HARD THINGS

制作 : 小澤隆生 
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822250850

感想・レビュー・書評

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  • 単に企業の成功物語/CEOの自慢話、というでわけでなく、企業家/CEOにむけた真の指南書と思えた本。(いや、おれ企業家じゃないけど。)きっとすべての企業家は読むべきだと思ったけど、逆に自分はやっぱり企業家にはなれないのかなーとも思わされた本。(こんな大変な状況は乗り切れん気も。)とはいえ、普通のビジネスマンだとしても読んだらなにかしら発見はあるのではないかと。
    訳者のあとがきにあるように、まさしく「フェイスブック若き天才の野望」と双璧をなす本といっていい気がします。
    また、序文で小澤氏が書いているとおり「たいていの本は成功した話をあとから分析して紹介するものが多い、一方本書が素晴らしいのは、次々と深刻な困難に直面した著者が、うまくいかないときにどう考えたか/切り抜けたかを紹介しているところ」というのもその通りと感じた。

    p33 きみは事態の深刻さがわかっていない。この次は自分でインタビューを受けてみろ。くそったれが。

    p102 あらゆる人間のやり取りにおいて、必要なコミュニケーションの量は、信頼のレベルに反比例する。あなたを全面的に信頼していればあなたの行動について何の説明もコミュニケーションも必要ない。まったく信頼していなければ、いかなる会話・説明・推論もなんの影響も及ぼさない。なぜならあなたが真実をいっていると思っていないからだ。

    p158 経済的な事情を別として人が会社を辞める理由は2つ①マネージャーが嫌い②何も教えられていない

    p224 なぜ肩書は重要なのか①社員が望む。次の面接に臨んだとき、「セールスのヤツ」だったとは言いたくないだろう。②やがて社員同士でも誰が誰なのか知る必要が起きてくる

    p226 ピーターの法則。有能なメンバーは次第に昇進していく、しかし、遅かれ早かれ、メンバーは自分の能力の及ばないちいに達してしまう。無能レベルに達する

    p233 性格が本質的に反乱者。⇒常に反乱をおこしていあにと満足感が得られない⇒社員よりCEOのほうが能力を発揮する

    p259 組織の小さいうちは問題ないが、大きくなると困難になる①組織内コミュニケーション②共通認識③意思決定

    p262 組織デザインで第一に覚えておくべきルールは、すべての組織のデザインは悪いということだ。

    p279 最初の問題は、CEOになるためのトレーニングが存在しないこと。CEOのトレーニングは実際にCEOになる以外ない。マネージャーディレクターその他なんであれ管理職の経験は会社運営という職務に役に立たない。役立つ唯一の経験は会社を経営すること。

    p285 WFIO俺たちはやられた。この会社はおしまいだ。We're Fucked, It's Over

    p302 真に偉大なリーダーは、周囲に「この人は自分のことよりも部下のことを優先して考えている」と感じさせる雰囲気を作り出すものだ。

    P339 私は今の今でも、アーンスト&ヤングを憎み嫌っている

    p373 採用は強さを伸ばすために行うべきで、弱さを補うために行うべきではない

  • シリコンバレーのベンチャーキャピタリストが書いた、CEOやマネージャー、部長職がどう困難に立ち向かうべきか、その参考になる一冊です。

    著者のベン・ホロウィッツは現在はベンチャーキャピタリストですが、以前は上場会社のCEOとして厳しい環境の中でビジネスの舵を握った、事業側も経験している方。

    ベン・ホロウィッツに降りかかったタイトルにある「HARD THINGS(困難)」がこの1冊にてんこ盛りに収録されいて、そのときどう立ち向かったが書かれています。

    表紙にあるコピー「答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか」とありますが、この本には答えはないです、基本的に。
    しかし、先人がどう立ち向かったかを知ることでとても参考になり、自分の頭で考えて行動するきっかけになると考えています。

  • 僕は起業家でもなんでもないヒラ社員であるが、それでも自分の会社経験と想像力をフルに働かせて読み続け、共感に次ぐ共感から冷や汗握り締めながらエキサイティングに読破。
    おそらく生ぬるい嘘なんてない、筆者の経験から学んだ経営の本質が明解な理由と共に綴られている。
    会社が存続する以上、CEOは感情を捨て吐き気や悪寒と共にドライに判断や意思決定をし、問題解決のため的確に行動し続けるという連続が永遠に続く中で、逆に大切なものとは結局、感情をもつ人間なのだという感も感じた。
    文章には急に音楽カルチャーなどのキーワードもでてきて、CEOや起業家たる人も我々と同じレイヤーの世界にいる人間なんだと妙に安心もするし、なかなかどおして読みやすい文体で面白かった。

