最底辺の10億人

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感想 : 57
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822246747

作品紹介・あらすじ

サハラ以南のアフリカ諸国の惨状、最貧の国々を捕らえ続ける四つの罠。柔軟性を欠く先進国、貪るだけの石油・建設企業、善意のみのNGO。誰も地獄の縁に生きるアフリカの人々を本気で救おうとはしていない。最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か?

感想・レビュー・書評

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  • 興味深い。底辺の10億人とは、経済成長に乗り遅れ、低成長/衰退の罠にはまっているという事例が紹介されている。

    個人的には、最近の日本の衰退も、こういった最底辺国と同じ根を持つ罠にはまっているのではないかと思われる。対岸の火の話ではない。

  • すべての社会には紛争があり、紛争は政治につきものである。底辺の10億人の国に際立つ特徴的な問題は政治紛争なのではなく、その形式である。内戦とクーデター、この2つの政治的紛争のコストは大きい。

    資源が乏しい内陸国は、近隣諸国にチャンスがない場合には、成長の停滞を余儀なくされる。

    もっとも資本の乏しい国により大きな資本が流入しない理由は、劣悪なガバナンスと政策にある。

  • 発展に失敗し、完全に取り残された最低辺の10億人の国の貧困解決に必要なことは何かを論じている本です。
    最底辺の国々は罠(特に紛争、天然資源、内陸国である、小国であるが故の悪い政府統治)によって開発に失敗し、そこから抜け出せない状態に陥っています。
     そして、一般的な国では成功する援助・支援も、援助・支援が正しく行われる仕組みが整っていなかったり、またその能力がないため失敗してしまう。また、仮に成功してもその成果を国内にとどめておいたり、次につなげることができないため発展の土俵にすら上がれないという深刻な状況である現状を説明しています。
     これを解決するためには、途上国の問題が昔と変わってきてることを理解して、底辺の10億人の諸国の中で抵抗勢力と戦っている、良く変えていこうと努力している人たちの傍観者になるのではなく、自分たちの国の法律を変えることと、新たな国際憲章を決めるために行動することが必要と説いています。
     特に資源を有しているということはそれが収奪の対象となりクーデターや紛争の種になり、また国が安定しても資源が主要な輸出品になってしまい他の輸出品が競争力を得られないため、産業が発展しない(「オランダ病」)など、これまでのイメージを覆すような報告も書かれていて、あらためで正しい知識を知ることの重要性を感じました。
     国際開発や貧困問題に興味のある人は必ず読むべき本だとおもいました。

  • 貧困国、主にアフリカのことを書いているのだけど、とにかく冷静に分析している。内容は確かなデータと分析でリアルにアフリカの現状をつづっている。こんなにも貧しく、助けることができない現状。社会貢献が一種のブームみたいになっているけど、そんなレベルでは全く届かない問題。それでも何かできることはないか提案している著者。

    まだまだ知らない世界がありすぎる。

  • 貧困層への「募金」が正しく援助活動に使われているのか、いやそうではないようだ、では私たちができることってなんだろう、とかねてから疑問に思っていた。そんなときに、この本の存在を知った。

    ただお金を差し上げて効果があがるのは、よく統治されている国においてだけ。最底辺の国においては、あまり効果を見込めない。
    軍事費に使われてしまったり、本当に援助が必要な部分に援助金の1%しか回っていなかったり、という現実がやはりあるということ。
    援助は援助でも「開発援助」が好ましいこと。

    最後に私たち一般人ができることが書いてある。
    現状を知り、これまでの考え方を改めること。
    著者の掲げる3つの命題・・・。
    現在私たちが直面している開発の問題は、過去のものとは異なっていること。
    底辺の国では、変化を成し遂げようと戦っている人とこれを阻止するグループとの間で
    激しい抗争がおきていること。
    私たちは傍観者であってはならないということ。
    貿易政策、安全保障政策、法律の改正と新たな国際憲章の制定を視野にいれて、手段を拡大していく必要があること。

