量子コンピュータが人工知能を加速する

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822251895

作品紹介・あらすじ

「これは日本人研究者によるノーベル賞級の発見だ!」
元グーグル日本法人社長 村上憲郎

実現は早くても21世紀後半と言われていた「量子コンピュータ」が
突然、商用マシンとして販売が開始された。
作ったのはカナダのメーカーだが、その原理を考え出したのは日本人研究者。
しかも、人工知能に応用でき、グーグルやアメリカ政府も開発競争に参戦、
NASAやロッキード・マーティンも活用を開始した。

どのようにして量子力学で計算するのか。
どのようにして人工知能、特に機械学習やディープラーニングに応用できるのか。
そして、どうすれば日本の研究が世界をリードできるか。
画期的な量子コンピュータの計算原理、「量子アニーリング」を発案した本人が語る。

感想・レビュー・書評

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  • 「本書では、量子コンピュータがどのようにして動き、どんな計を行っているのか、そしてどうやって人工知能に応用できるのかについて、専門知識がない人でもなるべく理解しやすいように解説する」という言葉に惹かれて読んでみた。
    が、物理の知識ゼロの自分にはやはり難しかった。なんとなくわかったような、わかりにくいような。。

    他方、「第6章 日本が世界をリードする日は来るか」では、日米の研究者のマインドセットや研究環境の違いにも触れ、新たな分野の研究や起業に挑戦する若者が増えてほしいというメッセージも伝わってきた。

  •  量子アニーリング方式を考案した研究者による量子コンピュータの解説書。前半はこれ以前に読んだ本で既に得ていた知識で、肝腎の量子アニーリングの説明も何となくの雰囲気だけに終始。期待していたのとは少し違うという意味で星3。慌てて申し添えておくと、入門書あるいは勉強のモチベ本としては、量子コンピュータを取り巻く状況が概観できて良い本だと思う。そうでなくても、量子アニーリングという概念を知ることが出来ただけで僕としては収穫はあった。
     あとは、他の方のレビューにもあるが、筆者自身の業績に対して自慢たらしい(?)記述がそこここに見受けられるのが(それが凄い業績であると理解していても)、やや鼻につくかな…

  • 以前から気になっていた「量子コンピュータ」。
    動作原理と結果の解釈方法は今一つ理解できなかったが、とりあえず「量子アニーリング方式」と「量子ゲート方式」というキーワードを覚えておこう。
    本書は、「量子アニーリング方式」で組み合わせ最適化問題の近似解を得ることができる「量子コンピュータ」について、現状と発展の方向性のヒントを示してくれている。
    汎用性はないが、問題によってはスーパーコンピュータ「京」で3年かかるものが1秒で出せるのは脅威的。
    答えを得るまでの速さのみならず、コンピュータの動作自体にかかるコスト削減による省エネ率が半端でなく利用価値大。
    ざっくり言うと、3年でかつ1億円もかかるため非実用なものが、1秒1円でできてしまうということ。
    現在はビックデータを力任せに処理するのに、尋常でないエネルギーを使っているから、人工知能の商用化のネックは超省エネ化をいかにして行うかにかかっているはず。

  • 量子コンピューターについて最近の組み合わせ最適化や機械学習への応用も視野に入れて解説。特に著者自身が提唱し、近年の進展のブレイクスルーとなった量子アニーリングについて平易に説明されている(古くからある量子ゲート方式との違い、量子アニーリングを物理世界で実現してしまうハードウェアの開発、シミュレーティッドアニーリングとの対比を通じたトンネル効果の説明など)。

    また、応用範囲についても、組み合わせ最適化と機械学習(特にサンプリング)について、どのような課題が量子コンピュータによって解決するのかが解説されている。

    さらに、現在のレベルを冷静に分析した上で、今後の発展のためにどのような基礎研究・理論研究が必要かについても強調する。量子コンピュータの研究に人材と資金を呼び込もうとする意欲的な本。

