リーン・スタートアップ

制作 : 伊藤 穣一(MITメディアラボ所長)  井口 耕二 
  • 日経BP社
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レビュー : 235
  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822248970

作品紹介・あらすじ

思い込みは捨てて、顧客から学ぼう!「構築‐計測‐学習」というフィードバックループを通して、顧客も製品・サービスも生みだし育てるシリコンバレー発、注目のマネジメント手法。

感想・レビュー・書評

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  • 非常食の定期宅配サービスyamoryを立ち上げる前から、東京大学i.schoolでデザイン思考を学んだり、Y-combinatorの人のTwitter botを読んだりしていたし、リーンスタートアップに近い概念は理解していた。スタートアップ界隈で話題になっている本書は、デザイン思考やらアジャイル開発やら何やらを改めて体系化してくれたものだ。

    めちゃくちゃ面白い。何が良いかって、これは実際に作るための方法論を語っているのだ。(東京大学i.schoolのダサいところは、一流のファシリテーターを呼んで、一流の学生をワークショップに参加させておきながら、最後はプレゼンでお茶を濁して「教育プログラムですから」と逃げてしまうところだ。)

    「デザイン思考」よろしく「リーンスタートアップ」も結構なバズワードになっているが、本質的なところは捉えているので、流行が過ぎ去っても無効になることはないだろう。


    スタートアップとは:できるだけ早く、作るべきもの(顧客が欲しがり、お金を払ってくれるもの)を突き止めること。実験。

    リーンスタートアップとは:Build-Measure-Learnのサイクルタイムを短縮化し、顧客に対する洞察や大いなるビジョンに気を配りつつ、「検証による学び」を通じて、画期的な製品を開発すること

    価値:顧客にとってメリットを提供するもの
    無駄:上記以外全て

    スタートアップとは実験である。当然事業の根本には仮説があり、それを検証することが必要。一番最初に検証すべきは以下の2点。

    価値仮説:あるモノをつくったとして、顧客がそれに価値を感じてくれるか。欲しがり、お金を払ってくれるか。
    成長仮説:顧客が価値を感じてくれたとして、それが広まっていくか。

    Launchrockなどを使ってティザーサイトを作ってみたり、製品の予告編を作ってみたりして反応を見てみるだけでも価値仮説に関しては有効な検証ができるだろう。(今思ったけど、映画の予告編だけ先に作ってから本編を制作するか決める、というようなことをやっているところってないのかしらん)

    MVP(Minimum Viable Product)をつくる:検証したい仮説に関する実験をするための製品。必要最低限の機能さえついていないこともある。MVPをつくるときに、必要だろうかと少しでも迷ったらシンプルにすべき。求める学びに直接貢献しない機能やプロセス・労力は全て取り去ること。

    バッチサイズを小さくする:Build-Measure-Learnにかかるサイクルタイムをできるだけ短くする。そのためにはバッチサイズを出来るだけ短くする必要がある。

    仕事の進捗は、こなした作業の量ではなく、検証できた仮説で測る。

    5回のWhyをやる



    自分で何かやりたい、という人は是非読んでおいたほうがいいと思われます。

  • 「リーン・スタートアップ」という言葉聞いて何のことなのかピンと来ない用語だし、さらに帯を見ても「リーン・スタートアップとは、サイクルタイムの短縮と顧客に対する洞察、大いなるビジョン、大望とさまざまなポイントに等しく気を配りながら検証による学びを通して、画期的な新製品を開発方法なのである」とある。長いしよくわからない。

