なぜぼくが新国立競技場をつくるのか

著者 :
制作 : 茂木健一郎 
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822251529

作品紹介・あらすじ

たとえ批判されても、これからの時代のために、建築をつくる。
新国立競技場を設計する建築家・隈研吾が、決意を語る。

建設予算の高騰、"景観破壊"批判などにより、ザハ・ハディド案が白紙撤回となり、
再コンペの結果、隈研吾が参加するプランが選ばれた。

"火中の栗"を拾った隈研吾のもとには、新プランへの様々な意見が寄せられている。
中には、日本の建築界を引っ張ってきた先輩建築家からの、思いもよらない批判もある。

だが、それでも、図面を引く。批判を受け止め、先に進むために。
コンクリートで作られた、スター建築家による“アート作品"ではなく、
人々が集い、愛される、「木のスタジアム」を作るために。

日本を襲った震災、そして、社会のギスギスした空気。「建築」そのものに対する強い風当たり。
あらゆるものを引き受ける意思はどこから来たのか。
なぜ今、「木の建築」なのか。余すことなく語る。

茂木健一郎氏との2万字対談を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 東京2020オリンピックメインスタジアムの新国立競技場の建築がザハ氏から隈氏に急遽変わった。東京1964オリンピック時の丹下氏の代々木体育館に憧れ建築家になった隈氏が、東京2020オリンピック新国立競技場を設計した。日本伝統の木造建築の良さを出した新国立競技場に対する思いを茂木氏と語る。

  • 一度決まったものの白紙撤回、ハードルが上がった中で選ばれたのは隈研吾氏のものでした。
    本書では氏による競技場設計への想い、建築に対する信念が語られています。

    特に興味深かったのは、日本の近代建築について述べられている点。
    系統立ててわかりやすく説明されていて、勉強になりました。
    とかく比較される旧案ですが、デザイン性だけという話ではなく、主な建材やら建築に対するスタンスといった面でも明確な違いがあったそうで。
    専門知識があれば、より違った見方で一連の出来事を俯瞰できたように思います。

    オリンピックのテーマの一つに「調和」が掲げられています。
    氏の建築物は周囲との調和を大事にされていて、建築で携わる方々との「調和」も大事にされていらっしゃるそう。
    和を思わせる、古くて新しいモチーフでの建築。
    今から完成が楽しみです。

    図書館スタッフ(学園前):あんりみ0

    ----------
    帝塚山大学図書館OPAC
    https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/846174

  • ・今、建築業界では、「日本的な工法」や「木を使うこと」に関して
     積極的な追い風が吹いている。

    ・殺風景なスタジアムの課題を解くカギが、木にある予感があった。

     「木」という素材のもつ温かな感じは、なぜか人間に大きく作用するから。

    ・今の複雑な社会を統合できるのは「木」しかない。
     人間と自然とをつなぎ直してくれる素材が「木」。

    ・「コンクリートの時代」を「木の時代」に変えることが、自分の使命。

    ・高度経済成長時代には、木を切り出すことが、森を失うことにつながる
     という誤った認識が流布した。

     事実は全く逆。森から木を切り出し、そこにまた木を植えていくことが、
     森に健康的な循環を作りだす。

    ・世界の建築のトレンドは「木」

    ・震災によって、人の意識が変わる。

    ・木は成長した後に、だんだんと腐っていく。
     腐った部分を見つけて、丁寧に取り換える。部分更新が可能。

    ・木の建築は、半分だけ生きている。

    ・永続性を一番保てるのが、実は木という材料で、
     逆に一番保てないのが、コンクリート。

  • 受け身で戦う。プロジェクトの進め方の鍵として、軸が見つかるまで徹底して聞き役に徹する姿勢にに共感。建築の在り方は地域や環境に密着したもの、そのための木の役割は大きい。

    紀元前ローマ時代に征服地から連れてこられたバラバラな人々をまとめるために、アウグストゥスは大理石でローマ都市を築き統合を成し遂げた。

    紀元前に、建築という先端技術が社会を変えたことが、隈研吾さんは複雑化した現代社会で木こそがそのメディア的役割を担えるのではないかという。

    オリンピックに向けた完成が楽しみになってきました。

  • もやもやとしていた霧が晴れた。
    アメリカは民間の寄付頼み。中国では必ず委員会が作られる。
    呼ばれたらやる。
    eyesore。

  • 系推薦図書 5系(建築・都市システム学系)
    【配架場所】 図・2F開架 
    【請求記号】 526.78||KU

    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=177561

  • シンプルに建物の高さを低く、自然素材を使う。共感します。

  • まあ、いろいろな話があった新国立競技場だが、これで、どんなものができるか楽しみになった。

  • 日本人はどうも「妥協」という言葉をネガティヴにとらえがちですが、妥協とは大人が備えるべき高い能力のひとつであり、社会が必要とするのは、美しい妥協であるとぼくは考えています 木という素材は人々を調整する最高の道具です ヨーロッパ大陸は、ゲルマン的な価値観が支配する場所で、しぜんは制圧すべきものであり、崇拝の対象にはなりません ロジックでオレたち本当に幸せになれるかな なぜコンクリートのオフィスが必要だったかというと、柱のない大空間にたくさんの人を閉じ込めないと、効率的な仕事が出来なかったからです 里山資本主義 藻谷浩介 雲の上のホテル 日本人は、行間を読み合う人たちで、思考の強みは、茶道が象徴するように、空間と行為と言語の一体化にあると実感しました

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著者プロフィール

1954年、神奈川県生まれ。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了。コロンビア大学建築・都市計画学科客員研究員などを経て、1990年、隈研吾建築都市設計事務所設立。慶應義塾大学教授、東京大学教授を経て、現在、東京大学特別教授・名誉教授。30を超える国々でプロジェクトが進行中。自然と技術と人間の新しい関係を切り開く建築を提案。主な著書に『点・線・面』(岩波書店)、『ひとの住処』(新潮新書)、『負ける建築』(岩波書店)、『自然な建築』、『小さな建築』(岩波新書)、『反オブジェクト』(ちくま学芸文庫)、他多数。

「2022年 『新・建築入門 思想と歴史;ク-18-2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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