ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる

制作 : モートン・ハンセン共著  牧野洋 
  • 日経BP
4.13
  • (93)
  • (100)
  • (39)
  • (5)
  • (4)
本棚登録 : 1217
レビュー : 97
  • Amazon.co.jp ・本 (490ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822249236

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 10X(テンエクサー)型企業とは
    1、経営基盤が脆弱な状況でスタートし、不安定な環境下で目覚ましい成長を遂げ、15年以上に渡って株式市場平均や同業他社を凌駕した会社の事。

    10X型リーダーは常に不確実な状況におかれている事を認識している。外部環境は彼ら自身に大きな影響を与えるとはいっても、自ら外部環境を制御できないし、将来的にどう変わるかも予測できないと認識している。これが「制御不能」。一方で、不可抗力や偶発的事象によって全ての結果が決まってしまうとも考えていない。自分の運命がどうなろうとそれについては全面的に責任を負うつもりでいる。つまり、自分の運命を制御するのは自分であるという事。これが「制御」。

    10X型リーダーが見せる主要行動三パターン
    1、狂信的規律
    一貫した価値観、目標、評価基準、方法をはじめ、徹底した「行動の一貫性」を示す。組織管理、統制、画一的評価、権力追従、社会制約の維持、官僚的規制の遵守とは異なり、精神的な独立性を求める。時として、体制に従わない型破りな行動と同義。

    2、実証的創造力
    自ら直に観察し、実験を重ね、具体的な事実と向き合う。実証的な基盤を築くからこそ大胆で創造的に行動できる。

    3、建設的パラノイア
    最悪の状況を想定して日頃から準備を怠らず、有事対応策を練り、衝撃緩和の仕組みをつくり、安全余裕率を高める。

    この3点セットを活性化させるのが、レベル5野心。自己利益の拡大ではなく、大義などの大目標を達成させたいと思う気持ち。



    20マイル行進
    晴れの日も雨の日も20マイル行進を続ける事。
    20マイル行進を実践するには長期に渡って並外れた一貫性を保って「工程表」に準拠しなければならない。ここでは、厳しい状況下でも高い成果を出さなければならない苦痛と、快適な状況下でも自制しなければならない苦痛がある。

    20マイル行進の7つの特徴
    1、明確な工程表
    2、自制心
    3、企業毎の独自仕様
    4、他力本願ではなく自力達成型
    5、ゴーディロックス時間-無理がかからないほどゆっくり進むが、厳しさを伴う程早く進む。
    6、企業が自らに課す規律
    7、並外れた一貫性

    20マイル行進は財務的指標である必要はない。良い20マイル行進の特徴を維持している限り、創造的行進、学力的行進、サービス改善行進などの行進形態があってもいい。

    どんな困難な道のりを歩んでも20マイル行進を徹底する事で自信が生まれる。成果を出せるかどうか決定づけるのは自分が置かれた状況ではなく、自分が打ち出す行動である事を証明できる。

    20マイル行進を怠ると、逆境下に対応できない。実践していれば制御不能な環境下でも自制できる。

    20マイル行進はいつでも始められる。

    20マイル行進の実践者は不安定な環境下で有利な状況を築くので、世界が混乱すればするほどその必要性が高まる。

    成長の極大化追求と10X型成功は逆相関関係にある。比較対象企業は好況時になると成長の極大化に走り、予想外に環境が悪化すると無防備な状態で悲劇に陥る。10X型はいたずらに成長を追求せず、環境悪化を前提に準備し、用心を重ねる。

    あなたの20マイル行進は何?15-30年に渡って、一貫したペースで着実に進むと公約できるものは?



    10X型成功を浮き彫りにするのは、飛躍的なイノベーションでも天才的予知能力でもなく、「銃撃に続いて大砲発射」する事。

    銃弾は「低コスト」「低リスク」「低ディストラクション(気の散る事)」
    の3条件を満たす実証的テスト。実証的有効性を確認した上で大砲を発射、経営資源を集中させ、大きな成果を狙う。

    先ずは標的に命中しない銃弾を大量に撃つ。どの銃弾が命中するのかわからないからだ。その後、当たったところに大砲を打ち込む。銃弾を撃つ前に大砲を撃ってはならない。

    銃弾を撃ち、精度調整したにもかかわらず砲撃に入らないと平凡な結果に終わる。

    企業買収は銃撃としても有効。

    厳格な規律と創造力を融合させる事。規律が創造性を阻害してはならないし、
    創造性が規律を阻害してもならない。並外れた一貫性を持ってイノベーションを展開する。

