大暴落1929 (日経BPクラシックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822247010

作品紹介・あらすじ

会社型投資信託のブーム、レバレッジ効果、バブル紳士の跋扈。動きの鈍いFRB。今も昔も変わらない人間の織り成すバブル崩壊劇を活写する。1954年初版。

感想・レビュー・書評

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  • 1929年にウォール街で起きた株の大暴落について、様々な目線から書かれた本でした。投資家の立場、当局の立場、証券会社の立場など、様々な目線からどう考えどう行動したのかが見えて、とても興味深く読めました。
    人間の織りなすバブル崩壊劇は今も昔も変わらない、という論評がありましたが、その通りだと感じる場面が多かったです。

    バブルの崩壊は何が最初のきっかけなのかはわからない、それにわかったとしてもさほど意味がない、いずれ破裂するバブルがはじけただけ、という箇所が印象的でした。
    また、株式市場の暴落が所得と雇用、繁栄の実体そのものに悪影響を及ぼさないために、権威ある人物は所得と雇用は減少しないと言い続けた、本当に確信していた人はいないのに。という箇所も印象的でした。今も同じことが起きるのではと思いました。

    とても読みやすい良本でした。

  • ガルブレイスは、100歳近くまで存命し、ルーズベルトを含む民主党の複数の大統領のアドバイザーを務めました。経済学者としての業績には、毀誉褒貶がありますが、その知名度は著作の読みやすさもあって、抜群のようです。

    本書では、1929年のアメリカの大恐慌前後の経済状況、特に金融市場の状況から恐慌前後の状態を解説しています。2008年のサブプライムと同じレバレッジを利かせた投資方法(当時としては空売りや、社債や優先株でレバレッジをかけた投資信託)などが一気に巻き戻った結果、暴落が加速したあたりは80年を経て歴史が繰り返したことを克明に語っていると言えるでしょう。バブルが破裂する際に優良な資産程売られるのは、マージンコールの支払いのために現金化が必要とされるため、というくだりはまさにレバレッジの巻き戻りが市場に与えるインパクトの凄まじさを示す例でしょう。

    ガルブレイスは2006年に鬼籍に入りましたが、2008年以降のリーマン危機時に存命であれば、1929年との対比でどのような分析をしたことでしょうか。

  • 暴落前のアメリカの様子
    暴落中の楽観主義な人々
    そして暴落後の人々
    それらの様子が平易な言葉で臨場感あふれる様子で書かれている。

  • 1950年代に書かれた本にもかかわらず、まるで昨日書かれた本のように読みやすい。人の欲望の尽きることがないように、人が投機とバブルへの熱狂の報いを受ける限りはこの本はきっと価値を持つ。まさしく真の古典、恐らく永久に読まれ続けることでしょう。

  • 人々は楽観論を語り続ける。また、当局は責任逃れに走る。それぞれの信念や利害関係に基づいて。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50268544

  • 1929年の大暴落前後に何が起こったのかの記録。

    投機では、楽観ムードのなかで株価が上がるが、信頼性を揺るがす出来事が起こると、伝染する不安のなかで皆が売り急ぐ。株価は一気に下がり、バブルは崩壊する。

    「将来は予想可能だと思い上がった人ほど悲惨な末路をたどった」(301ページ)という大暴落の教訓。タイミングをみて売り抜けて儲けるのは難しい。『バブルの物語』と同様の基調。

  • 1929年ニューヨーク市場の歴史的な大暴落とそれに続く十年間の不況を経て、ようやく経済状態が落ち着きを見せた 1955年に初版。その後、ITバブル前夜の 1997年に再版され、この日経BPクラシックスとしての邦訳はやはりリーマンショック直前の 2008年。コロナ禍とそれに伴う大規模金融緩和の時代に、またこの本が多く読まれているのだという。

    1980年代日本の熱狂的なバブル経済を見てきた世代として、今のこの状況をバブルと呼ぶには抵抗があるが、それでもリーマンショック以降の中央銀行による株価の下支えオペレーションがいつか限界を迎え、大恐慌時代が再来するという予言は多い。もっとも、この本から得られる教訓の一つは、学者にしろ政治家にしろ未来予測はアテにはならないということだが。

  • 前から読もうと思っていてやっと読めた本。
    面白いかと言われると少し違うけど読んで良かった本。
    投資家の阿鼻叫喚っぶりが書かれているのかと思ったけどそうではなく、都合の悪いことは隠蔽されたり情報が出てくるタイミングが遅くなったりということがよくわかる。

  • 若干の香ばしさが市場に漂う今、もう一度読んでみるべき書籍でしょう。

    もう10回以上、読み返していますが、毎回のように群衆心理の面白さを感じます。
    市場と経済を取り巻く環境は目まぐるしく変化しますが、市場を構成する心理はある種の普遍的な行動パターンがあるのではと思えます。

    市場を構成する主体が生身の人間だけでなくなった今、その普遍性はやや変化したかもしれませんが、学ぶべきことの一つであることに変わりはないでしょう。

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著者プロフィール

1908年、カナダ・オンタリオ州に生まれる。1934年に米カリフォルニア大学で博士号取得。その後、ハーヴァード大学、プリンストン大学で教鞭を執るとともに、第二次世界大戦から戦後直後にかけては物価統制官や『フォーチュン』誌編集委員を務める。1948年ハーヴァード大学に戻り翌年以降経済学教授。1961年から63年にかけて、ケネディ政権下でインド大使、1972年にはアメリカ経済学会会長も務める。2006年没。著書に『アメリカの資本主義』(1952年)、『大恐慌1929』(1955年)、『ゆたかな社会』(1958年)、『新しい産業国家』(1967年)、『経済学と公共目的』(1973年)、『不確実性の時代』(1977年)、『満足の文化』(1992年)他。

「2016年 『アメリカの資本主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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