  • ゼミで取り扱った本。
    なぜ貧困国は貧困から脱することができないのかについて、4つの罠とそれを解決するための4つの手段について、実証を基に細かく言及された本。
    援助が機能しないのはなぜか?貿易政策はどのようにあるべきか?などなど。
    とても勉強になった一冊。内容もとても楽しかった。
    ただ、この本にも限界は感じる。貧困解決がそれほど容易でないことはわかる。だから解決策を提示しにくい部分もあることはわかる。わかるのだけれども、もう一歩踏み込んだ内容を、と言ったところが随所にみられた。
    でもそのような高望みをしたくなるくらいいい本であることも確か。

  • 現存する世界の問題で最も解決困難な問題の一つ。本質的にアポリアなこの種の議論にまっとうな方法で原因の解明と解決策の提示を行っている点ですばらしい人だなと思った。間接的には第一世界の人間に影響のあることなのでぜひ一読されたし。

  • レビューを書いたけど保存し忘れた?
    貧困の罠がいくつかある.
    * 内陸国であること(海のある隣国に依存)
    * 資源があること(争奪戦から内戦になりやすい)
    * 内戦 (内戦は繰り返しやすい,そして貧困は内戦を引き起こしやすい)
    * ガバナンス
    時には軍事力での介入も必要との指摘
    また圧力をかける.ブラッドダイヤモンドのような資源は買わないなど

  • 「貧困国」ではなく、「最貧困国」に焦点を当てた本。ここでの「最貧困国」とは、明日の食料にも困っている、死と隣り合わせという最も貧しい10億人の住む国のこと。

    コリアー氏は、貧困の原因(罠)を4つに分けて説明している。
    4つの罠…
    (1)紛争の罠、(2)天然資源の罠、(3)内陸国の罠、(4)悪い統治の罠

    原因(罠)がなぜ結果(貧困)につながるのかがよくわかる。

    特に「天然資源の罠」の話は目からウロコでした。嬉しいはずの石油産出が、なぜか貧困を生み出してしまう過程が描かれています。

    他にも、「援助が貧困を招く」「独裁が経済の安定をつくる」など、不思議な経済構造が、実際の事例をはさみつつ説明されています。


    とにかく、1冊ですごい勉強になりました。

    開発経済に興味がある人にはめちゃオススメです。

  • 10億人の人々が生活している、LLDCと呼ばれるような後発発展途上国(特にアフリカ諸国)が、なぜこうも何十年もの間停滞の歴史を歩んできたのかを、「4つの罠」にまとめて分析。その上で解決するためにとるべき手段を提示。
    統計を数多く取っているようで、信頼性も高いんだろう。
    しかしわれわれが取るべき手段として、軍事介入を正当化している点はかなりあやうい。筆者は介入をためらったことがルワンダの悲劇を引き起こしたと論じているが、逆に介入をしたために生じた悲劇も数多いことを忘れてはならない。

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著者プロフィール

オックスフォード大学ブラヴァトニック公共政策大学院教授。『最底辺の10億人』『民主主義がアフリカ経済を殺す』(以上、日経BP)、『収奪の星』『エクソダス』(以上、みすず書房)の著書で知られる政治経済学者。アフリカをフィールドワークの中心としながら、世界の最貧国の最底辺で暮らす人びとに寄り添い、先進諸国の政治・経済政策やグローバリズムの弊害に厳しい批判の目を向けてきた。また、途上国援助や民主主義といった理念的には望ましい政策も、運用を間違えればかえって救うべき人びとに不幸をもたらす現実を鋭く指摘。本書でも、相互扶助の精神といった倫理的・道徳的側面に着目し、本来多くの人に自由と生きがいと富と幸福をもたらすべき資本主義の今日における迷走とその問題点、そして未来への可能性を浮き彫りにする。

「2020年 『新・資本主義論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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