ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる

制作 : モートン・ハンセン共著  牧野洋 
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  • Amazon.co.jp ・本 (490ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822249236

感想・レビュー・書評

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  • ビジョナリーカンパニーの4冊目。3冊目がでたのが2年くらいまえなので、かなり早いスピードだな。3冊目のなかでもこの本の話しがあったので、同時並行でプロジェクトをやっていたんだろう。
    それにしても、このシリーズのスゴさは、実証の方法論的なソフィスティケーションと徹底的な調査を踏まえつつ、事前の予想、当たり前の結論とはかなり違う答えを見つけ出す事だ。
    これは驚くべき事で、通常、調査を徹底的にやると訳が分からなくなって、調べなくても分かっていることしか言えないことになることが多いからだ。
    今回は、先行きが見えないなかで、企業はどうやって成長するか、というのがテーマ。これは今自分が直面している状況にぴったりフィット。とても参考になった。
    この本の答えは、外部環境とは関係なく、人間の意志によって、未来は創れるということ。
    くどいようだが、こういう結論が、徹底的に実証的な研究からでてくというのは本当にスゴいことだと思う。

  • 不確実な環境で飛躍する企業のリーダーは、「狂信的な規律」を持ち、良い時も悪い時も一貫した行動をとる。通例や常識に囚われず、「実証的創造力」を使って自分で観察・実験し検証する。もしこうなったらどうする?という問いを立てて周到に準備し、実際に不運が起きたときには落ち着いて状況判断して適切な対応策を打ち出す「建設パラノイア」である。
    卓越したリーダーは不可抗力に直面することを受け入れながら、自分の運命を制御するのは自分であるという考え方を持っている。人生には確かなことは何もない。しかし、不確実な未来に備えて戦略を立て行動することはできる。

  • この本を読んで印象残った事にひとつに、南極探検で成功したアムンゼンと全滅の憂き目にあったスコットの差は、現代の社会においてある業界で成功する一部の企業との違いにそのまま適用できるとの見方でした。

    その中の一つに「どんな状況でも20マイル進む」との考えがありました。アムンゼンは南極探検を計画する時に、日々20マイル進む事が出来れば計画は達成できると想定していました。その信念に従い、どんな時でも20マイル前進するとの信念を持っていたのです。

    南極の天候は激変します、晴れの日もあれば吹雪の日もあり吹雪の日に20マイル前進する事は至難の業ですが、それでもアムンゼン隊は進んだのです。これだけならよくある根性論に終わりがちですが、アムンゼン隊の優れていた所は、晴れて天候がよく隊員たちが20マイルどころか30マイルでも進めますよと言った時でも、20マイル進行に徹底し隊員を休ませたのです。

    アムンゼンは進もうと思えば進める事は理解していたですが、天候があてにならないものである事を理解していました。無茶をして体力を消耗しては、吹雪の日に進行するだけの体力を失ってしまうのが分かっていたので、晴れの時にも無茶をしていなかったそうです。

    一方のスコット隊はそれとは反対でした。天候のいい日は、30マイルでも40マイルでも疲労困憊するまで進撃をしたのですが、吹雪の日は休んでいたのです。スコットが6日連続で吹雪に会い、日記で自分の不幸を呪っている頃にアムンゼンはそんな日でも20マイル着実に進み、結局はスコットより早く南極点に到達する事が出来たのです。

    スコットのような態度は現代の企業でもよくあります。天気が晴れ(好況)の時は派手にM&Aを行い夢のような利益計画をぶちまけますが、吹雪(不況)になると環境が悪いと自分の不運を呪うのです。

    筆者はアムンゼンのような、どんな状況でも確実に前進する企業こそ最終的には大きな企業価値を生み出すと断言しています。そして不況の時に周りの状況の悪化にも関わらず着実に業績を上げる事も偉大であるが、好況時進もうと思えば進める時にも敢えて一定のペースで歩み続ける自己制御力こそ偉大さの源だと語っています。

    こう考えますと、中田の今いる会社は好況・不況に一喜一憂する会社である事は否めません。この本を読んで好況・不況に対する自分の考え方を変えなくてはいけないなと改めて思い知らされた次第です。

  • ビジネス書の中でも世界的な大ベストセラーシリーズ、コリンズ本の続編。今回は不確実で波乱の時代に他を圧倒して成長するエクセレントカンパニーを、同業の有力企業と比較し普遍的な法則の考察をした内容。

