- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822248895
作品紹介・あらすじ
都市集中。過疎。自然喪失。高齢化。そして、震災、津波。21世紀、どこに住み、どう生きるのが幸せだろう。
感想・レビュー・書評
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所々の知識に興味を引かれる部分はあったが、話している人間がわたしと世代が違うので、見ている景色が違いすぎる。
建築の指揮権が現場から本社に集中したことや、道路をあちこち舗装してまわり土の道がないことを批判していたが、そうなるにはそうなるなりの合理性があっただろうに「どうかしている」「昔はそうじゃなかった」とのみ言い捨てるのは納得いかなかった。
結局人間誰しもが幼少期に経験したことを価値基準の中心に据えてしか生きられない、その業に自覚的であってほしい。
全体的に通底する思想が相容れなかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「バカの壁」の養老孟司氏と建築家隈健吾氏の対談集です。
普通のおっさん的風貌の隈氏にはいつも親近感を感じますが、建築家ですので当然建築や都市計画への思考は深く、そこに養老氏の思考と絡まれば、単なる住まいや住み方のテーマから一気に飛躍しそうでなかなかしない感じがとても読みやすかったです。
隈氏の建築家としての個性があまり出てこないのは養老氏の懐の深さだと感じました。
大規模建築を独り歩きさせず、人目線から建築を見つめ直す視点は、その前提として、人間的な思考を繰り返してこそ得られるものだと感じました。
あまり専門的になり過ぎず、難しい言葉も少ないので一気読みできました。 -
養老先生と隈研吾氏の対談。
同じ学校の先輩後輩とは知らなかったが、
かなりシンパシーを感じあってる二人だと思った。
面白かったけど、要所要所で理想論もあって、
異論もたくさん起こりそうだった。
コンクリ打ちっ放しの無機質な建築は好まないとは、
あの方のことを言っているのかしら。 -
二人の対談が純粋に面白かった。
震災以前は、建築は津波に対してはノーマークだったのには驚いたが、100パーセント安全なんてものはないから、「だましだまし」やるというやり方が、きっと一番必要な姿勢なのだろう。
国策としての都市計画も大切かもしれないが、個々人が気持ちよく生活できる環境というのが何よりも大切だ。戦後の都市計画が、環境をダメにしたのであれば、これからはもう少し長い目で、企業も国も考えてほしい。
建築、解剖学に著者なりの共通点があったのも興味深かった。 -
どの場所に対してもカンペキな建築というのは、そもそもムリ。だからと言って諦めるのではなくて施主とデベロッパーがアイデアを出しながら納得できるものを建てることは可能。しかし今の分業制の建築方法では、責任の所在がどこにあるのか不透明で誰が何を求めた建築物なのかがよくわからない。
(隈)津波から命を守る建築物といったら「地下」シェルター。土地の上の建物で地震にも津波からも逃れられるカンペキなものを求めるから問題が難しくなる。
だったら「だましだまし」の思想で、とりあえず津波から命を守るために「地下」に逃げ込める設備を作る。津波の表面は波の力が強いけれども、下はわりと弱い。
・ユートピア主義→どんな災害にも耐えうる理想的な建物を!
・現場主義→「だましだまし」やっていくなかで最適な建物を!
ユートピア主義+現場主義=最適解
・システム問題→あるものを形作る非常に複雑な要素をアタマが無視している。
(養)システム問題を避けるためには「参勤交代」のような、地方と都市の人間の入れ替わりが必要 -
建築って結構アバウトなんですね。気が軽くなりました。
現場主義、原理主義じゃなくて、というのに共感。
あと、カトリックの学校って、やっぱりいいのかな。娘にきちんと教育を受けさせよう。 -
茅葺の家はコストがかかる
だが自給自足地産地消が最先端 -
対談なので、まとまった形ではないが20世紀型ともいえる建築の動きを端的に指摘していて何も知らないものとしてはなるほどと思う。
産業革命や石油依存生活と建築のかかわりは面白いし、相変わらず同じ路線を続ける日本に危機感を感じるのもよくわかる。
建築に限らず、20世紀の宿題ともいうべき問題の指摘は鋭い。
一方で解決策となるとなぜか懐古的になるのが、ちょっと残念ではある。
軽い感じで読めて、意外なほど色々指摘があって面白い本であると思う。