その「正義」があぶない。

著者 :
  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822248826

感想・レビュー・書評

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  • タイトルや内容紹介、目次に惹かれて読んでみたのだけども、期待していたものとは大きく違った。
    日経ビジネスオンラインでの連載コラム「ア・ピース・オブ・警句」が単行本化されたもの。

    文章が冗長で、読み込むことができなかった。
    コラムとして接すれば酔い退かも知れないけども、書籍としては辛かったかな。

    内容は、タイトルにあるような正義についての考察ではなくて、時事ネタをやや嘲笑し多角的にみたものとなっているの。

    ----------------
    【内容(「BOOK」データベースより)】
    毎週金曜日に公開されるや否やネットで大議論を巻き起こすコラム「ア・ピース・オブ・警句」。それはまさに数十万人が参加する「オダジマ白熱教室」。原発に、保安院に、なでしこに、石原都知事に、誰もが一言いわなければ気が済まない。眉間にシワを寄せ、鼻の穴をふくらませながら語られる「正義」に水をかけ、時にスベり、時に火だるまになりながらも、前のめりで切り込んでいく男・小田嶋隆の真骨頂ここにあり。
    ————————
    【著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)】
    小田嶋/隆
    1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、小学校事務員見習い、ラジオ局ADなどを経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中
    ————————
    【目次】
    1章 原発と正義
     デマの効用
     パニックとメルトダウン
     卓袱台の上の生活
    2章 サッカーと正義
     マードックの犬たち
     ザックと豆の木
     ブブゼラとチャルメラ
    3章 メディアと正義
     紳助シンドローム
     ズベらない話
     全裸一犯しばらくさなぎ
    4章 相撲と正義
     横綱という束縛
     土俵舎弟の末路
     コンプライアンスとコンプレックス
    5章 日本人と正義
     こどもだましい
     非実在青少年の実存的不安
     濁りのない金閣寺
    6章 政治と正義
     小沢女子的考察
     「野田三原則」の行間にあるもの
     愛国ガスの行方
    終章 グレートジョブズによせて
    ----------------

  • 筆者が日経ビジネスオンラインで連載中のコラム「ア・ピース・オブ・警句」をまとめた2冊目の本。
    本書発刊の約3週間前に発売された『地雷を踏む勇気』は震災関連の話題が中心だったのに対し、こちらは震災関連(というか原発関連)の話題は6分の1。
    他、サッカー、メディア、相撲、日本人、政治というテーマ別にコラムがまとめられている。
    個人的に最も秀逸だと思ったのは、引用もした“笑いの質”に関する部分。
    人を嘲うことでしか、人を笑わせることができないとしたら、その芸人は下品極まりない、と常々思っていた私の胸をスカッとさせてくれた。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「私の胸をスカッとさせてくれた。」
      大いに同感です。
      「私の胸をスカッとさせてくれた。」
      大いに同感です。
      2014/04/16
    • 虹風 憂璃さん
      賛同ありがとうございます!
      賛同ありがとうございます!
      2014/04/16
  • 公共政策ラボ大阪シンポジウム

    日時:2012年12月3日(月)18時30分(開場18時)
    場所:エル大阪(大阪府立労働センター)
      大阪市中央区北浜東3-14
      地下鉄谷町線・京阪電鉄「天満橋」駅から西へ300m
    パネリスト:小田嶋隆(コラムニスト)、内田樹(神戸女学院大学名誉教授)、中島岳志(北海道大学准教授)、平川克美(リナックスカフェ代表、文筆家)
    コーディネーター:平松邦夫(前大阪市長)
    入場料:2200円(前売り)、2800円(当日)、2000円(会員)
    前売り:チケットぴあ各支店 セブンイレブン サークルK・サンクスで11月7日(水)発売開始
    http://www.with-ppl.jp/ppl/news/345/