    イノベーションは閾値だけは最低限達成させるが、それ以上のイノベーションにあまり意味はない。



    建設的パラノイアの主要3手法
    1、不測の事態に備え、十分な手元資金を用意する事。10X企業は一般水準に比して3-10倍も現金比率が高い。

    2、「死線リスク(企業をつぶすか、深刻なダメージを与える)」
    「非対称リスク(ダウンサイドがアップサイドよりも大きい)」
    「制御不能リスク(自力で管理、抑制できない不可抗力に直面する)」を抑え、「時間軸リスク」を上手に管理する。

    3、状況変化を察知するズームアウト、ズームインを行い、用心深くいる。
    状況が急変したからと言って思考や行動面で規律を放棄せず、迅速、厳格な判断に向けてズームアウトし、迅速、完璧な行動に向けてズームインする。

    あなたの会社が直面する最大の脅威や危機を考えると、リスクの性質が変わるまでにどのくらいの時間があるか?



    SMaCとは、
    Specific、、具体的である
    Methodical、、整然としている
    And
    Consistent、、一貫している
    の造語。SMaCレシピは永続性のある実践法一式であり、着実な成功を可能にする基盤。内容は、「何をやるべきか」「何をしてはならないか」が明示されており、会社全体が一丸となって業務改善に取り組める。

    SMaCレシピを開発、維持し、必要に応じてまれに変更する。
    比較対象企業もレシピを持っていたが、レシピを厳守する規律に欠いていた。

    レシピは数十年も持続する個別具体的な実践方法である事。一端入手したら、めったに変更させない。

    SMaCレシピの作り方
    1、あなたの会社が達成した成功例をリストアップ
    2、あなたの会社が経験した失敗例をリストアップ
    3、失敗例ではなく成功例と関係している具体的実践方法は?
    4、成功例ではなく失敗例と関係している具体的実践方法は?
    5、これらのうち、10-30年にわたって持続し、多様な環境へ適用できるものは?
    6、なぜこれらの実践法は有効なのか?
    SMaCレシピは8-12項目で構成され、それぞれの項目がお互い補強し合うように首尾一貫していなければならない。

    あなたのSMaCレシピは何ですか?



    運の利益率(ROL)
    誰にも等しく運(良い悪いに関わらず)は訪れる。本質的な問いは、「あなたは強運の持ち主か?」ではなく、「あなたは高いROLを達成しているか?」である。

    「あらゆる状況を想定して準備しておけば勝利が訪れる。これを人々は幸運と呼ぶ。事前に必要な予防策を講じるのを怠れば失敗は確実だ。これを人々は不運と呼ぶ。」 ロアルドアムンゼン「南極点征服」より

    幸運を浪費せず、ROLを最大化させる方法は、狂信的規律、実証的創造力、建設的パラノイア、レベル5野心、20マイル行進、銃撃に続く大砲発射、死線を避けるリーダーシップ、SMaCの実践である。

    10X型のリーダーは過去の成功を回想する時、「幸運に恵まれた」と言うが、失敗した時は「運が悪かった」とは言わない。

    ROLは、ROA, ROE, ROS, ROIよりも重要な概念である可能性がある。

    最高の運は誰か?
    良き助言者、良きパートナー、良きチームメイト、良きリーダー、良き友人を見つける運であり、あらゆる種類の運のうち、最重要な運。幸運の流れに乗る最良の方法は偉大な人達と一緒に泳ぐ事。あなたが命を懸けてもいいと思える人達がいる、あなたの為に命を懸けてもいいと思ってくれる人達がいる、そんな人達と
    永続的で深い関係を築くという事が大事。

    過去10年で大きな運イベントを経験した事があるか?高いROLを達成できたか?できたとしたら何故?出来なかったとしたら何故?ROL向上の為に何ができるか?

    あなたにとって最高の運は誰ですか?

    例えどんなに無秩序で不安定な世界にあっても、企業が真に偉大になるかどうか決定づけるカギは人間の手の中にある。人間に対して何が起きるかではなく、人間がどのように創造し、実行するかがポイントなのだ。


    衰退の5段階の回避方法
    第一段階(成功体験から生まれる自信過剰)の回避方法は?
    建設的パラノイアでおり、すぐそこに危機が迫っていると心配する。

    第二段階(規律なき規模の追求)の回避方法
    20マイル行進を実践し、精度調整なしの大砲を控え、SMaCレシピを厳守する。

    第三段階(リスクと危うさの否定)の回避方法
    酸素ボンベ(キャッシュ)を大量に持ち込みリスクを抑制し、ズームアウトズームインにより死線を避ける。

    第四段階(救世主にすがる)の回避方法
    SMaCレシピを注意深く修正する。

  • ビジョナリーカンパニーの続編。過酷な状況、想定外の事態に巻き込まれる中で生き残る企業とそうでない企業とを比較・分析。基本的には3までの知見につながるものが多く、前3作に比べると中身の新鮮味がない気がします。