  • ネットベンチャーのCEOの楽しさと苦しみを書いた本。CEO以外にも管理職として生かせる部分が多く、自分の行動の指針になり得る情報も多い。
    個人的にも、組織のトップを経験したことがあるので共感するところも多かった。
    また、自分がいざ起業しようかという段になった時、この苦悩を味わってまで起業したいものが自分の中にあるのか?と問いかけることにしようと思った。

  • ネットスケープの創業者マーク・アンドリーセンとの出会いから、ラウドクラウドの創業、オプスウェアの経営を経て、アンドリーセン&ホロウィッツというベンチャーキャピタルを立ち上げた著者の、苦難に満ちた企業経営史とそこから得た教訓から成り立っている。私は欧米の経営者に対して「人を簡単に解雇する」「合理的で感情に左右されずに経営判断をする」と思い込んでいたので、いい意味で裏切られた。これは、かつて日本的経営と言われていたものではないのかと思える部分も多かった。
    それから、「友達の会社から採用してもよいか」という部分では、以前DeNAの南場さんが書いていたエピソードを思い出した。確か、出資してくれた企業から応援に来てくれていた社員を、その人のたっての希望でDeNAで雇い入れてしまったといった失敗談のことだ。そのように、起業し会社を大きくするうえで起こりがちなことが網羅されているようなので、ベンチャー起業家には、きっと役立つ内容だと思う。

  • 著者がシリコンバレーのスタートアップでCEOとして困難にどう立ち向かったか。その戦いの記録のような本。通常の「こうやって成功しました」というビジネス書とは違う。会社を経営するならぜひ再読したい。「人生は苦闘」という言葉が印象に残った。

  • 1読む目的
    2この本への問い
    3サマリ
    4感想

    1視座を高めること
    2スタートアップのCEOはどんなことを考えるのか
    3※全部は読んでおらずかいつまんでいる
    ①何かを生み出す人に必要な力は2つ。一つは現状を正しく把握する力。すぐ止む雨か嵐になるか。もう一つは、嵐が起きたときに次々と手を打つ力
    ②スタートアップのCEOは確率を考えてはいけない。決めるのは自分である。
    ③成功するCEOは、良い手がない時に集中して最善の手を打ち続けられること。
    ④戦うべき時に逃げていると感じたら、こう自分に問いかけるべきだ。「我々の会社が勝つ実力がないのなら、そもそもこの会社が存在する必要などあるのだろうか?」
    ⑤何を壊してもいいから全速力で動け、リスクなしに大きなイノベーションは生まれない。
    ⑥企業が大きくなるとコミュニケーションの問題が発生する。優先しなかったコミュニケーション経路を認識し、その損失を最小化することが必要
    ⑦側壁ではなくコースに集中する。
    ⑧勇気は他の様々な性格と同様、努力によって発達させられる。
    ⑨困難だが正しい決断をするたびに、人は少しずつ勇気を得る。逆に安易な間違った決断をする度に、人は少しずつ臆病になっていく。それがCEOの決断なら、企業を勇気のあるものにも臆病にも変化させる。

    4まず、スタートアップは山あり谷ありで大変だけど魅力的という印象だったが、本当に絶望的であることを認識できた。いくつかあるスタートアップを啓蒙する書籍は、何はともあれサクセスストーリーだが、本書はそうではない。困難から得た教訓、苦しいものを教えてくれる。
    この本を読んで、逃げないこと・打ち手を次々と打ち続けることを仕事のこだわりにしようと決意した。
    それらは自分が身につけることが困難だと思っていたが、努力によって、鍛錬によって得られる力なのでできないのは怠慢だと気付いた。常に最善を尽くしたい。それが相手への敬意であり、自己成長の唯一の手段だから、

  • この本は非常に面白く、そして参考になりました。 IT業界でいくつも大きな企業を立ちあげ、様々な苦労をしたその時時の状況をつぶさに書き上げ、更にどうそれを解決したのか? 非常にわかりやすく説明されています。今は著者はベンチャーキャピタリストとしても大成功しているわけですが、自らが様々な苦労を経験しているからこそ理解できる点もたくさんあるのでしょう。 この本は良い本ですよ。。是非読んでみてください。