    日経BP社のPR
    「原発事故、なでしこ、放射能、風評、暴力団、ジョブズ、嫌韓、八百長、紳助、ぽぽぽぽーん……

    何が正しいのか、わからない世の中だから、この一冊!
    毎週金曜日に公開されるや否やネットで大議論を巻き起こすコラム「ア・ピース・オブ・警句」。
    それはまさに数十万人が参加する「オダジマ白熱教室」。
    原発に、保安院に、なでしこに、石原都知事に、誰もが一言いわなければ気が済まない。
    眉間にシワを寄せ、鼻の穴をふくらませながら語られる「正義」に水をかけ、時にスベり、時に火だるまになりながらも、前のめりで切り込んでいくコラムニスト、小田嶋隆の真骨頂ここにあり! 」

  • 小田嶋隆って絵上手いね…イラストレーターのクレジットがどこにもなくて困ってたら本人だったとは。内容はわかりやすい。わかりやすく我々の生活に転がる疑問にぼんやりとした回答を示唆してくれる。常識的だとされている答に対してもう一回立ち止まって考え、検証する隙を与えてくれる。震災前後の世相、ハッキリとした回答なんて誰も持っていない。だから著者も著者の回答を述べるだけだ。あとは我々一人一人が考える。それでいいのだと思う。

  • なんとも、我ながら呆れる。
    2012年に入って初めて読了したのが本書。「小説読み」を自称する自分としたことが。。。

    さて、本書は名コラムニストによる極めて「真面目な」一作。前書きで著者自身が書いているように「らしくない」本なのだが、その分、著者のモノの考え方が率直に伺えて興味深い。

    ただ、「テレビ批評家」としては、著者は物足りない。
    つくづく、ナンシー関の偉大さを思う今日この頃だ。

  • いわゆる日本の政治、日常のニュース等への考えをつづったエッセー。
    読みやすいが、何かを得るというほどではない。

  • これも日経ビジネスオンラインに連載されている、「ア・ピース・オブ・警句」の単行本。実に慧眼に富んだコラムだ。この本で特に注目すべきは「濁りのない金閣寺」である。少なくとも東京都民の方には是非読んで頂きたいと思う。

  • 日経ビジネスオンラインで連載中のコラムの書籍化。全て会社のPCで就業時間中に既読なので書籍としては再読。視点、文体、スタンス、全てがお手本になる。評点は再読なので難しいよな。

  • 日経ビジネスでのWEB記事をまとめたものですが、WEB記事を読んでてもやっぱりまとめ読みしたくなりますし、読んであらためて面白かったと思います。
    小田嶋さんはいろいろなトピックを取りあげられますが、今回は「硬派」なネタが多かったのではないかと。それだけに、自分たちの生活に近いところでの話なので、興味深く読めます。
    やっぱり感心というか、すごいと思うのは、話の切り口です。その話題を「そこから切り込む?」という論理の展開はすばらしいです。

