ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる

制作 : モートン・ハンセン共著  牧野洋 
  • 日経BP
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レビュー : 97
  • Amazon.co.jp ・本 (490ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822249236

作品紹介・あらすじ

ピーター・ドラッカーの後継者とされるジム・コリンズ。コロラドの山中に研究ラボを設け、これまでに長い年月をかけて「偉大な企業」「偉大な指導者」の条件を追究してきた。
今回は初めて外部環境を変数に入れ、不確実でカオスのような時代に他を圧倒して成長している偉大な企業7社を導き出した。
10X型企業がそれだ。10X型企業とは同業よりも最低10倍以上のパフォーマンスを上げているスーパー・エクセレント・カンパニーのことだ。その10X型企業の特徴を同業の有力企業と比較する「一対比較法」で鮮明に描き出した

感想・レビュー・書評

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  • ジム・コリンズのシリーズ最新作。
    前作までの3冊でも、膨大なデータから引き出した丹念な考察には随分と魅了されてきたが今回も圧巻の一冊だった。
    ベンチャー、中小企業など不安定な状態の企業から、長い年月の間に着実に偉大に進化していった企業を、同様な条件にありながらも偉大になれなかった企業と比較しながら、何がこの差を作り上げたのかを分析している。

    今までの著作でもそうだったように、またまた独特の概念をひねり出している。

    ・10X型リーダー
    狂信的規律、実証的想像力、建設的パラノイア、第5水準野心を備えたリーダー

    ・20マイル行進
    米国大陸を横断するのには、調子が良い時も悪い時もそのペースを崩さず毎日20マイルずつ歩き続けた方が良い結果が出る。
    企業経営も同様に、ある程度の目標を継続的にずっと続けた方が良いという考え方。

    ・銃撃に続いて大砲発射
    最初から一点集中型で大きくやるのではなく、いくつも小さく試してみて、ここぞという分野を見つけたら集中して投資するというやり方。

    ・死線を避けるリーダーシップ
    慎重に慎重を重ねて事前準備をした上で進める経営

    ・ズームアウト・ズームイン
    何かの時にはさっと当事者意識から抜け出し、大きな視点で事象を捉えた上で改めてフォーカスして物事に取り組む。

    ・SMaC(Specific Methodical and Consistent)
    長年拘り続けることをリスト化しておき、内容変更も少なく押さえて遂行し続ける。

    ・ROL(Return On Luck)
    徹底的な準備をした上で、不可抗力で起きたイベント(運)が良運でも悪運でも、それを生かしてReturnを大きくする考え方。

    など、どれも具体例を上げながら比較対象企業に当てはめて詳細に説明しているが一々、納得させられる。
    例えば、MicrosoftとJobs復帰前のAppleなどは典型的な比較対象のペアだという。
    Bill Gatesのやり方を想像してみても、この本で上げている概念に沿うところが幾つも思い浮かべられるし、その時期のAppleはまさに正反対を行っている。
    IntelとAMDの比較も同様である。
    ムーアの法則に拘り続けてイノベーションを実施し続けたIntelと、数々の幸運をまったく活かしきれなかったAMDの差は、丹念に追っていくとまさにこれら概念に当てはまるか否かなのである。

    また、ひとつ、イノベーションに関する面白い考え方があった。
    偉大な企業となるべくにはイノベーションで突出している必要は無いと云うのだ。
    あくまで最低限のハードルであるイノベーションの閾値を超えれば良いのであり、それ以外の要素との組合せが偉大な企業への道筋をつけるのだと。
    確かに大きなイノベーションを一発やった企業が、本当に偉大な企業として残っているかと言われればそんなことはないなと改めて認識した。

    翻訳者の牧野洋氏があとがきで書いているが、ドラッカーの助言があったからコリンズは学者の道に進んだのだそうだ。
    圧倒的な洞察力で社会の将来を考察したドラッカーと、膨大なデータ分析から偉大な企業の本質をえぐり出し続けるコリンズと、アプローチはまったく異なるがこんなところに接点があるのは面白いものだ。

