ニコニコ哲学 川上量生の胸のうち

著者 :
  • 日経BP
3.95
  • (39)
  • (49)
  • (29)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 407
感想 : 44
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822250515

作品紹介・あらすじ

ニコニコ動画を育てあげ、KADOKAWA・DWANGOのトップとなった
川上量生氏が生き方、働き方の哲学を語りつくす。

ウェブメディア「cakes」(ケイクス)の大人気連載「川上量生の胸のうち」を単行本化!
「もしドラ」の担当編集者でありcakesを率いる加藤貞顕氏が、川上量生氏の本音を次々と引き出していく。

「よくわからないからこそ、解きたいと思う」
「『しょうがないな』と思われるポジションをつくる」
「バカだとわかって、バカを一生懸命やるのが一番いい」
「とんでもなく悪いUIをわざとつくる」
「インターネットは多様性を減らしてしまう」……

常識とは真逆の結論、1億年先を考える思考、さらにテクノロジーと笑い――。若き天才経営者と呼ばれる川上量生の胸のうち、頭の中がわかります。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • カドカワドワンゴの川上さんとケイクスの加藤さんの対談本。

    川上さんはもちろんだけど、加藤さんも相当頭良いオタクだなという印象。とにかく二人の思考の切り口とバックグラウンドにある知識の量が面白くて笑けてくる。

    とにかくアタマが刺激される良質な一冊でした。


    ・ニコニコ超会議はあとから振り返ると意味があった。mixiは終った感でたけど、ニコニコはやってる感出せた。

    ・カドカワドワンゴの経営統合に関して、任天堂を引き合いに出して、プラットフォーム自身がコンテンツを作るべき。コンテンツを作らないプラットフォームはコンテンツが安くなる。地獄になる。

    ・論理が多くなればなるほど現実を正確にエミュレーションしやすくなる。その過程で何とか論理を成立させようと無理矢理考える。詭弁になったらだめなのでビジネス的にも成立させようと頑張る。
    ストーリー戦略のストーリーはこじつけ。

    ・クリエイターが増えれば増えるほど多様性は失われる。ラノベのストーリーの話。

    ・才能とは希少性

    ・インターネットは多様性を失わさせる

    ・オタクって「敵にまわすと恐ろしいが味方にすると頼りない」

    ・孤独は形質じゃなくて状況。なので希少性にはならない。

    ・論理の後付けの事例:ヨーロッパのスコラ哲学。神は存在するという前提で理屈を考えた。

    ・文系の論客は言葉は道具だと捉え、論理を手段として扱う。理系の研究者は論理的に正しいことは何なのかということに興味がある。理系は論理を使って世の中の一般法則とか真理を探している。

    ・説明の量を増やせばだいたいは説明が付く。フーリエ解析みたいなもん。

    ・イデオロギーの本質は知識の体型なんだと。世界をエミュレーションするための膨大な論理というものは力を持つ。ある程度世界を正しく論述できてしまうから。これがイデオロギーの本質。共産主義とかね。

  • オタクって 、 「敵にまわすとおそろしいが 、味方にすると頼りない 」って言われてるんですよ (笑 ) 。このフレ ーズ 、すごくオタクの特徴を表してるんですよね 。共通の敵に対しては結束してすごいパワ ーを発揮するんだけど 、彼ら自身の連帯感って実はあまりない。
    ---川上さん

    • 江戸っ子さん
      言い得て妙。(笑) 面白かった?
      言い得て妙。(笑) 面白かった?
      2017/07/22
    • hinatotezukaさん
      面白い。電車の中でKindleで読むのに最適。笑
      面白い。電車の中でKindleで読むのに最適。笑
      2017/07/22
  • この本読むまで川上さんのことはよく知りませんでした。


    読んでみるととても視野が広く、論理的な人だなという印象。


    やりたいことがなきゃいけないと思い込むのは一種の宗教
    ニコ動は博打でなく計算

    あとドワンゴ社内の女子マネ弁当制度が面白かった。


    ネットサービスの会社なのでエンジニアを一番優先してるかと思いきや、企画の人間も大事にしている点など、論理だけでなく暖かさもある人なんだなと思いました。

  • 泣く子もだまるKADOKAWA代表取締 役会長・ドワンゴ代表取締役会長を対話形式で知る一冊。

    簡単にいえば、オタク出身でオタクの気持ちがよく分かるリスクテイカーなんだということ。ただし、その理解の深さには愛を感じずにはいられない。

    あと、文系理系という分水嶺について非常に的を得た感覚をお持ちなんだなと感じました。「理系は、どうなっているのかに興味があるが、あっているか間違っている かには興味が無い」など。

  • 人間が人間らしくあるためのサービスを、川上さんは作ろうとしているということがわかった。
    川上さんはでかい野望に向かって努力するとかではなくふざけたり茶化したりしながら理想を示してそれを着実に実現する感じの方だと理解した。大言壮語することが性に合わない方のようであり、その気持ちは何となくわかるから、親しみを持った。可能ならいつかお会いしてみたいなと思った。

  • 読みにくかった

  • 「常識」に対する反論の数々に,革新的な経営方法や企画の原点が見える!「ニコニコ動画」等の大ヒットの生みの親,川上量生(現在はカドカワ株式会社代表取締役社長他,数々の職を兼任)に,辣腕編集者の加藤貞顕がインタビュー。図らずも明かされた「心に秘めたはずの本音」。

  • インタビュー

  • 期待以上に面白く、膝を打つこと多々。思わず声に出して笑ってしまったところあり。
    言論の自由に関するスタンスはじめ、極めて論理的でフェアな考え方、子供のようにストレートで明るくチャーミングなたたずまいは、最近再び振り返っているチョムスキーに通じるものがあるように感じた。
    でまた聞き手のピースオブケイク加藤氏が実に秀逸なのだと思う。

  • インタビューひとつひとつが短いため、踏み込んだ議論はなされておらず物足りなさを感じた。ただ、川上さんの考え方や思想は強烈に感じ取れる。

    建築学や都市計画学は、学問(一定の理論に基づいて体系化された知識と方法)とは言いづらいと大学時代に感じていた。本書を参考に考えると、「実社会に接している学問は、学問の定義自体があやふやだから、議論の基盤が曖昧」なため、論理を組み立てて理解する方法が適していなかったのだろう。
    実際、様々な可能性を想定したうえで定義をしようとすると、収拾がつかないし、仮に定義をして論理を組み立ててみても、結論までたどり着かずに力尽きてしまったり、研究テーマとして扱おうと思った魅力的な『気づき』からは遠く離れて凡庸なものとなってしまったりする。
    建築学や都市計画学が実社会に接している学問であるために、「結論なしに論理を組み立てる」ことは「間違ってしまうことのほうが多い危険なアプローチ」だったのだろう。本書では、「何らかの先入観や思い込みのない客観的な状態で、議論を組み立てる」のではなく、「目的がある立場」に立ち議論を組み立てる姿勢で向き合うアプローチを紹介している。

全44件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

かわかみ・のぶお 1968年愛媛県生まれ。91年京都大学工学部卒業。97年8月ドワンゴを設立。株式会社KADOKAWA・DWANGO代表取締役会長を経て、現在はKADOKAWA取締役、ドワンゴ顧問、学校法人角川ドワンゴ学園理事などを務める。

「2021年 『人と数学のあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川上量生の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×