プラットフォームの教科書 超速成長ネットワーク効果の基本と応用

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822255091

作品紹介・あらすじ

これからのビジネスを考える上での最重要コンセプトであるプラットフォームについて多角的に解説。
プラットフォームは、デジタルエコノミーの勝者と敗者を分けるものである。

プラットフォームは次のような特徴を持っている。

・急速に成長することができる
・一人勝ちすることがある
・一人勝ちが突然くつがえされることがある

なぜ、こういう特徴が生じるのか? その要因は主として次のようなものである。

・レイヤー構造
・ネットワーク効果
・エコシステム
・アマチュアエコノミー

プラットフォームに関連する技術の進歩や新興勢力の出現は、古典的産業では考えられないほど速い。
だからプラットフォームでの戦いに挑むには、常に「次」を考えておくことが欠かせない。
本書では、その「次」を考えるためのヒントも提供したい。

感想・レビュー・書評

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  • ユニコーン企業トップ10(2017年10月時点)のうち、プラットフォームをビジネスモデルとする企業は8つを数える。ユニコーンとは企業価値が10億ドルを超える非上場のベンチャーを指す。UberやAirbnbが代表格。圏外であるが日本企業では、メルカリが有名だ。プラットフォームビジネスがなぜこれほど急成長し注目を浴びるのか、紐解くため手にとる。

    プラットフォームの特徴としてレイヤー構造、ネットワーク効果、エコシステム、アマチュアエコノミーの4つが挙げられている。急成長という意味では、レイヤー構造、ネットワーク効果、アマチュアエコノミーのどれも重要だが、最も頭を悩ますのがエコシステムだろう。例として挙げられているのが、任天堂のファミコン。自前でゲームソフトをつくることもできたが、自社以外にも機会を提供し、その代わりゲーム機とソフトとの接着技術を特許化しロイヤリティ収入を得るビジネスモデルを構築したといった具合だ。

    但し、勘違いしやすいのは、ロイヤリティ収入を得るエコシステムを構築する余り顧客ニーズを軽視してしまうことだ。これは載ってはいないが、同じゲーム業界で3DO(スリーディーオー)の事例が当てはまるだろう。任天堂より安いロイヤリティでサードパーティを集めることを目論んだが、小売価格が54,800円と高額だったため失敗に終わった。

    プラットフォームの急成長が特に欧米で目立つのは、旧来型のビジネスに新しいエコシステムで、いかにゲームチェンジ(変革)を仕掛けていくかという視点を持ち合わせているからだと、エコシステムのwikiを併せて読んで納得がいった。そういう意味では規制が厳しい日本では既存産業を守る方向に力学が働き、生まれにくい環境になっているのかもしれない。メルカリで盗品や現金が出品されていた問題が起こったとき、メルカリが日本のみを市場としていたら、マスコミによって潰されていただろう。

    最後に、プラットフォームの一人勝ちの条件や、反対に阻害要因を整理していたりと、企業同士が競争していく視点で書かれているのはビジネスをしている立場にとって嬉しい。プラットフォームのビジネスモデルを理解する上で読んでおきたいー冊だろう。

  • 仕事に関係するので読んでみた。なんとなくプラットフォームについて、あいまいな部分がはっきりした。わかりやすいと思います。
    ■本書の整理
    ・プラットフォームの定義について
     「他プレイヤー(企業・消費者)が提供する製品・サービス・情報と一体になって初めて価値を持つ製品・サービス」
    ・プラットフォームの特徴
     -急成長する可能性
     -一人勝ちしやすい(WTA:Winner Takes All)
     -突然シェア逆転することもある
    ・プラットフォームの特徴の要因:
     ー技術が優れている製品が勝つわけではない。
      =>日本人のものづくりはすごいが、非技術部分の戦略が苦手なのか。。
     以下の非技術要因が大きい
     -レイヤー構造(<->バリューチェーン)
    -ネットワーク効果(利用者が増えれば増えるほど価値が高まる)
     -デバイス転換(PCからスマホ)
    ■個人的にメモしたいところ
    ・マネーサイドとサブシディ(subsidi:補助金)サイド
     ex.ゲームにおける購入者を集めるのはサブシディサイド(ハードの値段を下げてでも利用者を集めたい)マネーサイドはソフト会社(ロイヤリティで利益)
     =>サブシディサイドについて今まで考えたことがなかった。新たな視点。
    ・エコシステム(プラットフォーム+補完製品群)を発展させるには、View(展望、世界観)が大事。=>自身のプラットフォームを使ってもらうために考える。
    ・アマチュアエコノミー:企業ではなく個人が参加。
     

  • それとも、キー技術を押さえられてしまうのか気にしながら見てみたいと思います。

  • とても読みやすい
    マーケティング入門者にもよいと思う

  • 借りたもの。
    インターネット革命後、認知されるようになった概念・プラットフォームの成立の歴史とその解説。

    プラットフォームの特徴は、
    ・急速に成長することができる
    ・一人勝ちすることがある(WTA / Winner Takes All)
    ・一人勝ちが突然くつがえされることがある
    という。

    プラットフォームは土台があって、そこに他のプレイヤー(企業だけでなく消費者も)が提供する製品・サービス・情報が一体になって初めて価値を持つ製品・サービスがあることではじめて成立する。
    デザイン思考――ビジネスのイノベーションを起こす考え方――に「みんなが喜ぶものに価値がある」という視点、指摘があるがプラットフォームはそこを突いている。