    でもこれは読むに値する。これはベンチャーの起業の仕方の話ではなく、マネージメント論そのもの。
    トヨタの生産方式をヒントにソフトウェアのアジャイルやデザイン思考の流れにそって新たなプロセスを提示する。今までの大量生産時代のモノの作り方やスピードでは「時間の無駄」が多すぎ、これを最小にするために「構築ー計測ー学習」サイクルをなるべく短期間に時間も金も最小にまわし続ける、これにより顧客の本当に欲しいものに「一番効率よく」たどり着くことができる、という発想。
    キーワードとしてはどれもわかっているものではあったが、仮説の立て方や検証(計測)の仕方をどれだけ意味のあるものにするかのあたりが面白い。活かせるかどうかもここポイントだという気がする。
    本のつくりとしては流れはいまいちで前半はモヤッとした感じで、後半の理論と実例での検証の辺りだけでもいいかも。
    この本というよりもこの手法そのものに可能性と発展を感じる。時代の潮流になりそう(既になっている?)。

  • スタートアップが成功するための方法論として、エリック・リースが提唱する「リーンスタートアップ」。本書はエリック・リース自らがその枠組みについて書き下ろしたもので、非常に説得力があり、なぜ今リーンスタートアップという考え方が重要となっているのかがよくわかる。GEは自らの組織改革において、このリーンスタートアップを全面的に参考にしたという。て「ファーストワークス」という彼らの新しいやり方を構築したという。

    リーンスタートアップとはイノベーションを継続的に生みだすための枠組みでありそのアプローチである。その目的は、「顧客の望みを中心に(顧客から望みを聞くわけではない)意思決定を科学的に行う」ことである。また、ここでいう「スタートアップ」とは、「とてつもなく不確実な状態tで新しい製品やサービスを創り出さなければならない人的組織である」技術革新とネットワークの力、失敗のコストの低減などからスタートアップに限らずどのような企業においても、サービスを一から起こして効率的に成功する(もしくは失敗する)ための方法論が重要になっていると強く感じる。企業内で新しい事業を始める人(本書ではイントレプレナーと呼んでいる)は、本書にまとめられた「リーンスタートアップ」の枠組みを大いに参考にするべきである。

    著者は自分の起業体験を説明するために、トヨタのリーン生産方式からヒントを得てその考え方をスタートアップに適用した。リーン生産方式とは徹底的に無駄を排除するための方式であるが、スタートアップの経営でも無駄をできるだけ早く発見し、体系的になくしていくことが重要である。現状では、その重要さはもしかしたら生産の現場よりも大きいのかもしれない。著者はそのことを自らのスタートアップ経営の経験から学び体系化してきたのである。

    生産管理とスタートアップのマネジメントで、必要とされるものはほとんど逆の性質を持っているのではないのかという印象を持つかもしれないが、この本を読むとスタートアップにこそリーンな考えが必要であることがわかる。

    リーンスタートアップの枠組みの基本は次の通りである。

    1.アントレプレナーはいたるところにいる
    2.企業とはマネジメントである。スタートアップとは製品ではなく、組織である。
    3.検証による学び。スタートアップの存在意義は、モノを作る、お金を儲ける、顧客にサービスするだけではない。どうすれば持続可能な事業が構築できるのか
    4. 構築-計測-学習。アイデアを製品にする、顧客の反応を計測する、そして、方向転換(ピボット)するか辛抱するかを判断するー これがスタートアップの基本である。
    5.革新会計。企業成果を高めたり、イノベーターに責任を持たせたりするため、アントレプレナーは、おもしろくない部分注力する必要がある。進捗譲許の計測方法やチェックポイントの設定方法、優先順位の策定方法などの部分だ。

    企業には、ビジョンがあり、戦略があり、製品がある。その中で、ビジョンはめったに変わらないが、戦略は変わるべきである。製品はもっと頻繁に変わるべきである。そのことをスタートアップのチームで共有することは重要である。「製品は最適化というプロセスで変化していくが、これを私はエンジンのチューニングと呼ぶ製品ほど頻繁ではないが、戦略も変化することがある(ピボット)。しかし、全体を支配するビジョンはめったに変わらない」

