量子コンピュータが人工知能を加速する

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レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822251895

作品紹介・あらすじ

「これは日本人研究者によるノーベル賞級の発見だ!」
元グーグル日本法人社長 村上憲郎

実現は早くても21世紀後半と言われていた「量子コンピュータ」が
突然、商用マシンとして販売が開始された。
作ったのはカナダのメーカーだが、その原理を考え出したのは日本人研究者。
しかも、人工知能に応用でき、グーグルやアメリカ政府も開発競争に参戦、
NASAやロッキード・マーティンも活用を開始した。

どのようにして量子力学で計算するのか。
どのようにして人工知能、特に機械学習やディープラーニングに応用できるのか。
そして、どうすれば日本の研究が世界をリードできるか。
画期的な量子コンピュータの計算原理、「量子アニーリング」を発案した本人が語る。

感想・レビュー・書評

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  • 量子コンピューターについて最近の組み合わせ最適化や機械学習への応用も視野に入れて解説。特に著者自身が提唱し、近年の進展のブレイクスルーとなった量子アニーリングについて平易に説明されている(古くからある量子ゲート方式との違い、量子アニーリングを物理世界で実現してしまうハードウェアの開発、シミュレーティッドアニーリングとの対比を通じたトンネル効果の説明など)。

    また、応用範囲についても、組み合わせ最適化と機械学習(特にサンプリング)について、どのような課題が量子コンピュータによって解決するのかが解説されている。

    さらに、現在のレベルを冷静に分析した上で、今後の発展のためにどのような基礎研究・理論研究が必要かについても強調する。量子コンピュータの研究に人材と資金を呼び込もうとする意欲的な本。

    日本の大学では、「理学・サイエンス」と「工学・エンジニアリング」が分かれていて交流がないと指摘する。

    最後には、著者自身の最新のアクティビティーを例に、「なぜ・どう動いているかわからない」ものに対する基礎研究が制御や予測、技術開発のために必須だと訴える。

  • 量子力学の専門家による量子コンピューターの話。難解な量子の世界について、簡単に説明しており、その概要がわかった。カナダの企業が製品化している量子コンピューターは、今のコンピューターの1億倍の処理能力があるらしいが、グーグルやNASAも積極的に開発に参画しており、今後大きく発展していく分野だと感じた。
    「従来型のコンピューターは、性能が次第に頭打ちに達してきたので、より高性能な量子コンピューターの開発が期待されているのだ」p15
    「従来のコンピュータの心臓部がプロセッサだとすると、D-Waveマシン(D-Wave 2X)の心臓部は量子ビットを実装する超伝導回路(ニオブという金属を使った超伝導)になる。価格は、約15億円。見た目は巨大な黒い箱で3m四方の大きさだ。箱の中には「希釈冷凍機」があり、超伝導回路を絶対零度に限りなく近くなるまで冷やしている。消費電力は、25kWで、そのほとんどが希釈冷凍機に使われている。25kWというと、スーパーコンピュータ京のおよそ1/500だ」p26
    「(量子アニーリング)金属を高温にしてからゆっくり冷やしていくと構造が安定するという「焼きなまし(アニーリング)」という現象を使ったもの」p28
    「量子アニーリング方式は、(主流と思われている)量子ゲート方式に比べて安定性が格段に高いのである」p32
    「横磁場をかけると0と1が同時に存在する奇妙な状態が実現する。横磁場をだんだん弱くすると量子ビットは、次第に上か下かどちらか決まった方向を向くようになり、横磁場がゼロになるころには、量子ビットがはっきりと0か1のどちらかになっており、その結果が、組み合わせ最適化問題の解を表しているのである」p36
    「物理学者ファインマン)量子力学がわかったと思っているうちは、量子力学がわかっていない」p126

  • 量子コンピュータの実現方法には、量子ゲート方式と量子アニーリング方式があるという。アニーリングとは、焼きなましということだそうだ。自然界の現象を借用したアルゴリズムだそうだ。絶対零度近くで、0と1の重ね合わせ状態にしたニオブ製の小さなリングの回路(量子ビット)に横磁場をゆっくりかけていくことで、回路が0か1になるという。それが解だそうだ。本書で説明されているのだが、???だな。

