分析力を武器とする企業

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822246846

感想・レビュー・書評

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  • 企業がデータ分析に基づいて戦略を組み立てるのは世界的な潮流になってきたとして、データ分析の重要性を説き、「マネーボール」の野球やプロバスケットチームのスポーツ界を皮切りに、ネットフリックス(DVDレンタル)、キャピタルワン(金融)、プログレッシブ(損保)、ウォルマート(小売)、マリオット(ホテル)、スプリント(ソフトバンクが買収した携帯電話会社)、グーグル、ヤフーなど等多岐に渡ってその事例と効用を説明。また、各業務で使われる分析手法についても解説している。

    更に車にセンサーをつけて運転状況をモニタリングするM2M(IoT)への言及もある本書は、2008年7月の発売でビッグデータの「ビ」の字も無い。あと最近のビッグデータ関連書籍との大きな違いはソーシャルメディアなど社外のデータやHadoopなどオープンソース系ツールへの言及が無いこと、即ち、ビジネスインテリジェンスとしてどこまで網羅していたのか(これはとても重要だと思う)、ビッグデータで何が追加されたのかが良く分かります。

  • 5年前に日本語訳された本だが、データ分析に基づく経営をしたい企業にとって必要な要素を広く取り上げた書籍であり、今も内容はそのまま活用できる。
    個々の統計分析のテクニックより、データ分析を企業経営のどんな分野でどのように生かすことができるか、活用するために、戦略や組織、人、システム、プロセスをどう変えるべきかなどについて詳細に述べられている。
    コンサルの立場から読むと、書いてあるアプローチは極めて真っ当なアプローチである。

  • ビッグデータとデータ分析が企業の新たな魔法の杖になると期待を集める今の日本。その背景にはデータ分析を自らのものとして活用する米企業の姿があり、それを活写したのが本書。アマゾン、グーグルといった巨人に留まることなく、どちらからというとその下の一般企業をピックアップして精力的なインタビューを繰り広げている。その意味でビジネスマン向けの一冊。

    一般に法則性とかアルゴリズムとか統計分析のビジネス応用となると、米国人は何故か強みを発揮する。法則性なんてある筈ないよ、という日本企業の担当者がいるとしたら、向こうには何か見つければ売り込めるんじゃないか、と考えるコンサルタントや数学者がいる。サブプライムローンの無相関性に着目したCDOという野望は砕け散ったけれども、懲りずにビジネスに潜むアルゴリズムを探し出そうとする姿こそが、科学とビジネスを発展させるのではないか。

    『データ分析が徹底しているチームでは、リーダーが事実に基づく意思決定を下していることが多い。そうしたリーダーは、大抵自らデータ分析を学んだ人か、経験からデータの大切さを知っている人である。分析力を競争優位にするには、スポーツであれビジネスであれ、リーダーシップが大きな意味を持っている。』

    マーケティングでも組織運営でも、データ分析をやるかどうかより、本当はトップが重要性を理解しているかが大事。ただこういう本が日本の文系出身の大企業幹部の目に止まるというと、やや心もとない。

  • 多くの企業は、日々の活動から収集したデータを分析している。だが、その分析結果を競争優位にまで高めている企業は少ない。分析力を武器に業績を拡大している世界中の企業の事例をもとに、その活かし方を詳述する書籍。

    分析力を武器とする企業の取り組みには、例えば、次のようなものがある。
    ・全世界でホテル事業を展開するマリオット・インターナショナルでは、客室料金を最適化する収益管理システムを導入し、収益力の改善を図っている。
    ・鉄鋼メーカーのロッキー・マウンテン・スチール・ミルズは、生産を中止した鋼管の製造再開を決断する際、コスト分析ソフトで検討することで、的確な判断を下した。
    ・ハラーズ・エンターテインメントは、カジノを利用する顧客の行動をリアルタイムで分析し、負けが込んだ客には即座にメールで救いの手を差し伸べるなど、分析結果を機動的に活用している。
    ・食品小売のテスコは、ポイントカードから入手した顧客情報から購買傾向などを分析し、的確なクーポン・プロモーションにつなげている。
    ・サムスン電子は、世界中で行っている販促キャンペーンのデータを一元管理して、分析している。これにより、現在と将来の投資効果を簡単に弾き出すことができる。