    ビジネスがレイヤー構造化し、自社サービスで全て囲い込むというものは最早成立しない。ユーザー押さえられない。
    コミュニティの場所(プラットフォーム)を提案すること、と言えるのかもしれない。

    その上でのサービス提供……他社に何を依存するかというオープン化問題。それは技術ではなく、レイヤー戦略の問題となっている。

    ただ、プラットフォームだからと言って、必ずしも一人勝ちするとは限らない。スマホの普及がウーバーイーツなどの新しいプラットフォームの躍進に繋がっただけでなく、ソーシャルゲームの普及によって、家庭ゲーム機がその独壇場を奪われたように……
    技術が優れているものが勝つとは限らない。WTAに対して、5つの対抗策がある。

    (1)収益モデルの破壊と拡張
    (2)プラットフォーム包囲
    (3)プラットフォーム間橋渡し
    (4)プラットフォーム互換
    (5)プラットフォーム連携

    新しいビジネスモデルには価値や法的にもグレーゾーン問題をはらむ。ベンチャー企業でもホワイト化に取り組む事が重要。

  • プラットフォーム関連について、初学者にも分かりやすく、それなりに知識があるような人も新たな知見を得られそうな本である。
    事例が色々載っていることがポイントであり、プラットフォームという概念を認識しやすくなっている。

  • プラットフォームの教科書 超速成長ネットワーク効果の基本と応用
    著:根来 龍之

    プラットフォームというのは、お客さんに価値を提供する製品群の土台になるもの。 つまり、「他のプレイヤー(企業、消費者など)が提供する製品・サービス・情報と一体になって、初めて価値を持つ製品・サービス」を意味する。

    従来型の産業は「バリューチェーン構造」として捉えられていたが、プラットフォームビジネスは「レイヤー構造」として捉えると理解しやすい。それぞれの改装にいろいろなプレイヤーが参加して、エコシステムを形成する、そして、ネットワーク効果がエコシステムの成長に大きな役割を果たす。エコシステムに参加するのは、企業だけではなく、個人の場合も多い。GAFAのビジネスは、一般大衆を参加者として巻き込み、強大化した。シロウトが主役になるアマチュアエコノミーとしての側面がある。

    本書の構成は以下の3章から成る。
    ①プラットフォームの基本
    ②プラットフォームの広がり
    ③プラットフォームの戦略

    わかっているようでわかっていない「プラットフォームビジネス」。本書のわかりやすさは群を抜いている。新しい概念、広い概念を私たちがよく知ってる企業を例に挙げ、黎明期から現状と今後にまでスポットをあてながら体系的に紹介されている。

    メリットだけではなく、デメリットやリスクについても触れてあり、書名通りプラットフォームの教科書としての導入本として持ってこいである。

    巻き込むことがひとつの大きなキーワードとなるプラットフォームビジネス。まだまだこれからの概念。走りながら正していくというビジネスモデルを取り入れるにはそれなりの度胸が必要。リスクを許容しながら前向きに捉える長期的視点の姿勢でかつスピーディーに対応することが肝となりそうである。

  • プラットフォームプレイヤーの類型化と、それぞれのモデルの概要を理解するのに、ビジネスモデルの転換として理解したい、概要把握を狙いとした初歩理解者には分かりやすいガイドブック。

    ガワー/クスマノの「プラットフォームリーダーに必要とされるものはなにか」から設計上の四つのレバーが紹介されているなど、設計要素をざっくり把握することができた。

    エコシステムの章では、VIEW(世界観)を示して補完プレイヤーをやる気にさせる、ことが強調されている。エコシステム=プラットフォーム➕補完製品群であることから、エコシステムの成長はぐるぐる回りであり、展望、世界観として、
    ・社会的意義
    ・市場の将来的な動向
    ・自社エコシステム構築に関する方針(四つのレバーと関係)
    などを提示する必要があるという。

    顧客、利用者の近接者、取引企業、株主、メディア、政府/自治体に加え、補完プレイヤーを意識した発信、そのコミュニケーションにも方法論がありそうだ。

  • プラットフォーム入門書として定義の理解、基本的事例を抑えるという意味で良書だった。

  • プラットフォームビジネスを学びたいときに始める1冊として最適。要所要所で図やポイントがまとめてあり、まさに教科書として使える。身近な話題から例を用いて説明してあり、大変わかりやすい。
    キーワード:バリューチェーン、レイヤー構造、一人勝ち(winner takes all)メカニズム

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著者プロフィール

早稲田大学ビジネススクール教授。京都大学文学部卒業、慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。鉄鋼メーカー、文教大学などを経て2001年より現職。この間、英ハル大学、米カリフォルニア大学バークレー校などで在外研究。早稲田大学IT戦略研究所所長、早稲田大学大学院経営管理研究科長、経営情報学会会長、CRM協議会顧問などを歴任。著書に『集中講義デジタル戦略』『プラットフォームの教科書』『ビジネス思考実験』『事業創造のロジック』(いずれも日経BP)、『代替品の戦略』(東洋経済新報社)など。

「2023年 『ハッキング・デジタル DXの成功法則』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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