でも、株価が高すぎると判断すれば、さっさと売る
・時価総額が大きく、知名度の低い銘柄は注意。バブルではほとんど誰も知らないような会社に、とんでもない高値がつくことがある
・三ケタのPERは避ける
・上昇した原因、下落した原因を突き止める。特に理由なく上昇したなら、特に理由なく下落する。
・大成功する勝者もたまにはいるが、IPO投資家の運用成績は全体に、平均を下回っている
・設備投資に熱心な企業が、投資家にもたらすリターンは低い
・「やるべきことのリストがあるだろうか。それだけではなく、止めるべきことのリストも作っているだろうか。飛躍を導いた指導者は、「やるべきこと」のリストと変わらないほど、「止めるべきこと」のリストを活用している。無意味なことをあらゆる種類にわたって止める点で、驚くほどの規律を示している」
・航空業界には絶対に投資はしない。バフェットもそう誓っている。航空業界には投資をしたくなる魔力があるため、踏みとどまることが大切。
・会社の金庫に現金がうなっているのは、ポケットに金がうなっているのと一緒。株価が一株当たり現預金を下回っている企業などは要注意。本来の企業ならば、配当にまわすべき。
・リターンを増幅する条件二つは、配当が支払われていること、増益率が期待を上回ること、の二点
・自社株買いは配当支払いほどあてにならないことが多い
・高齢化の時代ということを考える。穴埋めしてくれるのは中国インドなどの新興国
・人気銘柄、IPO銘柄は避ける。個別銘柄であれ業界であれ、市場の大勢が「絶対に買い」とみているうちは買わない
・ヘルスケア業界は今後伸びてくる -
目前に迫った高齢化の波に対して投資のアプローチを解説した本。
人気の成長株ではなく、時に価値を裏打ちされた割安株を狙う。 -
豊富なデータに基づいた投資戦略を提示してくれて非常に参考になった。
インデックスファンドをコア(約50%)に据えて、高配当の個別銘柄等をサブに据える戦略は当面投資戦略の指針としたい。 -
敗者のゲームやウォール街のランダムウォークとならんで、圧倒的名著。敗者のゲームやウォール街のランダムウォークを読み、インデックス投資への基礎の考え方をベースにもった上で、本書を読むと、さらなる、発見、理解が得られるように思う。成長の罠がどの程度影響するのか、インデックスを超えるリターンを狙える可能性など。基礎の書籍として、とても名著だと思う。
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『#株式投資の未来』
ほぼ日書評 Day387
バフェットの投資哲学は割安と信じる株を長期保有すること…とのことだが、その正当性を理論的に解説する。
成長銘柄は、買う(多くの人にとってはIPO)時点で過大評価(PER3桁超)されており、長期保有した際のリターンは「斜陽産業」に満たない…というのが本書のテーマ。
長期的にみた場合、航空業界よりも鉄道の方が、あるいはITよりもCPGの方がリターンに優れるという事例が語られる。
リターン比較の前提が、配当をすべて再投資したらという「複利」前提になっているところは、注意を要するところ。米国税制改定の記載はあるが、日本も同様の問題を抱えている。
また、配当が支払われていればキャッシュが回っている証拠という論については、この時期、タコが脚食う的な投資案件もあったことを思い出しておこう。
このように今の目で見れば多少のツッコミ余地はあるものの、全体的には納得感の多い内容。原著2005年の本のため、2000年前後のITバブルまでがスタディの対象になっているのだが、その後はどうなっているのか?というのは普通に沸き起こる疑問だろう。
試しに、最も価値を落としていそうなフィリップモリス(煙草の)の株価を調べてみた。
本書では、2003年まで不沈ありながら安定した株価の伸びを見せているとされながら、その間での最高値は60ドルに届くか届かぬか。
それが昨日の終値が90.78とは!驚き以外の何者でもない(単位株の見直し等が行われていないかの確認はしていません、悪しからず)。
終盤における近未来予測。
「近い将来、あらゆる検索エンジンが音声操作になり(…)どんな質問にも答えられる設計になるだろう。こうした多機能エンジンが(…)今の携帯電話位のサイズの装置に盛り込まれる(…)世界中の言語が、一瞬にしてなめらかに翻訳され、言語はもはや国際通信の障害ではなくなる」
繰り返すが、iPhone以前の著書だ。あえて減点要素を探すとすればレコメンド機能に関する言及がないことくらいか。
最後に、米国株が1929年9月3日の最高値を上回ったのは25年後の1954年11月24日だったという。
翻って我が国は、失われた20年というような表現があるが、実はドルベースでは株価の最高値を取り戻している。1989.12.29最高値38915を当時のドル円140円で割り戻すと277ドル、現在の27620を109円なら271ドルだ。売国的政権が続き、震災もあり、ここまで政治的な混迷を極めた時期においても、株式投資のリスクは四半世紀単位では小さいということは、改めて認識しておきたい。
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まったく内容覚えてない…
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今をときめく成長株を買うよりも長期で淡々と利益を上げ続ける株を持った方が最終的な利益が得られることを学びました。まだ全部読みきってないのでまた借りる予定。
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投資の基本が書かれた素晴らしい本と思う。とっつきが難しい米国株投資についても理解が深まった。GAFAS成長神話が浸透している今読むと色々気づきが多く米国株投資を今後考える人にはおすすめをしたい。
ジェレミー・シーゲルの作品
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