    ともあれ圧倒的な内容に今回も十分に惹き付けられた納得の一冊。
    お薦めの良書だが、やはり「1」から通じて読んだ方が理解がぐっと深まる。

  • このシリーズは、内容の濃さのわりに(だからこそ、か?)、読むと元気になることができるのが良いです。それに加えて、常識的と言えば常識的ながら、通説を微妙に覆してくれる深さ。④も相変わらず面白かった。

    外部の環境の変化に対し、20マイル行進:「良いときも悪い時も一定のペースを保つこと」、銃撃に続く大砲発射:「実証に基づく判断を行うこと」、建設的パラノイヤ:「常に突然の悪化に備えること」を備える必要がある。
    これに加えて、「運の利益率」の話が面白い。これは会社経営だけではなく、普通の人生にも当て嵌められる理論だと思った。

  • ビジョナリーカンパニーの4冊目。3冊目がでたのが2年くらいまえなので、かなり早いスピードだな。3冊目のなかでもこの本の話しがあったので、同時並行でプロジェクトをやっていたんだろう。
    それにしても、このシリーズのスゴさは、実証の方法論的なソフィスティケーションと徹底的な調査を踏まえつつ、事前の予想、当たり前の結論とはかなり違う答えを見つけ出す事だ。
    これは驚くべき事で、通常、調査を徹底的にやると訳が分からなくなって、調べなくても分かっていることしか言えないことになることが多いからだ。
    今回は、先行きが見えないなかで、企業はどうやって成長するか、というのがテーマ。これは今自分が直面している状況にぴったりフィット。とても参考になった。
    この本の答えは、外部環境とは関係なく、人間の意志によって、未来は創れるということ。
    くどいようだが、こういう結論が、徹底的に実証的な研究からでてくというのは本当にスゴいことだと思う。

  • 『世界最悪の旅』というタイトルで新潮社ノンフィクション全集にも収められている、南極探検のスコット隊とアムンゼン隊の比較が載っていると知り、そこだけでもと思って読みはじめたんだった気がするけど、結局面白くて全部読んだ。

    ビジョナリー・カンパニーは、1〜4まで刊行されているけど、なにをもって「ビジョナリー」とするかは、各刊毎にそれぞれ違っていて、
    4では、『逆境で輝く』ということを "ビジョナリー" の1つの大きな特徴としている。

    では、その「逆境で輝く」企業の条件とは何か?ということを、冒頭で上げた南極探検の2つの隊の比較をはじめ、多くのデータを用いて探っていくのが本書の内容となっている。
    しかし、膨大なデータを集めて解析したものの、出てきた結論は結構当たり前のことをいっている。たとえば、「準備が本当によくしっかりとなされている」とか。


    だから、この本の結論だけを読んでみると、「なんか当たり前のこと言ってるな」となるかもしれない。ただ、そこに至る経緯が面白い。

    たとえば、冒頭であげた南極大陸の2つのチームの準備を比較すると、本当に、準備の練り具合が一目瞭然に違う、ということがわかったりする。
    不幸にも帰還出来なかったスコット隊は、こうして後から客観的に書かれた読み物を読めば、誰でもわかるような致命的な準備不足を、しかも1つではなくいくつも重ねているし、南極に到達した上無事帰還したアムンゼン隊率いるアムンゼンは、準備に厳しく余念がないことが、やはり1点だけでなく多くの点にわたっていることが窺える。

    他に、同時刻にエベレストの頂上を目指した複数のチームのうち、ゴールを達成したチームと不幸な結末を迎えることになってしまったチームとの比較分析もある。
    また、九死に一生を得た人の体験を掘り下げ、分析し、個人においても「逆境で助かる」ことの条件を述べている。

    こういった、本書の最終目標に至る過程に興味があれば、本書はきっと面白いと思う。

    ただ、上述した南極探検やエベレスト登頂の悲劇については、ほかにも本がいろいろと出ているので、別で探して読むのもよいと思う。

  • 不確実な環境で飛躍する企業のリーダーは、「狂信的な規律」を持ち、良い時も悪い時も一貫した行動をとる。通例や常識に囚われず、「実証的創造力」を使って自分で観察・実験し検証する。もしこうなったらどうする?という問いを立てて周到に準備し、実際に不運が起きたときには落ち着いて状況判断して適切な対応策を打ち出す「建設パラノイア」である。
    卓越したリーダーは不可抗力に直面することを受け入れながら、自分の運命を制御するのは自分であるという考え方を持っている。人生には確かなことは何もない。しかし、不確実な未来に備えて戦略を立て行動することはできる。

