Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール

  • 日経BP (2013年4月25日発売)
3.92
  • (50)
  • (84)
  • (35)
  • (10)
  • (3)
本棚登録 : 848
感想 : 59
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822249465

作品紹介・あらすじ

合格率3%の難関を突破して集まった64チーム、160人の若き起業家の卵。投資家へのプレゼンに向けて、ポール・グレアムの3カ月の猛特訓が始まった。世界を変えるスタートアップはここから生まれている。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • アクセラレーター、インキュベーターの様子がよくわかる本。この本読んでポール・グレアムのTwitterをフォローするとオモロい。ピーター・ティールのゼロワン本も読むといいかも。

  • 『Yコンビネーター』読んだ。2011年時点の密着ドキュメントだが、今読んでも新鮮な内容と学び。グレアムが『ハッカーと画家』で披瀝している類稀なる知性と思考を、ここまで見事に社会実装していることに賞賛するほかない。

  • シリコンバレーにあるスタートアップ養成スクールの3ヶ月を、密着して追いかけたドキュメント。本書の面白さを知るためには、「はじめに」の章で書かれているわずか10ページほどの説明を読むだけで十分だ。

    このスタートアップ養成スクールを運営しているのは、ベンチャーファンド「Yコンビネーター(YC)」。その中心人物が、元起業家でプログラマーのポール・グレアムだ。

    YCは数10社ものソフトウェア・スタートアップに同時に投資を行う。一方それぞれの会社は、少額の出資を受ける見返りに株式の7%をYCに与える。だが彼らが投資をする際には、一つの重要な条件が出されるという。

    まずチームは、3ヶ月間にわたってシリコンバレーに引っ越して来なければならない。そしてプロダクトの開発を続けながら、グレアムをはじめとするパートナーたちの助言を受けることになる。また毎週ゲストを招いた夕食会に出席し、最後にはデモ・デーと呼ばれるイベントに参加することにもなるのだ。

    このデモ・デーとは、数百人もの有力投資家の前でプレゼンテーションを行う機会が与えられることを指す。つまりYCは、スタートアップという未来のプラットフォームを生み出すためのプラットフォームなのである。

    YC発のスタートアップの中には、既に大成功を収めたチームもいくつか存在する。代表的なのは、なんといってもDropbox。また、戸建・マンションの持ち主が予備の部屋を旅行者に貸し出すためのオンライン仲介サービス、AirbnbもYCの卒業生だ。

    著者は2011年の夏、YC内に常駐し、応募者の選考過程からスクールの内容まで逐一記録することが許された唯一の人物である。YCの中で起きることを漏れなく観察し、興奮をそのままに伝えてくれている。

    ここまで読んだら、もう後戻りはできない。頭の中で勝手に映画のオープニングムービー風の音楽が鳴り出して、物語は動き出す。シリコンバレー特有の情熱とスピード感が、あっという間にラストシーンまで誘ってくれるだろう。

    今や流行語のように飛び交う「スタートアップ」という単語だが、その定義はポール・グレアムに言わせると以下のようなものになる。

    ”スタートアップの本質は単に新しい会社だという点にはない。非常に急速に成長する新しいビジネスでなければいけない。スケールできるビジネスでなければスタートアップではない。”

    この戦場のような場所に送り込むために、スクールでは厳正なる選考を持って人材が選ばれる。その合格率や、わずか3.2%。過酷な質問によって試されるのは、スタミナ、貧乏、根無し草性、同僚、無知という5つの資質である。

    彼らは、そんな資質を兼ね備えるのが25歳という年齢にあると判断している。創業者が学生だと、失敗しても学生に戻れるので真剣味も足りないのだが、25歳にもなると学校に戻るという退路が閉ざされているからだ。

    また選考時に見ているのは、ビジネス・プランだけではない。実際に、創業者たちが成功に必要な資質を備えていると思えるなら、アイデアに弱点があっても大目に見ることもあるのだという。シード資金の段階での投資においては、アイデアよりも創業者の人物こそが重要なのだ。そこに、共同創業者がいること、チームの全員がハッカーであることなどの条件も付加される。

    そんな厳しい選考をくぐり抜けてきた64組160人の精鋭たちが集う場とは、一体どのようなものなのか?その実態は、実にリベラルなものであった。創業者たちは個性のままに活動し、命令に絶対服従するための儀式・しごき等のブートキャンプ的要素はみじんもない。それもそのはず、ダメな創業者はYCがクビにしなくても、市場が追い出してくれるからだ。

    だがそんな事態に陥らぬよう、ポール・グレアムは的確にスタートアップのポイントを指導していく。

    ”いいか、アイデアを生み出すための3ヶ条だ。1.創業者自身が使いたいサービスであること 2.創業者以外が作り上げるのが難しいサービスであること 3.巨大に成長する可能性を秘めていることに人が気づいていないこと。”

    ”コードを書いて顧客と話せ、早く出してやり直せ、数字で測れる週間目標を決めて集中しろ。”

    ”ハッキングが得意で、かつ営業に積極的でなくてはだめだ。われわれが投資する相手は全員ハッキングが得意だ。それは見ればわかる!”