    日本の大学では、「理学・サイエンス」と「工学・エンジニアリング」が分かれていて交流がないと指摘する。

    最後には、著者自身の最新のアクティビティーを例に、「なぜ・どう動いているかわからない」ものに対する基礎研究が制御や予測、技術開発のために必須だと訴える。

  • 10年以上にわたり、毎年「15年~20年後の実用化を目指す」という目標が掲げられ、その気を感じていなかった量子コンピュータ。こんな認識だったので、まったくもって進捗を知らなかった量子コンピュータが実用化に向け動いていることに驚いている。
    同じ著者の物理本(理論の紹介本)があって、そっちをナナメ読みしていたら、今回の本に経緯や発展についての解説があるというので、買って読んでみた。
    正直、一番知りたかった原理の説明が何を言っているか分からない。よくある式なしで分かりやすく、が、支離滅裂なトンデモ本に化けてしまう失敗例だ。タイトルにある量子コンピュータのAIへの応用は興味深いが、もっと立ち入って書いてもらわないと。まだ実現していないものは満足に書けないということか。その代わりアイディアを実現するためのベンチャーとか日本の制度批判とか、タイトルを外れたいらない話題が多い、しかも実業家レベルの論述で浅い。
    脇道にそれるなら、基礎研究を進めるための話、社会を念頭に置く必要がない、という話で十分で、本論は、そうして得られた知見で勝負していただきたい。
    原理については良い科学ライターがたくさんいる、ビジネスの仕組みを論じたいならもっと面白い人がいる、だから、こういう本は得意な人に書かせ、研究者は研究に没頭し、たまに若者を励ましてもらう程度ががいいのかもしれない。

    追記:悪い評を書いてしまったのでダメなところと知りたかったことを。量子アニーリング方式の本質は、量子統計であって、量子力学そのものではないだろう。トンネル効果は正解を導くための重要なポイントでシミュレーションとの違いを強調する上で(研究成果を著すものとしては)欠かせないかもしれない。だが、それは量子コンピューティング全体から見れば些末な技巧であって不要、そこにページを割いたのは、私のような量子力学の入門書をかじった程度の読者を引き寄せるだけにしか見えず、眩惑じゃないかと感じた。
    量子アニーリング方式を通して量子コンピューティングを解説したいなら、基本的事実としては相転移を切り口にした方がいいのではないか。イジング模型の解説も貧弱で、そもそもこれは何なのか、これからポテンシャルの極値問題を立てること、焼きなまし(アニーリング)のモデルによってこれが解けることを柱にした解説の展開と、直観的にでも「だから組合せ問題が解けるのだ」という、ひらめきが得られる論述がほしい。

  • 大学の講義で量子に少し触れたがよくわかっていなかったので、試しにこの本を読んだ。

    量子は0と1、どちらでもあるという状態を認めることでだいぶわかりやすくなった気がした。
    量子コンピュータは0と1、両方である状態から、相互作用を考慮して、0か1を決める。機械学習は0か1どちらかを知っている状態で相互作用を定めるという、二つの関係もわかった。

  • 筆者は量子アニーリングの考案者だが、D-waveが量子アニーリングを実現したことに脱帽されており、正直な方という印象。量子アニーリングは「ぶっ飛んでいる」という表現にワクワクするものを感じた。今後の発展に期待したい。

  • 何となく概要は掴めたかと。キーワードは拾えたので、理解不足のところはこれからサーチできる。3月に米国で参加したカンファレンスにて、GoogleのJohn Martinis氏の基調講演を聞いたのたが、その前に読んでおけばよかった。

  • 量子コンピュータについて知識ゼロで読みましたが、面白かった!

    特に解を導き出す方法がコンピュータとしては独特で、でも何故か人間の閃きに近くて、新しいような懐かしいような感覚を覚えました。

  • 組み合わせ問題。最適経路問題。量子アニーリング方式。
    近似解でも価値がある。
    そこに価値を見いだし投資、HWを作る行動力。

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著者プロフィール

東京工業大学理学院教授1954年高知生まれ。1977年、東京大学理学部物理学科を卒業。1981年、カーネギーメロン大学で博士研究員となる。1982年、東京大学大学院博士課程を修了し理学博士を取得、ラトガース大学博士研究員に着任。1990年、東京工業大学理学部物理学科の助教授に就任。1996年より現職。1990年に日本IBM科学賞、2006年に仁科記念賞を受賞。著書に『スピングラス理論と情報統計力学』(岩波書店)、『相転移・臨界現象の統計物理学』(培風館)、『物理数学II ―フーリエ解析とラプラス解析・偏微分方程式・特殊関数』(丸善出版)、『Statistical Physics of Spin Glasses and Information Processing: An Introduction』(Oxford University Press)、共著『Elements of Phase Transitions and Critical Phenomena』(Oxford University Press)など。

「2016年 『量子コンピュータが人工知能を加速する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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