    分析力を武器とする企業の特徴は、次の4点である。
    ①自社の核となる強みに、分析力を積極的に投入している。
    ②分析を部門や個人に任せず、全社で統合的に行っている。
    ③トップや経営幹部が分析力の活用に熱心である。
    ④データ分析で競争に勝ち抜こうという野心があり、会社の将来をそこに賭けている。

  • コンピュータ社会とかBPR(Business Process Re-engineering)とかいう言葉が(ビジネス界で)もてはやされてから既に20年以上が経つ。
    その間、単に効率化のためにパソコンがオフィスに定着する一方、仕事はデータとか使ってたってダメじゃんという空気もオフィスの底を流れている。(キーワードはコンピュータからネットに移り変わってもいる)
    が、情報技術を駆使して成功している企業もある。

    この本は、そうした成功企業がコンピュータなりネットなりを使って何をやっているか、またその成功の秘訣は何か、について語る。

    その秘訣とは、例えば競合や、仕入や、ユーザーに関する環境認識のための手法であり、つまりは「分析力」なのである。

    ところが、話は手法の紹介では終わらない。
    というか、実戦ではその先こそが重要で、真の課題はトップ以下末端までの企業全体の意識統一であり、データ(分析結果)に冷徹にかつ徹底的に従って戦略立案することであり、そして正しく「実行」することである。

    もちろん、組織ではそこが難しい。
    むしろ、意思統一と実行ができるなら、分析内容は二の次と言ってもいいくらいだ。

    本書は分析力がテーマなので、分析内容は二の次とは言わないのだが(経営者や現場の直感で仕事を進めるよりいい、という立場)、コンピュータやアルゴリズムが人間の判断を越えることはあるまいとオレは思っているので、敢えてそう言っちゃうわけだ。

    分析力は要らないということではなく、内外に対する説得力の源泉として大いに役立つだろう。

  • 購入:2009年8月7日 廃棄:2019年5月17日

  • 20171217

    んー、横山さんレコメンドの割にはって感じ。翻訳本は事例が冗長すぎる。でも多分ビビッと来なかったのは今働いてるとこがデータドリブンの文化をめちゃめちゃ大事にしてるからそんなの当たり前じゃんって思ったからなのかも。データ収集って設計と運用が肝要だよなぁって思った2年間だったけどまさにそれが書いてました。

    今後の趨勢としてデータドリブンは間違いなく重要になっていくのでもう一度統計学と線形代数を卒業までにやり直しておこうかなぁと思った。やりたいこと多すぎ問題。

  • 組織の中で分析をどう活かしていくのか、5段階にわけて論じている。ちょうど、自分が所属している組織において、分析組織をどのように置いて、組織全体にどのように考え方を広げていこうかを考えていたところだったので、示唆が多かった。
    この間の大阪ガスの事例よりもヒントが多かった。

  • 分析力を武器にするには?

    →分析力で業績を押し上げるには、そもそも何が業績の決め手になるかを知り、常に数値で把握していなければならない
    次に、分析を実際の行動に結びつけ、最終的に業績改善につながる仕組みを整える
    最後に
    データ分析が業績改善に結びついているか適切な業績評価指標を設定し、数値的に把握する
    データ収集に当たっては、念のためにという理由で集めない、また重要度の低いデータは簡単に入手できるからといって安易に集めない

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著者プロフィール

米バブソン大学教授。デロイトアナリティクス シニアアドバイザー。経営とIT をテーマに長年研究を行っており、これまでハーバード大学やシカゴ大学などで教壇に立つ一方で、マッキンゼーやアクセンチュアなどの企業で研究チームを率いた経験も持つ。データ分析をビジネスに活かすことを早くから提唱。2008 年の著書『分析力を武器とする企業』(日経BP 社)では分析力を磨くことが企業にとって競争優位になりつつある現象を取り上げ、ベストセラーとなった。また2009 年に国際分析研究所(IIA)を共同で創業し、リサーチ・ディレクターを務めている。

「2014年 『データ・アナリティクス3.0 ビッグデータ超先進企業の挑戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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