    全員が13歳頃からプログラミングを始めたという集団内において、コードの部分ではそれほど差がつかない。コードの外側、つまりオフラインの部分において、市場を、顧客を、数字をいかにハックできるのか、それこそが試されているのだ。そんな熾烈な環境下で彼らは競い合い、そして分かち合う。

    このような教えの全てに、シリコンバレーの真髄が詰まっているとも言える。おそらくこの地では、YCで教えられているようなことが、これまでにも暗黙知的に引き継がれてきたのではないかと思う。金持ちとハッカーが行き交う場所での流儀、地場に根ざした”最先端であり続ける”という伝統。それを形式化したYCという存在は、まさにシリコンバレーの中で最もシリコンバレーらしい場所とも言えるだろう。

    また本書は、将来性豊かなスタートアップのサービス内容を知るための一冊としても有用である。そのいくつかを紹介してみたい。

    ・rapgenius http://rapgenius.com/
    ラップミュージックの歌詞を解説するサイト。ユーザーがラップ歌詞への注釈を投稿すると、ラップIQスコアがもらえる。コミュニティ機能を付けること、新分野であるロックに進出することなど、今後の展開への岐路に立たされている。

    ・launchpadtoys http://launchpadtoys.com/
    子供たちがアニメ化されたお話を作れるアプリ。レゴなどの創造的遊びと子供向けTVゲームを合わせた新カテゴリー。iPad上で動くフィギュアの大きさを変えたり、歩かせたりすることができ、バイラル化することも可能。どこの親でも、自分の子供のしたことを自慢するのが好きであるという点がミソ。

    ・ScienceEXCHANGE https://www.scienceexchange.com/
    科学実験のためのオンライン・マーケットプレイス。今は大学内で行われていることの多くが外注に出されているのが実情。そこに効果的なマーケットプレイスを作って、現在は不可能な全大学を横断する実験運営ができるようにするというもの。このプラットフォームの存在を知ってもらうために、ポスドクに営業をさせているという点もユニーク。

    実際に公開されたサイトだけを見ていると、有能な起業家たちがクールに仕事をして出来上がったかのようにも思える。だが、その舞台裏は水面下で必死にもがく白鳥である。アイデアに行き詰まり、共同創業者に逃げられ、ピボットを余儀なくされ、プレゼンも上手くいかない。本書のもう一つの見所は、そんな失敗や試練を繰り返し、青春とビジネスとが共存した起業家たちの群像劇だ。

    本書の読後感は、まるで大人になってから見る「夏の高校野球」のようなものであった。かつて年上のお兄さんたちが活躍していた甲子園では、いつの間にか年下の選手たちがグラウンドで躍動している。もはや観客席から見るしかないことを観念しながらも、その全力プレイについ心を踊らせ、胸を打たれてしまうのだ。

    その一挙一動から目を離すことの出来ない、手に汗を握るビジネス書でもある。問題は、このまま観客席に座っていて良いのかということだけだ…

  • 今の自分に必要な内容で、また内容も非常に面白かったため、
    この種の本では珍しく一息に読み切ることが出来ました。

    ・なぜポール・グレアムはYコンビネーターを立ち上げたのか
    ・なぜYコンビネーターはエキサイティングなスタートアップを排出し続けているのか
    ・なぜシリコンバレーでなければいけないのか

    自社サービスで一旗揚げたいと考えているエンジニアで、
    Yコンビネータを知らない人はいないと思いますが、
    いままでぼんやりとしか分からなかったであろう内幕を垣間見ることができる貴重な書籍です。


    ポール・グレアムによるYコンビネーター立ち上げの背景から入り、
    2011年夏期生64組の3ヶ月の悪戦苦闘から、
    投資家へのプレゼンを行うデモ・デーまでを通して、
    「なぜYコンビネーターはエキサイティングなスタートアップを排出し続けているのか」
    「スタートアップとしてどうあるべきなのか」
    を知ることが出来る、とてもエキサイティングな読み物になっています。


    Heorku, Parse, airbnb, MongoHQ, Codecademy など、
    2012年に急成長したおなじみのWebサービス名がたくさん出てくるので、
    エンジニア的にのめり込んで読み進めることができるのではないでしょうか。

    ただ、会社名やサービス名が分かりやすいカタカナ表記になっているため、
    「ヘロク」「エアビーアンドビー」など、ほんのりとずっこける感があります。
    逆にわかりづらいので、Heroku, airbnbなどスペルを表記してくれてたらもっとよかったなと思います。


    選りすぐりの天才が集まった64組のスタートアップ達ですが、
    武勇伝ばかりではなく、むしろ失敗話が大半なので、
    またクローズアップされ、実際に成功と呼べるのはほんの一握りであることから、
    スタートアップが本当の意味で成功することが如何に難しいことかが良く分かります。

    ほとんど役に立ってないながらも、
    共同創業者として会社を立ち上げて1年ともうすぐ半年になる所、
    腑に落ちるところがたくさんありました。

    また半年後に読み直したい一冊です。

  • スタートアップがどんな感じが体験できます。

    創業者になるには五つの資質が必要。
    この素質は25歳が最適。
    スタミナ
    貧乏
    根無し草性
    同僚、
    無知。

  • ベンチャーキャピタルに興味があり、どのような人たちが参画しているのか知りたく、読んでみました。
    起業を目指す若者を集めて、アイデアを出し、数か月間導く、資金もつける、卒業後は横のつながりも含めてサポートしていくという流れでした。
    予想以上に、仕組みとして確立していることを感じます。
    少し古い本ですが、ご興味あれば。

  • 有名なベンチャー企業育成組織であるYコンビネータに密着取材したドキュメンタリー。ベンチャー企業の卵たちはどういうマインドセットで日々を過ごしているのかが分かりました。

  • Airbnbの本を読んでいたらYコンビネーターの事がよく出てきたので、それで調べていたらこの本を見つけて読んだ。
    スタートアップの環境がシリコンバレーにはある。
    そんなに目新しい事を、ここでしか真似出来ないことをやってるいる訳ではないので結局のところそれしかない。

  • 電通湊さんおすすめ

  • 起業家の熱を感じられる書。
    スタートアップで働くひとは読むとシリコンバレーの感覚を味わえるかもしれません。

全59件中 1 - 10件を表示

ランダル・ストロスの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×