  • ビジョナリーカンパニーの第4弾。不確実な世の中を企業がどのように生き抜くかについてのエッセンスを知ることができる。人間の重要性がフォーカスされている。運の利益率に関する話題もあり、第1弾、第2弾を補完する内容になっていることが興味深かった。

  • 一貫性が重要。著者は「比較」を取り上げるが、それだと後ろ向きな思考になりがち。

  • 読了。なぜか「 4 」から読んでしまった。ちょっと大袈裟だけれども、その時にその本に出会ったか出会わなかったかがその後の人生に違いがでる、そんな一冊。さすがベストセラー!!

  • 言わずと知れた、大人気のビジネス書。

    ところが、ただの経営指南書ではありません。人生訓が満載で、個人の生き方を見直したり、今後の人生を考えたりする時にも、参考になると思います。

    考えられるあらゆるリスクを想定した準備、段取り。これは私には苦手です。何事も楽観的で、行き当たりばったり。一方、私の夫は、何でも否定的にとらえるタイプで、それはすなわちリスク管理に通じる行動・考え方でもあると思い改めさせて頂けたのは本書のおかげです。

    また、本書中の「20マイル歩行」の効果は、目から鱗が落ちました。遭遇する運を、確実にとらえられるか否かの大きな分岐点ですね。

    副題の「自分の意思で偉大になる」。結果を決めるのは環境に負けない人……。読了後、背筋が伸びたのは言うまでもありません。

    そしてやっぱり、企業は「人」だな、と再認識しました。

  • 自分の意思で偉大になる。そのタイトルが意味するところは深い。
    同じ水を飲んで蛇はそれから毒をつくり、同じ水を飲んで牛はそれからミルクを作る。
    常勝思考 成功時は謙虚に。失敗から教訓を学ぶ。

  • やっぱりすごい本だ。いままで数年かけて1から3まで読み続けてきただけに、より深く理解できたし、コリンズさんの書きっぷりもわかっているので、相変わらず大変勉強になった。
    圧倒的なデータから見いだされる論拠を特徴的な表現であらわすところは、ドラッカー後継者、ごもっとも。なかに、平行して勉強してきたブラックスワン理論があったり、そういうところもうれしいところ。

    いろいろ引用したいメッセージはたくさんありましたが、下記。

    イノベーション先駆者の64%が完全に失敗している。  中略
    比較対象企業と比べても、イノベーションの面では突出していない。 中略
    最低限のハードルである閾値を超えればそれでいい。 成功のためにはイノベーション以外の要素を組み合わせる必要がある。特に重要なのは、創造力と規律の融合である。

  • 「20マイル行進」、「銃撃に続いて大砲発射」は最高に参考になる。ちょっと深堀したいなぁ。
    これって、アジャイルとかリーンの思想と同じ源流なんだろうな。
    もっと、早く読んどけばよかった。

    -引用-
    誰か一個人が10X型リーダーであるかどうかに注目するべきではない。チームとして一致協力することに集中すべきだ。20マイル行進を設定し、達成する。銃撃に続いて大砲を発射する。「死線をさけるリーダーシップ」の建設的パラノイアの基本手法を実践するSMaCレシピを堅持し、必要に応じて変更する。運と正面から向き合う高いROL、つまり高い運の利益率を達成するにはどうしたらいいのかと自問するのだ。

    偉大なリーダーは、
    1.勝利と同じくらいに価値観にこだわる
    2.利益と同じぐらいに目的に執着する
    3.成功するのと同じぐらいに役立つことに注力する
    活力や規律は、最終的には彼ら自身の内側から生まれたものだ。どこか非常に深い内側から、である。

    企業が真に偉大になうかどうか決定づけるカギは人間の手の中にある。たとえどんなに無秩序で不安定な世界にあっても、である。人間に対して何が起きるのかではなく、人間が何をどのように創造し、実行するのかがポイントなのだ。


    高いROL(運の利益率)を実現するにはどうしたらいいのか。運イベントに直面したら、それまでの人生を棒に振る覚悟で全力疾走することだ決して妥協してはならない。

  • 10X型企業、リーダーの思考、行動のスキームを分析し、論じた1冊。いきなり(4)を読んだため、半ば前提条件的な記述が見られるものの、わからないということはなかった。結局のところ、偉大な存在になるのは、「軸」と「意志」を持ち、愚直に実行した結果以外の何物でもないことに帰着するのだが、スキームなど実例が盛り込まれており、大変参考になる1冊だと感じた。

全97件中 31 - 40件を表示

ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になるのその他の作品

ジム・コリンズの作品

ツイートする