- Amazon.co.jp ・本 (490ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822249236
作品紹介・あらすじ
ピーター・ドラッカーの後継者とされるジム・コリンズ。コロラドの山中に研究ラボを設け、これまでに長い年月をかけて「偉大な企業」「偉大な指導者」の条件を追究してきた。
今回は初めて外部環境を変数に入れ、不確実でカオスのような時代に他を圧倒して成長している偉大な企業7社を導き出した。
10X型企業がそれだ。10X型企業とは同業よりも最低10倍以上のパフォーマンスを上げているスーパー・エクセレント・カンパニーのことだ。その10X型企業の特徴を同業の有力企業と比較する「一対比較法」で鮮明に描き出した
感想・レビュー・書評
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このシリーズは、内容の濃さのわりに(だからこそ、か?)、読むと元気になることができるのが良いです。それに加えて、常識的と言えば常識的ながら、通説を微妙に覆してくれる深さ。④も相変わらず面白かった。
外部の環境の変化に対し、20マイル行進:「良いときも悪い時も一定のペースを保つこと」、銃撃に続く大砲発射:「実証に基づく判断を行うこと」、建設的パラノイヤ:「常に突然の悪化に備えること」を備える必要がある。
これに加えて、「運の利益率」の話が面白い。これは会社経営だけではなく、普通の人生にも当て嵌められる理論だと思った。 -
〇10X型リーダー
・10X型リーダーは主要行動パターン「3点セット」を備えている。
・狂信的規律・・徹底した行動の一貫性。時として体制に従わない型破りな行動になる。
・実証的想像力・・具体的な事実と向き合う。それをバネにして断固たる行動に出る。
・建設的パラノイア・・警戒心や不安をテコに行動する。リスクを最小化することで、創造的な仕事を継続できる。
・三点セットを活性化させるのが、レベルファイブ野心。これは自己利益の拡大ではなく、義などの大目標達成に振り向けている。
〇20マイル行進
・長期にわたって一貫性を保って実践する。ここでは2種類の苦痛が生まれる。一つは厳しい状況下でも高い成果を出さなければならない苦痛、もう一つは快適な状況下でも自制しなければならない苦痛。
・良い20マイル行進の特徴
・明確な工程表 ・自制心 ・企業ごとの独自仕様 ・企業が自らに課す規律
・他力本願ではなく自力達成型 ・並外れた一貫性
・ゴールディロックス時間 - 無理がかからないほどゆっくり進むが、厳しさを伴うほど早く進む
〇銃撃に続いて大砲発射
・銃弾は低コスト、低リスク、低ディストラクション(気の散ること)の三条件を満たす実証的テスト。
・どの銃弾が命中し、そのうちどれが成功するのか事前にわからないので、大量に打つ。
〇死線を避けるリーダーシップ
・建設的パラノイアの主要三手法
・前もって突発的出来事と悪運に備えるために、十分な手元資金を積み上げ、バッファーを用意する。
・リスクを抑える。死線リスク、非対称リスク、制御不能リスクがある。リスクを抑えることで時間軸リスクを上手に管理する。
・ズームアウトに続いてズームイン
・確実に未来を予測するのは不可能。そこで予測できない事態に備えて異常なほど用意周到に準備する。
・嵐に襲われる前に何をするかがカギ。すべては事前準備にかかっている。
・リスクの三形態
・死線リスク・・企業をつぶすか、深刻な打撃を与えるリスク
・非対称リスク・・ダウンサイドがアップサイドよりも大きいリスク
・制御不能リスク・・自力で管理・抑制できない不可抗力に直面するリスク
〇具体的で整然とした一貫レシピ
・SMaC・・具体的であるSpecific、整然としているMethodical、そしてand、一貫しているConsistentの頭文字を使った造語。
〇運の利益率
・運は成功の主因ではない。かと言って運は何の役割を果たさないわけでもない。本質は強運の持ち主かではなく、高い運の利益率を達成しているか。
・幸運と不運の間には非対称性がある。一度だけ途方もない幸運に恵まれたとしても、それだけで大成功するわけではないが、一度だけ途方もない不運に遭遇したり不運が長期にわたって連発して大惨事を招いたりしたら、その時点で終わり。
・リーダーは過去の成功を回想するとき、「幸運に恵まれた」と言う。しかし失敗したときには決して「運が悪かった」とは言わない。
・異常ともいえるほどの幸運に恵まれたとしても、それを浪費するだけに終われば失速する。
・最重要な運は良き助言者、良きパートナー、良きチームメイト、良きリーダー、良き友人を見つけられるか。そういう人と永続的で深い関係を築くということが肝心。 -
運は平等に訪れる。幸運が来た時に最大限の成果を出す。アクセルを踏む。
20マイル更新、良い時と悪い時も常に成長を続ける。 -
ビジョナリーカンパニーの4冊目。3冊目がでたのが2年くらいまえなので、かなり早いスピードだな。3冊目のなかでもこの本の話しがあったので、同時並行でプロジェクトをやっていたんだろう。
それにしても、このシリーズのスゴさは、実証の方法論的なソフィスティケーションと徹底的な調査を踏まえつつ、事前の予想、当たり前の結論とはかなり違う答えを見つけ出す事だ。
これは驚くべき事で、通常、調査を徹底的にやると訳が分からなくなって、調べなくても分かっていることしか言えないことになることが多いからだ。
