もう、国には頼らない。 (NB Online book)

著者 :
  • 日経BP
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822245887

感想・レビュー・書評

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  • ワタミといえば、居酒屋を思い浮かべるが、介護や弁当宅配をやっており、
    自社(生協)とかぶるところがあって興味味を持っていた。
    CSRレポートを見る機会があったので、さらに興味をもち、
    ちょっとワタミというか、渡邉美樹の本を読んでみようと思い、適当にアマゾンで注文した。
    結果、「もう、国には頼らない」は今年読んだ本の中で、最も興味をひいたものの一つとなった。

    本書には、弁当の宅配は出てこないが、これは高齢者向けの
    福祉分野に属するような事業である。
    また、介護保険の制度そのものがもうかるようにはできておらず、
    私の勤め先でも事業として成り立たせるのに大変な努力をしている。
    そんなものに、なぜ居酒屋の経営者がわざわざ参入するのか?

    ワタミはこのほかに、学校経営、病院経営、農業にも取り組んでいることが、本書で紹介されている。
    いずれも、「官」との関係が密接で、上手くいっていない分野だ。
    ひょんなことから、渡邉氏はそれらの経営にかかわるようになる。
    事業のつまずきを分析すると、いずれにも「経営」の視点がないことに驚く。
    「官」の呪縛のあるところ、「顧客」をわすれ、「なんのために」といった
    「成果」や「目的」を明確にした「経営」の視点が失われる。
    その結末が、事業の破たんとそこで働くものの人間性の喪失だ。

    効率を優先するあまり、大型の食洗機のようなもので入浴をさせる
    介護施設。おそらくそのことに違和感を覚えないまでに、働くものの
    人間性も壊されているのだと思う。

    渡邉社長の言ってることは、ドラッカーに通じるものがあると感じた。
    「顧客」を中心にすべてのことを考える。甲子園出場や東大合格など、
    目標を明確にすることで生徒の力を引き出す。
    非営利組織において「マネジメント」すること、などなど。
    ワタミが切り出したイノベーションで、世の中が変わるかもしれないと感じ、
    こちらも勇気をもらった。

  • 1

  • タイトルどおり「国に頼らなくても結構やっていけるよ。逆に規制が多すぎて非効率になってるよ。」って話
    それが教育、医療、福祉、農業などの公的性が強いものや保護的要素が強いものなどでも
    たしかに利用者はバカじゃない
    だからそんなに規制ばかりしなくても割高なサービスは利用しなくなるんだってっていう市場原理的なところは好きかなあ。
    確かに最低限の規制でも十分なんだよね。たぶん。

    ちなみに魚民から損害賠償請求される原因となった本です(知らないで買ったんですけどね)

    2011/09/10 読了

  • ワタミ会長の日経ビジネスオンラインの連載をまとめた一冊。
    Web連載を書籍にまとめると避けられないのがエピソードの重複だが、日経BPさんもわりかしうまく編集してエピソードごとにまとめたんだなぁ、という印象。
    居酒屋事業以外の話はあまりこれまできちんと読んでなかったと思うので、その点では教育にも福祉にも医療にも経営感覚が必要、という点は納得。
    それを政治、行政にも持って行きたかったんでしょうねぇ。

  • 経営の力で何ができるか?

    →誰が顧客で、その人達に何ができるかを考える
    そのためには、一定のセーフティネットがありつつ市場と競争がなくてはならない
    それによりよりよいサービスが提供される
    経営とは、できないことをできるようにすること

