大前の頭脳

著者 :
  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822247348

感想・レビュー・書評

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  • 2/25:企業や国家があっという間に瓦解してしまう「突然死」が21世紀に入って散見されるようになった。これはひとえに時代の波を読み間違えたことや、このグローバル/ネットワーク時代にこれまでと同じビジネススキーム/国家運営を行っていたからに他ならない。日本というレベルで言うと国家には期待できない状態であるので個人がどのようなマインドで国を企業を支えていく必要があるのか。そのヒントを大前氏の脳みそから借りてみよう、ってのが趣旨。
    書き下ろしではなく、いろんな本を掻い摘んであるので、書いてある内容は他で観たことあるような話ばかりであるが、いちいち納得させられる。企業はグローバリゼーションを第一に、個人はグローバリゼーションに加えて教育(世代間含む)に注力する必要があるのである。
    日本は国内に同じ業界の有力プレイヤーが多すぎるとの記載があったが、まさにそう思う。これから国内の少ないパイを奪い合う時代は終わったので、企業も選択と集中を行い、グローバルで勝負できるプレイヤーを創っていかなくちゃいけません。企業はそう思っても国が全然考えてないので、政策的に後手後手(むしろ害が多い)に回ってて、ホントみんな国出ちゃうよ。

  • これまでの著書と論調は変わらず安心して読める。
    そして腹落ち感がある。
    1章のマインドマップを見て、
    思わず職場の状況に水平展開しメモをつくってしまったほどだ。
    何かをせざるを得ない気にさせるので、
    本質を探したり、仮説を模索したいときに大前研一氏の著書を手に取る。

    Demographyに従い5.10年先の姿を見ることが一番大切。
    →外国人の移民の受け入れは避けられない

    愚民政策によって日本人は考えない国民になった。
    偏差値教育により、その偏差値に自らを予定調和させられていた。

    教師の役割は学生の能力を判定することではなく、
    潜在能力を引き出すこと。

    先進国のお手本や応えに、追いつけ追い越せでは通じない。
    新しいことにリスクをとりながら、試行錯誤しながらトライする能力が必要。

    Learnするのを助ける(側面支援)のが教師の役割:エンパワーメント(能力開花)

    愚民政策の例
    ・年金記録の紛失
    ・道路公団の民営化は、役人はクビになっていないので、「社名変更」と「引越し」だけ行い、
     天下り先を充実させた
    ・「国民に知らせずに」退職手当債を乱発し、公務員はぬくぬく老後を送り、借金を背負った住民が税金で返す
    ・核兵器を積んだ潜水艦が日本に寄港しても政府は「知らないふり」をする

    ・政府かあの業務請負金額はITゼネコンが建設会社のゼネコンを上回る

    官製不況の例
     ■消費者保護:建築安全→需要制限・認可遅れ

     ■投資家保護:J-SOX→企業のコスト増

     ■労働者保護:労働派遣法→失業増加・労働力不足・人件費負担増
      タイトな登記法は国内の雇用がどんどん減り、
      中国で生産活動のほとんどを行うようになる

    誰にも何が正しいのか分からないという状態に平然と耐え、
    チャレンジした先に答えがある。
    自らが問題を設定し、材料を集め、解答を構想するしかない。

    ハーバードやスタンフォードが経営大学院として名声を保っているのは、
    教授陣・教授法ではなく、学生の素材がよく、硬直した教授法でも
    よい面だけを吸収してくれるから。

    企業にとって最大の問題は、
    社内にコレステロールがたまって情報が滞留すること。
    声の大きい人の意見が通り始めて、会社が間違った方向に向き、
    みんなに倦怠感が生まれる。
    上のことを起こさせないようにするため、
    中立的なリーダーが問題を裁く必要がある。

    指標のひとつとして、「労働生産性」がある。
    一定時間内にどれだけGDPを生み出すかだ。
    アメリカを100%とすると、日本は71%、ユーロ圏は87%、OECD平均は75%
    理由は、日本はサービス業の生産性が低いから。もちろん製造業の生産性はアメリカ以上。

    Contribution to the fixed cost (P.180)
    固定費が非常に大きな事業の場合、固定費に対する貢献(Contribution)を最大化する必要がある。
    変動費でカバーできるならば、設備を遊ばせておくよりも、
    安くても売ったほうがキャッシュを得るという考え方。
    時間帯によって稼働率がまったく違うので、タイムセールスを行う、など。

    バイアメリカン条項
    最終製品の構成部品の50%以上が米国内で採掘・性差・製造された製品、という制限がある。
    もし、下限を50%より上にしたら困るのはアメリカだ。
    中間財を輸入して最終製品する場合、ほとんどの製品がひっかかる。ゆえに日本に都合がいい。