    だからこそ、リーンスタットアップにおいては、「失敗」が非常に重要になる。単なる学び、ときに上手な言い訳、ではなく「検証による学び」という概念で学び・失敗をとらえなおすことが重要だと言われている。そのために構築-計測-学習のサイクルを素早く回さなくてはならない。学習すべきことから計測すべき内容を導き出し、そのための構築を行うという形でバックワードに計画をして、素早く実行するのである。そして、必要であれば失敗に基づきピボットできるようにする。実際に中にいるものにとってはピボットの判断は非常に難しい判断になることが多く、また手遅れになることも多い。だからこそ、きちんと検証による学びをこのサイクルの中に意図的に組み込んでおかなkてはならないのである。

    起業は博打ではない -「起業とはマネジメントの一種である」-「スタートアップは正しいやり方で進めるからこそ成功するのだ」。これがエリック・リースの基本的な信念でもある。

    現在の状況においては「この製品を作ることができるか」と問うことではなない。人間が思いつける製品であれば大抵のものは作ることができる。問われるべきは「この製品は作るべきか」なのだ。その先には「このような製品やサービスを中心に持続可能な事業が構築できるか」ということなのである。そのために実験と検証が非常に有効だと。それがリーンスタートアップの肝となる -「我々はかつてない状況に直面している。人類全体の想像力の質が未来を左右する状況に」

    「やってはいけないことをすばらしい効率で行うことほど無駄なことはない」のである。リーンスタートアップの枠組みは、この無駄なことをやってしまうことをを可能な限り少なくするためのものなのである。

    実際に社内で新しいことをやるとき、「社内イノベーションでは「どうすれば社内スタートアップを親組織から守れるか」が課題だとよく言われるが、私は逆に「どうすれば親組織を社内スタートアップから守れるか」が課題だと思う」- この言葉を正しく理解できていないのかもしれないが、社内スタートアップを親組織である社内でいかに機能的に位置づけていくのかが大きな課題であると理解している。


    「失敗」という言葉に新しい意義が加わり、段々と深みが積み重なっている気がする。
    多くの学びがある、貴重な本。

    ---
    伊藤穣一が解説を書いているが、彼の9プリンシプルズのひとつに「地図よりコンパス」が挙げられている。伊藤穣一はここで、リーンスタートアップの本質をわかりやすく表現すると「地図を捨てコンパスを頼りに進め」と説明している。現在の状況では、地図を作製しようとするとそれだけでプロダクトを開発する以上のコストがかかってしまうし、その間にさえ地図が陳腐化してしまう。コンパスを手に柔軟に進み、ときに素早くピボットをすることが成功の鍵になる。特に「セレンディピティ」の恩恵にも預かりやすくなるのである、と。

    「地図よりコンパス」というのはわかりやすいかもしれない。

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    『GE 巨人の復活 シリコンバレー式「デジタル製造業」への挑戦』のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4822255115
    『9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために』のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4152096977

  • ドラッガーによるマネジメント開闢から百年、マネジメントの第2世紀は、不確実性との戦いである。
    ただし不確実であるがゆえに起業のチャンスは膨大で、起業ルネサンス時代とも呼ばれる。
    だから、この不確実な起業ルネサンス時代における起業とは、投資家に対する事業の蓋然性の証明要求との戦いでもある。

    そこで生まれたのが「リーン・スタートアップ」手法である。
    リーンとは、無駄のない状態を指し、トヨタ方式の無駄取りに起因し、それを起業マネジメントに適用しようと考えられている。
    「アイディアの構築→実用最小限プロトタイプによる計測→科学的方法に基づいた学び→方向転換(ピボット)判断」という
    起業マネジメントの1周をいかに素早く回転させるかをテーマにしている。

    秀逸である。
    なんども社内起業し、成功も失敗も経験したが、フィールドが変わると経験則が活用できない歯がゆさがあった。
    起業のプロセスや方法論が毎回ゼロスタートにしか出来ないことを悩み、考えていたところで
    この本に出会った。次回の事業展開では全面的に採用するつもりだ。

