コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった

制作 : 村井 章子 
  • 日経BP社
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レビュー : 129
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822245641

作品紹介・あらすじ

コンテナ船を発明したのは、トラック運送業者マルコム・マクリーン。その果敢な挑戦を軸に、世界経済を一変させた知られざる物流の歴史を明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 世界の物流を支える「コンテナ」はどのような経緯で発明され、普及したのか。一人の企業家のアイディアが、利害関係者間の泥沼のような抗争の果てにイノベーションとして結実するまでの壮絶かつ壮大な物語。

    コンテナ登場以前の海運業は、様々な形状の貨物の荷積みや荷卸しといった労働集約業務がボトルネックとなり、コストが高止まりしていた。そこに目をつけた一人の企業家が、同じサイズの箱に詰めて人の手を介さずに運ぶという画期的なアイディアを思いつくが、労組の反対、行政による規制の壁、同業他社や異業種との争い等、様々な難問に行手を阻まれる。

    それでもコンテナによる物流の自動化と標準化は、関係者の努力に加え、規模の経済性という市場の論理も相まって海運・港湾事業の構造を一変させ、最終的には鉄道やトラック運送も巻き込み、グローバルなサプライチェーンを実現することになる。単なる物流オペレーション改革の歴史に留まらず、マクロ経済、グローバリゼーション、労働争議、経営戦略論、組織行動学など、実に多くの経営的要素を含んだ、読み応えのある良書。

  • コンテナ型仮想化の話ではなく、主役は鉄の箱なコンテナ(-_-)

    ほんの50年ほど前まで、港の荷物の揚げ降ろしは、穀物の入った袋もあれば酒ビンも、てことで、基本マッチョな人海戦術。輸送コストがハンパないので、製造業の工場は港の近く、消費地と生産地の距離がそのまま参入障壁な世の中やったそう。

    紆余曲折ありながら、そんな世界にコンテナな物流システムを導入した皆さんのおかげで、ジャスト・イン・タイムでグローバルなサプライチェーンがやってきたYO!、という一見地味やけど実は相当なイノベーションだったんですよ奥さん、てお話。

    とまあ面白い本やったけど、コンテナの台頭で職を奪われた港湾の荷役労働者、コモディティ化に耐えられず倒産した海運会社、と華々しい躍進の影の部分についてもきっちり章を割いてたのが、個人的には一番良かった。

  • コンテナといえば貨物列車程度の知識でしたが読書後にはコンテナ船見に行きたい気持ちにアップデート
    コンテナによって巨大なサプライチェーンが生まれて消費者はハッピー、でも運送業者も荷主も行政も世界中の競合や景気に振り回されて辛いが不可逆だよねなオチ。現在のコンテナ船の大手がコンテナのイノベーションを起こした会社ではなく運が良く社会環境として最適なタイミング(燃料費、建造費が安い)よく投資した会社(ever green,マークス)だったのも皮肉。

    本書は2007年なのでランキングとかは少し古いが、2003年のコンテナ貨物利用量のランキングだと東京は18位だったが、2017年では29位。東京も取扱量を1.5倍とかにして設備の限界まで頑張っているが中国が伸びすぎで辛い問題。上海とか4倍になってるし…

  • コンテナってぼんやりとしたものとしか考えていなかったが、こんなに歴史があり様々な人の試行錯誤があったのかと驚かされる。コストを下げる事の重要性がよくわかった。

  •  コンテナ自体よりも、コンテナを含む最適化された運送の体系、「システム」を確立することが難しかったことがよく分かった。そして、いったんシステムが作られた後の、不可避な全体の移行の様子がよく説明されていた。
     沖仲仕の労働組合ごとの、機械化への対応の違いが興味深かった。西海岸では強力なリーダーにより早々に機械の導入が決められたが、東海岸では港ごとに意見が相違して時間がかかった。しかし結果的に労働者の得た補償は東海岸の方が多くなったようだ。このことをもって経済的発展と個々の労働者の利益は必ずしも一致しないと言えるだろうか?西海岸の労働者の方が、未来のない職業から早期に足を洗って次の職業につくチャンスを得たのだとすれば、そうは言い切れないだろう。