  • webでの連載をまとめた一冊。 内容が濃い。 読んだことない人は、一度じっくり読んでみてほしい。

    ・p.127 社内で戦いに勝つのは無意味なことだ。
    むしろ、お客様の信頼を勝ち取ることの方が重要なはずだろう。
    社内の問題を上層部まで上がってくるのを待って意思決定していると、大企業では時間がかかってしまう。
    それに、上は判断するだけの根拠を持っていない。
    そこで、社内コンサルのような人を間に入れることが有効だろう。
    問題を表面化させ、すぐに解決する。

    また、カウンセリングを頼まれるタイプ、困った時に助けを求められるタイプが自然と出世する仕組みをジャック・ウェルチは作った。

  • 大前研一はどのように発想するのか。

    本書はテーマごとの構成となっている。日経BPで筆者が担当しているニュースサイトから抜粋されている。

    郵政民営化など少し古い記事もあるが当時、大前氏がどのように考えたのか、そして今どのようになっているのか答え合わせ的なことができるので、ニュース自体の考察を読むというよりも、やはりどのように発送しているかということが本書の主題であるし、そのようなことを読者に意識付ける内容となっている。

    発想の仕方と文章の書き方は、間違いなくビジネスパーソンにとってお手本となる。

  • 大前本、三冊目。
    非常に内容が濃い。全部を租借することは諦め、途中から流し読み。
    主に、日本の集団IQの低さ、システム後進国、マスコミ・官僚・銀行批判、道州制、団塊世代、税、サブプライムについて書かれている。

    以下、感じたこと
    ・日本は移民を受け入れるべき←隷属国家日本の岐路を読んで、考えを改めた。3K移民は受け入れるべきではない。

    ・日本は本気でグローバル・ボーダーレスを考えるべき
    ・民営化なら、政府介入を一切やめるべき
    ・シンガポールの繁栄←その理由はシンガポール国内にない。国外から金が集まってくることが原因。世界にはいま、余剰資金が溢れてる←それこそがグローバル経済。
    ・日本のあるべき姿はサマリタン的なあり方←これについては疑問。
    ・集団IQの低さに関しては、自分自身、自分を含めた周りを見ていても、絶望的になることがある。この原因の一つは、TVメディアにあると思う。もう一つの原因は、日本人の特性なのか、「沈黙する集団」化だと思う。


    2010年8月8日 読了32(25)

  • 初めて読んだ大前さんの本。この本を読んで大前さんにはまりました。専門分野ではないのに統計だけを見て背景を読み取る。そのセンスに脱帽です。。日本人はルールに沿って働くことは得意ですが、ルールを変えることが苦手。ルールが変わる、ビジネスモデルの変革により、産業が突然死んでしまう。そんな時代にどう生き抜くか、考えさせられます。

  • いつもの大前節が聞けた気がするが、実際に昔のネタを取り上げているだけに少し古い感じがした。
    あとは、情報サービス業への指摘は自分がその業界なだけに耳が痛かった。全体的には今いちな感想。

  • 2010.5.3

    名前は知ってたけど、本は初めて読んだ。

    道州制→地域ごとの政策→人、モノ、金を呼び込む
    海外から金を呼び込む
    エンパワー型のリーダー
    心理経済学
    円高はチャンス
    ex ) この機会に資源・エネルギーを買う。ビッグ3を買収してキャピタルゲイン、アメリカに恩を売れた。

  • 当たり前と思っていることが、いかに出鱈目かということが分かります。
    この本の全てを鵜呑みにするのではなく、考え方を身につけたいですね。

    何故、この人は都知事選に落ちたんだ?
    今、出れば通ると思うんだけどな。
    都知事になって欲しいねえ。

    道州制に興味がわいた。

  • 本書は、大前氏のいろんな寄稿文書を整理してまとめる、大前氏の定期書籍の一つ。これまでのそういった書籍において持論を展開することは多かったが、本書では「どういう頭脳(考え方)なのか?」というところに幾分フォーカスしている。まあ、あくまでも「幾分」なわけで、相変わらずな感じです。ここのところ気になるトピックが満載なので、批判的に読むのも、共感するのもどっちもありだと思うけど、大前氏の本で展開される氏の持論に対して、データ整理や持論を構築してぶつけるようなワークブック的な使い方もいいかもしれない。氏の本は、ただ読むだけだと大変もったいないとつくづく思う(氏の考え方全てを肯定するつもりではないけど)。

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著者プロフィール

1943年、福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。(株)日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。 以来ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を務める。現在はビジネス・ブレークスルー大学学長を務めるとともに、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして活躍のかたわら、グローバルな視点と大胆な発想で、活発な提言を行っている。

「2018年 『勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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