  • 何度も読み返した。
    今後の仕事のバイブルや。
    今までウォーターフォールで開発経験を積んできたが、グサグサ刺さる考え方がたくさん。
    局所の効率化を追求すると全体効率は必ず下がる。
    今まで開発効率が下がる事=事業も損してる!!!と思ってたけど、もっと広い視野がある事に気付いた。
    作るものの特性にもよると思うが、リーンを回せたら躍動感もってプロジェクトできるんだろうなー
    そんな仕事をしたいもんです。

  • MVP
    PDCA
    仮説→実験→検証
    ピボットの種類
    ディスラプティブイノベーション

  • こちらも、GEなんかも取り組みだした「リーンスタートアップ」を知っておくために読んでみた一冊。この本は良かったな~、仕事上で活かせる考え方が多々あった。新しいことを始めるにはスモールスタートがやりやすいけど、それだけじゃ考えとしては足りない。そのやり方にもいくつも工夫すべき点があることを改めて考えさせられて、早速自分の仕事の仕方も少し変わってきたかな。リーンな考え方も取り込みつつ、失敗から学んでできることを増やしていけるといいなと。

  • リーン生産方式
    =我々の努力のうち価値を生み出しているのはどの部分で、無駄なのはどの部分なのかということ

  • 多方面で推薦されているので、説明不要なくらい有名になっていますが、以外と読んでいる人が少ないので記載しておきます。
    個人的にこの本の良いと思った点は、大きく2つあります。
    1つ目は、よくあるアイデアの発想法ではなく、自分のアイデアをどのようにドライブしていくかということに焦点が置かれていること。2つ目は上記に対して具体的な手法や事例を用いて解説していることです。特にスタートアップが必ず迫られるピボット(方向転換)の章は参考になりました。
    ぜひご一読を。

  • テック業界で話題だった本を読了。
    スタートアップ企業がいかにうまくやるための本かと思っていたら、企業の大小は問わず、製品やサービスを立ち上げる場合に、留意すべき事項がまとめられている。

    それはベンチャー社長が書くような、情熱や心持ちの話ではなく、タイトルが示すように、トヨタのリーン生産方式にも影響を受けた、事業のマネジメント方法に関する内容である。
    情熱や、革新的な技術だけではうまくいかず、いかに顧客の課題に合わせ、製品・サービスを育てていくかという話だ。

    簡単に略すると、以下のステップである。
    1、実用最小限の製品・サービス(Minimum Viable Product)を作る
    2、意味ある、行動につながる指標(actionable metrics)を計測する
    3、学び、必要があれば方向転換(pivot)する

    こう書いてしまうと当たり前のように見えるが、実業務と照らすと、こうなっていないことはよくある。
    大企業におけるウォーターフォール型のシステム開発業務なんかは特にそう。

    日本の過剰品質を追求する姿勢を見直すべきという声を最近聞くが、じゃあどうすればいいか、という時に参考になる考え方だと思う。


    以下はメモ。(この本が出たせいか、ウェブではピボットという言葉をよく目にするようになった)
    --ピボットの種類--
    ■ズームイン型ピボット
    機能の一部と考えていたものを全体とする
    ■ズームアウト型ピボット
    上の逆
    ■顧客セグメント型ピボット
    ターゲット顧客の変更
    ■顧客ニーズ型ピボット
    自分たちが解決しようとしていたことが顧客にとっては大切でないことが分かった場合などに、本当に困っていることが何かに焦点を当てる
    ■プラットフォーム型ピボット
    特定機能としてリリースしたら、プラットフォームとして有効なことが分かった場合に起こる。初期のfacebookとか。
    ■事業構造型ピボット
    ビジネスモデルを変更すること。B to C から B to B への転換とか。
    ■チャネル型ピボット
    流通チャネル、販売チャネルなどの変更。直販への切り替えなど。
    ■技術型ピボット
    解決する課題やターゲット顧客は一緒で、同じソリューションを別の技術で提供可能にすること

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