  • この世界は、あらゆるものが「機能している」という前提で回っている。その一つがコンテナによる物流である。コンテナは、今日我々の生活を支えている最も大きな要素だといっても過言ではないだろう。もしコンテナが存在しなければ、日本人の6割は餓死する。

    本書は、そんなコンテナがどのように生み出され、普及していったのかを描いている。最初に海上輸送においてコンテナを用いることを考え出したのは、アメリカでトラック運送会社を経営していたマルコム・マクリーンという人物だ。

    戦後、マクリーンは、軍からただ同然で買える船に目をつけた。当時、ハイウェイの渋滞がひどくなっていたこともあり、マクリーンは、海上輸送に価値を感じたのだ。最初は、トレーラーごと船に載せて運んでいたが、しばらくして、トレーラー上の箱だけ分離して、重ねて載せれば、もっと効率が良くなることに気付いた。これが現在のコンテナ輸送の原点だ。

    コンテナの大きさがバラバラだと、載せるときに不便だ。そこで、アメリカでは、1958年から1961年にかけて、コンテナの規格化がなされた。その後、ISOによって国際的な規格化がなされた。

    コンテナが爆発的に普及した理由は、海上運賃の安さだ。コンテナの積み下ろしがクレーンで行われるようになると、港湾労働者は不要になり、それだけ人件費が不要になる。また、乗組員も数多く要らない。

    このようにして、コンテナは広まっていき、海上輸送を大きく変えた。その凄まじさや石油価格高騰という不運によって、コンテナ生みの親のマルコム・マクリーンの会社までもが倒産してしまった。そしてその凄まじさは、今日も衰退の兆しを見せない。

    コンテナなくして、今の世界は存在しえない。コンテナがなければ中国の経済成長はなかっただろうし、日本人の多くが農業・畜産業に携わっていたかもしれない。コンテナ、それはただの鉄の箱なのだが、世界を変えるとんでもない力を秘めていたのだ。

    (ブログより転載)

  • 読み終わるとついついコンテナトラックに目が行きます。
    コンテナを最初に思い付いたのは、トラックを船に乗せようとしたトラック会社の人。

  • 映画「タイタニック」の始まりの画を思い出しました。昔は船荷の積み下ろしを人がやっていたんですよね。今はコンテナになって自然な変化に感じますが、よくよく考えると革命的変化なんだ〜と云うことを、詳しくお話した本です。いろんな利害関係で思うように進まない様子など、導入までのプロセスを教えてくれます。面白いテーマだったけど、ちょっと長いかな?と感じました。「ザ・ゴール」のように、物語風に作られていたらもっと面白く感じたのではないかと思います。

  • 伝統的に軽視されがちで一見地味あるが、実はものすごく重要で世の中に大きな影響を与えるものとして、「ロジスティクス」いわゆる物流があると思う。幾多の戦場で勝敗を決する重要な要因となり、ときに国家や企業の競争力を決定的に左右する要因となるこの概念が、20世紀後半に劇的に変わった要因が、まさに本書の主題である「コンテナ」だろう。
    翻訳ものなので、特有の違和感がないとは言えないが、それを補って余りあるダイナミックな物語に引き込まれて、次々と読み進めてしまった。

  • 現代の大量生産、大量消費の社会を支える要素の一つにコンテナという存在がある事や実感した。
    日本の高度経済成長を支えた工業製品の輸出を行う事ができたのも、コンテナの普及で運送コストが劇的に低下した事を考えるとコンテナ様様だと思う。
    しかし、逆に日本国内の工場が海外に転移した要因もコンテナにあると思うので、難しい。

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