  • 量子アニーリング理論を提唱した西森先生による解説。

    ゲート方式の解説はほとんどなかったのはちょっと残念だけど、アニーリング方式の原理や適用可能な分野、現在の状況、D-Waveが何を作ったのかなど、とてもわかりやすかった。

  • とにかく量子コンピュータの仕組みが知りたくて読んだ。そして説明できるレベルではないが、イメージは掴めた。かなり複雑な「量子コンピューティング」のイメージを掴ませられるだけでもかなりの良著だと思う。
    従来の半導体を用いた仕組みとは全く違い、(D-Wave社製の例で言うと)ニオブという金属をキンキンに冷やして超伝導状態にして…という科学実験装置のような仕組みだそうだ。

    量子コンピュータというのは現代のコンピューティングを大きく前進させる可能性があるというのは間違いない、ということが理解できた。(「人工知能を加速する」は釣りタイトル感があるが)
    未来の話のようでもあるが、実はすでにD-Wave社がすでに商用化している。ただしこちらは「組み合わせ最適化問題」と呼ばれる計算以外には使えない。ただし得意な問題に対しては実際に既存のコンピューティングを大きく凌駕する。

    文章も読みやすいし、文量も少ない。科学者なのに読みやすくて面白い文章が書けるというのは貴重な存在だなと思う。

  • 以前から気になっていた「量子コンピュータ」。
    動作原理と結果の解釈方法は今一つ理解できなかったが、とりあえず「量子アニーリング方式」と「量子ゲート方式」というキーワードを覚えておこう。
    本書は、「量子アニーリング方式」で組み合わせ最適化問題の近似解を得ることができる「量子コンピュータ」について、現状と発展の方向性のヒントを示してくれている。
    汎用性はないが、問題によってはスーパーコンピュータ「京」で3年かかるものが1秒で出せるのは脅威的。
    答えを得るまでの速さのみならず、コンピュータの動作自体にかかるコスト削減による省エネ率が半端でなく利用価値大。
    ざっくり言うと、3年でかつ1億円もかかるため非実用なものが、1秒1円でできてしまうということ。
    現在はビックデータを力任せに処理するのに、尋常でないエネルギーを使っているから、人工知能の商用化のネックは超省エネ化をいかにして行うかにかかっているはず。

  • 量子アニーリング方式のコンピュータの解説が中心ですが、それにしては、やや冗長な印象。
    量子コンピュータの紹介という意味なら、量子ゲート方式の解説などもあった方がいいのでは。
    人工知能についての記述は、大したことない印象。
    なんとなく、この分野をのぞいて見たいという方にはいいのかもですね

  • 量子コンピュータおよび「量子アニーリング」を一般の言葉で説明した本。量子コンピュータへの期待の誤解も言及されています。

    数式は皆無なため、原理を追求したい人には不向きです。
    仕組みは少しわかるのですが、実用例が乏しいので実際の活用イメージは付きにくいですね…。

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著者プロフィール

東京工業大学理学院教授1954年高知生まれ。1977年、東京大学理学部物理学科を卒業。1981年、カーネギーメロン大学で博士研究員となる。1982年、東京大学大学院博士課程を修了し理学博士を取得、ラトガース大学博士研究員に着任。1990年、東京工業大学理学部物理学科の助教授に就任。1996年より現職。1990年に日本IBM科学賞、2006年に仁科記念賞を受賞。著書に『スピングラス理論と情報統計力学』(岩波書店)、『相転移・臨界現象の統計物理学』(培風館)、『物理数学II ―フーリエ解析とラプラス解析・偏微分方程式・特殊関数』(丸善出版)、『Statistical Physics of Spin Glasses and Information Processing: An Introduction』(Oxford University Press)、共著『Elements of Phase Transitions and Critical Phenomena』(Oxford University Press)など。

「2016年 『量子コンピュータが人工知能を加速する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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