今回は、先行きが見えないなかで、企業はどうやって成長するか、というのがテーマ。これは今自分が直面している状況にぴったりフィット。とても参考になった。
この本の答えは、外部環境とは関係なく、人間の意志によって、未来は創れるということ。
くどいようだが、こういう結論が、徹底的に実証的な研究からでてくというのは本当にスゴいことだと思う。 -
『世界最悪の旅』というタイトルで新潮社ノンフィクション全集にも収められている、スコット隊とアムンゼン隊の南極探検の話が好きで、この本にもその比較の検討が載っていると知り、そこだけ読もうと思って読みはじめたんだけど、結局面白くて全部読んだ。
ビジョナリー・カンパニーは、1〜4まで刊行されていて、なにをもって「ビジョナリー」とするかは各刊毎にそれぞれ違っているという紹介が冒頭に出てくる。4では、『逆境で輝く』ということを "ビジョナリー" の1つの大きな特徴としている。
では、その「逆境で輝く」企業の条件とは何か?ということを、冒頭で上げた南極探検の2つの隊の比較をはじめ、多くのデータを用いて探っていくのが本書の内容となっている。
しかし、膨大なデータを集めて解析したものの、出てきた結論は結構当たり前のことをいっている。たとえば、「準備が本当によくしっかりとなされている」とか。
だから、この本の結論だけを読んでみると、「なんか当たり前のこと言ってるな」となるかもしれない。ただ、そこに至る経緯が面白い。
たとえば、冒頭であげた南極大陸の2つのチームの準備を比較すると、本当に、準備の練り具合が一目瞭然に違う、ということがわかったりする。
不幸にも帰還出来なかったスコット隊は、こうして後から客観的に書かれた読み物を読めば、誰でもわかるような致命的な準備不足を、しかも1つではなくいくつも重ねているし、南極に到達した上無事帰還したアムンゼン隊率いるアムンゼンは、準備に厳しく余念がないことが、やはり1点だけでなく多くの点にわたっていることが窺える。
他に、同時刻にエベレストの頂上を目指した複数のチームのうち、ゴールを達成したチームと不幸な結末を迎えることになってしまったチームとの比較分析もある。
また、九死に一生を得た人の体験を掘り下げ、分析し、個人においても「逆境で助かる」ことの条件を述べている。
こういった、本書の最終的な結論に至る "過程" に興味があれば、やや厚い本ですが、面白いと思う。
ただ、上述した南極探検やエベレスト登頂の悲劇について知りたい場合は、それぞれほかにも本がいろいろと出ているので、比較検討のうえ、どの本を読むか決めるのもよいと思う。 -
読了。なぜか「 4 」から読んでしまった。ちょっと大袈裟だけれども、その時にその本に出会ったか出会わなかったかがその後の人生に違いがでる、そんな一冊。さすがベストセラー!!
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この本を読んで印象残った事にひとつに、南極探検で成功したアムンゼンと全滅の憂き目にあったスコットの差は、現代の社会においてある業界で成功する一部の企業との違いにそのまま適用できるとの見方でした。
その中の一つに「どんな状況でも20マイル進む」との考えがありました。アムンゼンは南極探検を計画する時に、日々20マイル進む事が出来れば計画は達成できると想定していました。その信念に従い、どんな時でも20マイル前進するとの信念を持っていたのです。
南極の天候は激変します、晴れの日もあれば吹雪の日もあり吹雪の日に20マイル前進する事は至難の業ですが、それでもアムンゼン隊は進んだのです。これだけならよくある根性論に終わりがちですが、アムンゼン隊の優れていた所は、晴れて天候がよく隊員たちが20マイルどころか30マイルでも進めますよと言った時でも、20マイル進行に徹底し隊員を休ませたのです。
アムンゼンは進もうと思えば進める事は理解していたですが、天候があてにならないものである事を理解していました。無茶をして体力を消耗しては、吹雪の日に進行するだけの体力を失ってしまうのが分かっていたので、晴れの時にも無茶をしていなかったそうです。
一方のスコット隊はそれとは反対でした。天候のいい日は、30マイルでも40マイルでも疲労困憊するまで進撃をしたのですが、吹雪の日は休んでいたのです。スコットが6日連続で吹雪に会い、日記で自分の不幸を呪っている頃にアムンゼンはそんな日でも20マイル着実に進み、結局はスコットより早く南極点に到達する事が出来たのです。
スコットのような態度は現代の企業でもよくあります。天気が晴れ(好況)の時は派手にM&Aを行い夢のような利益計画をぶちまけますが、吹雪(不況)になると環境が悪いと自分の不運を呪うのです。
筆者はアムンゼンのような、どんな状況でも確実に前進する企業こそ最終的には大きな企業価値を生み出すと断言しています。そして不況の時に周りの状況の悪化にも関わらず着実に業績を上げる事も偉大であるが、好況時進もうと思えば進める時にも敢えて一定のペースで歩み続ける自己制御力こそ偉大さの源だと語っています。
こう考えますと、中田の今いる会社は好況・不況に一喜一憂する会社である事は否めません。この本を読んで好況・不況に対する自分の考え方を変えなくてはいけないなと改めて思い知らされた次第です。 -
会社でも人でも原則は同じ。後は、それをできるか、できないか。