  • 会社に置いてあったので何となく読んだ一冊。
    結論として今まさに読むべき一冊だった、自分がCEOになる時には改めてもう一度読みたい一冊。
    本書の序文やあとがきでも触れられているが、本書は経営書によくある「ヤバかったけど私はこうして成功した」という方向ではなく「常にヤバくて、失敗しまくったし、生き残るのに必死だった」という方向から経営を語った稀有な一冊である。
    実際にスタートアップの事業に触れていると大体の場合でヤバい状況であり、ぶっちゃけどうすれば良いか分からないという事が殆どだと想います。たまに良い事が起きてもせいぜい3日しか持たず、あとはヒーヒー言いながらギリギリで意思決定して実行して検証して「うわぁやっちまった!」となっている事が殆どだと思います。
    著者のベン・ホロウィッツは赤裸々にそれらを語り、心の底からアンチパターンを捻り出して紹介しているのが分かります。そしてCこの本から得られる重要なポイントは、CEOはこういう場面でどのような感情になっていて、部下や会社に対してどのような想いを持つのかを、CEOでは無い人が知れる事はスタートアップの成否を分ける上で大きな意味があると感じます。
    そしてポール・グレアムも良く言っている「反直観的」という言葉。この意味が生々しいアンチパターンを通して知れるのがこの本を重要な存在にしています。

  • ハイテク業界での有名ベンチャ投資ファンドのアンドリーセン・ホロウィッツの共同創業者のベン・ホロウィッツが自身の企業経験とそこから得たCEOとしての教訓を惜しげもなく披露したもの。

    前半は、著者がラウドクラウド社を創業し、ITバブルなどの中で、そこからハードウェア部分を売ってソフトウェア事業だけを切り出したオプスウェア社を成長させた後に1600億円でHPに売却するまでの8年間のストーリー。後半は、著者のその経験に基づくCEO論が綴られる。そして、最後は自身の投資家としての現状で締めるという構成。

    最初の起業ストーリーも、マーク・アンドリーセンなどIT界の著名人も多数登場して面白いのだが、白眉は著者のCEO論だろう。「人生は苦闘だ」- カール・マルクスの言葉を引き、「苦闘とは、そもそもなぜ会社を始めたのだろうと思うこと」という文から始まる18個の「苦闘」が並ぶ文に想いが込められており、迫力がある。苦闘は不幸で孤独で無慈悲だと書いた後、それがゆえに「苦闘は、偉大さが生まれる場所である」と諭す。

    自身の経験だが、あるとき日本の中小企業の創業社長にもインタビューをすることがあった。その社長は、比較的大きな企業に所属している自分たちに対して、「悪いこと言わないから起業なんかしない方がいいぞ」と言った。そして豪快快活で比較的心も太そうなその社長は、「何もかもなくすかもしれないという恐怖で眠れないなんてことはなかっただろ」と言った。起業するということは、ある意味でそういうことなんだと思う。そのときから起業家に対してさらに敬意の念を抱くことになったことをこの本を読みながら思い出した。
    起業にしても多くの人の目に入るのは、成功して残った事例だけだが、その他にうまくいかなかったがゆえに目にも入っていない多くの挑戦がある。そして挑戦のさなかにいるときには、自分がどちらの側にいるのか、わからない長いときを過ごすのだろう。

    CEOの心得として著者は、解雇や降格の心得、人・製品・利益の順に大切にするという物事の守るべき優先順位、社員教育の重要性、社内政治や野心の制御、肩書きや昇進、コミュニケーションの重要性、スケーリングの準備、CEOの責任と評価、売却の判断、などたくさんの実際的で示唆に富む言葉が並ぶ。そういった中で第一に感じたことは、不確実な世界の中で大切なことは結局は誠実さであるのではということだ。ドラッカーが、マネージャーに求める資質として「真摯さ(Integrity)」を求めたが、そのことにまさに呼応していると言えるのではないかと。

    原題は”HARD THINGS ABOUT HARD THINGS”。困難についての困難。よいCEOになるには、CEOになるしかないと言うけれども、この本はCEOでなくとも勉強になるところあると思うよ。苦闘する人におすすめ。

著者プロフィール

ベン・ホロウィッツは次世代のテクノロジー企業のリーダーとなる起業家に投資するベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)の共同創業者兼ゼネラル・パートナー。ニューヨーク・タイムズのベストセラー『HARD THINGS』(日経BP)の著者でもある。アンドリーセン・ホロウィッツを立ち上げる前はオプスウェア(旧ラウドクラウド)のCEO兼共同創業者を務めた。ラウドクラウドは2007年にヒューレット・パッカードから16億ドルで買収されている。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)でコンピューターサイエンスの修士号を取得。またコロンビア大学でコンピューターサイエンスの学士号を取得している。妻と3人の子供と共にサンフランシスコ・ベイエリアで暮らしている。

「2020年 『Who You Are(フーユーアー)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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