    独特のキャッチーな概念が印象的で、どれも事例を交えて分かりやすく説明されていて、なるほどと思うばかり。特にマイクロソフトとappleの比較の話は、身近でもあり読みものとして楽しい。

    概念の中では「イノベーションは閾値を超えれば良い」という話と「運の利益率」という考え方が私は特に面白く感じました。偉大な企業の成功要因はイノベーションではなかった。

  • P.96 なぜ一定のペースで成長しなければならないのか
    これは一貫性の問題なのか。不確実な状況下であるから一定の規律を維持することが、成功の確率を高めるということか。P.102の記述をみるとそうらしい。一定の定量的な目標は文化や規律を維持せしめる。つまり、狂信的規律を具体化したものが二十マイル更新である
    若干ドルコスト平均法的な雰囲気がある


    ・そのうち内容をクイズレットに入れようと思う。

    読んでいると、
    失敗した企業も10exer 的な行動を避けるという意味で共通性が見出せる。
    では、なぜ彼らはそのような意思決定をしたのか。
    一定の合理性に基づいて行った判断が破滅へと繋がっている。

    両者は自身の合理性に基づいているという意味では同じなのだろうか。
    それとも、自身の規律を自身の合理性以外を事由に変えてしまったのだろうか。

    なんとなく、モデル企業の経営者は頑固そうだから、後者が理由になりそうだが。

    企業ではなく、経営者に焦点を当てた研究があっても面白いかもなぁ。

    ただ、内容は文句なく面白い。
    事例が多くするする読める。

    ★マイナス1は、目からウロコ感がなかったから。
    結構普通のことをみんなやっている。

    それが難しいということなんだろうが。

  • 今回は企業が偉大になる為の要素を、比較企業とともに分析している。
    前作が、企業の衰退へ向かう流れを分析し自分の立場と照らし合わせ暗い気持ちになったが、今回は同じような企業でありながら偉大になって飛躍する
    点にスコープがあたっていて、興味深い。

  • 10X成長型企業の経営の在り方を紐解く第4弾。経験値を積み重ねていく中でいかに経営判断の精度を上げていく試行を小さく回していく習慣づけがあるか、がとにかく問われている様に感じた。継続的に新たな試行を繰り返すには、創造性と狂信的規律の両立が求められると。

  • 不確実・カオス的な環境下に置かれながら、業界平均と比べ10倍以上の成果を長期に出し続けている企業である10X型企業がどのようにして生まれたのか調査結果を書いた一冊。

    どんな状況下でも着実に歩みを進める20マイル行進、確実に精度調整済みの大砲を放てるだけの裏付けをとったり、リスクには直面しているが、それに対応できるだけのバッファーを準備していることやSMaCレシピをつくることなど前3作同様に著者ならではの表現で書かれており、非常に勉強になりました。
    また比較対象企業としてアップルが挙げられていますが、スティーブ・ジョブズ以後の戦略についても解説されているところも興味深いものがありました。

    本書では南極探検家のアムンゼンとスコットや登山家のデビッド・ブリーシャーズの話から各企業の話に展開しておりその点も理解が深まる一助となりました。
    あと、巻末の訳者の著者とドラッガーとの比較も非常に興味深いものでした。

    本書では前3作で紹介された概念との比較に関しては本書ではあまり出てこないのですが、SMaCレシピを守り抜くところや運に対する考え方は前3作に繋がるものがあるとも感じました。

    本書の調査対象期間以後にも9.11テロやリーマンショックなど未曾有の出来事が起き、平穏な時代が永続することがない世の中で、本書を含む全4作の概念を守っていき、失敗してもそこから教訓を得て、そして自分の意志で偉大なる道を選ぶことが生きていくうえで重要であると感じました。

  • 20150103
    [Great by Choice] by Jim Collins and Morten T. Hansen: 2011

    ビジョナリーカンパニーシリーズ4部作の完結編。圧巻は「運の分析」の章で、不確実性の中での飛躍という本書テーマの核心をついている。第1作初出から17年、主要75社を対象にのべ六千年以上にわたる企業史を網羅する骨太の分析に脱帽、それを人間味溢れるエピソードで楽しく綴る筆致に心躍る。論旨に一貫してぶれるところなく、完結編に相応しくシリーズの整合性、相互補完性にも言及した。美しい。推薦して下さった中西さんに感謝したい。

    ー「われわれは未来については絶対に何も分からない」経済学史研究家ピーター・L・バーンスタイン

    ー未来を予測する最高の方法(ひょっとしたら唯一の方法)は、自ら未来を創造することなのだ (ピーター・F・ドラッカー)