  • どちらかというと、政治家よりも官僚の方が悪人な気がしてきた。

  • チェック項目42箇所。民間にできないことなど、何も無い。公の仕事は民のためにあるもの。民が自らの力で公の仕事にかかわっていくべき。官になくて民にあるのは経営。公的サービスの本当のお客様は誰か?世界から評価されている日本人は経営者や技術者、科学者、芸術家。一般庶民だった人ばかり。過疎地域の学校はセーフティネットを作り、生徒数の多い地域では競争させることで教育水準が上がる。お金から目を背けるから経営破たんを起こす。人間は上を目指したいという意欲と同時に楽をしたい、努力したくない、自立したくないという弱さを兼ね備えている。競争とは自分自身との闘い。まずは他者と競い合い、切磋琢磨し、段階を踏んで自分を高めていく。検査や監査を事前連絡するのは意味がない。人を幸せにすることで自分も幸せになろう。自分の考えに反発した社員は全員辞めて、考えに合う社員が入社する・・・最初はクレームも多かったが1年で基礎が出来上がる。他人の幸せ=自分の幸せ。教育を受ける=投資。希望者全員が大学に入れる時代・・・卒業を厳しくする。教育現場、医療現場、福祉現場ともにスタッフの理念がなくなっていた。学校で言えば、改革時に「生徒のためになっているかなっていないか?」が判断基準。変わるべきは教師。授業崩壊もいじめも特定の教師のときのみ崩壊する規律の乱れを正す・・・ゴミを拾う、遅刻の常態化を防ぐ。崩壊させる教師は年齢や性別は関係ない。いじめは100%教師の問題。人には人の不幸を喜んだり、足を引っ張ったりすることで自分を高めようとする性癖がある。だからこそ、正面を向いて接する。いじめとは自分がして欲しくないことを相手にすること。ときには理屈ぬきでダメなものはダメだ!という。「お前らのことが大切だからダメだ」と付け加える。いじめは100%する側が悪いと学校側が定義づける。被害を言えないのは報復を恐れるのと、いじめられていること自体が恥ずかしい。だからいえない。大人が絶対に守ると言い切らないといけない。当たり前のことを当たり前に教えないと当たり前にならない。医療費設定について・・・経験年数が違っても一律で同じ料金?福祉もそう。介護保険制度・・・入浴すれば同じ点数。ワタミの介護・・・おいしい食事、心ある接客サービス、施設メンテナンスは快適、低コストの施設、施設開発能力を発揮。おむつ、特殊浴、経管栄養ゼロを目標。経営とはできないことを、できるようにすること。

  • 28/89

  • この国の「官」がやることは、学校教育や医療でもそうでしたが、農業分野でも「誰のために」という顧客を念頭に置いた視点が欠けているのです。

    農業は誰のためにあるのか、農家のため?農協のため?農水省役人のため?違います。農作物を口に入れる消費者、すなわち日本人のためにあるのです。


    日本の食料自給率を上げるには、農業がビジネスとして成立しなければなりません。そのためには農家に経営を教え、そして経営が成り立たない方はご退場いただく。そうやって農地の集約を進め、大規模化を図る。



    長年農業続けられてきた人の中には、「細々でいいから農業やっていきたい」というのも気持ちとしてはわからないでもありません。けれども、それはビジネスではない。家庭菜園でやって欲しいお話です。
    こうした改革を前進させるためにも、農業を止められる方への保証等、この分野にかける予算を考えていかなければならないと思います。

  • 教育・医療・外食産業といったいずれの業種であろうと、経営感覚が必要であることがよくわかる。「まず、誰がお客様であるか、それぞれのサービスを受け取るお客様にとって最大の幸せとはなにかはっきりさせること。」「私と理想を同じくする人たちと仕事を改善していくこと。」それが彼の経営理念。非常に明確。

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著者プロフィール

ワタミ株式会社代表取締役会長兼社長
学校法人郁文館夢学園 理事長兼校長
元参議院議員

明治大学商学部卒。
ワタミグループ創業者。「地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループになろう」という理念のもと、外食・宅食・農業・環境等の事業を展開し、「独自の6次産業モデル」を構築。実名企業小説「青年社長 上・下」「新青年社長 上・下」(高杉良著)の実在モデルでもある。
政府教育再生会議委員、神奈川県教育委員会教育委員などを歴任。教育者としての顔も持つ。

「公益財団法人School Aid Japan」代表理事としてカンボジア・ネパール・バングラデシュでの学校建設(333校)・孤児院運営を行う。「公益財団法人みんなの夢をかなえる会」代表理事として、実践経営塾「渡美塾」や「みんなの夢AWARD」を主宰し起業家を育成。「公益財団法人Save Earth Foundation」代表理事として、限りある自然資源を有効利用し持続可能な循環型社会づくりにも取り組む。

「2022年 『論語に学ぶ我が子の夢の叶え方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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