  • この本を読んで印象残った事にひとつに、南極探検で成功したアムンゼンと全滅の憂き目にあったスコットの差は、現代の社会においてある業界で成功する一部の企業との違いにそのまま適用できるとの見方でした。

    その中の一つに「どんな状況でも20マイル進む」との考えがありました。アムンゼンは南極探検を計画する時に、日々20マイル進む事が出来れば計画は達成できると想定していました。その信念に従い、どんな時でも20マイル前進するとの信念を持っていたのです。

    南極の天候は激変します、晴れの日もあれば吹雪の日もあり吹雪の日に20マイル前進する事は至難の業ですが、それでもアムンゼン隊は進んだのです。これだけならよくある根性論に終わりがちですが、アムンゼン隊の優れていた所は、晴れて天候がよく隊員たちが20マイルどころか30マイルでも進めますよと言った時でも、20マイル進行に徹底し隊員を休ませたのです。

    アムンゼンは進もうと思えば進める事は理解していたですが、天候があてにならないものである事を理解していました。無茶をして体力を消耗しては、吹雪の日に進行するだけの体力を失ってしまうのが分かっていたので、晴れの時にも無茶をしていなかったそうです。

    一方のスコット隊はそれとは反対でした。天候のいい日は、30マイルでも40マイルでも疲労困憊するまで進撃をしたのですが、吹雪の日は休んでいたのです。スコットが6日連続で吹雪に会い、日記で自分の不幸を呪っている頃にアムンゼンはそんな日でも20マイル着実に進み、結局はスコットより早く南極点に到達する事が出来たのです。

    スコットのような態度は現代の企業でもよくあります。天気が晴れ(好況)の時は派手にM&Aを行い夢のような利益計画をぶちまけますが、吹雪(不況)になると環境が悪いと自分の不運を呪うのです。

    筆者はアムンゼンのような、どんな状況でも確実に前進する企業こそ最終的には大きな企業価値を生み出すと断言しています。そして不況の時に周りの状況の悪化にも関わらず着実に業績を上げる事も偉大であるが、好況時進もうと思えば進める時にも敢えて一定のペースで歩み続ける自己制御力こそ偉大さの源だと語っています。

    こう考えますと、中田の今いる会社は好況・不況に一喜一憂する会社である事は否めません。この本を読んで好況・不況に対する自分の考え方を変えなくてはいけないなと改めて思い知らされた次第です。

  • 121028 日経広告 4面

  • 会社でも人でも原則は同じ。後は、それをできるか、できないか。

  • ビジネス書の中でも世界的な大ベストセラーシリーズ、コリンズ本の続編。今回は不確実で波乱の時代に他を圧倒して成長するエクセレントカンパニーを、同業の有力企業と比較し普遍的な法則の考察をした内容。

    独特のキャッチーな概念が印象的で、どれも事例を交えて分かりやすく説明されていて、なるほどと思うばかり。特にマイクロソフトとappleの比較の話は、身近でもあり読みものとして楽しい。

    概念の中では「イノベーションは閾値を超えれば良い」という話と「運の利益率」という考え方が私は特に面白く感じました。偉大な企業の成功要因はイノベーションではなかった。

  • 今回も、いつもにも増して読み応えのある良書となっています。客観的立場から分析なので、その論の信ぴょう性があります。今回は、何より勇気や確信の裏付けを自分の中で持つことができました。10X型リーダーそのあるべき姿や特性、なんだか…。そればかりでなく、「二〇マイル行進」「銃撃に続いて大砲発射」「SMaCレシピ(具体的で整然とした一貫レシピ)」「運の利益率(ROL)」と新しいキャッチも印象的でした。また、最後に、これまでの3書との、相互関係性を説明してくれているあたりも、これまでの復習にもなりよかったです。

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