    ー「あらゆる状況を想定して準備しておけば勝利が訪れる。これを人々は幸運と呼ぶ。事前に必要な予防策を講じるのを怠れば失敗は確実だ。これを人々は不運と呼ぶ」ロアルド・アムンゼン著 「南極点征服」

    ー狂信的規律、実証的創造力、建設的パラノイア。これに命を吹き込む、レベルファイブ野心。

    ー規律とは、本質的には「行動の一貫性」である。

    ー「常に恐怖を感じて経営すべきだ。ただし、恐怖を表に出してはならない。個人的にはいつも失敗した場合のことを考えている」ビル・ゲイツ

    ー死線にぶつかったら旅は終わり、ゲームオーバーだ。

    ー「早く行動すべきか、それとも遅く行動すべきか」ではない(中略)「リスク許容度が変わるまでどのくらいの時間があるか?」が鍵。

    ー決定的な瞬間を認識する能力: 状況が変化すればそれが好機であれ危機であれ、当初計画を破棄したり、仕事の焦点を変えたり、優先順位を入れ替えたりしなければならない。変化察知のためのズームアウトと、行動のためのズームイン。

    ーSMaCは、具体的である(Specific)整然としている(Methodical)そして(and)一貫している(Consistent)。戦略上の概念を現実の世界へ適用するための業務手順であり、単なる戦術以上に永続性のある実践法一式ともいえる。

    ー登山に付き物のリスクに対する最大の備えは良きパートナーと組むことだ。

    ー成功をもたらすのは運ではなく人間である。基本的な質問は「あなたは強運の持ち主か」ではなく「あなたは高い運の利益率を達成しているか?」であるべきだ。

    ー「わたしを殺さないものは、わたしをいっそう強くする(what does not kill me, makes me stronger)」ニーチェ

    ー「絶望的な状況に置かれても、そこから希望を見出すよう固く決意すべきである」作家F・スコット・フィッツジェラルド

    ーわれわれは結局、目の前で起きる出来事のほんの一部に対してしか影響を及ぼせない。しかしわれわれには、どのように決断・行動するのか選択の自由がある。自分の意思で偉大になる自由がある。

    ーどんな大恐慌がいつ訪れるのか、誰も確信を持って予測できない。しかしわれわれは、「何らかの大恐慌がいつか訪れる」と確信を持って予測できる。

  • VCの第4作は「不確実かつ不安定な環境下で偉大さを実現した企業の特徴」がテーマ。
    シリーズの1と2と立て続けに読んだ時の衝撃があまりに大きかったため、その時ほどのインパクトはありませんでしたが、良書であることに違いはありません。

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    偉大な企業(10X企業)のリーダーは、取り立ててリスク志向で大胆、創造的というわけではない。
    イノベーションが成功の鍵というわけでもなければ、運に特別恵まれているわけでもない。

    10X型リーダーの行動における特徴は、以下の通り。
    1.狂信的規律:一貫した価値観・目標・評価基準を持ち、行動がぶれない。
    2.実証的想像力:不確実な状況にある時、科学的に実証できる根拠に頼る。観察・実験し、事実と向き合う。
    3.建設的パラノイア:常に最悪の状況を想定し、準備・有事対応策を怠らず、安全余裕率を高める。

    それに伴い、企業が取る行動パターンは以下のようにまとめられる。
    1.「20マイル行進」:状況が悪い時も良い時も着実に同じ距離を前進する
    2.「銃撃に続いて大砲」:小さな実験を積み重ねてから大きな勝負に出る
    3.「死線を避けるリーダーシップ」:常時「もしこうなったら?」と(ズームアウト、ズームインしながら)自問する
    4.「SMaCレシピ」:具体的であり、整然、そして一貫した姿勢をとり続ける

    これらの行動パターンの実行する上で不可欠となるのが「レベルファイブ野心」である。
    人を魅きつける野心を持ち、世界を変革しようとする大きな目標を持っているリーダーであることが、混沌とした現代社会の中で秀でた企業になるための条件となる。

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    成功の秘訣は環境でも、運でもなく、結局は「人」ということでしょう。
    企業経営、起業だけではなく、VCシリーズは個人の生き方にも大きな示唆を与えてくれます。

    4冊を一通りを読んでみて、各巻を評価するなら(好きな順番を付けるとするなら)「2>1>>>4>3」という感じでしょうか。1&2があまりにも良すぎました。

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