  • いいコラムは読者の思考を促します。何度も立ち止まらせます。小田嶋さんのコラムはまさにコレ。お高く留まって天の声を下々に伝えんとするコラムとは違います。オープンマインド。風通しが良いともいえるかもしれません。
    小田嶋さんのことは、雑誌で何度かコラムを読んだことがあり、「面白いことを言う人だなぁ」とかねて思っていましたが、単行本を買ったのは先月の「場末の文体論」(日経BP)が初めて。いや、大変に面白かったです。
    で、すっかり癖になって「その『正義』があぶない。」を購入。他にも著作はたくさんありますが、自分は正義を振りかざすことに激しい抵抗を覚えるタイプなので、これを選びました。
    結論は言わずもがなです。って、それでは感想にならないので、気になったところをいくつか。
    まず、著者は「発刊に寄せて」で、震災以降の日本の言論状況に言及します。
    「震災以来、原発をはじめとするあらゆる分野で、人々は、議論ではなく、『正義』(←(『議論の余地のない正しさ』は、議論を圧殺する)それ自体を求めるようになった」
    なるほど、そうかもしれません。といいますか、私自身、FBで何度か、震災以降の窮屈な世間の様相に触れてきました。たとえば、「ジョークが許されなくなった」というふうに。「国難」「絆」「勇気」の硬派な言葉が世の中に溢れ返り、冗談は相成らんという窒息しそうな空気が蔓延しました。今はだいぶ和らぎましたが。
    小田嶋さんは、この空気に抗していたのですね。
    「その『正義』がもたらす窮屈さへの悲鳴として、私が並べ立てていたジョークのいくつかは、いま見ると、明らかにスベッている。比較的デキの良い組のギャグも、確実に笑いをもたらしたとは言い切れない」
    そこまでジョークにこだわらなくても…とは思います(笑)
    脈絡なく続けます。本書では、島田紳助の芸能界引退問題も取り上げています。著者は「紳助はその気(政界に進出する)だと思う」とかなり大胆な予想を立てます。選挙についての著者の見立てが面白い。
    「選挙は、人気を競うコンテストではない。知名度を争う戦争だ。好きであれ嫌いであれ、名前を顔を知られている候補者が勝つ。そういうことになっている。1万人に嫌われて、50万人に好かれている候補者と、100万人に嫌われていて80万人に好かれている候補者が、同じ選挙区で選挙戦を戦った場合、必ず後者が勝つ。選挙というのは、そういうレギュレーションなのだ。とすれば、紳助は無敵だ」
    何だか身も蓋もないですし、一応、それなりに政策を見て判断する自分としては納得し難いところもありますが、選挙の基本仕様としてはそういうことなのかもしれませんね。政党が芸能人、タレントの擁立に血道を上げるのも頷けます。
    一時、「品格」という言葉が流行しました(今もですか?)が、著者の主張は我が意を得たり、でした。
    「品格は、本来、語るものではない。評価するものでもない。ただそれは人が去った後に香気のように漂うものだ。いずれにせよ、品格について語る者は品格を失う。いま語っている私も含めて」
    各界からの八百長の一掃については、高校生の喫煙率の劇的な減少の原因に言及し、「おそらく喫煙という文化がポジティブな発信力を喪失したからだ。要するに、タバコはカッコ悪くなったのである。薄汚いオヤジの、クサくて不経済な習慣」としたうえで、次のように提言します。
    「法令の遵守は、罰則による威圧や、社会的な強制よりも、美意識によって達成されるべきだ、というこだ。八百長に加担することが、どうにもみっともない、恥ずかしい、きたならしい生き方であると、いうことが、全力士の間で共有されれば、自然にそれは消滅するはずだ。損得や金勘定の利得を超えて」
    各界の浄化に関して、このような提言を聞いたのは初めて。なるほどと膝を打ちました。
    このほか、読んでいろいろ考えたことがあり、それも記録しておきたいところですが、私も忙しいので後日。といいますか、忙しいならそもそもこんな無内容なレビューなんて止めてしまえばいいのに、一度始めるとなかなか止められない几帳面な性質でして…。
    「正義は、それに反する者を排除し、自分たちの陣営に与しない人間を敵視するための装置になる。であるから、正義という文脈で話をしているうちに、人々は、いつしか正義と不正義を峻別するフィルタリングの作業に熱中するようになる」(「その『正義』があぶない。」)

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著者プロフィール

1956年東京赤羽生まれ。早稲田大学卒業。食品メーカー勤務などを経て、テクニカルライターの草分けとなる。国内では稀有となったコラムニストの一人。
著作は、『我が心はICにあらず』(BNN、1988年、のち光文社文庫)をはじめ、『パソコンゲーマーは眠らない』(朝日新聞社、1992年、のち文庫)、『地雷を踏む勇気』(技術評論社、2011年)、『小田嶋隆のコラム道』(ミシマ社、2012年)、『ポエムに万歳!』(新潮社、2014年)、『ア・ピース・オブ・警句』(日経BP社、2020年)、『日本語を、取り戻す。』(亜紀書房、2020年)、『災間の唄』(サイゾー、2020年)、『小田嶋隆のコラムの向こう側』(ミシマ社、2022年)など多数がある。
また共著に『人生2割がちょうどいい』(岡康道、講談社、2009年)などの他、『9条どうでしょう』(内田樹・平川克美・町山智浩共著、毎日新聞社、2006年)などがある。
2022年、はじめての小説『東京四次元紀行』(イースト・プレス)を刊行、6月24日病気のため死去。

「2022年 『諦念後 男の老後の大問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小田嶋隆の作品

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